目標達成に向けた行動・アイデアを洗い出すために、縦横に区切ったマス(9×9の81)を用いて行うフレームワークをマンダラチャートといいます。ビジネスにおける効果が期待できるため注目されています。マンダラチャートという言葉は知っていても、詳しいことはわからないという方も多いでしょう。今回はマンダラチャートについて、効果や作成方法、作成する際のポイントを紹介します。マンダラチャートのメリット・デメリットも解説しているので、ぜひ参考にしてください。
マンダラチャートとは
マンダラチャートは、目標達成に必要な行動やアイデアを明確にできるツールです。仏教に関連する用語の「曼荼羅」と「アート」を組み合わせてうまれた言葉です。メジャーリーガーの大谷選手も活用していることで、注目度が高まっています。ここでは、マンダラチャートの効果や活用事例について紹介します。
マンダラチャートの効果
マンダラチャートを活用することで、漠然とした考えが整理できます。考えを整理していく過程で、新たなアイデアや発想がうまれる可能性もあります。またマンダラチャートの活用で、自身の目標を頭の中で描くだけでなく、直接的に視覚化できます。そのため、目標達成までの過程が明確になるでしょう。
マンダラチャートは、達成すべきことをより明確にできるツールです。成長につながるフレームワークとしても、多くのビジネスパーソンに注目されています。
マンダラチャートの活用事例
マンダラチャートは主に、以下の場面で活用できます。
- 目標管理
- スケジュール管理
マンダラチャートは、企業・個人の目標を日常的に意識できるツールです。視覚化した目標を日々確認することで、より現実的な達成目標につながります。デイリー・ウィークリー・マンスリーのスケジュールを記入することで、実施すべき行動や作業を視覚化できる点も特徴です。スケジュール管理におけるマンダラチャートは、反省や振り返りにも活用できます。また、スケジュール管理の観点でマンダラチャートをToDoリストとして応用することもできます。
マンダラチャートはどうやって作る?
マンダラチャートは、以下の手順で作成します。
- 達成したい目標を決める
- 目標達成に必要な要素を8つ書き出す
- 8つの要素に対して行動目標を設定する
ここでは、マンダラチャートを作成する基本的な手順について解説します。
手順1:達成したい目標を決める
マンダラチャートは、用紙に縦・横で9マスずつ(合計81マス)マス目を記載するところから始まります。記載したマスの中央に、達成したい目標を記載してください。
記載する目標例は、以下の通りです。
- 〜のスキルを習得する
- ○○(商品名)の売上数を倍にする
- 年末までにECサイトでの販売を開始する
中央に記載する目標は、できるだけ具体的であることを意識しましょう。抽象的な目標では、残りの80マスに記載することが思い浮かばなくなります。
手順2:目標達成に必要な要素を8つ書き出す
手順1で設定した目標を達成するために必要な要素を、できるだけ明確にしたうえで8つ書き出してください。例えば「売上を2倍にする」という目標の場合、以下のように要素を書き出します。
- 対象の製品を2倍売る
- 2倍売るために仕入れ値を下げる
- 集客を2倍にする
ベースとなる「売上を2倍にする」を達成するために必要な要素を、できるだけわかりやすく正確に記載しましょう。
手順3:8つの要素に対して行動目標を設定する
手順2で設定した8つの要素を達成するための目標を設定します。この過程を踏むことで、目標の達成基準がより明確になるでしょう。目標の記載方法は、手順1・手順2と同様です。隣接している大きな目標に関連する細かい目標を記載するようイメージするとわかりやすいでしょう。
手順3では、手順2の達成に向けた期日や行動を記載してください。最終的に、手順3から手順2の順にたどっていくことで、手順1で立てた目標を達成するようなイメージです。
効果的なマンダラチャートを作るポイント
マンダチャートは作成方法だけでなく、より効果的にするためのポイントを押さえておくことが大切です。
