目次
- やりがいは感じていたが、働き方や独特の文化に違和感を持っていた
- 前提となる「教員・公務員の仕事を理解してもらうこと」が難しい転職活動
- 民間企業に転職して感じたさまざまなギャップ
- 民間企業への転職が向いていると感じるのは○○な人
Izulメディアでは「求職者インタビュー」と称してIzulで転職成功された方にインタビューを行っています。今回は特別編として「教員・公務員から民間企業へのキャリアチェンジ」を題材に、実際に教員・国家公務員からIzulを利用して民間企業に転職されたお二人を招いて対談を実施しました。
教員・公務員で働くやりがいから民間企業への転職を考えた理由、転職活動の際に苦労したこと、民間企業への転職をオススメしたい人や気をつけるポイントなどをお話いただきました。
現在教員や公務員として働いているが民間企業への転職を考えている方・現在民間企業で働いているが教員や公務員への転職を考えている方に向けて、今後のキャリアを考える際にぜひ一読いただきたい記事です。
やりがいは感じていたが、働き方や独特の文化に違和感を持っていた
―お二人はファーストキャリアとしてそれぞれ教員・国家公務員を選択されていますが、なろうと思ったきっかけ・やりがいについて教えてください。
きっかけは、小中高でお世話になった先生方に自分の人生を助けてもらったなと思っているので、自分も誰かを支えられる存在になりたいなと思ったことです。
教員としての目標は、自分自身が学生時代に本気で卓球に取り組んでいた経験から「コーチとして部活を関東優勝まで導きたい」という思いも抱いていましたね。実際に卓球のコーチとして2年間指導をして部活を関東で優勝させることができ、目標を達成できたことは本当に嬉しかったです。
また、やりがいとして印象深い出来事は、とある学校で不登校になってしまっていた生徒たちを無事に卒業させたことですね。この学校はクラスの約3分の2が不登校経験を持つ生徒たちだったので、学校に来ない生徒のサポートや、登校しても悩みを抱えがちな生徒への支援に取り組みました。そして、全員が無事に進路を決めて卒業できるよう導けたことに大きなやりがいを感じていました。
私の方は、大学時代に海外ボランティアに参加して海外の貧困問題に強く関心を持ったことがきっかけです。その後、大学でさらに貧困問題について学ぶ中で生活保護の実習に参加する機会があり、貧困状態にある方々の過去の記録を読むと非行や犯罪を経験してきた方が多いことを知ったんです。
その経験から「将来的に貧困に陥らないように支援できる仕事がしたい」と思うようになりました。そして、自分が直接現場で支援しながらも、日本全体の仕組みづくりにも関われる法務省の少年院の先生という職に興味を持ち、公務員として法務省に入りました。
少年院での仕事のやりがいは、少年院の子どもたちと信頼関係を築けた時の喜びと影響力の実感ですね。過去に壮絶な経験をしてきた子が多いので、言葉一つにも非常に気を遣う必要があったんですが、そうして信頼関係を築いていくとその子の人生にとても大きな影響を与える仕事だと感じていました。
公務員として国の制度を作るという部分で言うと、大きな施策で影響力の大きい仕事をできることもやりがいでしたね。
―お二人とも大きなやりがいを感じて教員や公務員としてお仕事されていたように感じますが、転職しようと思った理由やきっかけについて教えてください。
働き方に対してネガティブに感じてしまったことが大きな理由ですね。公務員は出向先や業務内容によって定期的に激務になる時期が発生してしまい、もっとワークライフバランスが取れる働き方をする必要があるなと感じていました。
特に国会が開いている時期は、質問対応に追われ深夜までの業務がデフォルトになってしまうんですよね。タクシーで帰って家族とは会話できないまままた出庁と、寝るためだけに帰っているような生活に限界を感じて転職を決意しました。
私はSさんとは逆で、働き方についてはポジティブだった一方で、教師間の評価が一律でどんなに頑張っても自分に還元されないことや、教員内政治が強く肝心の生徒が主語になっていない構造になっていることへの違和感がきっかけです。
教員としてはやりきったなという思いもあったので、教員としてまた転職するという選択は最初から考えていなかったんですよね。民間企業の方が評価指標がわかりやすく、数字で結果を出していればきちんと評価してもらえる仕組みへの納得度が高かったので魅力を感じていました。
たしかに、ちょっと分かるかも。正確にいうと、私の場合は会社からの評価というより、数字で結果を可視化できることに惹かれて民間企業を考えていました。
先ほどやりがいとして大きな施策で影響力のある仕事が出来ることを挙げたと思うのですが、逆に大きい施策であるが故にその施策が届いた人の顔が見えずフィードバックを受けることが難しく、もどかしさも感じていた部分もあったんです。
自分が提案したもので誰かに喜んでもらえることにやりがいを感じていたので、数字で結果がきちんと分かる民間企業の営業職が最初から気になっていたんですよね。
前提となる「教員・公務員の仕事を理解してもらうこと」が難しい転職活動
―実際に民間企業への転職活動を行ってみた感想はどうですか?
