相手からの提案や見積り、採用などを見送る場合は、お断りメールを送信します。しかし角が立っている、配慮のないお断りメールは両者の関係を悪化させ、今後のビジネスチャンスを狭めてしまう可能性もあるでしょう。
今回は、相手との良好な関係を築く上で重要なお断りメールについて、基本構成や実際に送る際の注意点を解説します。また本記事後半では、4つのビジネスシーン別のメール例文も紹介しているので、状況に当てはまる場合はぜひ活用してください。
お断りメールの構成とは
お断りメールの基本構成は以下の通りです。以下の構成を意識すれば、配慮のあるお断りメールを簡単に作成できます。
- 件名
- 宛名(企業名・部署名・氏名など)
- 挨拶(簡単な挨拶と企業名・部署名・氏名など)
- 提案や誘いに対するお礼の言葉
- お断りの旨
- 理由
- 代替案の提示や気遣いの言葉
- 結び
- 署名(企業名・部署名・氏名・連絡先など)
基本構成を基に作成したお断りメールは、次章で紹介しています。
ビジネスシーン別のお断りメール例<
ここでは4つのビジネスシーン別に、お断りメールの例文を紹介します。状況に当てはまる場合は例文を参考に、お断りメールを作成してください。
先輩からの誘いを断る際のメール文
会社に属していると、先輩から食事や社内イベントに誘われることもあります。しかし参加したいと思っても、事情があり参加できない場合もあるでしょう。
社内のメンバーであるため、社外の人ほど丁寧に断る必要はありません。しかし、お誘いに対する感謝と参加できないことへの意思表示、気遣いの言葉は盛り込む必要があります。
件名:忘年会への参加可否について(自分の名前) 本文:〇〇課 〇〇部長 お疲れ様です。〇〇課の△△(自分の名前)です。 先日は忘年会へのお誘いありがとうございました。 大変申し訳ございませんが、年末は実家に帰省する予定があるため参加することができません。 他のイベントの際には、ぜひ参加させていただきたいと考えております。 繰り返しにはなりますが、この度はお誘いいただきありがとうございました。取り急ぎメールにて失礼いたします。 署名(部署名、氏名など) |
提案や見積もりをもらったサービスを断る際のメール文
ビジネスでは提案や見積りをもらったとしても、取引につながらないケースも少なくありません。たとえ契約につながらなかったとしても、相手先の企業は時間と手間をかけてくれているため、雑に対応せず提案いただいたことへの感謝と、お詫びの文を盛り込みましょう。
件名:先日のご提案に関しまして(会社名+自分の名前) 本文:株式会社〇〇 〇〇課 〇〇様 お世話になっております。株式会社△△ △△課 △△(自分の名前)です。 先日は貴社の□□システムの導入に関しまして、丁寧なご提案をいただきありがとうございました。 社内にて検討を重ねました結果、大変心苦しくはありますが、この度は導入を見送らせていただければと思います。 貴社の提案、システム共に大変魅力的であったものの、弊社の予算とマッチせず、このような判断となりました。 また費用の折り合いがつけば、再度ご連絡いたしますので、その際はどうぞよろしくお願いいたします。 繰り返しにはなりますが、この度は丁寧なご提案をいただきありがとうございました。 末筆ではございますが、貴社の益々のご発展をお祈り申し上げます。 署名(企業名、部署名、氏名、連絡先など) |
採用を断る際のメール文
採用担当者であれば採用を見送る場合、お断りメールを送る必要があります。企業によっては候補者が不合格の場合、連絡しない会社もあります。しかし、数ある企業の中から自社に興味を持ってくれた人材です。気遣いの言葉を盛り込みながら、採用見送りである旨をはっきりと伝えましょう。
件名:選考結果のご連絡(株式会社〇〇) 本文:〇〇様 この度は株式会社〇〇の選考にご参加いただきありがとうございました。 厳正なる審査の結果、誠に残念ではありますが今回は貴意に添いかねる結果となりました。 大変恐縮ではありますが、何卒ご了承くださいますようお願い申し上げます。 なお選考結果に関する問い合わせ等に関しましては、お答えいたしかねますことご了承いただけますと幸いです。 〇〇様のより一層のご活躍を心よりお祈り申し上げます。 署名(企業名など) |
お断りメールに返信する際のメール文
相手からお断りメールを受け取った場合は、返信する形で感謝と次につながる文章を盛り込むと、好印象につながります。
件名:〇〇の提案への回答に関しまして (会社名+自分の名前) 本文:株式会社〇〇 〇〇課 〇〇様 お世話になっております。 株式会社△△ △△課 △△(自分の名前)です。 この度は弊社の□□システムの提案に関しまして、ご検討いただきありがとうございました。 今回はお見送りとのこと、承知いたしました。 お忙しい中ご対応いただき、重ねてお礼を申し上げます。 また機会がございましたら、ご連絡いただけますと幸いです。 末筆ではございますが、貴社の益々のご発展を心よりお祈り申し上げます。 署名(企業名、部署名、氏名、連絡先など) |
お断りメールを送る際の注意点
お断りメールを送る際は、断りであることを明記する他、柔らかい表現を使用するなど、いくつか意識すべきポイントがあります。
ここでは、お断りメールを送る際の4つの注意点を紹介します。
「断り」であることを明記する
相手からの提案を断ることに、心苦しさを感じる方は多いでしょう。しかし断りであることを明記せずに、曖昧にしてしまうと相手に理解の手間をとらせてしまいます。
お断りメールでは断りであることをはっきりと伝え、意図がわかりやすい文章作成を心がけましょう。具体的に「今回は見送らせていただきます」といったフレーズを使うと、お断りであることが明確に伝わります。
柔らかい表現を使用する
断りの旨をそのまま伝えてしまうと、冷淡な印象を与えてしまいます。断りの旨を伝える前に以下のフレーズを差し込むと、相手の要望に添えなかったことに対して申し訳なさを感じていることをアピールできます。
- 大変恐縮ですが
- 大変心苦しくはありますが
- ご期待に添えず申し訳ございませんが
- あいにくですが
- 誠に申し訳ごぜいませんが
- 不本意ではございますが
次につながる言葉を添える
今後も相手と良好な取引を継続したい場合は、次につながる言葉を添えることも重要です。具体的に以下のフレーズを使うと、好印象につながるでしょう。
- またの機会がございましたら、ぜひよろしくお願いいたします。
- 再度機会がございましたら、お声がけいただけますと幸いです。
- 今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
相手を気遣う言葉を忘れない
お断りの旨を伝えると同時に、相手を気遣う言葉を添えることも大切です。具体的には、以下のフレーズの活用をおすすめします。
- 今回はご丁寧に対応いただきありがとうございました。
- 末筆ではございますが、貴社の益々のご発展をお祈り申し上げます。
- お忙しいところ、お時間をいただきありがとうございました。
まとめ
お断りメールには基本構成があります。その構成に基づくことで、スマートで丁寧なお断りメールを作成できるでしょう。
また実際にお断りメールを作成する際は「大変申し訳ございませんが」といった柔らかいクッション言葉や、相手を気遣う言葉を添えることが大切です。
相手からの提案や見積もりを断ることには心苦しさを感じますが、あやふやにすると、かえって相手の手間をとらせてしまいます。そのため「今回は見送らせていただきます」といったフレーズを使い、お断りであることを明確にしましょう。