合計81マスすべて埋めることが最低限のルール
マンダラチャートは、メインの目標とそれに関連する行動や期日を合計81マスで構成することが一般的です。できるだけすべて埋めることで、中央に記載した目標達成がより現実的になるでしょう。万が一81マス埋まらない場合は、日々の行動や思考をベースに書き加えてください。
要素は客観的な視点で決める
合計81マスに目標を入れなければいけないため、主観的な視点ですべて埋めることは難しいといえます。できるだけ客観的な視点をもって、具体的かつ現実的な目標・行動・期日を設定してください。
既存項目に捉われすぎない
最初に設定した目標を意識しすぎるあまり、本当に大切な目標に気付けなくなる場合があります。目標達成の過程を考えるうちに、より優先すべき目標が浮き彫りになる可能性も視野に入れておきましょう。
ほかのフレームワークと併用する
自身の強み・弱みを客観的に分析できる「SWOT分析」など、ほかのフレームワークと併用することでより効果的なマンダラチャートを作成できます。目標の到達可能性や測定可能性を測る「6R」も、マンダラチャートとの併用におすすめです。
マンダラチャートのメリット
ここでは、マンダラチャートの作成によるメリットを3つ紹介します。
漠然とした思考がまとまってクリアになる
企業や自身が抱える理想を、より具体化して「目標」に昇華できることがマンダラチャートのメリットです。
例えば「売上を伸ばしたい」だけでは、売上を伸ばすために何をすべきかがわかりません。結果、達成できないということもあるでしょう。しかし「売上を2倍にする」だといかがでしょうか。現在の売上を2倍に伸ばすための施策や行動、期日が明確になるでしょう。
また、現在直面している課題も客観的に理解できるため、目標達成に向けた道筋がより明らかになるでしょう。
目標達成に向けた行動を視覚化できる
頭の中だけに留まっていた考えを、より明確に視覚化できる点もマンダラチャートのメリットです。漠然とした考えだけでは、達成に向けた明確な施策は立案できません。マンダラチャートは、目標達成に付随する行動も視覚化できます。そのため、より効率的かつ現実的な目標達成を実現できるでしょう。
作成から実践まで一人でできる
マンダラチャートは、一人だけで目標設定から行動・期日まで作成できるメリットもあります。思いついたアイデアを気軽に記載できるので、出来事や感情などをよりリアルに反映できます。近年では、マンダラチャートを作成できるアプリも登場しています。隙間時間で作成できる点も、マンダラチャートのメリットといえるでしょう。
マンダラチャートのデメリット
ここでは、マンダラチャートを作成するうえで把握しておくべきデメリットを紹介します。
アイデアや知識が乏しいと完成に至らない
マンダラチャートに記載する目標や付随する行動・期日が曖昧だと、効果的なマンダラチャートは作成できません。また、そもそもマンダラチャートに対する事前知識がない場合も完成には至らないでしょう。マンダラチャートは、根本的な目的や効果を把握したうえで作成してください。
基礎思考・実践思考を理解しないと精度が落ちる
マンダラチャートは、最初に出した目標に関連する基礎思考を8マス設定します。基礎思考の設定後、具体的な行動などに関連する実践思考を64マス分(8マス×8マス)洗い出します。基礎思考と、基礎思考に関連する実践思考について理解しておかないと、目標達成につながるアイデアが明確になりません。また、目標に関連する施策や行動の粒度・レベルを揃えることも大切です。
まとめ
今回は、目標達成に向けた行動などを明確にしやすいマンダラチャートについて紹介しました。
合計81マスからなるマンダラチャートは、頭の中だけでは明確にならない目標達成の施策を立案できます。成長につながる新たな目標を浮かび上がらせる効果も期待できるため、多くの方に注目されているツールです。事前知識が必要にはなるものの、より明確かつ効率的に目標を立案・達成できます。今回紹介した内容を参考に、マンダラチャートの作成を検討してみてはいかがでしょうか。