電話対応の品質を高め、均一化するために役立つものがマニュアルです。新人教育の際にかかる時間や手間も少なくできるメリットがあります。今回は、電話対応マニュアルにはどんな内容を入れて作成すべきかを紹介します。電話対応における心構えも合わせて紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
電話対応マニュアルの作成手順
電話対応マニュアルの作成手順として、まず基本対応の方法について記載する必要があります。ここでは、以下3つに作成手順を分けて解説します。
- 基本ルール設定
- トークスクリプトの作成
- イレギュラー対応のルール設定
1.基本ルール設定
マニュアル作成の際はまず、電話対応の基本的なルール・マナーを決めておくといいでしょう。電話対応では正しい言葉遣いなど、適切なマナーを守って対応することで、相手に好印象を持ってもらえます。しかし、無意識にマナー違反の対応をしてしまうケースも多いため、基本的なマナーをルールとして盛り込んで作成しておきましょう。
2.トークスクリプトの作成
トークスクリプトとは、電話をかける・受ける際にどのような流れで会話するか表したものです。業種によって会話の流れや内容が異なるため、業務内容や相手先への目的を把握しておきましょう。トークスクリプトのベースとなる、話し方の流れは以下を参考にしてください。
- 挨拶・自己紹介
- フロントトーク
- 本題
- クロージング
実際の業務に応じたフローチャートを作り、図式で教育マニュアルに組み入れてもいいでしょう。
3.イレギュラー対応のルール設定
イレギュラー対応についてマニュアルに組み込むのであれば、FAQの作成やクレームが起こった場合などの具体的な事例を加えることがおすすめです。特にクレーム対応においては、適切な対応ができないと相手に不信感を与えてしまい、会社や個人のマイナスイメージにつながります。そのため、適切に対応できるようマニュアルに組み込むことをおすすめします。
【場面別】電話対応の例文
ここでは、電話対応においての例文を、それぞれ意識するべきポイントとあわせて3つ紹介します。
- 電話を受ける
- 電話をかける
- クレーム対応
電話を受ける
- お電話ありがとうございます。○○会社の○○でございます。
- お世話になっております。○○会社の○○でございます。
- 大変お待たせいたしました。○○会社の○○でございます。
電話はお待たせしないことが最優先とされています。電話が鳴ったらメモを手元に置き、3コール以内ででるようにしましょう。
電話をかける
- お世話になっております。○○会社の○○でございます。
- 朝早くに申し訳ございません。○○会社の○○でございます。
- 夜分に恐れ入ります。○○会社の○○でございます。
電話がつながった際、スムーズに用件を伝えられるように整理しておきましょう。また、相手先へ電話をかける時間帯に注意が必要です。始業時や終業間際の10分は朝礼や引継ぎがあり、相手先が忙しくなるため、電話はかけないほうがいいでしょう。
クレーム対応
- この度はご迷惑をおかけしてしまい、申し訳ございません。
- ご不安な思いをさせてしまい、誠に申し訳ございません。
- 本件のためにお時間を取らせてしまい、誠に申し訳ございません。
お互いの顔が見えない電話でのクレーム対応は、想定以上に大きな問題へと発展する恐れがあります。円滑にトラブルを解決するために、できる限り穏やかで心のこもった対応を心がけましょう。状況を聞く際はクッショントークを使って柔らかな対応を心がけ、同調しながら話を聞き、クレームの内容を理解していきましょう。
クレームの内容次第では、上司や担当者に電話を代わってもらったほうがいい場合もあります。ただし電話担当者を3回以上変えることや、電話をつないだまま長時間待たせてしまうことは二次クレームにつながるので注意してください。
電話対応における心構え
電話対応はお互いに顔が見えないため、声や言葉遣いの丁寧さが大切です。話し方で印象が決まるので、敬称や敬語は正しく使い、言葉遣いに注意しましょう。電話対応を始めるにあたって、電話機の保留や転送の仕方など基本操作を事前に把握しておくことも大切です。
企業の代表として電話を受けていると意識する
電話の相手にとってこちら側が新人かベテランかは関係ありません。相手にとって電話を受けた社員は会社の代表者です。最初に会社名と名前を名乗るところから、明るくハキハキと話すことで相手からの印象が良くなります。
「もしもし」とは言わない
