カフェテリアプランとは、近年注目されている新たな福利厚生サービスのことです。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、注目度が高まっています。さまざまな企業で取り入れられているカフェテリアプランですが、その詳細までは把握できていない企業も多いでしょう。この記事では、カフェテリアプランの特徴や活用方法、導入による効果について解説します。カフェテリアプランで提供される主なメニューについても紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。
カフェテリアプランとは何か
カフェテリアプランとは、会社が従業員に一定のポイント(予算)を与え、会社が設定した福利厚生の補助メニュー(育児補助、介護補助、自己開発補助、住宅補助、スポーツ補助、検診補助、予防接種補助、旅行費用補助、レジャー補助など)の中から、従業員一人ひとりがポイントの範囲内で、自分に合ったメニューを自由に選択して利用できる「選択型福利厚生制度」のことをいいます。自分に合う福利厚生を自由に選べるため、自律型人材を育成する効果も期待できます。自由なメニューを選択できるカフェテリアが、その名前の由来です。
カフェテリアプランはなぜ生まれた?
カフェテリアプランは、1970年代にアメリカで誕生した「フレキシブル・ベネフィット・プラン」がベースになった制度です。医療コストの上昇や従業員のニーズの多様化を受け、福利厚生のフレックス化を求める動きが見え始めたことがきっかけで広まっています。日本では、1995年にベネッセコーポレーションが初めて導入しました。
なぜカフェテリアプランが求められているのか
カフェテリアプランは、従業員のライフスタイルの多様化がきっかけで注目されています。共働き、育児、シングルマザー、介護が必要な家族を抱えているなど、さまざまな事情をもつ従業員が増えてきている現代において、画一的な福利厚生では満足につながらないケースもあるでしょう。
新型コロナウイルスの影響で浸透してきた在宅勤務の環境下でも、画一的な福利厚生だけでは不十分に感じることが増えつつあります。このことから、自由に福利厚生を選択できるカフェテリアプランが注目されています。
カフェテリアプランと混同しやすいサービス
カフェテリアプランと似たサービスに、パッケージサービスが挙げられます。パッケージプランは、いくつかの福利厚生サービスをパッケージにして提供します。 内容によって複数のコースが用意されていて、従業員が各々定額制で利用できます。 カフェテリアプランは、サービスを社員が選択して利用できるプランです。
カフェテリアプランの主なメニュー
ここでは、カフェテリアプランで採用されることの多いメニューについて解説します。カフェテリアプランでは、主に以下の補助が受けられます。
住宅 | 家賃補助 住宅融資利子補給 引っ越し費用 |
財産形成 | 財形貯蓄奨励金 持株会奨励金 FP相談費用補助 |
健康/医療 | 健康づくり・フィットネス利用補助 各種健診・検診補助 メンタルヘルス利用補助 |
育児 | 保育園・託児所費用などの育児関連費用補助 育児用品 |
介護 | 介護関連費用補助 |
生活支援 | 社員食堂・食券利用補助 子ども教育費用補助 |
余暇支援 | 宿泊・旅行費補助 チケット・イベント・レジャー施設利用補助 |
自己啓発 | 資格取得補助 各種スクール補助 |
企業によって導入されるメニューは異なります。また、従業員のニーズによって利用頻度の高いメニューが異なることも把握しておきましょう。
カフェテリアプランと税金の関係
カフェテリアプランのポイントは、利用内容に応じて課税・非課税の判断が行われます。例えば、金券などの購入補助に該当する換金性のあるものは課税対象です。また、役職や職務上の地位によってポイントが変化する場合も課税対象になります。
対して健診や医療補助などは非課税になることもあります。カフェテリアプランを導入する際は、国税庁により掲示されている課税・非課税の内容を参照してください。
カフェテリアプランはこんな時に役立つ!おすすめの使い道
カフェテリアプランは、日常のさまざまなシーンで活用できます。ここでは、カフェテリアプランの使い道の例をいくつか紹介します。
旅行・レジャー
