カスハラへの有効な対策とは?よくあるクレーム事例や予防策を作るポイントを解説

2022年10月6日

2024年3月7日

著者

Izul広報チーム

Izul広報チーム

カスハラは顧客や得意先などから受ける悪質なクレームや迷惑行為で、接客業・サービス業をはじめ多くの業種で発生するハラスメントの一種です。カスハラを放置すると、売上や利益の減少で企業経営に悪影響を及ぼすばかりか、従業員への精神的な負担が増加し、最悪の場合離職に繋がる可能性があります。この記事では、カスタマーハラスメントへの有効な対策や、よくあるクレーム事例、予防策などを紹介します。

カスハラとは

カスハラとは「カスタマーハラスメント」の略で、パワハラやモラハラと同様のハラスメントの一種です。カスタマーは顧客・得意先・取引先などを指す言葉で、ハラスメントは人を困らせる嫌がらせを指します。消費者や客の立場を利用し、企業などに対して理不尽な謝罪や要求を強要することをカスハラと呼びます。 

カスハラとクレームの違い

ハラスメントは嫌がらせを指す言葉ですが、クレームは双方が問題解決へ向かうためのもので、協力や折り合いをつけるという意味があります。ただし、実際にはカスハラの明確な定義は確立されておらず、実際の現場でカスハラかクレームかを判断するのは難しいです。もし現場でカスハラかクレームか判断がつかないような場合は、会社や上司に相談するなど、自分だけで判断をしないことが大切です。 

よくあるカスハラの事例を紹介

カスハラの内容を知っておくだけでも心に余裕ができ、あらかじめ対策を立てやすくなります。カスハラで特に注意したいのが、実際にハラスメントを受けた従業員の精神的負担です。

カスハラに該当するような事例の多くは、暴言や罵声、威圧的な態度、長時間拘束を強いられるなどが挙げられます。従業員を守るためにも実際の事例を確認して、カスハラへの対応・対策を考えてみましょう。 

暴言や罵声

暴言や罵声は、カスハラでも多く見られる事例のひとつです。暴言とは他人を傷つけるような悪質な発言のことで、声の大小に関係ない発言を指します。一方で罵声は、大声で悪口を言うことを指します。「死ね」「馬鹿」などの発言は紛れもないカスハラに当たります。

威圧的な態度

威圧的な態度とは、相手を威嚇したり圧迫したりする態度や雰囲気を指します。相手を見下して一方的に従わせるような態度が特徴で、高圧的な態度とも呼ばれます。例えば、些細な手続きの不備などを理由に威圧的な態度をとり、企業の上層部からの謝罪を受けるなどが挙げられます。 

長時間拘束

正当なクレームと悪質なクレームの見分け方のひとつに、長時間拘束があります。従業員の時間を本来の業務ではないことに長時間使わせるのは、悪質なクレーム、すなわちカスハラにあたる行為になり得ます。具体的に「長時間」がどれくらいを指すのかは感覚による部分も多いですが、一般的に30分以上は長時間の拘束といえるかもしれません。

過大要求

小売・接客・サービス業をはじめ、さまざまな業種や職種で過大要求が発生しています。例えば、コンビニエンスストアで「商品の入れ方がおかしい」というクレームから、最終的に「慰謝料を100万円よこせ」との要求にまで発展したカスハラ事例があります。この事例では、最初のクレーム以来、何かにつけて暴言や罵声をお店に対して浴びせるようになり、「半年で200万円使ったから半分の100万円を返せ」と要求。お店に繰り返し電話をかけ、脅し文句なども発していたようです。客の立場を利用した悪質なカスハラ事例です。

延々と続くクレーム

在庫がない商品について「なぜないんだ」「今すぐ用意しろ」など、同じクレームを延々と繰り返して従業員の時間を奪うケースもカスハラに該当します。延々と続くタイプのクレームは、罵声や暴言を使わず穏やかな口調で行われる場合もあり、判断が難しい事例のひとつです。 しかし、従業員が長時間拘束され対応を余儀なくされる事例は、クレームの域を超えてカスハラと判断されるケースが多いです。

しつこい仮定質問

上記の延々と続くクレームに関連しますが、仮定質問を「しつこく」繰り返す事例もあります。例えば、「もし私の立場だったらどう思うか?」「私だったらこうする」などの内容が該当します。延々と顧客の仮定質問を受け続けるのは、従業員の業務範囲ではありません。顧客の怒りを買ってしまうのではないかと不安になり、途中で話を遮るのも難しいため、結果的に従業員の精神的負担が増大してしまう懸念があります。

カスハラに対して企業が取るべき対応策

カスハラに対して、企業は従業員を守るためにも事前に対策を講じる必要があります。マニュアル作成などについては後述をしますが、ここでは基本的な対応策を押さえておきましょう。

複数人で対応する

カスハラには1人で対応せず、複数人で対応をするようにしましょう。クレームの度を超えていると感じたら、組織・チーム単位で対応するように従業員に周知を行います。顧客の対応をする人以外に、発言内容を時系列順で記録する人など、事前に役割を決めておくなどの対応策が必要です。

書類作成や署名・捺印はしない

悪質な要求をしてくるクレーマーのなかには、詫び状や謝罪文を求められたり、一筆書けなどと迫られたりするケースもあります。こういった相手の要求に対して安易に承諾をするのは絶対に避けましょう。一筆した内容を都合のいいように拡大解釈をして、さまざまな切り口で攻められる可能性があるからです。一筆書くように相手から迫られた場合は、上長や会社に相談をするなどの対応にして、相手の要求に応じないようにしましょう。

