報連相はビジネスシーンでは欠かせない言葉で、使われていない企業や組織はないと言っても過言ではありません。報連相を行う際は、話の要点をまとめたり、スケジューリングで可視化したりと、効率的に実行することが大切です。この記事では、報連相を実践するコツや意識するポイント、役立つフレーズなどを紹介します。
報連相とは
報連相とは、「報告」「連絡」「相談」の頭文字を取った言葉です。それぞれ使う場面や用途は異なりますが、すべて相手に意思や考えを伝える手段です。報連相という言葉は、1982年に山種証券社長の山崎富治氏が広めたことがきっかけで、報告・連絡・相談ができる風通しの良い職場環境を目指すために生まれた概念です。
現代では意思疎通を円滑にさせて、仕事のパフォーマンスを向上させるために報連相を行うケースが多くなっています。以下で報告・連絡・相談の意味をおさらいしてみましょう。
報告
報告とは、部下が上司に対して、指示・命令された業務や作業の経過、進捗状況、結果などを知らせることを指します。経緯や結果を踏まえた話の要点をまとめ、現在どのような状態にあるかを正確に伝えることが報告です。
連絡
連絡とは、各種通信手段などを用いて、関係者に通知するという意味で使われる言葉です。その時々に発生した事実や予定などを関係各所に知らせます。連絡は事実を周知することが目的といえます。
相談
相談は問題解決のために話し合ったり、意見を出し合ったりすることで、ビジネス・日常生活問わず多くの場面で使われています。上司・同僚・友達など、相手との立場を問わずさまざまな場面で使われています。
ビジネスで報連相が重要視される理由
ビジネスの現場では報連相が非常に重要で、会社やチームが業務を遂行するときに欠かせない存在となっています。ビジネスで報連相が重要視されている理由をそれぞれ見ていきましょう。
スムーズな意思疎通を図るため
業務を円滑に進めるためには、スムーズな意思疎通を図ることが重要です。意思疎通は別の言い方では「コミュニケーション」と呼ばれ、お互いの理解や認識を共有することを指します。ビジネスコミュニケーションの基礎となる報連相は、社内の情報共有に欠かせない要素のひとつです。
進捗状況を正確に確認するため
ビジネスシーンにおいて締切がないものはなく、ほぼすべてのタスクに期限があります。「物事の進み具合は順調なのか」「計画に対して遅れてないか」など、常に進捗状況を確認し、さまざまな意思決定をしなければなりません。特にチーム単位で仕事をしている場合は、進捗状況を確認・共有するために報連相を徹底する必要があります。
トラブルを事前に回避するため
報連相がしっかりできていれば、トラブルを事前に回避することが可能です。ビジネスシーンで起こり得るトラブルにはさまざまな種類がありますが、トラブルに発展しそうな事例は報連相で事前に共有できます。クレームや納期遅れの事例を参考にすれば、報連相を徹底して対策を練ることでトラブルを避けられるようになります。
報連相で意識するポイント3選
報連相はビジネスシーンにおいてとても大切ですが、伝え方を誤ると上手くいかず、かえって混乱を招いてしまうことがあります。ここでは、報連相を行う際に意識すべき3つのポイントを紹介します。報連相を行う際には意識してみてください。
結論ファーストで話す
意思疎通を的確に行いたい場合は、結論から話すことを意識しましょう。結論の見えない話は聞き手がストレスを感じてしまうほか、話が冗長になり時間が余計にかかってしまいます。話す相手によっては人物評価を下げられてしまう恐れもあるので、事前に内容を組み立ててから話す癖をつけておくのが重要です。
話の要点をまとめておく
結論ファーストの一環でもありますが、話の要点をあらかじめまとめておきましょう。話の要点をまとめるには、事前に言いたいこと・伝えたいことを明確にしておく必要があります。要点をまとめる要約は、本でいうところの目次や見出しにあたる部分です。要約があると話の方向性がぶれずに、わかりやすく内容を伝えることができるメリットがあります。
悪い情報ほど早めに共有する
予期せぬトラブルや進捗状況が遅れているなど、ビジネスにトラブルは付き物です。悪い情報は報告しにくいものですが、悪い情報ほど早く共有して被害を最小限に留める努力が必要です。悪い情報を放置しても事態が好転することはなく、むしろ状況は悪化していく一方です。報連相を行う際は、悪い情報から共有することを覚えておきましょう。
報連相を実践するときに必要な意識
報連相の実践に必要な意識は、目的を理解すること、スケジューリング、ルールの構築と共有などが挙げられます。それぞれのポイントを見ていきましょう。
報連相の目的を理解する
報連相を行う前に、何のために実践するのか目的意識を明確にしておきましょう。報連相を行う目的は、ビジネスの流れをスムーズにしたり、課題発見から解決までのスピードを早めたりすることです。
報連相を意識して実践すると、誰が・いつ・どこで・どんな仕事をしているのかが分かり、業務が効率化します。また、それぞれのフェーズで起きていることが可視化されるため、問題発生時の対応を早めに行えるメリットもあります。
スケジュールに組み込む
「報連相を実践してください」といっても、部下や後輩になかなか浸透しないと悩んでいる方も多いのではないでしょうか。そんなときは、報連相を行うタイミングをスケジュール化することがおすすめです。報連相をいつ行うかを決めれば、報告をする側の心理的負担が減るとともに、報連相が滞ってしまうこともありません。
デメリットを挙げるなら、スケジュール化することによって「予定日に報告をすればいい」と、都度起こるトラブルを後回しにしてしまう可能性があることです。報連相の後回しを防ぐためには、日程を空けすぎず細かくスケジューリングを行うようにしましょう。
ルールの構築と共有
スケジュールに報連相を組み込む方法だと、自分もしくは上司が予定に参加できないなど、仕組み化しにくい側面もあります。こういったイレギュラーが起きたときは対応をどうするのかなど、報連相の細かいルールを事前に決めておきましょう。
ここでのポイントも「可視化しておく」ことが大切です。迷っている時間や考える時間が多くなるほど、報連相は後回しにされがちです。「このような状況ではこう対応する」など、具体的な行動に落とし込んだルールを設定・共有すると良いでしょう。
報連相を使うときに役立つフレーズ
ここからは、報連相を使うときに役立つフレーズを紹介します。使いやすいパターンを2つ紹介するので、実践するときに役立ててみてください。
〇〇の件で
【報告】
先週の〇〇の件ですが、先方に進捗を確認したところ問題なく進んでおります。
【連絡】
本日の全体会議はA会議室で行います。
【相談】
お忙しいなか申し訳ありません。来週の見積りの件、午後に相談させて頂きたいです。
お時間のあるときに
【報告】
本日の運営状況から〇〇の箇所に問題があったため、明日以降の運営を〇〇のように変更します。お時間のあるときに詳細を報告したいのですが、いかがでしょうか?
【連絡】
昨日〇〇社からの見積りが届いております。部長のデスクに置いてありますので、お時間のあるときにご確認お願いいたします。
【相談】
お時間のあるときに来週からの運営体制について相談をさせて頂きたいです。
まとめ
この記事では、報連相を実践するコツや意識するポイント、役立つフレーズを紹介しました。ビジネスシーンで仕事をするうえで、報連相は欠かせないスキルです。相手に意図や意思を伝えるためには、細かいスケジューリングや要点をまとめるなどの準備をしておく必要があります。報連相を行う目的をしっかりと理解し、適切に活用できるように努めてみてください。