カフェテリアプランには旅行費やレジャー施設の利用補助があります。休日を充実させる目的で利用できる点は、カフェテリアプランのメリットといえるでしょう。ただし、旅行費やレジャー施設の補助は課税対象となるため、注意してください。
育児・介護
育児にかかる費用や介護施設の利用費など、家族に対して利用できるサービスが充実している点もカフェテリアプランの特徴です。育児・介護をスムーズにできるメニューが多いため、仕事との両立に悩んでいる方は積極的に利用しましょう。
食費の節約
カフェテリアプランには昼食代や社食の食券など、仕事中の食費をサポートするメニューも含まれています。毎日の食費は積み重なることでかなりの金額になるため、利用するのがおすすめです。ただし、企業によっては課税対象になることを覚えておきましょう。
企業内の部活
企業によっては、業務時間外の交流の場として部活動を実施しているところもあるでしょう。カフェテリアプランは、社内部活動などに利用できる場合があります。より充実した部活動を実施するために、積極的に活用してみましょう。
カフェテリアプランを効果的に活用する方法とは
カフェテリアプランは、税金やポイントに関して無計画になってしまうと損をしがちです。また、従業員ごとにポイントの差が出てしまうと、不満が出る可能性もあります。ここでは、これらの観点に関連したカフェテリアプランの有効活用について解説します。
税金に関するアンテナを張る
カフェテリアプランは、ポイントによって課税・非課税の対象が異なります。何も考えずに自由な福利厚生ばかりを選んでしまうと、税金が多くかかってしまうこともあります。自社で利用したい福利厚生が、課税か非課税かを事前に確認しておくことが大切です。
ポイントを計画的に活用する
カフェテリアプランの導入・利用には、手間とコストがかかります。ポイントを管理するシステムを自社で取り入れたとしても、システムの管理そのものにコストがかかるでしょう。従業員にカフェテリアプランのポイントを計画的に活用してもらうためには、システムを柔軟に変化させることが求められます。また、福利厚生代行サービスなどを積極的に採用し、カフェテリアプランの負担を軽減させることも大切です。
従業員ごとにポイントや待遇の差が出ないようにする
カフェテリアプランを導入する企業の多くは、単年度精算方式を採用しています。単年度精算方式とは、消化できなかったポイントが翌年に繰り越せない制度のことです。これにより、ポイントを年内に消化できなかったり、無理やり使わなければならなかったりといった観点での不満が発生する場合があるので、注意が必要です。
カフェテリアプランの導入による効果
カフェテリアプランを導入することで、企業のイメージ作りや福利厚生の管理、従業員満足度につながる効果が期待できます。以下では、カフェテリアプランのメリットともいえる効果について解説します。
企業のイメージ作りに活用できる
カフェテリアプランは、従業員の要望や企業理念に合わせた制度を設計するのが一般的です。そのため、カフェテリアプランがそのまま企業メッセージとして代用できます。積極的にポイントを消化する風土を作れば、福利厚生が利用しやすい企業というイメージも生まれるでしょう。
福利厚生が管理しやすくなる
カフェテリアプランを導入することで、従業員一人ひとりに対して付与される福利厚生のコストを明確に把握できます。福利厚生の利用で予算を上回る心配もないため、管理がしやすくなるでしょう。ちなみに年間の予算上限は従業員数に応じて決定されるため、企業規模によって変動します。
福利厚生に関する従業員満足度が高まる
カフェテリアプランは従業員がそれぞれのニーズに合った福利厚生を選択できるため、不公平感が緩和される効果があります。従業員が主体となって福利厚生を選択することで、自主性の尊重にもつながるでしょう。ライフスタイルに合わせた福利厚生を自由に利用できることが、モチベーションアップにつながる可能性もあります。
まとめ
この記事では、近年注目されるカフェテリアプランについて解説しました。従業員一人ひとりのライフスタイルに応じた、さまざまな福利厚生を利用できます。
カフェテリアプランを導入する際は、税金やポイント消化、待遇の差に注意する必要があります。従業員の不満につながらないよう導入することで、さまざまな効果が期待できるでしょう。企業にとっても、福利厚生を管理しやすくなるという大きなメリットがあります。福利厚生についての悩みを抱えている企業はカフェテリアプランの導入を検討してみてはいかがでしょうか。