その場で答えを出さない

悪質なクレームやカスハラに対して、その場で判断するのが難しい場合がほとんどですが、クレームを入れてくる相手の多くは、「いますぐに結論を出せ」と言ってくる場合があります。相手の剣幕や勢いがものすごく、怖気づいてしまいそうな場面ですが、その場で答えを出すのはNGです。できる・できないを含めてその場で判断することは、後々大きなトラブルに発展する恐れがあるので、時間をかけて対応策を考える必要があります。 「一人では判断ができない」「大切なことなので慎重に協議をさせていただきます」「即答できない」といった主張を繰り返し伝えましょう。

カスハラによって発生するリスク

カスハラによって発生するリスクは、対応に時間が取られる、売上・利益の損失、そしてスタッフ離職の懸念などが挙げられます。 それぞれのリスクの内容を確認していきましょう。

対応に時間を取られる

カスハラの対応に時間を取られ、本来の業務に時間を取れなくなってしまう場合があります。本来やるべき業務にリソースを割けなければ売上や利益の損失に繋がり、対応した従業員も疲弊します。また、クレームなどは現場責任者が対応を行うケースが多いため、対応が長引くほど仕事が滞り、適切な事業運営ができなくなるリスクがあります。

売上・利益の損失

前段で紹介した通り、カスハラに多くの時間を取られてしまうと、売上・利益の損失に繋がります。日々の売上と利益は企業が事業継続していくうえで欠かせないものなので、カスハラへの対応は企業の経営に関わる重大なリスクに繋がりかねないのです。

スタッフ離職の懸念

カスハラの大きなリスクのひとつがスタッフの離職です。労働人口が減少していく現代では従業員の新規採用も大切ですが、離職率を減らす取り組みも重要です。従業員に肉体的・精神的な負担をかけてしまうカスハラが増えると、離職率の増加に拍車がかかります。

カスハラを防ぐ仕組みづくりのポイント

企業は従業員が安全かつ健康に働くために「安全配慮義務」を定める必要があります。カスハラによる被害で従業員の安全や健康を損なう恐れがあるため、適切な対策を取らなくてはなりません。ここからは、カスハラを防ぐ仕組みづくりのポイントを紹介します。

ガイドラインの作成

カスハラに対するガイドラインは厚生労働省から発表されています。参考にしながら、自社の運用ルールに合わせたガイドラインを作成しましょう。ガイドラインに盛り込む内容は、迷惑行為や不当な要求の事例、ケースごとの望ましい・望ましくない対応例、社内の相談先や共有先などが挙げられます。ガイドラインを明示することで従業員の迷いがなくなり、誤った判断をしてしまう可能性も低くなるでしょう。

すぐに記録を取れるようにする

日頃から何かあったときのために、すぐに記録ができるような準備をしておくことも必要です。メモや録音ツールなどの用意をしておくと、後から聞き返せるエビデンスになるのでおすすめです。また、個々の事例の積み重ねやノウハウ共有にも活用できます。

緊急連絡先の周知を徹底

緊急連絡先は社内をはじめ、警察署や弁護士など外部機関の連絡先も記載するようにしましょう。ガイドラインの作成と同様、何かあったときにすぐに相談・連絡できる場所があるのは、精神的な安心感に繋がります。

クレーム内容の共有

個別の事例を共有するのは、カスハラの対策をするうえでとても重要なフローです。なぜなら、人間は誰しも初めてのことに対して不安や恐怖心を抱くからです。実際に起こった事例を共有することでカスハラの疑似体験ができるので、組織内で対応策やルールの改善案を出しやすくなります。また、「もし自分だったらどう対応するだろう?」といった従業員の自発性を養うこともできます。

ロールプレイング研修を実施

ここまでに紹介した対策例を元に、従業員にロールプレイング研修などを実際に体験してもらいましょう。頭でイメージをしているだけでは、能力やスキルは身に付きません。知識を定着させるには、学んだことをアウトプットさせるのが一番です。従業員も実際に経験をすることで、カスハラに対する耐性を得ることが可能になります。

まとめ

カスハラへの有効な対策やよくあるクレーム事例、予防策を作るポイントを解説してきました。カスハラには明確な定義がなく、クレームとの違いが分かりづらいことから判断が難しい問題のひとつです。従業員への周知・ルール徹底を図るためのガイドライン作成は必須の対策です。大切な従業員を守るためにも、カスハラに対して適切な対応策を事前に用意しておきましょう。

監修者・押目 隆之介

押目 隆之介

日本郵船グループにて3年間国際物流業務に従事。
リクルートに転職し、約5年間住宅・不動産領域のメディア営業およびマネジメントを経験後、前職のAbemaTV(サイバーエージェントより出向)にてコンテンツ戦略プロデューサーとして約4年間勤務しておりました。

現在は、自身の事業の経営も行いながら、リクルート時代の同僚であった中田の立ち上げたIzulにて、20~30代の方々を中心としたキャリア支援のお手伝いもさせていただいております。

著者プロフィール

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株式会社Izulの広報チームが運用。20代〜30代の若手ハイクラス層から、圧倒的支持を獲得中。働き方や転職のコツなど、キャリアに役立つ情報を発信していきます。

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