嘱託とは?契約社員との違いや必要性、嘱託社員として働くメリットを解説

2022年11月29日

2024年4月2日

著者

Izul広報チーム

Izul広報チーム

嘱託とは、正式にポジションや役割を任命しないまま業務を依頼することです。そして嘱託社員は、企業と雇用関係を結ばずに依頼された業務を行う社員のことを指します。なお、この嘱託社員は、法律で明確に区分されているわけではありません。高齢化社会による労働人口の減少や定年年齢の引き上げなどにより、嘱託社員は注目されています。この記事では、嘱託社員に関連して、嘱託の意味や契約社員との違い、必要性、メリットなどを解説します。

嘱託(しょくたく)とは

嘱託とは正式にポジションや役割を任命しないまま業務を依頼することで、業務を依頼された人(嘱託社員)を指す場合もあります。多様な働き方への意識が広がり、嘱託のような正規雇用以外の働き方に注目が集まっています。

嘱託社員とは

嘱託社員は企業と雇用関係を結ばずに、依頼された業務を行う社員のことを指します。非正規雇用で有期雇用契約の一種です。労働条件などは会社と話し合い、合意した上で決定します。定年の人が退職前に企業に再雇用される形で雇用契約を結ぶことが多く、これまでに培った経験や知識を活かして同じ職場で働くことができます。

契約社員・業務委託との違い

嘱託社員とよく混同される言葉として、契約社員と業務委託が挙げられます。本章では、それぞれの違いを解説します。
契約社員は有期雇用契約に基づいて働く社員のことを指します。嘱託社員も有期雇用契約を結んで、一定期間働く形になるため嘱託社員も契約社員の一種です。嘱託社員を契約社員と呼ぶ企業もあります。
これに対して業務委託は企業に雇用される形ではなく、事業主として業務を行う働き方を指します。業務委託は委託主との間に雇用関係が発生せず、業務の委託側と受託側が対等な立場で業務を遂行するという特徴があります。

嘱託社員の必要性

嘱託社員が必要とされている背景には、日本の高齢化が進んでいることが理由のひとつに挙げられます。

定年引き上げによる需要増加

2013年に改定された「高年齢者雇用安定法」により、定年が60歳から65歳へ引き上げられました。現在は経過措置期間とされていますが、2025年4月からは定年制を採用している企業は65歳定年制が義務化されます。また、2021年4月1日に施工された改正「高年齢者雇用安定法」では、65歳から70歳までの人に対して就業機会を確保するため、70歳までの定年の引き上げと継続雇用制度などの措置を講ずる努力義務が新設されています。現在は努力義務ですが、今後70歳までの継続雇用が義務化されることが予想されます。
定年退職した方の力を借りる必要が出てきた背景から、定年後に再雇用する嘱託社員の需要は高まっていて、企業と労働者双方から嘱託という働き方が注目されています。

定年後の再雇用が必要になった

定年後再雇用制度は継続雇用制度のひとつで、継続勤務の意思を持つ従業員が退職後に新たな雇用契約を結ぶことができる制度のことを指します。なお、前段で紹介した高年齢者雇用安定法は、「定年制の廃止」「定年の引き上げ」「継続雇用制度の導入」のどれかひとつを企業が実施することを義務付けています。これより企業は従業員の定年後の再雇用が必要になりました。再雇用は従業員を一度退職扱いにして退職金などを支払ったあと、新たに雇用系契約を結びますが、一般的に雇用形態や労働条件が変更されます。
上記の措置を講じない企業は法令違反となり、指導・勧告が実施されます。それでも改善がされない場合は企業名公表の罰則が科されます。このように定年後の再雇用が必要になったことも、嘱託社員の重要性が上がっている要因のひとつでしょう。

特別なスキルを活かせる人材

嘱託社員は、これまで勤めてきた企業に再雇用され勤務するため、これまでのスキルや経験を活かすことができます。企業にとっても新たな従業員を雇用するより、これまで勤めてきた社員を雇用する方が教育や研修にかかるコストを抑えられるでしょう。
企業文化や内情を知っている嘱託社員は当然即戦力になりますし、一般的な中途入社社員とは違う特別なスキルを持つ人材です。こういった唯一無二のスキルをもっている点も、需要が高まっている要因のひとつだと考えられています。

