目次
- ハイタッチ営業(ハイタッチセールス)とは
- ハイタッチ営業(ハイタッチセールス)のメリット
- ハイタッチ営業(ハイタッチセールス)のデメリット
- ハイタッチ営業(ハイタッチセールス)の進め方
- ハイタッチ営業で重要なKPIとは?
- ハイタッチ営業(ハイタッチセールス)を成功に導くためには?
- ハイタッチ営業に役立つ営業手法
- ハイタッチ営業でよくある質問
- まとめ
| 【この記事のポイント】 ・ハイタッチ営業は顧客と直接向き合い信頼関係を築く営業手法 ・高単価商材やBtoB商材で効果を発揮しやすい一方、工数に注意が必要 ・成果を出すには顧客選定から導入後フォローまで設計することが重要 |
ハイタッチ営業は企業と顧客が直接やり取りしつつ、ハイタッチできるような関係を目指す営業手法です。代理店を通したやり取りとは異なり、顧客への十分なヒアリングや信頼関係の構築が重要となります。
今回は、ハイタッチ営業(ハイタッチセールス)の特徴や直販営業との違い、メリット、成功させるポイントなどについて詳しく解説します。
ハイタッチ営業(ハイタッチセールス)とは
ハイタッチ営業(ハイタッチセールス)とは、企業が代理店を介さずに顧客と直接やり取りする営業手法です。企業と顧客が一丸となり、ハイタッチできるような関係を目指すことから、このように呼ばれています。信頼関係の構築を最重視しており、結果として売上につながるという考え方に基づいて営業活動を行います。
ここからは、ハイタッチ営業と直販営業やパートナー営業との違いについて詳しくみていきましょう。
直販営業との違い
直販営業とは、メーカーが顧客企業に直接アプローチする営業方法です。ハイタッチ営業は代理店が存在する状況において、代理店を介さずにやり取りを行うことを指します。一方で直販営業は、もともと代理店が存在しない状況で、メーカーが顧客企業とやり取りする方法のことです。
近年ではサブスクリプションやクラウドサービスの台頭をきっかけに、代理店を介さずに営業する方法が主流になっています。それを受け、直接顧客とやり取りをする営業手法はまとめて「ハイタッチ営業」と呼ばれるようになりました。
パートナー営業との違い
パートナー営業とは、メーカーが代理店やパートナー企業を支援する活動のことです。ハイタッチ営業と同じく、お互いが一丸となりハイタッチできるような関係を目指すことから、両者には共通点があります。
ハイタッチ営業(ハイタッチセールス)のメリット
ハイタッチ営業は成功すれば代理店を介した方法よりも多くの利益を得られる営業手法です。ここからはハイタッチ営業のメリットについて詳しくみていきましょう。
継続購入に繋がりやすい
ハイタッチ営業は顧客との信頼関係の構築を目指します。強い信頼関係を構築できれば、継続購入や他製品・サービスの購入につながりやすくなります。インターネットの普及により、顧客は製品・サービスの情報を容易に入手できるようになりました。そのため「何を買うか」ではなく、「誰から買うか」を重視するケースが増えています。
そのためハイタッチ営業は、現代に合っている営業方法と言えるでしょう。
コストを削減しやすい
ハイタッチ営業は代理店を介さないため、中間マージンが発生しません。コスト削減効果によって利益率が向上します。代理店を介さない取引に変更すれば、取引額次第では多くの利益を得ることができるのです。
代理店を経由しないため詳細な情報を提供できる
代理店を介する取引では、顧客の情報が代理店でストップしてしまうケースが少なくありません。ハイタッチ営業で顧客と直接やり取りすると、顧客のより詳細な情報を入手できます。顧客情報を把握できていれば、顧客から詳しい情報の提供を求められた際にも速やかな提供が可能になります。
適切なアプローチ方法を把握しやすい
顧客ニーズが多様化する現代では、顧客のニーズや課題を的確に把握したうえで適切な手法でアプローチすることが求められます。ハイタッチ営業は顧客の生の声を聞けるため、ニーズや課題の把握や的確なアプローチが可能になります。
ハイタッチ営業(ハイタッチセールス)のデメリット
ハイタッチ営業は顧客ごとに丁寧な対応が必要になるため、効率や再現性の面では注意すべき点もあります。
ここでは、ハイタッチ営業を行ううえで理解しておきたいデメリットと注意点を解説します。
コストと工数がかかる
ハイタッチ営業では、顧客ごとに課題を把握し、個別に提案内容を設計する必要があります。
商談前の情報収集や資料作成、複数回の打ち合わせ、導入後のフォローなどに時間がかかるため、一般的な営業手法よりもコストと工数が大きくなりやすい点がデメリットです。
