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「戦略から実行まで担える人材になりたいです」この言葉は、ハイキャリア層の転職支援において、決して珍しいものではありません。
事業会社で一定の成果を出してきた方ほど、「次はより上流へ」「より再現性のあるスキルを身につけたい」と考える傾向があります。一方で戦略立案や実行設計を担うポジションは決して多くなく、求められる水準も高いため転職難易度は決して低くありません。
その中で壁になりやすいのが、「これまでの経験を戦略人材として通用する言語に落とし込めているか」という点です。業務の幅が広いほど、自身の強みは見えにくくなります。
今回ご紹介するのは、「戦略策定から実行、そして仕組みづくりまでを担える人材へと進化したい」と考え、環境を変えたNさんです。
約半年間・30回以上に及ぶ自己分析と棚卸しを通じて自らの軸を言語化し、医療系IT企業への戦略立案も担うポジションへ転職。現在は上流から実行までを担う立場で、圧倒的な打席数を重ねながら成長を続けています。
本記事では、そのプロセスを振り返ります。

20代で決めた、成長環境へのシフト

―まずは、これまでのキャリアについて教えてください。

新卒でメガベンチャーに入社し、これまで2つの事業を経験しました。職種としては主に企画職で、社内オペレーションの構築や業務フローの整備に携わっていました。そこから派生して営業促進の企画にも関わるようになり、戦略を立てて具体的な施策へ落とし込む業務を担当していました。
自分で考えた戦略が形になり、現場で実行されていくプロセスは非常に面白く、やりがいを感じながら取り組んでいました。
その後、人事異動があり、会社の中でも最も新規開拓に注力している営業部署へ異動となりました。転職を考え始め、転職。いまは医療系IT企業のエムスリー株式会社に2年半勤めています。
―転職を検討し始めたのは、どのような理由からだったのでしょうか。

きっかけは自分のキャリアをより能動的に築いていきたいと考えたことです。前職では戦略を立て、それを施策に落とし込む業務を経験していましたが、その過程を通じて「戦略策定から実行、そして仕組みづくりまでを一気通貫で担える環境に身を置きたい」という思いが強くなりました。
特に戦略を構築する力や、施策を通じて仕組みにまで昇華させる力を伸ばしたいと考えていました。また、さまざまなステークホルダーと関わりながら周囲を巻き込み、動かしていくコミュニケーション能力も磨きたいと感じていました。
そうしたビジネスパーソンとしての土台となる力を高められる環境に挑戦したいという思いが、転職を考える大きなきっかけになりました。
―前職では、それが難しかった理由はどのあたりにあったのでしょうか。

前職では最終的に新規開拓の営業部署へ異動しましたが、そこでは行動量を重視する営業スタイルが中心で、戦略を立てたり施策を設計したりする余地はほとんどありませんでした。
入社当初は企画やオペレーション設計に携わり、自分が志向していた業務に取り組めていました。しかし、意思とは異なる形で営業部へ異動となり、中長期的に描いていたキャリアをその環境で築いていくのは難しいと感じるようになりました。
20代のうちに「戦略立案力」「施策に落とし込む力」「周囲を巻き込むコミュニケーション力」といったビジネスの基礎力を高めたい。その思いが強まり、より能動的にキャリアを築ける環境を求めて転職を決断しました。
―Izulのことは、もともとご存じだったのでしょうか。また、エージェント選びの決め手は何でしたか。

Izulは転職サイトのスカウトメールをきっかけに知りました。当時は他のエージェントとも何社かお話ししていましたが、私はもともと「伴走型」で支援してくれる方を探していました。
ただどの会社も「伴走します」とは言ってくださるものの、実際には面談を進めてもそこまで寄り添ってもらえている実感が持てずにいました。そんな中で齊藤さんと面談した際に、本気で向き合ってもらっている実感を持てましたし「ぜひお願いしたい」と思いご支援をお願いすることにしました。

Nさんのことはとても印象に残っています。すごく素直で前向きな方で、「自分が歩みたいキャリアに本気で向き合いたい」という意思が強く伝わってきました。
正直なところ、私がいなくても自力で進めていけるタイプなのではないか、と感じるほど主体性のある方でした。それでも「この方と一緒に転職活動ができたら嬉しい」と自然に思える、そんな存在だったというのが率直な印象です。
30回超の壁打ちで言語化したブレない軸