「もしもし」は「申す申す」の略です。略語はビジネスシーンではマナー違反とされているため、ビジネス対応で使うことは避けましょう。会話の始まりや相手の声が聞こえなくなったときに使ってしまいがちですが、マナー違反であると認識しておく必要があります。「もしもし」の代わりに使える「お電話ありがとうございます」などのフレーズを使いましょう。
こちらの情報は正確に伝える
まず、会社名と名前を名乗りましょう。会社によってルールがありますが、基本的には「お電話ありがとうございます」や「〇〇でございます」と情報を伝えるのがいいでしょう。電話の際、名乗りで第一印象が決まることが多いため、声のトーンも合わせて意識してください。
3コール以内にとる
相手をお待たせしないために、3コール以内で出ることがマナーです。万が一、3コール以上かかった場合は「大変お待たせいたしました」と、謝罪の旨をお伝えして本題に入りましょう。
相手の言葉を復唱する
復唱しながら話すことで、聞き間違いの防止につながります。また相手は、話した内容がしっかり伝わっていると安心感を覚えるため、できるだけ復唱を心がけましょう。
取り継ぐ際は保留にする
取り継ぐ際は相手の会社名、名前をしっかりメモして、電話を保留にしたあとで取り次いでください。また、担当者が近くにいる場合であっても、一度保留にすることがマナーです。
聞き取れなかったまま話を進めない
電波状態などによっては、音声や会話の一部が聞き取れないことがあります。そのような時は「申し訳ございませんが、お電話が少々遠いようでして」と聞こえない旨を伝えたうえで、聞きなおしましょう。聞き取れないまま、内容を把握できていない状態のほうが失礼になるため注意してください。
相手が切るまで電話は切らない
相手が電話を切ったあとで受話器を置くことが一般的です。こちらから電話を切ってしまうと、マナー違反と認識されてしまうため注意しましょう。しかし、相手がなかなか電話を切らない場合もあります。その際は「お電話ありがとうございました、失礼致します」と伝えれば、こちらから電話を切ってもマナー違反にはなりません。
受話器は静かに置く
電話を終えたら、ひと呼吸おいて、静かに受話器を置きましょう。固定電話の場合は、まず電話のフックを指で押し、電話をきった状態にしてから受話器を置くといいでしょう。「ガチャッ」と大きい音が相手に伝わらないように配慮してください。
正しい敬語を使う
社会人の常識である敬語を正しく使えていないと相手に与える印象が悪くなります。電話対応の基本として、尊敬語や謙譲語を正しく使いましょう。
電話対応でやってはいけないNG行動
ここでは、電話対応におけるNG行動をいくつか紹介します。
- 否定語の使用
- 「はいはい」という
- 復唱しないまま切る
- 曖昧な回答をする
- 語尾を伸ばす
- 電話担当をたらい回しする
否定語の使用
「しかし」など否定語を使うと、相手に自分のことを否定されていると思わせてしまいます。できるだけ、会話で否定語を使うことは避けましょう。会話の中で反論する必要がある際は相手に配慮し、クッショントークを使い、柔らかく表現するのがマナーです。
「はいはい」と言う
電話の受け答えをするときに、「はいはい」と二度返事を使うのはマナー違反です。軽く聞き流していると思われてしまうため、返事をする際は、「はい」と1回だけ言うことが適切です。
復唱しないまま切る
相手の言葉を復唱することで、情報を整理しましょう。会社名や担当者名、伝言の内容など、別の人間に取り次ぐことを意識しておくことが大切です。復唱しておくことで、間違った情報を伝えることがなくなりスムーズに情報共有できます。
曖昧な回答をする
電話対応において、自身が把握していない用件を聞かれることがあります。「たぶん」など曖昧な表現をしてしまうと、相手は用件が伝わっているか不安になるので避けましょう。資料を確認したり、上司に相談したりして、正確な情報を伝えるようにしてください。
語尾を伸ばす
語尾伸ばしは、自身で気づきにくい癖です。正しい電話対応ができていても、語尾伸ばしをしてしまうと、相手からだらしない印象を受け、不快にさせてしまいます。語尾はすっきりと言い切るように普段から心がけましょう。
電話担当をたらい回しにする
上司や担当者への取次ぎは迅速に行わなくてはなりません。相手を待たせてしまうことで、会社の印象を悪くし、信頼を失う可能性があるので気をつけて対応しましょう。
まとめ
今回は電話対応のマニュアル作成において意識したいポイントを紹介しました。電話対応のマニュアルを作成するうえでは、電話対応における基本を押さえておくことが大切です。今回紹介した内容を自分の知識として落とし込み、そのうえでマニュアル化しましょう。