特に、単価の低い商材や検討期間が短い商材に対してハイタッチ営業を行うと、かけた工数に対して十分な利益を得られない可能性があります。
属人化しやすい
ハイタッチ営業は、顧客との関係構築や課題の引き出し方、提案の進め方が担当者のスキルに左右されやすい営業手法です。
そのため、成果を出している営業担当者のやり方が共有されていない場合、特定の人に依存した状態になりやすい点に注意が必要です。
対応できる顧客数に限界がある
顧客一人ひとりに時間をかけて対応するため、担当者が同時に対応できる顧客数には限界があります。
すべての顧客に対して同じレベルの対応を行おうとすると、営業担当者の負担が大きくなり、商談品質やフォローの質が下がるおそれがあります。
ハイタッチ営業では優先順位が重要で、受注見込みの高い顧客、売上規模の大きい顧客、継続的な取引が期待できる顧客などを見極め、限られたリソースを効果的に配分する必要があります。
要望が膨らみやすい
顧客と密にコミュニケーションを取るため、要望や相談を受ける機会が多くなります。
すべての要望に対応しようとすると、提案範囲や対応範囲が広がりすぎる可能性があります。
要望が膨らみすぎると、営業担当者や社内の関係部署に負担がかかるだけでなく、採算が合わなくなるケースもあります。
ハイタッチ営業(ハイタッチセールス)の進め方
ハイタッチ営業で成果を出すには、どの顧客に注力するか、どのように課題を把握するか、どのタイミングで提案やフォローを行うかを整理しておくことが重要です。
ここでは、ハイタッチ営業の基本的な進め方を5つのステップに分けて解説します。
ターゲット選定と優先順位付け
ハイタッチ営業では、すべての顧客に同じ工数をかけるのではなく、注力すべき顧客を見極めることが重要です。
顧客ごとに丁寧な対応を行う分、対応できる件数には限りがあるため、見込み度や受注単価、継続取引の可能性などを踏まえて優先順位を決める必要があります。
たとえば、課題が明確で導入意欲が高い企業、意思決定者との接点を持てる企業、将来的な取引拡大が見込める企業などは、ハイタッチ営業の対象として優先度が高いといえます。
営業リソースを適切に配分することで、限られた時間の中でも成果につながりやすくなります。
初回接点とヒアリング
ターゲットを選定したら、初回接点を通じて顧客の状況や課題を丁寧に把握します。
ハイタッチ営業では、最初から商品やサービスを売り込むのではなく、顧客がどのような課題を抱えているのか、なぜ今解決が必要なのかを深く理解することが大切です。
ヒアリングでは、現在の業務状況、導入を検討している背景、意思決定に関わる人物、予算やスケジュールなどを確認します。
表面的なニーズだけでなく、顧客自身も気づいていない課題を引き出せると、より納得感のある提案につなげやすくなります。
提案設計と合意形成
ヒアリングで把握した情報をもとに、顧客の課題に合わせた提案内容を設計します。
ハイタッチ営業では、決まった提案資料をそのまま使うのではなく、顧客の状況や目的に合わせて、導入後の効果や活用イメージを具体的に伝えることが重要です。
また、BtoB商材や高単価商材では、担当者だけでなく、上長や経営層、現場部門など複数の関係者が意思決定に関わるケースもあります。そのため、関係者ごとの関心や懸念を整理し、導入の必要性を社内で説明しやすい形に落とし込むことが大切です。
導入支援と運用フォロー
受注後は、導入がスムーズに進むように支援することもハイタッチ営業の重要な役割です。
契約後の対応が不十分だと、顧客が期待していた効果を得られず、満足度の低下や早期解約につながる可能性があります。
導入支援では、利用開始までの流れや必要な準備、社内での運用体制などを確認しながら、顧客が迷わず進められる状態を整えます。
導入後も、定期的に状況を確認し、活用上の課題や追加の要望を把握することが重要です。営業担当者だけで対応するのではなく、カスタマーサクセスやサポート部門と連携しながらフォローすることで、顧客満足度を高めやすくなります。
更新提案とアップセル提案
ハイタッチ営業では、契約を獲得して終わりではなく、継続的な関係構築を通じて更新や追加提案につなげることも重要です。
導入後の成果や利用状況を定期的に確認し、顧客にとっての価値を可視化することで、契約継続の判断材料を提供できます。
また、顧客の事業状況や組織課題が変化すれば、追加機能の導入や上位プランへの変更、別部門への展開などの提案余地が生まれることもあります。
ただし、アップセルを優先しすぎると顧客の信頼を損なう可能性があるため、あくまで顧客の課題解決につながる提案であることが前提です。
継続的なフォローを通じて、顧客との関係性を深めながら長期的な取引につなげていきましょう。
ハイタッチ営業で重要なKPIとは?