―そこから、実際にはどれくらい面談をされたのでしょうか。

振り返ってみると、最初のキャリアの深掘りから求人紹介、細かなフォローまで含めて、約半年間で30回以上は面談をしていました。基本はZoomで、電話も含めるとさらに多かったと思います。
人生観や価値観の整理から始まり、実践的な対策まで伴走していただいたことで、自信を持って選考に臨むことができました。その結果、当時の転職軸を満たす企業へ入社することができたと感じています。
―まず自己分析からスタートされたと思いますが、振り返ってみていかがでしたか。

自己分析は、今回の転職活動の中で最も印象に残っています。幼少期から現在までを時系列で細かく振り返り、「自分がどんなときに充実を感じてきたのか」を整理しました。
2年半経った今も、その軸はまったくぶれていません。今後の意思決定においても、指針になる大切な整理だったと感じています。

初回でお会いしたときは、可愛らしくて、ご経歴も立派で、いわゆる「順風満帆に見える方」という印象がありました。
ただ、自己分析で幼少期から家庭環境、学生時代、社会人まで深掘りしていく中で、Nさんの中には大きな挫折やコンプレックスがあったことを知りました。そこで乗り越えたエピソードを聞き、初めてNさんの“芯の強さ”が見えてきた感覚があります。
その背景を理解したからこそ、Nさんが意思決定の場面で「楽な道」ではなく、「一番成長を感じられる大変な道」を選ぶ理由も腑に落ちました。自立して選べる状態でありたい、誰かを守れるような状態は絶対に持ちたい——そういった価値観は、過去を知らなければ私も気づけなかった部分です。だからこそ、自己分析は本当に重要で、印象的だったと感じています。
―軸が明確になった後、仕事の棚卸しや面接対策へと進んでいったと思います。その段階で、エージェントをIzul一本に絞ることに不安はありませんでしたか。

まったくありませんでした。むしろしっかり伴走していただける環境でないと、自分は甘えてしまうかもしれないと感じていました。仕事をしながらの転職活動だったので、どうしても日々の業務に流されてしまう可能性もあります。
その点、毎回の面談で「次回までにやること」や「今回の課題」が明確に提示されていて、常に次のアクションが設定されていました。自分としては、転職活動というよりも、一つの講座を継続的に受けているような感覚でした。
宿題をもらい、それを改善して次に臨む。その積み重ねがあったからこそ、安心してお任せできましたし、一本に絞ることへの不安はまったく感じませんでした。
―仕事の棚卸しについて、印象に残っていることはありますか。

一番難しかったのが仕事の棚卸しでした。業務の幅が広く、短期間で複数のプロジェクトを並行していたため、自分の中でも整理がついていませんでした。「何を一番強みとして伝えるべきか」が分からなかったんです。
そこを齊藤さんと何度も壁打ちしながら整理していき、自分の経験を構造的に言語化できるようになったことが大きかったです。

本当に難しかったですね。Nさんは新卒入社直後から大きなプロジェクトを任され、関わる人数も30名を超えるような環境で働いていました。チームは少人数ながら、海外拠点のエンジニアや複数の部署をまたぎ多くのステークホルダーと連携しながら、ゼロから立ち上げに近い業務を担っていました。
その分、アピールできるポイントが非常に多く、「何を、どこに、どう絞って伝えるか」が最大のテーマでした。複雑な業務背景を初めて聞く企業側にも分かりやすく伝えるために、どこを軸に据えるのか。そこを一緒に徹底的に整理し続けた、という感覚です。
―長期間にわたって試行錯誤が続く中でも、なぜ最後までやり切ろうと思えたのでしょうか。

ひとつひとつの仕事に真剣に取り組んでいたからこそ、きちんと意味のある形で言語化したいという思いが強くありました。
加えて、齊藤さんが粘り強く伴走してくださったことで、「ここまで向き合ってもらっているのだから、自分も応えたい」という気持ちもありました。
自分自身の意欲と、外から引っ張ってもらう力。その両方があったことが、最後までやり切れた理由だと思います。
―棚卸しを終えて、整理された内容をご自身で見たときはいかがでしたか。

当時は最後まで少し混乱しながらも、必死にやり切ったという感覚でした。ただ、転職して2年半が経った今では、当時の経験をより整理して話せるようになっているように感じます。不思議ですよね。
以前は自分の担当領域だけを見ていましたが、今は事業や組織全体の中での自分の役割を捉えられるようになったことで、経験をよりシンプルに言語化できるようになったのだと感じています。
Canを磨き切った先に描く、次のWill