嘱託社員の契約条件

嘱託社員になると給与が正社員雇用時と比較して、減少する傾向にあります。総務省の調査では、嘱託社員の年収は200万円〜299万円の層が最も多くなっています。正規労働者で最も多い年収層は300万円〜399万円であるため、約100万円の差があります。
しかし、上記の数値はあくまでも傾向で企業によって採用条件や待遇面が変わるため、必ず正社員よりも給与面での待遇が悪くなるとは一概に言えません。特に高い専門性を評価されて嘱託社員となった場合は、正規雇用の正社員より低いとは限らないでしょう。
例えば、管理職や高い専門性が必要な職種(ITエンジニア・コンサルタント等)は報酬が高くなる傾向があります。ボーナスや退職金の有無に関しても同様で、企業によって異なるため、嘱託社員になる際は、必ず雇用契約条件を確認しておきましょう。

嘱託社員として働くメリット

嘱託社員は現役時代と同じ会社で働けるほか、自分に合ったスタイルで働くことができるといったメリットがあります。詳しくは以下をご覧ください。

現役時代と同じ会社で働ける

嘱託社員はこれまで勤めていた企業に再度雇用される働き方であるため、企業文化やある程度の業務内容を理解した上で働くことができます。経験やスキルを活かしながら、慣れた職場で仕事を続けられる点は大きなメリットです。

責任や裁量権を変更できる

嘱託社員は大きな責任を伴わない業務を担当する場合が多いため、プレッシャーやストレスを感じずに仕事しやすいことが特徴です。会社に貢献してきた実績や人間性を活かして働ける場面が多く、正社員よりも自由に仕事ができるため、精神的に楽に働くことができるでしょう。

自分に合った働き方をしやすい

嘱託社員は労働条件や就業条件を会社と話し合って決めるため、労働日数や労働時間を調整できます。会社との合意が得られれば時短勤務や隔日勤務、フレックスタイム、リモートワークなどの働き方も可能で、正社員のときよりプライベートに重きを置いた働き方も実現できるでしょう。

嘱託社員として働く場合の注意点

自分に合った働き方ができるほか、プレッシャーが少ない嘱託社員ですが、デメリットも存在します。本章では嘱託社員として働く場合の注意点について解説します。

非正規雇用なので安定性に欠ける

嘱託社員は有期雇用契約であるため、契約期間に定めがあり、場合によっては契約が更新されないケースも考えられます。契約更新とならなかった場合に備えて、情報収集や人脈作りなどは予め行っておいた方が良いでしょう。また、前述したように嘱託社員は正社員時よりも収入が下がる傾向にあります。家計を見直し、無駄な出費を減らすといった金銭管理も重要です。

希望するポジションに就けない場合も多い

嘱託社員は一度企業を退職して再雇用されるため、再雇用時の労働条件が変わる可能性があります。退職前に担当していたポジションで仕事ができるとは限らず、全く別の職種や仕事内容の担当になることも考えられます。人によっては、希望するポジションで仕事ができないことがストレスになってしまう場合もあります。嘱託社員として働く際は雇用条件や労働条件はもちろん、具体的な業務内容や担当ポジションも把握して、納得のいく形で仕事ができるか事前に確認しておきましょう。

まとめ

この記事では、嘱託社員に関連して嘱託の意味や契約社員との違い、必要性、メリットを解説しました。有期雇用契約のひとつである嘱託社員は、労働人口が減少している日本で注目されている働き方です。正社員時代と同じ会社で働けるほか、労働条件が調整できるといったメリットはありますが、正社員勤務時と比較すると給与が下がる傾向にあったり、希望ポジションで仕事ができなかったりといったデメリットが存在するのも事実です。
定年退職を迎える予定のある方は、嘱託社員で働く特徴、メリットや注意点を理解して、今一度自分にあった働き方かどうか判断しておきましょう。

監修者・續 慶一

續 慶一

同志社大学を卒業後、教員兼某大学サッカー部監督を経て、大手外資系金融機関へ転職。その後、国内大手人材会社の人事を経て、起業。現在は人事コンサルティング、採用コンサルティングを自身が経営する会社で行いつつ、株式会社Izulには1人目の社員として入社し、現在は執行役員として従事。また九州大学の起業部にて事務局長を務める。
現在は、急成長のベンチャー企業、第二創業期に入っている企業など、様々な企業の役員や人事責任者とやりとりを行いコネクションを築いており、また自らキャリアセミナーや人事交流会などを積極的に開催しております。

著者プロフィール

Izul広報チーム

Izul広報チーム

株式会社Izulの広報チームが運用。20代〜30代の若手ハイクラス層から、圧倒的支持を獲得中。働き方や転職のコツなど、キャリアに役立つ情報を発信していきます。

Twitter

Facebook

LINE