ハイタッチ営業では、顧客ごとに丁寧な提案やフォローを行うため、単純な架電数や商談数だけでは成果を測りにくい場合があります。
営業活動量は重要ですが、顧客との関係構築や課題解決にどれだけつながっているかを確認する視点が欠かせません。
そのため、KPIを設定する際は、受注件数や売上だけでなく、商談化率、受注率、顧客単価、継続率、アップセル率などを組み合わせて確認することが重要です。
特にBtoB商材や高単価商材では、受注までの期間が長くなりやすいため、最終的な成果だけでなく、商談の進捗や顧客との接点の質も評価対象になります。
代表的なKPIとしては、以下があります。
- 受注率:商談から受注につながった割合
- 平均受注単価:1件あたりの受注金額
- 商談化率:見込み顧客から商談につながった割合
- LTV:顧客が取引期間全体で生み出す利益
- 継続率:契約や取引が継続している割合
- アップセル率:既存顧客に追加提案や上位プランの提案が成立した割合
- 商談期間:初回接点から受注までにかかった期間
ハイタッチ営業では、短期的な売上だけを追うと、顧客との関係構築や中長期的な取引機会を見落としてしまう可能性があります。
顧客の課題を深く理解し、継続的な価値提供につなげるためにも、複数のKPIをバランスよく見ることが大切です。
【ポイント】
営業職として転職を考える場合、これらのKPIを意識して実績を整理しておくと、選考時のアピールにもつながります。
「受注率を改善した」「平均単価の高い顧客を担当した」「既存顧客へのアップセルに成功した」など、具体的な成果を数値で伝えられると、ハイタッチ営業の経験をより評価されやすくなるでしょう。
ハイタッチ営業(ハイタッチセールス)を成功に導くためには?
ハイタッチ営業を成功に導くためには、顧客の課題を解決するためのヒアリングと提案が必要です。次のポイントを押さえることで、成功率が高まります。

顧客の潜在ニーズを掴む
ハイタッチ営業では、顧客のニーズを把握したうえで課題を抽出する必要があります。顕在ニーズはもちろん、顧客自身が気づいていない潜在ニーズを把握するために、仮説を立てて質問を投げかけましょう。
提案よりもヒアリングを重視する
ハイタッチ営業では、製品・サービスの提案力はもちろんヒアリング力が求められます。ヒアリングが不十分だと的確な提案もできないため、まずはヒアリングを重視しましょう。課題が何かを尋ねるのではなく、こちらから「これが課題ではありませんか?」と投げかけることが大切です。
このようなヒアリングは、顧客との信頼関係の構築にもつながります。
アフターフォローを徹底する
顧客と継続的な関係を構築するには、成約後のアフターフォローも重要です。1回の営業ではニーズや課題を完全に把握することは困難なため、継続的なフォローで深掘りする必要があります。親身な対応を続けることで、顧客からの信頼獲得につながります。
ハイタッチ営業に役立つ営業手法
ハイタッチ営業では、顧客の課題を抽出したうえで的確な提案を行う営業手法が適しています。ここからはハイタッチ営業で役立つ営業手法を3つ解説します。
インサイト営業
インサイト営業とは、顧客が気づいていない潜在的課題を発見し、解決方法を提案する営業手法です。顧客の情報を理解したうえで情報を分析し、課題の仮説を立てます。その課題が正しい場合は、課題解決方法として自社の製品・サービスを提案する流れです。潜在ニーズを把握したうえで課題の抽出、提案へとつなげるため、顧客に納得感を与えることができます。
SNAP営業
SNAP営業とは、顧客と同じ目線に立ってアプローチする営業手法です。次の4つの考え方を念頭に置いて、顧客と目線を合わせます。
- シンプル(Simple)
- 唯一無二の存在(iNvaluable)
- 常に顧客に寄り添う(Align)
- 顧客優先(Priority)
SNAP営業では、顧客が買うか買わないかだけではなく、第3の選択肢があることを考慮しなければなりません。3つめの選択肢には、以下の3パターンがあります。
- 営業担当者と会うかどうか
- 現状を変えるかどうか
- リソース(資金や資材、供給源など資源全般)を変えるかどうか
上記3つを突破することで、顧客は製品・サービスの購入を決めます。
SPIN話法
SPIN話法とは、顧客への質問を通じて課題やニーズを引き出し、製品・サービスの必要性を自然に認識してもらう営業手法です。