―現在はエムスリー株式会社にご転職されていますが、この企業を提案した理由はどのような点にあったのでしょうか。

Nさんが身につけたいとおっしゃっていたスキルを、最短距離で磨ける環境だと感じたことが一番の理由です。
ご提案したのは「ビジネスディベロップメント」というポジションで、製薬企業を中心とした大手クライアントに対し、上流の事業戦略から実行フェーズまで一気通貫で支援する部署です。単なる提案にとどまらず、事業課題の整理から現場での実行まで深く入り込んで伴走する役割になります。
Nさんが志向していた「戦略立案力」「施策に落とし込む力」「多様なステークホルダーを巻き込む力」といったスキルを、入社1年目から実践の中で鍛えられる環境だと考え、このポジションをご提案しました。
―Nさんがこの会社を選ばれた理由は、どのあたりにあったのでしょうか。

最終的に決めた理由は、大きく二つあります。
一つは、当時掲げていた転職軸にすべて当てはまっていたことです。打席に立つ回数が多く、「事業戦略立案力」「施策に落とし込む力」「周囲を動かすコミュニケーション力」といったビジネスパーソンとしての土台となるスキルを早いスピードで磨ける環境だと感じました。
もう一つは、前職の先輩がすでにその会社で働いていたことです。実際に働く中でどう感じているのかを率直に聞いたところ、「成長痛を感じる環境だ」とおっしゃっていて、「本気で成長したいなら、その環境は用意されている」と言っていただきました。
齊藤さんからの説明と、実際に働いている第三者の声が一致していたことも後押しになり、「本当に修行できる環境だ」と腹落ちしたことで入社を決めました。
なお入社後のギャップは良い意味でも悪い意味でもほとんどありませんでした。大変だろうと想定していた部分はやはり大変でしたが、それも含めて納得した上での選択だったと感じています。
―実際に入社されてみて、いかがでしたか。

想像していた通りの環境だと感じています。責任や裁量の大きさ、戦略から実行まで関われる業務内容も事前に聞いていた通りでした。
特に成長を実感しているのは、二つあります。
一つは、事業や課題をより包括的な視点で捉えられるようになったこと。もう一つは、入社直後から裁量の大きな案件を任され、圧倒的な打席数を経験できていることです。実際に、入社2か月目にはメインスピーカーとしてクライアントと対峙し、3か月目には英語での提案も経験しました。
厳しいフィードバックを受ける場面もありますが、成長を前提に向き合ってくれる上司や同僚がいる環境です。挑戦と支援のバランスが取れた職場で、着実にスキルを磨けていると感じています。
―文化的な側面はいかがですか。エムスリー社には行動規範として「くしゃみ」といったものがあるとのことですが、組織文化として魅力に感じている点はありますか。

「くしゃみ」という行動規範は、「クライアントファースト」「社長意識」「プロフェッショナルとしての相互尊重」の3つを指していますが、これは単なるスローガンではなく実際に体現している方が多いと感じています。
特にこの部署ではクライアントにサービスを提供するというよりも、「課題に一緒に向き合うパートナーである」という姿勢が徹底されています。上司もその姿勢を強く求めており、日々の意思決定や行動基準にも反映されています。
その文化の中で働くことで、私自身も目の前のタスクだけでなく、クライアントや市場、競合を含めた広い視点から事業を捉えるようになりました。非常にプロフェッショナル意識の高い組織文化だと感じていますし、それが成長にもつながっていると実感しています。
―苦労した部分はありましたか。レベルの高い環境だと思いますが、入社当初は大変だったのではないでしょうか。

正直、とても苦労しました。入社2か月目でメインスピーカーとしてクライアントと対峙し、3か月目にはグローバル本社から着任した日本支社の部門長に対して全て英語で提案する機会もありました。それまで充分に準備をしたにも関わらず前日は緊張で眠れず、声を震わせながら必死に話したことを覚えています。
当時は「なぜこんなに早く任されるのか」と戸惑うこともありましたが、振り返るとその高いハードルがあったからこそ成長できたと感じています。会社の基本姿勢は「まずやってみよう」。できなければ一緒にやり方を考える、というスタンスです。最初から高い目標を設定してもらえる分、成長のレバレッジも大きいと実感しています。
また業務の幅が非常に広く求められるスピードやクオリティも高いため、入社直後は成果物の質を担保しながら効率的に業務を設計することに苦戦しました。裁量が大きい分、自ら優先順位をつけプロアクティブに動くことが求められます。その難しさはありましたが、だからこそ力が鍛えられていると感じています。

