リスクマネジメントとは?リスク回避の手段や実行の注意点を解説

2022年12月16日

2024年4月11日

著者

Izul広報チーム

Izul広報チーム

リスクマネジメントは、業務や市場の変化におけるリスクを管理する手法です。リスクマネジメントの概要は把握していても、自社で実行するまでの知識として昇華できていない企業も多いでしょう。今回はリスクマネジメントについて、基本情報や目的、必要とされる背景を詳しく紹介します。リスクマネジメントの種類やプロセス、関連する施策も紹介しているのでぜひ最後までご覧ください。

リスクマネジメントとは

リスクマネジメントとは、損失につながるリスクを管理する手法のことです。アメリカ発祥の概念ではあるものの、日本でも注目され多くのビジネスパーソンが取り入れています。リスクマネジメントは、一般的には企業が「生き残り戦略」として実行します。ただし、個人としてのリスクを回避できる概念でもあるため、ビジネスパーソンが覚えておくべき手法といえるでしょう。

リスクマネジメントの目的

リスクマネジメントを実行する目的は、企業の「発展」と「存続」です。
一つ目の「発展」は、新規事業をはじめとした企業における「新たな挑戦」に関連します。新しいことを始める際はリスクがつきものです。しかし、リスクを恐れていては発展にはつながらず、ある程度のリスクを許容する必要があるでしょう。企業としての発展を妨げないようにリスクマネジメントを実行します。
二つ目の「存続」は、企業における信頼度に関連します。情報漏洩や不祥事で信頼が落ちてしまうと、取り戻すことは困難です。そのため、信頼の失墜につながらないためのリスクマネジメントが重要だといえます。
またリスクマネジメントは、発展と存続につながるリスク回避を通じ、プラスアルファの利益を生み出す目的で実行されることもあります。

リスクマネジメントが必要とされる理由

リスクマネジメントを適切に実行することで、企業の損失を最小限に抑えることができます。上記で説明した「発展」と「存続」がより現実的になることが、リスクマネジメントの重要性であり、注目される理由です。また、業務におけるリスクマネジメントを意識することで、個人のリスク回避に対する意識が高まります。ビジネスパーソンとしてのリスク管理能力が向上すれば、評価や成果につながるでしょう。

リスクヘッジ・危機管理との違い

リスクマネジメントと混在しやすい概念に、リスクヘッジと危機管理があります。それぞれ、リスクマネジメントとの違いを挙げているので参考にしてください。

リスクヘッジ
 リスクをあらかじめ予想して回避する<リスクの発生前>
危機管理
 すでに発生した損失を抑える<リスクの発生前>

リスクを管理する手法であるリスクマネジメントに対し、リスクヘッジや危機管理はリスクの発生前・発生後に特化した手法です。

企業活動に潜むリスクの種類

ここでは、企業活動における主なリスクとその内容について解説します。適切なリスクマネジメントを実行するため、参考にしてください。

ビジネスチャンスに関連するリスク

意思決定や経営戦略の立案など、今後のビジネスチャンスにつながるリスクがあることを把握しておきましょう。リスクマネジメントを実行する目的のひとつである「発展」にかかわる重要なリスクです。

収益活動によって起こり得るリスク

既存事業における収益活動に、悪影響を与えるリスクが該当します。具体的には、情報漏洩や管理データの欠損・紛失などが挙げられます。企業における信頼度の失墜にもつながるため、リスクマネジメントの重要性が高いリスクといえるでしょう。

人事・労務リスク

人事リスクには、法定手続きの申請漏れや法改正への対応遅延が該当します。労務リスクとして挙げられるのは、残業代や給与の未払い、各種ハラスメントに関連するリスクなどです。人事・労務に関するリスクを適切に管理しないと、従業員の離職や訴訟につながる可能性もあります。

偶発的な事象によるリスク

災害など、予期せぬ事象で発生するリスクが該当します。地震や台風などの自然災害や、停電や火災などにより業務の進行が遮られないよう、万が一の事態に備えておく必要があるでしょう。また、サイバーテロによる自社の意思に関係のない情報漏洩なども該当します。

