ノーマライゼーションとは?意味や歴史、実際の取り組み事例を解説

2022年11月24日

2023年5月30日

著者

Izul広報チーム

Izul広報チーム

高齢者や障害のある方も含めて、すべての人が社会の一員として平等に生きるために不可欠な考えがノーマライゼーションという概念です。耳にしたことはあっても、具体的にどのような意味なのかわからないという方も多いのではないでしょうか。この記事では、ノーマライゼーションの意味や歴史、日本での実際の取り組み事例について解説します。興味のある方はぜひ参考にしてください。

ノーマライゼーションとは

ノーマライゼーション(normalization)とは、英語で「正常化」「標準化」という意味を持っており、特別に行われていたものを均一して当たり前にするという発想を含んだ言葉です。そこから転じて、「障害のある方や高齢者といった社会的弱者を特別視することなく、誰もが同じ社会の一員として平等に生活できる社会を目指していこう」という考え方を指すようになりました。障害の有無や年齢、社会的マイノリティに関係なく、生活や権利が保証された環境を目指しています。ノーマライゼーションは障害者福祉の基本理念として定着し始めており、日本でもこの考え方に基づいて福祉政策が進められています。

バリアフリーとの違い

ノーマライゼーションとよく比較される言葉として挙げられるのが「バリアフリー」です。日本では、ノーマライゼーションよりも一般的に浸透しています。バリアフリーとは、障害者や高齢者といった社会的弱者が日常生活を送るうえで障壁(バリア)となるものを取り除いていく取り組みのことをいいます。
具体的には、車椅子を使っている方のために段差をなくしてスロープを設置したり、視覚障害のある方のために音声ガイドを導入することがあげられます。またハード面の整備だけでなく、障害者への差別解消など「心のバリアフリー」を実現していくことも大切です。
バリアフリーは障害や年齢に関係なくすべての人が安全に暮らせる社会を目指しており、ノーマライゼーションを実現するための方法のひとつとして考えられています。

ユニバーサルデザインとの違い

ユニバーサルデザインとは、年齢・性別・文化・障害の有無に関係なく、世界中のあらゆる人にとって利用しやすいデザインのことです。社会的弱者にとっての障壁を取り除くだけでなく、最初からバリアのない環境を目指しています。ユニバーサルデザインも、バリアフリーと同様にノーマライゼーションを実現するための方法のひとつです。

ノーマライゼーションの歴史

ノーマライゼーションが認知されるようになったきっかけは、1959年にデンマークで知的障害者福祉法が成立したことです。この法律でノーマライゼーションの理念が提唱され、知的障害者も健常者と同じ生活を送る権利が保証されました。その後、スウェーデンのベンクト・ニィリエによってノーマライゼーションが定義づけられ、北欧諸国から世界中に広まっていったのです。

ノーマライゼーションの8つの原理

ノーマライゼーションは、ベンクト・ニィリエによって8つの原理に整理されました。障害の有無に関係なくすべての人が平等に生活するためには、以下の原理を満たすことが重要とされています。

  • 1日のノーマルなリズム
  • 1週間のノーマルなリズム
  • 1年間のノーマルなリズム
  • ライフサイクルでのノーマルな経験
  • ノーマルな要求の尊重
  • 異性との生活
  • ノーマルな生活水準
  • ノーマルな環境水準

日本におけるノーマライゼーションの課題

日本にもノーマライゼーションは浸透しつつありますが、まだ多くの課題が存在しています。ここでは、日本におけるノーマライゼーションの代表的な課題を3つ紹介します。

企業内での理解度が低い

日本におけるノーマライゼーションの課題として、企業内での理解度が低い点が挙げられます。障害者の受け入れ事例がほとんどない企業も多く、障害者雇用のための十分な体制を整えられないケースも少なくありません。そのため障害のある方が就労する際に、上司や同僚から適切な配慮が得られない場合があります。

障害者の離職率が高い

日本でノーマライゼーションを実現するためには、障害者の離職率の高さを改善しなければいけません。障害のある方の定着率は、一般の労働者と比べて低いことが現状です。企業内で障害者に対する理解度が低いことで、人間関係がうまく構築できなかったり、職場の雰囲気に馴染めなかったりすることが主な原因とされています。

理念が一般的に浸透していない

日本では欧米諸国と比べて人権教育が進んでおらず、ノーマライゼーションの理念が一般的に浸透していない点も大きな課題です。障害者問題に取り組んでいたり、福祉関係の仕事に就いていたりしていなければ、そもそも言葉すら聞いたことがないという方も少なくありません。

ノーマライゼーションにおける課題の改善策

ここでは、ノーマライゼーションにおける課題を企業で解決するための施策を紹介します。障害者雇用をどのように行えばいいか迷ったり、離職率にお悩みの方はぜひ参考にしてください。

障害に対する理解を深める

ノーマライゼーションにおける課題を解決するためには、障害者に対する理解を深めることが必要不可欠です。正しい知識を持ち、相手に寄り添った関わり方を行うことで、差別や偏見を減らすことにもつながります。研修などを実施し、障害のある方を受け入れる体制を整えましょう。

