クリティカルシンキングとは?特徴や会得するメリット、実践方法を解説

2022年8月25日

2024年2月8日

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Izul広報チーム

Izul広報チーム

クリティカルシンキングは「批判的思考」の意味を持つ思考法で、近年ビジネスパーソンをはじめ多くの人から注目を集めている言葉です。さまざま情報が溢れている現代では、正しい情報や自分に役立つ情報を取得する難易度が従来よりも増しています。クリティカルシンキングを身に付けることで、正しい情報を取得するための目的や本質を見極めることが可能になります。この記事はクリティカルシンキングの特徴やメリット、実践方法を解説します。

クリティカルシンキングとは

クリティカルシンキングとは、物事や情報・思考に対して「本当にこれで正しいのか?」と言う視点を持ち、正しい論理に繋げていく思考法のことです。日本語では「批判的思考」と訳されます。「批判的思考」と聞くと、何に対してもダメ出しをしたり批判をしたりする思考と思われがちですが、決してそうではありません。クリティカルシンキングが批判するものは、前提条件や情報、自分自身の思い込みなどです。
何か物事をスタートさせるとき、間違った前提条件や情報、思い込みを持ったまま進めてしまうと、後から修正することが難しくなることも少なくありません。クリティカルシンキングを身に付けると、自分が無意識に取っている行動や考え方を意識化し、客観的・分析的に思考を振り返ることができるようになります。
計画立案や問題解決に役立つのはもちろん、組織で円滑なコミュニケーションを図る際にもクリティカルシンキングを身に付けることは重要です。

クリティカルシンキングの必要性

 クリティカルシンキングは、問題の本質を把握し、ビジネスの課題を解決するために役立ちます。
現代ではWebが発達したことで、あらゆる情報に対して瞬時にアクセスが可能になりました。しかし、情報の変化が早く、数年前だけでなく場合によっては数ヵ月前の情報すら古いものとなり、ビジネスの現場で通用しなくなることが多いのも事実です。環境の変化が早い現代では、情報の取捨選択を多角的に見極め、情報の検証・分析を行うことが必要になります。
例えば、「多くの企業はメンバーシップ型からジョブ型雇用に変化している」と聞いたことがある方も多いと思いますが、「ジョブ型雇用はいつと比べて何%の企業が取り入れているのか?」を具体的な数値を用いて説明できるようにすることがクリティカルシンキングです。

ロジカルシンキングとの違い

「クリティカルシンキングとロジカルシンキングは同じ意味なのでは?」とお考えの方も多いかもしれません。しかし、クリティカルシンキングとロジカルシンキングは別の思考法です。
ロジカルシンキングは日本語で「論理的思考法」と呼ばれ、物事を結論と根拠に分けて論理的な繋がりを持たせる思考法を指します。物事を結論と根拠に分けて考えていく部分はクリティカルシンキングと変わりませんが、ロジカルシンキングは推論を重ねて結論を導こうとします。そのため、仮に前提条件が誤っていたり思い込みが強くても、ロジカルシンキングの場合は論理的に間違っていなければ問題ありません。
クリティカルシンキングの場合は、前提情報の確認・検証、別の情報の有無、自分の思い込みが入っていないかどうかなどを検証していく思考法です。

クリティカルシンキングを会得するメリット

クリティカルシンキングを会得するメリットは複数あり、ビジネスだけでなく日常生活でも役立ちます。ここでは、クリティカルシンキングを会得するメリットを3つ紹介します。

問題解決能力が身に付く

 クリティカルシンキングを会得すると、問題解決能力が身に付きます。問題解決能力とは、問題や課題の本質を見極めて、解決までのアクションを計画・実行していく能力のことです。クリティカルシンキングでは、問題や課題が起きている要因に対し、思い込みを入れずに事実に基づいた情報やデータを用いて問題解決を進めていくことが可能になるでしょう。

コミュニケーションに役立つ

クリティカルシンキングによって問題解決能力が身に付くとともに、円滑なコミュニケーションを行うために役立たせることができます。なぜなら、クリティカルシンキングは思い込みや推論を出来る限り避け、事実に基づいてコミュニケーションを図るためです。
例えば「前よりも売上が上がった」という説明だけでは、コミュニケーションとしては不十分です。「前よりも」とはいつのことで、「売上が上がった」とは具体的にいくらなのかという点について、クリティカルシンキングに基づくと「2020年度と比較して、売上は113%の40億円だった」というような具体的な説明が可能になります。

判断力が鍛えられる

ここまで解説してきたように、クリティカルシンキングは誤った前提条件・自身の思い込みを排除するための思考法です。身につけることで判断力が鍛えられ、何か意思決定をする際に「~だと思う」「~かもしれない」などの曖昧な表現をすることがなくなります。事実に基づいて結論を導いていくため、判断がより的確になるでしょう。

クリティカルシンキングを学ぶ方法

さまざまな場面で役に立つクリティカルシンキングを習得するには、どのような方法があるのでしょうか。ここからは、クリティカルシンキングを学ぶ方法を紹介します。

インターネットや書籍で学ぶ

 インターネットや書籍で学ぶ方法は、場所を選ばず学習が進められ、費用も抑えやすいためおすすめです。インターネットは月額通信費、書籍は数百円〜数千円のコストで済みます。
どちらの学習方法も大変便利ですが、インターネットでの学習の際はSNSや動画など、オンラインコンテンツに集中力を削がれないよう注意が必要です。また、インターネットは手軽に大量の情報を集められて便利ですが、なかには誤った情報も含まれています。正しい情報を見極めることが大切です。