転職活動を始める前からなんとなく分かっていたつもりではありましたが、すごく苦戦しましたね(笑)。私の場合は年齢対比での経験社数も多かったので元々不利だろうとは思っていたんですが、想像以上に書類選考も面接も通りませんでした。
経験社数以外にも苦戦した原因は、正直に言うと教員出身だったことにもあると思っています。「学校教員の仕事の大変さ」がそもそも面接官に伝わりづらいんですよね。
正直私も民間企業の方々の質問の意図や文化のイメージがつかないので、面接で上手く答えることが出来なかった場合もあって仕方のないことだとは思っていましたが辛かったです。「所詮数字追ってないですよね」みたいな見られ方もしがちでした。
私も同じ経験をしました・・・。民間企業の方が想像する「教員像」や「公務員像」があることはすごく感じていて、面接官が求めている成果感の内容を捉えて話すことが難しかったです。「数字を追いかけた経験・エピソード」と言われてもピンとくるものがなくて・・・。
「公務員としての頑張りで求められているもの」と「企業が欲しい頑張りの要素」が結構ずれる瞬間があると思っていて、その擦り合わせが難しいなと感じていました。だからこそ自分だけで転職をすることは難しいなと感じてましたね。
民間企業に転職して感じたさまざまなギャップ
―実際に民間企業に転職してギャップに感じる部分はどんなものがあるのでしょうか?まずは良い点から聞かせてください。
良い点の1つは、時間の融通が効くこと。教員時代は朝7時には学校にいる必要があったのですが、今はフルフレックスなので自分の裁量で勤務時間を調整できることが凄くいいですね。
分かります!以前までなら既に出社してる時間帯にまだ寝ていられる喜びがありますよね(笑)。
また、1日の中で中抜けするみたいな働き方が出来るようになったのも違いとしては嬉しいポイントでした。自分の中で最良の働き方を総時間の中で考えることができるようになったことはすごくありがたいです。
その分自分で仕事の進め方のマネジメントはしなきゃいけないですが、自分の中で必要な時に柔軟に働けるのはすごいなって思います。
あとは、仕事へのやり込み度が上がったかなと思います。私は現在フィールドセールスのような業務内容で、架電しないと商談ができない中で人によって架電数が違うんですよ。1日10件しかかけない人もいるし、30件かける人もいる。
教員の場合、指導要綱や学校の方針でやれることがある程度決まってくるので、自分の裁量次第でガツガツやれるのは嬉しいですね。
僕が感じる良い点は、課題に対してきちんと解決まで持っていけることですね。会社として顧客の課題解決ができるソリューションを持っているので、提案内容から課題の解決イメージを持っていただけて受注できた時は嬉しいです。
公務員時代は「これって最後はどうなるんだ?」と感じていた部分があったのですが、ビフォーアフターの手触り感を感じられるようになりました。
あと、イレギュラーな突発業務が減りました。教員の時は生徒が問題を起こしてしまったり、保護者から急に連絡いただいたりで自分でコントロールしきれない突発業務があったんですが、それがなくなったのは結構大きいです。
―働き方・仕事に向き合う姿勢という部分でたくさんの違いが出ているんですね。悪い点はどうでしょうか?