業務を見える化して明確なルールを作る

障害のある方にとって働きやすい環境を構築するためには、社内の業務を「見える化」して、明確なルールを作ることが大切です。明確なルールがあることで、障害のある方だけでなく、他の人も効率的に業務をこなせるようになります。慣習で行っておりルールが曖昧になっているような業務があれば、一度見直してみてください。

助成金の活用を検討する

ノーマライゼーションを推進するためには、助成金の活用も有効な方法です。企業で障害者を雇用する場合、状況に応じて国からさまざまな助成金を受けることができます。助成金の例は以下の通りです。

  • トライアル雇用奨励金
  • 精神障害者等ステップアップ雇用奨励金
  • 特定就業困難者雇用開発助成金
  • 障害者初回雇用奨励金
  • 発達障害者雇用開発助成金

障害者雇用に際して社内の施設や設備を改修する必要がある場合は、この助成金を活用するとよいでしょう。

日本のノーマライゼーションの取り組み事例

現在、日本でも少しずつノーマライゼーションの取り組みが進められています。ここでは、実際の取り組み事例を紹介します。

障害者雇用促進法

日本での代表的な取り組みのひとつは、1960(昭和35)年に制定された「障害者雇用促進法」です。障害者雇用促進法では、障害者の雇用の安定を目的として、差別の禁止や安全配慮等の義務が定められています。また、一定数以上の従業員が在籍している企業は、法定雇用率以上の割合で障害者を雇用しなければいけません。
当初の障害者雇用促進法は身体障害のみ対象でしたが、幾度かの法改正を経て、現在では身体障害・知的障害・精神障害のすべてが雇用義務の対象となっています。障害の有無に関わらず、すべての人が労働者として平等に活躍できる社会を作ることを目指しています。

厚生労働省の取り組み

厚生労働省では、ノーマライゼーションの理念に基づいた施策を実施しています。例えば、2003(平成15年)には障害者が自らサービス事業者を選択し、直接契約を行うための支援費制度を開始しました。その他にも、入院時の処遇改善や生活支援などの精神障害者の人権に配慮した取り組みや、障害者への情報提供の充実や介護者への援助といったさまざまなサービスを提供しています。

自治体の取り組み

国だけでなく、各自治体でもノーマライゼーションの理念に基づいた取り組みが行われています。例えば、神奈川県川崎市で実施されている「第5次かわさきノーマライゼーションプラン」では、障害福祉支援の発展を図ることを目的として、誰もが生活しやすい町づくりや障害者による社会参加の推進、地域リハビリテーションの構築など、ノーマライゼーションを実現するための計画が実施されています。

企業の取り組み

近年では、ノーマライゼーションへの取り組みを行う企業も増えてきました。例えば、りそな銀行の店舗では、優先ATMや優先シートの設置・視覚障害者に対応したATMの設置・イラストや英語によるコミュニケーションボードの設置などのサービスを実施しています。りそな銀行では、ノーマライゼーションの理念に基づき、障害の有無や年齢に関わらず、誰もが安心して利用できる銀行づくりを目指しています。

まとめ

この記事では、ノーマライゼーションについて解説しました。ノーマライゼーションは、誰もが平等に活躍できる社会を作るために必要不可欠な考え方です。しかし、日本ではまだ一般的とはいえません。障害者や社会福祉に対する正しい知識を身に着け、理解を深めることがノーマライゼーションを実現する上での近道となるでしょう。

監修者・江部 臨太郎

江部 臨太郎

新卒からアパレルショップ「FREAK'S STORE」に4年勤務。顧客売上全国1位を達成し副店長に昇格後、うなぎ屋「のだや」に転職。ホール責任者として2年勤務し、1年間の無職期間を挟み、リクルートに入社。広告メディア「SUUMO」を取り扱う一気通貫型の法人営業に2年間従事し、在籍期間で合計6回の社内表彰を獲得。その後、転職サイトdodaなどを取り扱うパーソルキャリアの新規事業開発室「Innovation Lab.」に転職。サービス業向けのDXを行うバーティカルSaaS「Sync Up」の新規事業立ち上げにBizサイド1人目としてジョイン。SaaS型パイプラインセールスの基盤構築と事業拡大に貢献。その後、パーソルイノベーションに転籍し、同事業部で計2年間、社内スタートアップの "0→1" フェーズに携わり、現職へ。執行役員として人材紹介サービス「Izul」の立ち上げに参画。現在はIzulの事業全体の戦略推進担当を担いながら、キャリアアドバイザーチームのマネジメント、及び自身もプレイヤーとして活動中。同時に個人事業主として、住宅メーカーやインテリアショップなどtoC事業者に向けたコンサルティング業務に従事している。

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株式会社Izulの広報チームが運用。20代〜30代の若手ハイクラス層から、圧倒的支持を獲得中。働き方や転職のコツなど、キャリアに役立つ情報を発信していきます。

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