セミナー・勉強会に参加する

 セミナーや勉強会では、クリティカルシンキングの方法を学べるだけでなく、参加者と交流して新たな人間関係の構築をすることも可能です。長期間で通うものだけでなく、単発で参加できるものもあるため、なかなかまとまった時間が取れない方にも学びやすくなっています。新型コロナウイルス感染拡大の影響により、セミナーや勉強会はオンラインで行われるものも多く、場所を選ばず学習ができることもメリットです。

ビジネススクールに通う

より本格的にクリティカルシンキングを学びたいという方は、ビジネススクールに通うことがおすすめです。社会人向けのビジネススクールでは、夜間や土日に開校をしているスクールもあり、仕事と両立して学習を進めることが可能です。
セミナーや勉強会と比べて費用も時間もかかりますが、その分、同じ志や目的を持った人たちと出会える可能性も高く、モチベーションを持って学習を進められるでしょう。

日常生活で実践し続ける

 クリティカルシンキングの「批判的思考」は、ビジネスだけでなく日常生活でも実践できます。日常生活でクリティカルシンキングを身につけるには、これまでの日常生活を疑ってみる・批判してみることが学習のコツです。
今まで当たり前だったことを違う角度から見てみたり、本当に正しいどうかをもう一度考え直してみたりすると、自分の思い込みがなかったかを確認する良い機会になります。

クリティカルシンキングの実践方法

ここでは、より具体的なクリティカルシンキングの実践方法を紹介します。

常に目的を意識して行う

クリティカルシンキングを行う上で、目的を意識して行うことはとても重要です。目的を見失ってしまうと、ただ考えることだけに時間を費やしかねません。「何のために思考を行うのか」を明確にすることで、思考が本筋からずれてしまったり、細かいところばかりに目を向けてしまったりすることの防止が可能です。

思考には癖があることを認識する

 誰しも人それぞれ思考の癖を持っています。思考の癖は経験や環境の中で身に付けたその人特有のもので、感情や行動に影響を与えます。クリティカルシンキングを実践するうえでは、自分の思考の癖を自覚しておくことが重要になります。自分の主観や偏見だけで考えていないか常に疑い、自分の思考を批判的に分析することで、正しい結論に近づきやすくなるでしょう。

ひたすら問い続ける

物事や思考に対して、ひたすら問い続けることもクリティカルシンキングの実践に良い方法です。「それはなぜ?」「本当に?」と問いを重ねることで、物事の本質に気付くヒントになります。
例えば、「自分には営業職が向いていない」という考えを持っている場合、「なぜ営業職が向いていないのか?」「本当に営業職が向いていないのか?」を問い続けることが大切です。見方を変えれば実はどのような職業も営業の側面があるかもしれませんし、初対面の人と話すのが苦手なだけで、打ち解けたあとは営業がうまくできるようになるかもしれません。
物事や考え方について、批判的な思考を持って問いを重ねることは、クリティカルシンキングを行う際の助けになってくれます。

クリティカルシンキングの具体例

ここでは、「小売店で売上を1,000万円上げる」ことを目的とした場合のクリティカルシンキングの具体例をご紹介します。
クリティカルシンキングでは、「どうすれば売上が上がるのか」という観点ではなく、「なぜ売上を上げたいのか?」「売上を上げる以外の方法はないのか?」といった別の角度から物事を分析していきます。
「なぜ売上を上げたいのか?」を分析してみると、最終的な利益率を上げるためだったり、新店舗を出店するためといった目的が判明します。売上を上げる目的が「最終的な利益を上げる」ことだった場合、原価を下げる・人件費を下げるなどコストコントロールを行えば目的が達成できるかもしれません。新規出店が目的なら、より家賃が安い物件を探す・良い物件情報を仕入れられるよう不動産屋との連携を密にするなど、別の目的達成手段が見つかるかもしれません。
このように、そもそもの「1,000万円売上を上げる」という前提条件を批判的に見て、多角的な視点を持つことがクリティカルシンキングです。

まとめ

この記事では、クリティカルシンキングの特徴や会得するメリット、実践方法などを解説しました。クリティカルシンキングの日本語訳である「批判的思考」は、多角的に物事を見たり考えることにより、正しく納得のいく結論を導き出す思考法です。
ビジネスの場面だけでなく、日常生活などさまざま場面で活用できるクリティカルシンキングは、繰り返しのトレーニングや実践で身に付けることができます。 記事を参考に、ぜひクリティカルシンキングを身に付けてください。

監修者・植草 陽光

植草 陽光

日本製鉄株式会社⇒株式会社リクルート⇒株式会社Izul

1社目では製鉄所での生産管理、本社でのグローバル購買職などバックオフィス系の業務に従事。29歳で営業未経験でリクルートに入社し、地場大手会社の深耕営業を実施し入社半年で表彰を獲得。自身が転職を通じて人生を変えた経験から、Izulのビジョンに共感し、現在は同社のキャリアアドバイザー職として従事。

著者プロフィール

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株式会社Izulの広報チームが運用。20代〜30代の若手ハイクラス層から、圧倒的支持を獲得中。働き方や転職のコツなど、キャリアに役立つ情報を発信していきます。

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