本当にあまり思いつかないんですよね〜・・・
悪い点というか仕事の進め方の違いになるんですが、リモート勤務なこともあって公務員よりも細かく報告・相談していく必要性があるなとは思います。
目標まで数字を積み上げるために筋立てて壁打ちしたり、そこに対してフィードバックを受けたり、社内で期待値の目線合わせをしながら丁寧に進めないと求められている成果感からズレてしまうので。
気になる方もいらっしゃるであろうお給料についてもお伝えできる範囲で言うと、月の給与はほとんど変わりませんが、ボーナスは前職の方が額が多くて毎回安定した額でいただけていた感覚はあります。これに関しては企業次第だと思いますし、そもそも私はまだ入社して1年も経っていないので実力がまだまだ足りていないことが理由だと思いますが・・・(笑)。
―確かに、それは違うポイントですね。例えばベンチャー企業とかであれば、ボーナスは特に安定しないケースもあるかもしれません。教員・公務員のお仕事と比較したときのビジネススキル育成という観点ではどうですか?
課題解決のための思考プロセスが身についている感覚は大きいですね。
今の上司はフレームワークをとても大事にしていて、さまざまな考え方を教わっています。公務員の時はそういったことは全然なかったので、分かりやすくスキルとして育っている点だと思っています。今教わっている考え方は、どこにいっても役立つんだろうなと感じていますね。
民間企業への転職が向いていると感じるのは○○な人
―教員・公務員から民間企業への転職をお勧めしたい人や、気をつけた方がいいことはありますか?
変えたいものがはっきりしていて、それが公務員だと絶対手に入らないものであれば民間企業への転職を考えても良いと思います。変えたいという思いがあるなら、きちんと行動したらその分人生はすごく変わります。実際に私は大きく変わっているので。
逆にそれがない状態でふわっと転職するとなると、組織で働くならどこに行っても大体一緒なのであんまり変わんないんじゃないかなと思いますし、公務員と民間企業では環境が違いすぎて逆に辛いとなりかねないなと。
私の場合は安藤さんと何回も自己分析などで壁打ちさせてもらって、自分がどんな仕事で楽しいと感じるか、転職して何がしたいか、何を得たいかをしっかり言語化したのがよかったなと思っています。
教員に限りますが、努力があまり得意ではない人・環境の変化に我慢ができない人は民間企業への転職は向いていないかもしれません。
教員から民間企業に転職した場合、当然ですがやらなきゃいけないことも覚えなきゃいけないことも多いです。その際に、自分自身で努力をしたり人を頼ったり出来ないと、ギャップが大きすぎて結局教員に戻ってしまうのではないかなと思います。
教員であれば数字を追いかけなくても一定のお給料がもらえますし、教員間のカーストもつきづらいかなと思うのですが、民間企業では結果が数字で可視化されるので優劣みたいなものが良くも悪くもついてしまいます。そこに対して自分で自分を奮い立たせられないのであれば、正直教員のほうが心地はいいのかなとは思います。
―ふわっとした状態で転職してしまうと逆に苦しむことになってしまいそうですね。お二人とも前職でしっかり頑張っていたからこそ転職に成功したんだということが改めてわかったお話でした。最後に、教員や公務員から転職を考えている人に対してのアドバイスがあればお願いします!
厳しいことを言いますが「落ちて当たり前」なので、めげずにやってほしいです。
私はほとんど教員しか経験していないので民間企業で活躍できるか自信がなかったんですが、実際に入社してから「自分の行動量ややり方で遜色なく通用するんだ」と思えたことが自信になりました。もし私と同じように教員しか経験していない人でも、自分を教員あがりだからと卑下せずにチャレンジして欲しいです!
さきほどの話と重複してしまいますが、自分が変えたいものをはっきりさせて「それを変えるために転職するんだ」という自分の中の整理をちゃんとしておいた方がいいと思います。これがあるだけで、最後まで頑張り続ける自分の原動力になってくれます。ぜひ頑張ってください!
―ありがとうございました!