採用におけるミスマッチとは?発生する原因や有効な対処法を解説

2022年9月9日

2024年4月26日

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Izul広報チーム

Izul広報チーム

人材の流動性が高まっている現代では、企業と求職者の双方が求めるものがずれてしまう「雇用のミスマッチ」が非常に多くなっています。一度ミスマッチが発生すると、多額の採用コストや人件費が無駄になり、職場全体に悪影響を及ぼします。トラブルを防ぐためには、ミスマッチの特性を理解し、あらかじめ対策を練ることが重要です。この記事では、就職・転職におけるミスマッチの発生原因や、有効な対処法について詳しく解説します。

ミスマッチとは

ミスマッチとは、「組み合わせを誤る」または「不釣り合いな縁組みをさせる」という意味の英語です。就職・転職などのビジネスシーンで使われることが多く、採用においては、人事担当者と求職者の双方に大きな認識の違いがあることを意味します。転職のミスマッチは入社後に発覚するケースが大半で、職場の風土・働き方・同僚との相性・スキル適正など、さまざまな要因があります。

【転職におけるミスマッチの原因】

・求人要件に見合う経験、スキルを持ち合わせていなかった

・配属ポジションで期待した活躍をしてくれなかった

・入社前の想像と実際の労働環境に大きな相違があった

・仕事内容や福利厚生に認識違いがあった

アンマッチとの違い

アンマッチとは、「一致するものがない為に組み合わせができないこと」を意味する英語で、こちらも日常的に使用される単語です。企業の採用活動においては、条件に一致する人がいない為に採用に至らない状態を指します。採用そのものができていない状態なので、入社後に発生するミスマッチとは意味が異なります。

ミスマッチによって起こる損害

採用後にミスマッチが発生した場合、さまざまな方面で損害が発生します。ここからは、ミスマッチの具体的なリスクについて解説します。

採用費・教育費の損失

株式会社リクルートが2019年に行った調査によると、新卒採用における1人当たりの平均採用コストは93,6万円。新入社員の場合は入社後も研修や業務サポートを行うため、1~3ヵ月程度は支払う給料も未来への投資という位置付けになります。これに加えて社会保険料や教育研修費も必要になるため、早期退職に繋がった場合は多額のコストが無駄になってしまいます。

訴訟の発生リスク

企業が公開している求人内容に嘘があった場合、求職者から訴訟を起こされるリスクがあります。実際のところ、求人募集や仕事内容に相違があった場合でも、法律による罰則規定などは存在しません。しかし、仮に求職者側から訴訟に持ち込まれた場合、企業イメージや社会的信用の低下、炎上リスクなどのダメージは計り知れません。法務部署・人事担当者への負担や、弁護士を立てて長期的に争う労力を考えると、損害賠償額以上の代償を支払うことになります。

雇用したら簡単には解雇できない

採用した求職者にミスマッチが発生し、すぐにでも辞めてほしい場合でも、日本の法令では一方的に解雇することが禁じられています。従業員の行為に重大な問題があり、注意勧告を行っているにも関わらず改善が見られない場合は、法令的に解雇が妥当になるケースもあります。

しかし多くの場合、他部署への異動措置といった代替案の実行を求められることが多く、即時解雇できる可能性はかなり低いです。正社員雇用契約を締結している場合は、よほどの理由がない限り解雇できないことを覚えておきましょう。

ミスマッチへの対処法

採用活動におけるミスマッチを防ぐには、「認識のズレをなくすこと」「求職者の本質を見極めること」が何よりも重要です。ここからは、ミスマッチの対処法を5つの項目で解説します。

雇用条件を採用市場に合わせる

求職者が求める雇用条件のトレンドは、刻一刻と変化しています。競合他社と雇用条件を比較し、採用市場に見合った条件の求人を掲載しましょう。特に入社後にミスマッチが起こりやすい給与・賞与・昇給率・福利厚生などの項目は、キャリアアップ事例や年収目安などをできる限り詳細に記載することが重要です。

積極的に情報開示を行う

ミスマッチの要因のひとつが、求職者が自分に都合の良い想像や期待を膨らませてしまうことです。より具体的な仕事内容や、ネガティブな要素をあえて開示することで、入社後に感じやすい期待値とのギャップを最小限に防げるようになります。また、多くの情報を開示することで他社求人との比較が容易になり、ミスマッチが起こりそうな求職者が応募しなくなる効果も期待できます。

リファレンスチェックの導入

リファレンスチェックとは、求職者が前職で接してきた関係者(職場を共にした上司や同僚など)から、求職者の情報をヒアリングすることです。主に即戦力を求める中途採用に使われる手法で、企業側がマッチング度を見極めたい場合にとても有効な手段になります。履歴書や面接で確認できる事項は自己申告なので、対面ではわからない他者からの評価や人柄について聞き出せるのは大きなメリットです。一方で、求職者側が利用できるリファレンスチェックに類似した手法は、元従業員の口コミ情報リサーチや、現職社員とのカジュアル面談などが該当します。