リスクマネジメントを実行する基本プロセス

ここでは、リスクマネジメントを適切に実行するためのプロセスを紹介します。

1:リスク発見

企業活動に潜むリスクを、チェックリストやアンケートを用いて洗い出すプロセスです。自社の強みや弱みを分析したり、フローチャートを導入したりする方法も挙げられます。

2:リスク分析

発見したリスクが自社にどのような影響を与えるのか、分析するプロセスです。自社・他社の事例を参考に、リスクが発生する確率も調査します。

3:リスク評価

考えられるリスクを挙げたら、リスクマップを作成してリスクを可視化します。リスクマップとは、洗い出したリスクを発生頻度や事業への影響度ごとに分類し、優先順位をつけた図のことです。リスクを把握しやすくなるだけでなく、対応の手順も明確になります。

4:リスク対策

リスク評価までのプロセスを実行したら、「回避・軽減・受容・移転」の観点で施策を考案します。自社に適した施策を考案することで、効果的なリスクマネジメントを実行できます。

リスク対策の主な手段

ここでは、リスク対策を実行するうえで重要な手段、「回避・軽減・受容・移転」について解説します。

リスク回避

発生が予想されるリスクにつながる行動を選ばず、損失を回避する方法です。「自社にメリットのない企業とは取引しない」「費用感の合わない事業に参入しない」といったことが挙げられます。

リスク軽減

リスクが発生した場合を想定し、損失が拡大することを避けるための手段です。情報漏洩対策や、災害リスクへの備えなどが該当します。

リスク受容

リスクが発生する可能性を想定し、事前に行動する手法です。「新規事業の赤字を予想して既存事業に力を入れる」「既存顧客の離脱を予想して新規顧客を獲得する」といった行動が挙げられます。

リスク移転

第三者を利用し、リスクを別の組織体と共有することにより、影響を分散させる手段のことです。情報漏洩を想定してクラウドサービスを利用したり、災害リスクを回避するために保険に加入したりする方法が該当します。

効果的なリスクマネジメントを行うための施策

ここでは、リスクマネジメントをより効果的に実行するための施策を紹介します。

残留リスクの分析

残留リスクとは、認知はしているものの、まだ具体的な対策を講じていないリスクを指します。リスクマネジメントを実行したうえで、残留リスクが自社の想定内であるか確認することが大切です。残留リスクを放置すると思わぬ損失につながる可能性があるため、ベースとなるリスクマネジメントと並行しながら分析を実行しましょう。

フレームワークの設定

リスクマネジメントの実行における、適切な体制を整えることが該当します。ただフレームワークを設定するだけでなく、市場の変化に対応できるよう定期的に見直すことも大切です。

モニタリング

リスクマネジメントを実行し、実際の結果がどうだったかを客観的に見直します。そのうえで、今後の改善点を明確にすることがモニタリングの目的です。

PDCAサイクルの活用

リスクマネジメントにおける施策は、繰り返し実行しながら整備していくことが大切です。PDCAサイクルを回しながら、より強大なリスクに対応できるような体制を整えましょう。

リスクマネジメントを意識しないとどうなる?

リスクマネジメントは企業だけでなく、個人として意識することも大切です。
例えば、何気ない会話の中で企業における重要な情報をうっかり話してしまったら、どうでしょうか。その内容をSNSで拡散され、情報漏洩につながる可能性があります。個人の軽率な行動が損失の原因になり、結果として企業全体のリスクにつながることがあります。リスクマネジメントを、自分や他者に対して高い基準で意識しましょう。

まとめ

リスクマネジメントは、企業における損失を管理することで、自社の発展や存続につなげる手法です。企業全体で実行するのはもちろん、個人で意識することも大切です。リスクマネジメントを実行しないと、競争の激しい市場で生き残れない可能性があります。今回紹介した内容を参考に、リスクマネジメントに対する高い意識を心がけましょう。

監修者・西本 威昭

西本 威昭

・国内大手SIerに新卒入社
 SEやPMとして多くのプロジェクトを経験

・KPMGコンサルティング株式会社に転職
 シニアコンサルタントとしてジョイン
 製造業を中心に複数のSCM案件に参画

・アビームコンサルティング株式会社に転職
 マネージャーとしてジョイン
 製造業を中心にSAP関連プロジェクトに参画

・株式会社Izulに転職
 副業のフリーコンサルタントとして活動する傍ら、
 同社キャリアアドバイザーとして従事

著者プロフィール

Izul広報チーム

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株式会社Izulの広報チームが運用。20代〜30代の若手ハイクラス層から、圧倒的支持を獲得中。働き方や転職のコツなど、キャリアに役立つ情報を発信していきます。

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