働き方が多様化する中で、ビジネスパーソンには自身を管理する「セルフマネジメント」が求められるようになりました。セルフマネジメントを仕事に活かす場面も多くなっていることで、注目度を集めています。しかし、セルフマネジメントがなぜ重視されており、どのように高めるべきか把握しきれていない人も多いでしょう。
今回は、昨今のビジネスシーンで重要視されているセルフマネジメントについて解説します。セルフマネジメントを高める方法や、成功しない要因なども解説しているので、ぜひ参考にしてください。
セルフマネジメントとは
セルフマネジメントとは、自己実現や目標達成に基づく「自己管理」のことです。自身の能力を発揮しながら、パフォーマンスを向上させることがセルフマネジメントの本質にあたります。
主に、以下がセルフマネジメントの管理対象です。
- タスク・時間
- 感情
- 精神面・肉体面の健康
セルフマネジメントが重要視される理由
昨今、個人としてはもちろん、企業全体でセルフマネジメントを重視する傾向にあります。
その理由のひとつとして挙げられるのがテレワークの浸透です。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、多くの企業がテレワークを導入しました。テレワークの環境下で能力を発揮するためには、個人できちんとタスク管理をすることが欠かせません。そのため、自己管理が重視される労働環境になり、セルフマネジメントが注目され始めました。
また、テレワークをはじめとした働き方の多様化も、セルフマネジメントが注目される理由です。時間外労働を排除し、ワークライフバランスを重視する企業が増えた反面、限られた時間での「成果」が重視されるようになりました。セルフマネジメントを意識することで、より効率的に生産性を向上できるため、注目を集めています。
あわせて個人の主体性への需要も高まっているため、多くの企業でセルフマネジメントを意識する動きが目立ち始めています。
セルフマネジメントを構成する要素
セルフマネジメントは、以下4つの要素から構成されています。
メンタルヘルスケア
- 健康でイキイキと働けるよう気配り・援助すること
- 対面・オンラインによるケアなどが主な取り組みとして挙げられる
レジリエンス
- 外的要因への適応力・ストレスから回復する力のこと
- 自己肯定感を高め、ストレス耐性を強くすることで実現できる
アンガーマネジメント
- 怒りを上手にコントロールすること
- 生産性向上・パワハラ防止などの視点で重視されている
キャリアデザイン
- 職業人生を具体的に設計すること
- 仕事面だけでなくプライベートも含めて、主体的にプラニングすることが求められる
セルフマネジメントを活かせる場面
セルフマネジメントは、特に以下に挙げる3つの場面で活かすことができます。
テレワーク
冒頭でも触れたように、セルフマネジメントはテレワークに活用できます。自宅で黙々と作業するテレワークの環境下では、いかに自分を律してタスクをこなすかが重要です。セルフマネジメント能力を身につけることで、自宅でもオフィスと変わらないパフォーマンスを発揮できます。
パラレルキャリア
パラレルキャリアとは、本業と別のキャリアを同時進行させる働き方のことです。本業に支障が出ないようにしたり、限られた時間と体力で成果を出したりと、比較的ハードルの高い働き方です。しかし、セルフマネジメントを身につけることで、本業や健康に影響を及ぼすことなく、別のキャリアも進行させやすくなります。またセルフマネジメント能力を活用することで、パラレルキャリアにより得た経験を本業に発揮できることもメリットです。
ティール組織モデル
ティール組織モデルは、従業員一人ひとりに決定権がある組織形態を指します。裁量権が自身にあるため、セルフマネジメント能力が必須です。上司からの指示を仰ぐことなく、自身の決定権を基に成果を上げられることもあり、高いセルフマネジメント能力が発揮できる組織形態といえます。
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セルフマネジメントを高める方法
自身のセルフマネジメント能力を高めるためには、以下に挙げる方法を実践することが大切です。
- 求められる役割・成果を明確にする
- 至らない部分と客観的に向き合う
- ゴールから逆算する
- 楽な方に流れないよう意識する
- 定期的に心身をケアする
求められる役割・成果を明確にする
自身にどのような役割や成果が求められているのか、明確にすることがセルフマネジメント向上につながります。役割・成果につながるために何が必要で、そのために自分をどう変えていくか分析することが、セルフマネジメントを高めるためのコツです。
至らない部分と客観的に向き合う
なぜ成果につながらないのか、なぜ自己管理ができないかを、客観的に見て向き合うことが大切です。また、自身のパフォーマンスが落ちる要因やタイミングを客観的に分析することで、セルフマネジメントを高められます。客観的な目線は、自身の役割や成果を明確にするうえでも重要です。
ゴールから逆算する
自身に求められているゴールをまずはっきりさせ、達成するために何が必要か逆算して考えることでセルフマネジメントへの意識が変わります。ゴールから逆算して考えるには、より客観的な目線も重要です。ゴールの達成に至るプロセスを、逆算しつつ客観的な目線での自己分析をもとに考えていきましょう。
楽な方に流れないよう意識する
自分でゴール・プロセスを決められる反面、自分の意思で楽な方に流れてしまうことも多いという点に注意しましょう。仕事中についスマホを見てしまうなど、気をそらすものがあれば、遠ざけるようにするなどの環境整備も大切です。
メンタル面、体調面のケアをする
セルフマネジメントで重要なのは、自身の体調やメンタル面を上手にコントロールすることです。睡眠時間をきちんととる、自分なりのストレス解消法をもつなど、心身をケアする方法を身につけましょう。そして、ストレスや疲れがたまっていると感じた場合は無理をせず、心身の状態を改善してから仕事に取り組むようにしましょう。
セルフマネジメントが成功しない要因
ここでは、セルフマネジメントの成功を遠ざけてしまう主な3つの要因について解説します。
優先順位がつけられない
自身のタスクに対し、適切に優先順位をつけられないとセルフマネジメントは成功しません。タスクの達成に何が必要か客観的に分析し、そのうえで何をどう進めていくべきか考えることが、セルフマネジメントを成功させるポイントです。
ネガティブになりやすい
物事に対し前向きになれないと、セルフマネジメントの成功から遠ざかってしまいます。何度も触れているように、セルフマネジメントには客観的な目線での分析が重要です。そのためには、自分の失敗や挫折をポジティブに「チャンス」と捉えてみましょう。そして、あくまでビジネスの成功に何が必要かを考える「きっかけ」にする必要があります。
完璧主義になっている
すべての成果に対して完璧を求めてしまうと、実現できなかった際の失望が大きくなります。精神面に負担を与えるため、できる範囲での達成を意識することで自分をコントロールしやすくなります。
まとめ
今回は、セルフマネジメントの概要や重要性について紹介しました。自立心を持って働くことが多くの人材に求められるようになった昨今、覚えておくべき考え方といえます。今回紹介したセルフマネジメントを高める方法や成功を遠ざける要因は、自身の考え方や働き方を変えるうえで必要なことです。セルフマネジメントに課題を抱えている・セルフマネジメント能力を活かしたいと考えている方は、ぜひ本記事の内容を参考にしてください。