入社後のNさんの姿がとても印象的です。食事やオンラインで近況を伺う中で大変な環境でも前向きに取り組み、着実に成長している様子が伝わってきました。話し方や思考の深さにも変化があり、「この環境で本当に力を伸ばしているのだな」と感じられたことが何より嬉しかったです。
―当時整理した価値観は変わっていないということですが、それは転職後、どのような場面で活きていると感じますか。

現在私の所属している部署の中でもオンコロジーグループという、がん領域に特化したチームに所属しています。この選択自体が、当時整理した自分の軸と強く結びついていると感じています。
医療業界の中でもオンコロジーは非常に重要度の高い領域です。社会的意義が大きく、治療における責任も重い分、深く関わる価値がある。そうした領域に向き合えていることは、今後のキャリアにおいても非常にポジティブな経験になるだろうと感じています。
また、チームの文化も自分に合っているなと感じます。オンコロジーグループは非常にインクルーシブで、さまざまなバックグラウンドを持つメンバーが互いをプロフェッショナルとして尊重し合いながら働いています。新しく入るメンバーに対しても、医療領域のキャッチアップ体制を整えようと本気で取り組んでいます。
医療業界というと、外からはドライな印象を持たれることもありますが、実際に中に入ると非常に熱量が高く、チームの雰囲気も温かい。難易度は高いものの、深く入り込むほど面白さが見えてくる領域です。
重要度の高いテーマに向き合いながら、自分の意思で挑戦できる環境であること。これこそが、当時言語化した価値観が、現在の環境選択に確実に活きている部分だと感じています。
―そのオンコロジーグループとは、どのようなチームなのでしょうか。

通常は企業単位でチームを組み、それぞれの製薬企業や薬剤を担当しています。その中で、がん領域の薬剤を扱うメンバーだけが横断的に集まり、専門チームとして組成されたのがオンコロジーグループです。
つまり各企業に分かれていた“がん領域担当者”が一つのチームとして集まり、領域特化型で動いている形になります。
このチームが作られた背景には、がんが医療業界の中でも極めて重要な領域であるという認識があります。会社としては「医療費を適正化する」「医療に本質的な価値を提供する」という大きなミッションを掲げていますが、その中でも特に治療優先度の高いがん領域に対して、より専門性と当事者意識を持って向き合いたいという思いから立ち上がりました。
言わば、“がん領域のプロフェッショナル集団”として、専門性を高めながら価値提供をしていくチームです。
―実際にオンコロジーグループで働く中で、やりがいや楽しさを感じるのはどのような点でしょうか。

医療領域はもともと難易度が高いと感じていましたし、特にがんは病態も複雑で、「自分に務まるのだろうか」と不安もありました。ただ、実際に向き合ってみると、非常にやりがいのある領域だと感じています。
がんは直接命に関わる病気であり、新しい薬剤が登場すれば、市場からの期待や医師の関心も非常に高まります。製薬企業にとっても重要度の高いプロダクトであり、その戦略や価値提供に関われることは、大きな責任と同時に大きな意義を感じます。
社会的意義の高いテーマに、専門性をもって向き合えること。そうした思いを持っている方にとっては、やりがいを強く感じられる環境だと思います。
―今後のキャリアの展望についてはいかがでしょうか。

これまでは「戦略立案力」「実行力」「コミュニケーション力」といったCanを磨くことを軸にキャリアを考えてきました。現職で多くの打席に立たせていただいたことで、その土台はかなり強化できたと感じています。
今後はそこに自分のWillを重ねていきたいと考えています。医療という領域にとどまらず、より自分の興味や問題意識のあるテーマにも視野を広げていきたいという思いがあります。
また異業種から転職してきた立場として、同じような背景を持つメンバーの支援にも関わっていきたいと考えています。これまで磨いてきた力を、自分の成長だけでなく周囲の成長にも活かしていけると嬉しいなと思います。
―最後に、Izulの支援全体について改めてのご感想をお願いします。

本当にご支援いただいてよかったと感じています。ここまで伴走してくださるエージェントはなかなかいないと思います。
自己分析や棚卸しを通じて、自分の軸を明確にできたことは、転職にとどまらず今後の人生にも活きる大きな財産になりました。現職に出会えたのも、Izulの支援があったからこそだと感じています。転職活動中は大変な場面もありましたが、齊藤さんが前向きにリードしてくださったおかげで最後までやり切ることができました。今ではキャリアを気軽に相談できる存在であり、心から感謝しています。

