持ち株会社とは?種類や設立方法、メリット・デメリットを解説

2023年1月7日

2024年4月25日

著者

Izul広報チーム

Izul広報チーム

会社の形態には、さまざまな種類が存在しています。中でも、日本で多く見受けられる「持ち株会社」とは、具体的にどのような形態なのでしょうか。今回は、持ち株会社の種類や設立方法、メリット・デメリットについて解説します。

持ち株会社とは

持ち株会社とは、子会社となる株式を保有することにより、その株式会社を傘下に入れることを目的とした会社形態を指します。ホールディングカンパニーとも呼ばれ「セブン&アイ・ホールディングス」や「三菱UFJフィナンシャル・グループ」などが代表例です。

持ち株会社の種類

持ち株会社は、事業持株会社・純粋持株会社・金融持株会社の3種類に分類されます。目的や成り立ちによって定義されているため、以下で解説します。

事業持株会社

事業持株会社は企業の支配だけでなく、自らが主体となって事業を営むことを目的とした会社です。持ち株会社となった後も、自社やほかの子会社の事業活動を継続できます。

純粋持株会社

純粋持株会社は、自らが事業活動を行うことはありません。子会社の統治や支配を目的として新たに持ち株会社を設立し、その収益は原則的に子会社からの配当金に限られます。一般的に持ち株会社といえば、純粋持株会社のことを指します。

金融持株会社

金融業界の企業が設立する持ち株会社を、金融持株会社と呼びます。統治を目的として新たな持ち株会社を設立するという特徴は、純粋持株会社にも共通しています。金融持株会社は、純粋持株会社として扱われる場合もあります。

持ち株会社の作り方

ここでは、持ち株会社を設立する方法を解説します。持ち株会社を作る手段は3つに分類されており、それぞれ異なる特色があります。どのような目的で使い分けられるのか、理解しておきましょう。

抜け殻方式

抜け殻方式とは、会社分割(または全事業譲渡)とも呼ばれています。会社がメインに据える事業を子会社へと引き継ぎ、親会社を持ち株会社に変える手法です。抜け殻方式においては、子会社を設立する必要があります。これまでとは異なる法人が事業を運営することになるため、認可や登録、免許を新しく取得し直さなければなりません。日本では抜け殻方式を採用している持ち株会社が多く、代表例にはイオングループやフジ・メディア・ホールディングスが挙げられます。

株式移転方式

株式移転方式は、複数の会社を同時に傘下に置く場合に用いられる手法です。新たに親会社を設立して、既存の会社がそれぞれ所有している株式を新たな親会社に移転させることで完全子会社になります。既存の会社は上場を廃止し、代わりに完全親会社となる新たな法人が上場することが一般的です。バンダイナムコホールディングスや楽天インシュアランスホールディングス株式会社など、幅広い業界で実施されています。

株式交換方式

最後に紹介する株式交換方式は、既存の2社がそれぞれの株式を交換するという組織再編手法です。片方を完全親会社、もう一方を完全子会社として、完全親会社は完全子会社の発行済の株を100%保有します。株式移転との違いは、親会社が新たに設立した会社か、既存の会社かという点です。ゼンショーホールディングスやパソナグループも株式交換方式に該当します。

持ち株会社のメリット

ここでは、持ち株会社のメリットについて解説します。企業の狙いを把握して、正しい知識を身につけましょう。

経営を効率化できる

通常の企業では、同時に経営推進と事業推進を手掛けることになります。しかし、持ち株会社は子会社が事業に専念できるため、限りあるリソースを効果的に活用できます。それぞれが役割に集中できるため、専門性の高い組織が実現します。

新規事業がスムーズに立ち上がる

複数の企業を支配下に持つ持ち株会社では、それぞれが持つ技術や人材を活用して新規事業をスムーズに立ち上げられる点もメリットです。お互いの強みを活かした新商品の開発など、新たな発想を取り入れて幅広い事業を展開できるでしょう。また、子会社同士の業種が異なる場合、業界全体が落ち込むような大きな変動を受けても別の業種では影響を受けません。そのため、グループ全体としてのリスク分散にもつながります

買収に対する防衛策

買収に対する防衛策として、持ち株会社の仕組みが取り入れられるというケースも存在します。通常のグループ企業では、親会社が買収されると子会社も併せて買収されます。しかし持ち株会社として子会社を持つことで、ほかの企業が買収することは事実上不可能になるのです。

事業ごとに人事制度を分けられる

持ち株会社では、会社ごとに人事制度や労働条件を分けることが可能です。子会社同士は別の会社として存在しているため、親会社は同じでも人事制度を統一する必要はありません。それぞれの事業に適した制度を続けることで、従業員が長く働きたいと感じる環境を整えられるでしょう。

買収・合併の迅速化

企業同士の関係性が強くなることで、買収や合併を展開しやすい状況を整えられます。持ち株会社は買収相手に対して意思決定を一任できるため、買収による大量離職などのリスク低減にもつながります。

持ち株会社のデメリット

多数のメリットがある持ち株会社には、デメリットも少なからず存在しています。持ち株会社について学ぶ上で、リスクにつながるデメリットも把握しておきましょう。

子会社間の連携が難しい

通常のグループ企業とは異なり、子会社がそれぞれ完全に独立した会社であることから、各子会社の連携には課題が残ります。それぞれが良い関係性を築くためには、親会社の舵取りが重要です。子会社同士の関係が悪化してしまうとグループ全体に悪影響が及ぶため、子会社間の連携に気を配る必要があるでしょう。

コストの増加

持ち株会社には、コストが増加するというデメリットが存在しています。経営面は親会社に集約されるものの、総務や人事と言ったバックオフィス業務はそれぞれの会社に残す必要があります。重複する機能をすべての子会社が持っているばかりか、事業を拡大する場合はバックオフィス部門に掛かるコストもさらに増加します。バックオフィス業務における効率化やコストカットは、念頭に置いておかなければなりません。

親会社の意向に従う必要がある

独立性の高い事業を推進できる子会社でも、経営に関わる重大な決定はすべて親会社の意向に従わなければいけません。子会社の裁量は限られるため、場合によっては親会社へ伺いを立てる必要性からスピード感が失われる可能性もあります。

まとめ

今回紹介した持ち株会社については、多数のメリットがあるものの、同時にデメリットも存在しています。大手企業の事例も数多く存在するため、自社に置き換えて参考にしてください。効率的な経営のために有効な手段として、今回紹介した内容を参考に持ち株会社について把握しておきましょう。

監修者・齊藤 穂奈美

齊藤 穂奈美

株式会社日本アクセスで原料の調達・営業を担当→株式会社ファミリーマートへ出向し中食部門の商品担当として従事→出産を機に会社を退職。WEBクリエイターとして独立し、経営者の集客・広報全般をサポート。 現在はIzulで両面コンサルタントと広報を担当。プライベートでは2人の子を育てる母。

著者プロフィール

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株式会社Izulの広報チームが運用。20代〜30代の若手ハイクラス層から、圧倒的支持を獲得中。働き方や転職のコツなど、キャリアに役立つ情報を発信していきます。

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