入社後のフォローアップ

採用時にはミスマッチがなかったはずなのに早期退職者が減らない場合は、入社後のフォローアップ体制を見直す必要があります。「採用した求職者にどのような研修・サポートを行っているか」「仕事や職場の雰囲気に対してどんな反応を示したか」など、逐一様子を伺いつつ、ミスマッチの要因になりそうな事案を排除しましょう。適切なフォローアップ体制を構築するには、採用側・現場側の双方が連携し、求職者の特性に合ったサポートを実行する必要があります。

紹介予定派遣・トライアル雇用の活用

実際の働きぶりや仕事内容を事前に確認したい場合は、正式入社前に働ける「紹介予定派遣」や「トライアル雇用」といった制度を活用するのがおすすめです。業界未経験者を採用する場合、実際に働いてみないと判断できない部分が企業側・求職者側の双方に存在しています。表面的な要素しか分からない書類選考・オンライン面接などでは判断材料が不足しているため、ミスマッチが一定の確率で起こり得ます。上記制度を利用することで、面接では見えにくい芯の部分や適性を捉えやすくなります。

ミスマッチが起こりやすい外国人雇用の注意点

採用の現場で特にミスマッチが起こりやすいのが、外国人を雇用する場合です。人手不足が深刻化する業界では、「特定技能実習制度」を活用した外国人の受け入れが活発化しており、採用に不慣れな企業がトラブルに直面するケースが増えています。

ここからは、外国人雇用によって起こりやすいミスマッチと、事前にトラブルを防ぐ対処法を解説します。

法律・制度を把握する

日本政府は外国人労働者の受け入れ拡大の観点から法令・制度の見直しを頻繁に行っており、年々制度が複雑化しています。法制度に対する知識が不十分であったために、外国人労働者との雇用トラブルに発展する事例も多いので、事前に重要事項を把握してから採用を進めることが大切です。

例えば、外国人労働者の新規採用および離職時には、当該外国人の氏名・在留資格・在留期間を明記した「外国人雇用状況届出書」を厚生労働大臣(ハローワーク)に届け出る義務があります。これを怠った場合、30万円以下の罰金が科される可能性があります。

そのほか、外国籍を理由に労働条件を変える差別の禁止や、パスポート・在留資格の確認義務など、通常の採用と比べて知っておかなければならないポイントが多くあります。

労働契約を締結する

外国人を雇用する際に結ぶ雇用契約書や就業規則は、日本人と同じものを使用できます。ただし、相手が内容を正しく理解できていなければ意味がありません。認識の齟齬をなくすためには、外国人労働者の母国語に翻訳したものを準備しておく必要があります。

また、雇用契約を締結する際は、重要事項の説明については通訳を介して行うと良いでしょう。自社で対応出来ない場合は、外国人雇用の支援を行う社会保険労務士や弁護士など、外部の専門機関の助けを借りることをおすすめします。

文化や言葉の違いを理解する

日本は島国特有の閉ざされた社会文化が根付いており、職場においては場の空気を読んだ対応や同調意識を求められるケースがよくあります。しかし、外国人労働者には、このような微妙なニュアンスは伝わりません。逆に外国人労働者には母国の文化があり、そこには日本とは別の社会ルールが存在しています。

異文化コミュニケーションを円滑にするには、相手のことを理解したいという気持ちが最も重要です。「働き方にどんな信念を持っているか」「母国ではどんな価値観が重視されるか」などを積極的にヒアリングしましょう。相互理解が進めば、働き方や人間関係のミスマッチを防ぎやすくなります。

活躍しやすい職場環境を整える

日本の生活に慣れていない外国人労働者の定着率を高めるために、働きやすい職場環境を整えておきましょう。雰囲気の良い職場を作ればミスマッチを感じにくくなり、仕事面だけでなく私生活の悩みも気軽に相談しやすくなります。業務マニュアルや職場のルールを母国語で記載したり、日本語習得のサポートを実施したりと、具体的な働きかけ・声がけを行うのも有効です。

まとめ

今回は就職・転職の際に起こりやすいミスマッチの特徴について詳しく解説しました。認識の齟齬でミスマッチが起こると、多額の採用コストが無駄になり、企業と求職者の双方がダメージを負ってしまいます。採用時や入社後のフォローで防げるポイントも多々あるので、現状ですぐに実施できそうな施策から徐々に取り組んでみてください。

監修者・植草 陽光

植草 陽光

日本製鉄株式会社⇒株式会社リクルート⇒株式会社Izul

1社目では製鉄所での生産管理、本社でのグローバル購買職などバックオフィス系の業務に従事。29歳で営業未経験でリクルートに入社し、地場大手会社の深耕営業を実施し入社半年で表彰を獲得。自身が転職を通じて人生を変えた経験から、Izulのビジョンに共感し、現在は同社のキャリアアドバイザー職として従事。

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株式会社Izulの広報チームが運用。20代〜30代の若手ハイクラス層から、圧倒的支持を獲得中。働き方や転職のコツなど、キャリアに役立つ情報を発信していきます。

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