顧客との対話を重視する手法のため、信頼関係の構築が重要となるハイタッチ営業と相性が良いといえます。
SPIN話法は、以下の4つの質問で構成されています。
- Situation question(状況質問):顧客の現状や業務環境を把握する質問
- Problem question(問題質問):顧客が抱える課題や不満を引き出す質問
- Implication question(示唆質問):課題による影響やリスクに気づかせる質問
- Need-payoff question(解決質問):解決後に得られる効果を認識させる質問
ハイタッチ営業では、顧客ごとに異なる課題や意思決定プロセスを深く理解したうえで提案を行う必要があります。
SPIN話法を活用することで、一方的な売り込みではなく、顧客の状況に合わせた提案につなげやすくなります。
特に高単価商材やBtoB商材では、導入までに複数の関係者が関わるケースも少なくありません
SPIN話法によって課題の背景や導入後のメリットを整理できれば、顧客側の納得感を高め、成約率の向上にもつながります。
ハイタッチ営業でよくある質問
最後に、ハイタッチ営業への転職を考えている方に向けてよくある質問を紹介します。
ハイタッチ営業に向いている人の特徴は何ですか
ハイタッチ営業に向いているのは、顧客と中長期的な関係を築きながら、課題に合わせた提案を行える人です。単に商品やサービスを売るだけでなく、顧客の事業内容や組織課題を理解し、最適な解決策を考える姿勢が求められます。
また、顧客との信頼関係を築くうえでは、ヒアリング力や誠実な対応も重要です。短期的な成果だけでなく、顧客の成功を見据えて伴走できる人は活躍しやすいでしょう。
ハイタッチ営業ではどのようなスキルが求められますか
ハイタッチ営業では、顧客の課題を正しく把握するヒアリング力、課題に合わせて提案を組み立てる提案力、意思決定者や関係者と関係を築くコミュニケーション力が求められます。
特にBtoB営業や高単価商材では、導入までに複数の関係者が関わることも多いため、相手の立場に合わせて説明する力や、社内外を巻き込む調整力も重要です。
営業職としてキャリアアップを目指す場合、これらのスキルを実務で磨ける点は大きな強みになります。
ハイタッチ営業の経験は転職で評価されますか
ハイタッチ営業の経験は、転職市場でも評価されやすい経験の一つです。
特に、法人営業、無形商材営業、SaaS営業、コンサルティング営業などでは、顧客の課題を深く理解し、個別に提案した経験が強みになります。
転職活動でアピールする際は、単に「ハイタッチ営業をしていた」と伝えるだけでなく、担当していた顧客層、商材単価、提案内容、成果、関係構築の工夫などを具体的に整理してアピールしましょう。
ハイタッチ営業は未経験からでも挑戦できますか
ハイタッチ営業は未経験からでも挑戦できます。ただし、扱う商材や顧客の課題が複雑になりやすいため、基本的な営業スキルや顧客対応の経験があると有利です。
営業未経験の場合は、まずは法人営業やインサイドセールス、カスタマーサクセスなどで顧客理解や提案の基礎を身につける方法もあります。
ハイタッチ営業の代表的なキャリアパスは何がありますか
法人営業、エンタープライズ営業、アカウントマネージャー、カスタマーサクセス、営業マネージャーなどのキャリアにつながります。顧客の課題に深く入り込み、継続的な関係を築く経験は、営業職としての市場価値を高めやすい要素です。
また、業界や商材によっては、事業開発、営業企画、コンサルタントなどにキャリアを広げられるケースもあります。
まとめ
ハイタッチ営業は、顧客と直接やり取りしながら課題を深く理解し、最適な提案につなげる営業手法です。高単価商材やBtoB商材など、丁寧なヒアリングや信頼関係の構築が重要な商材と相性があります。
一方で、顧客ごとに時間をかけて対応するため、コストや工数がかかりやすく、担当者のスキルに成果が左右されやすい点には注意が必要です。成果を出すには、ターゲットの見極めや課題に合わせた提案、継続的なフォローが重要になります。
ハイタッチ営業に興味がある方や、営業職としてのキャリアに悩んでいる方は、転職市場でどのような経験が評価されるのかを整理しておくことが大切です。
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