ビジネスを円滑に進めるうえで、ネゴシエーションは必要不可欠なスキルです。しかし、ネゴシエーションについて正しく理解しきれていない方も多いのではないでしょうか。この記事では、ネゴシエーションの活用シーンやスキルを向上させるコツについて解説します。
ネゴシエーションとは
ネゴシエーションとは、当事者同士が納得できるゴールを目指して議論や意見調整することです。もともと「ネゴシエーション(negotiation)」という単語には、「交渉」「折衝」という意味があります。対象となる物事について話し合い、お互いの意見をしっかりと理解したうえで、双方にとってメリットがある折衷案を導き出すことを目的としています。
ネゴシエーションが使われるシーン
社内・社外を問わず、ビジネスにおいてネゴシエーションはさまざまなシーンで使用されています。特に、お互いの利害が衝突する場面で効果的です。例えば、社内では部署間の意見調整や部下から上司へのプレゼン提案、社外では仕入れ価格や納期など、取引条件に関する交渉などで活用されています。仕事を円滑に進めるためにも、ネゴシエーションのスキルを高めることが大切です。
ネゴシエーションに対するよくある誤解
ネゴシエーションは対立ではなく、相手と協力して納得できる着地点を見つけるための話し合いです。ネゴシエーションは、「相手に正論を突きつけて相手を説き伏せ、自分が有利になるような条件を飲ませる」というイメージを持たれがちです。
しかし、それはネゴシエーションの正しい考え方ではありません。ネゴシエーションを誤解したまま一方的に自分の意見を押し付けていては、相手と良好な関係を構築できないどころか、トラブルに発展するリスクも高くなります。
ネゴシエーションの目的は?
ネゴシエーションを成功させるためには、目的を持って相手との交渉に臨むことが重要です。ここでは、ネゴシエーションの目的を三つ紹介します。
円満な合意
ネゴシエーションの目的とされるゴールは、双方の円満な合意です。「円満な合意」とは自分の意見を一方的に押し通すことでも、相手の意見を全面的に認めることでもありません。ネゴシエーションは、双方の主張やどうしても譲れない部分を洗い出したうえで、代替案や新たなアイディアを提案しあうことが大切です。最終的には、お互いが納得できるような合意を目指します。
Win-Winの達成
ネゴシエーションは「Win-Win」の達成を目標としています。Win-Winの関係とは、「お互いが同時に利益を得られる状態」のことです。どちらか一方の利益だけでなく、お互いの利益を尊重することで、双方にとってメリットのある着地点にたどりつけます。Win-Winを達成することで、良好な関係を築ける点も魅力です。
信頼関係の構築
ネゴシエーションの重要な目的のひとつは、相手との信頼関係を構築することです。相手からの信頼を深めるには、自分にとってのメリットだけを考えていてはいけません。ネゴシエーションを通じて、双方に利益がある状態を目指すことが必要不可欠です。良好なビジネスパートナーになることで、その後のビジネスにメリットのある循環が生まれやすくなります。
ネゴシエーションに必要なスキル
ここでは、ネゴシエーションを成功させるために必要なスキルを解説します。ネゴシエーションの能力を高めたい方は、以下の項目が身についているかを確認してみてください。
相手を観察するスキル
ネゴシエーションでは、相手の要求や譲れないポイントを把握することが重要です。そのためには、相手を観察するスキルが必要です。直接発せられた言葉だけでなく、表情やボディランゲージなどに注目することで、相手の真意を見抜けることがあります。相手を観察して本当の要求や不満を見つけ出すことができれば、双方にとってより魅力的な施策を提案できるでしょう。
自己を俯瞰して客観視するスキル
ネゴシエーションを成功させるためには、相手だけでなく、自分自身を俯瞰(ふかん)して客観的に分析することも求められます。自分を客観視することで、相手のペースや感情に流されることなく、冷静な判断ができるでしょう。また、話し合いの中で自分の立ち位置を見極めることができれば、不利な条件を飲まされたり、交渉が決裂したりするリスクも軽減できます。
妥協点へと誘導するスキル
ネゴシエーションでは、ただお互いの意見を話し合っているだけでは成功とはいえません。交渉をまとめるためには、双方にとって最良の妥協点を探る必要があります。双方の利害を把握したうえで、その場の空気や感情に流されずに適切な答えを導き出すスキルを身につけることが重要です。
ネゴシエーションを成功させるポイント
ネゴシエーションを成功させるためには、いくつかのポイントを意識することが大切です。ここでは、ネゴシエーションの成功につながるポイントを紹介します。
妥協できる最低ラインを明確化する
ネゴシエーションにおける最大の失敗は、自社にとって不利な条件で合意させられることです。あらかじめ妥協できる最低ラインを明確にしておくことで、自社が被る不利益を最小限に抑えることができます。一度決まった条件を覆すことは容易ではないため、交渉の前に社内で綿密に打ち合わせをしましょう。
自分の要求を的確に伝える
ネゴシエーションを成功させるためには、自分の要求を相手に的確に伝えることが重要です。事前に伝えたいポイントを整理しておくことで、話し合いをスムーズに進めることができます。また、相手の理解度を確認するために、途中で質問を挟むのもおすすめです。双方の食い違いを防ぎ、お互いが納得の行く妥協点に到達しやすくなります。
相手の話にしっかりと耳を傾ける
自分の主張を伝えるだけでなく、相手の話にしっかりと耳を傾けることも大切です。相手が何を望んでいるのか、妥協できない点を把握できれば、相手にとっても魅力的な条件を提示しやすくなります。また、傾聴の姿勢を見せることで、相手が心を開きやすくなる点も重要なポイントです。今後、良好な関係性を築くうえでも役立ちます。
双方の妥協点を見つける
ネゴシエーションのゴールは、双方にとって納得できる妥協点を見つけることです。話し合いを重ね、お互いの主張や譲れない点を洗い出した後は、双方の主張を取り入れた新しいアイディアや折衷案を提案していきます。最初に大筋の合意内容を設定し、それに基づいて細かな部分を補足していく作業が必要です。
まとめ
この記事では、ネゴシエーションについて解説しました。ネゴシエーションのスキルは、部署間の意見調整や取引先との条件交渉など、ビジネスにおいてさまざまな場面で活躍します。一方的に自分の利益を押し付けるだけでなく、相手の意見にもしっかり耳を傾けることで、より高い成果にもつながるでしょう。今回紹介した内容を参考に、ぜひネゴシエーションを実践してみてください。