グローバル化が重視される昨今の市場において、在職中に海外赴任を言い渡される可能性も高くなってきました。実際に海外赴任が決定したあと、どんな準備や心構えが必要かわからないと悩むこともあるでしょう。
今回は、海外赴任に必要な確認事項や準備について紹介します。また、海外勤務によるメリット・デメリットや、海外赴任を断りたい場合の対処法にも触れています。今後海外赴任を言い渡されることを想定し、事前知識としてお役立てください。
海外赴任が決まったら確認・準備すべきこと
海外赴任が決まったら、以下のことを確認・準備する必要があります。自分が海外赴任することになったと想定したうえで、参考にしてください。
- 赴任先近辺の情報
- 居住の手続き
- 生活コストの計算
- 保険
- 生活インフラ・予防接種
赴任先近辺の情報
まずは自身が赴任する土地の気候や生活環境、治安などを確認しておくべきです。家族全員で移住する場合は、教育環境なども確認してください。赴任先の状況があまりにも自身の理想とかけ離れている場合は、海外赴任自体がデメリットになる場合もあるので注意しましょう。
居住の手続き
赴任先の住まいを自身で用意する必要があれば、できるだけ早めに手続きを進めておくべきです。とはいえ、多くの場合は企業が居住手続きを行ってくれます。万が一自分で進めなければならない場合は、先ほど紹介した赴任先近辺の情報も踏まえ、最適な住まいを用意してください。
生活コストの計算
海外と日本は物価も異なるため、生活コストがどれほど変動するのか事前に計算しておきましょう。食費や光熱費などはもちろん、現在使用しているクレジットカードがそのまま使用できるか確認する必要があります。海外赴任にあわせて新たなものを用意する必要があれば、できるだけ早く準備しましょう。
保険
自身もしくは家族が加入している保険の内容が、海外でも適用されるのか確認してください。もし適用されないのであれば、海外での居住を前提としたプランに乗り換えたり、保険会社そのものを変える必要があります。
生活インフラ・予防接種
スマートフォンなどの生活インフラを、海外用に準備し直す必要があります。企業が用意してくれる場合もありますが、自分で用意することも想定しておきましょう。また、赴任先の衛生状況によっては、事前に予防接種を受ける必要があります。いつまでにどの予防接種を受けるべきか、事前に確認しておきましょう。
海外勤務によって得られる経験・スキル
海外勤務を経験することで、以下の経験・スキルを会得できます。海外赴任ならではのメリットともいえるため、事前に把握しておくのがおすすめです。
- 語学力
- グローバルな視点と感覚
- 判断力・マネジメント能力
- 転職市場における評価
語学力
赴任先の言語を用いて働くことになるため、語学力が自ずと身につきます。日本で外国語を学ぶよりも、現地で「会話」を通じて学ぶことで、より実践的な語学力を会得できます。海外赴任で得た語学力は、グローバル化が注目される昨今の市場でも大いに活用できる武器になります。
グローバルな視点と感覚
現地の文化に触れながら仕事をすることで、グローバルな視点と感覚を磨けます。日本のビジネスに海外の文化を織り交ぜて、他社と差別化できるアイデアを創出できるのもメリットです。海外の文化を取り入れる日本企業も多いことから、日本に戻って仕事をするうえでも重視される経験・知識といえます。
判断力・マネジメント能力
海外赴任を言い渡されることは、日本での現職よりも職位が上がることを意味します。責任の重さや業務範囲の拡大も多いことから、必然的に高い判断力が求められます。海外勤務を通じ、自然な流れで判断力を身につけられるのがメリットです。また、管理職として海外勤務を言い渡されることも多いため、マネジメント能力も身につきやすくなります。海外勤務で身につけた判断力やマネジメント能力は、日本に戻ってきても重宝されます。
転職市場における評価
海外赴任の経験は、語学力や判断力、マネジメント能力が高い基準で身についていることの証明になります。グローバル化が進む昨今のビジネスシーンにおいて、海外赴任の経験は転職市場における評価につながるでしょう。
海外赴任の懸念点
得られる経験や知識の多い海外赴任ですが、以下に挙げる懸念点があることも理解しておかなければなりません。
- 仕事の進め方
- 文化の違い
- 日常生活
仕事の進め方
日本と海外では、そもそも仕事の進め方が大きく異なります。同じグループ会社だとしても、日本と海外の文化の違いが仕事の進め方に影響することもあるでしょう、また、先ほども触れたように、仕事場で使用される言語は現地のものです。そのため、最初のうちはコミュニケーションが取りにくいことに煩わしさを感じる場面もあるかもしれません。
文化の違い
日本と海外の文化で大きく異なるものとして、食事が挙げられます。近年は日本食を提供する海外のレストランも増えているものの、日本と同じような食生活を送るのは困難です。食事の違いでストレスが溜まらないよう、赴任前に日本の食材や調味料を用意しておく人も多くいます。住まいや周辺環境に関しても違いが出やすいため、日本での生活とはまったく変わってしまうことを認識したうえで渡航すべきです。
日常生活
海外赴任では、日常生活にさまざまな影響が及びます。そのひとつに、病院への通院が挙げられます。当然、現地の言語で診察を受けるため、症状を把握しにくい点がデメリットになります。また、日本の病院と比べて、診察・治療の質や内容を判断しにくいという心配もあります。ある程度の語学力があれば近隣病院の評判を把握できるものの、慎重に病院を探さなければならない点は海外赴任における懸念点です。
海外赴任は断れる?
結論、海外赴任を断ること自体は可能です。ただし、単に「行きたくない」という理由では断っても受理されません。あくまで、海外赴任できない理由があり、かつそれが正当であると認められることが大切です。ここでは、海外赴任を断れる主な理由を紹介します。海外赴任を断ってしまうことのデメリットにも触れているので、実際に打診された際の参考にしてください。
海外赴任を断る代表的な理由
以下の理由に当てはまる場合は、海外赴任を断りやすくなります。
- 親の介護が必要
- 配偶者が仕事を退職できない
- 自身・配偶者・子どもに健康上の不安がある
- 配偶者が出産を控えている
- 子どもが日本で受験を控えている
ただし、上記の理由を提示しても「単身赴任」を言い渡される可能性もあると認識しておきましょう。
「外国語が話せない」「赴任国が不満」などの理由は、一見すると正当な理由ですが、個人的な事情であるため認められにくいといえます。
海外赴任を断るデメリット
一度海外赴任を断ってしまうと、次のチャンスが回ってこない可能性が高くなります。「将来的に海外赴任を検討しているが、現状は受け入れられない」という理由で断るのは、リスクがあると認識すべきです。また海外赴任を断ることで上司との関係性が悪くなり、出世コースから外される可能性もあります。
海外赴任は給与水準や語学力が上がり、出世コースに乗れるメリットがあります。海外赴任を断るデメリットと測りにかけ、最適な判断をしましょう。
まとめ
今回は、海外赴任を言い渡された場合に確認・準備すべきことを紹介しました。語学力やグローバルな視点など、さまざまなものを身につけられるのが海外赴任のメリットです。仕事の進め方や文化の違いなど、懸念点もあるものの、将来的なキャリアにおいては好影響を与えてくれる経験になります。場合によっては断る必要性もありますが、断ることのデメリットも把握したうえで決断すべきです。海外赴任の可能性がある企業に勤めている、もしくは転職したい場合は、今回紹介した内容をぜひ参考にしてください。