多能工とは?必要とされる業界やメリット・デメリットを解説

2023年12月24日

2024年4月26日

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Izul広報チーム

Izul広報チーム

少子高齢化の影響で労働人口が減少している現代においては、一人あたりの生産性の向上が求められています。このような背景の中で誕生したのが、複数のタスクを遂行する「多能工」です。本記事では、多能工の特徴や必要とされる業界、メリット・デメリットについて詳しく解説します。

多能工とは

多能工とは、複数の業務を一人で担当できるマルチスキルを持つ人材のことです。多能工を育成・活用する取り組みを「多能工化」といい、生産性の向上や業務のスムーズな進行などを目的に推進されています。ここからは、多能工と単能工との違いについて詳しく見ていきましょう。

単能工との違い

単能工とは、1つの業務を専門的に行う人材のことです。特定の業務において高いスキルや専門知識を持ち、効率的かつ優れた生産性を発揮します。その一方で、他の業務については十分な知識を有しておらず、十分な成果を挙げることが難しい傾向があります。

一方、多能工は複数分野における知識や技術を持っているため、複数の業務を担当できます。なお、特定の分野において多能工が単能工に劣るとは限りません。複数の業務を単能工以上のレベルで遂行できる人材も存在します。

多能工の必要性が高い業界

多能工はすべての業界で必要とされているわけではありません。ここからは多能工が必要とされている業界について、その理由を含めて詳しく解説します。

建設業

建設プロジェクトはさまざまな専門的な作業が組み合わさっているため、複数のスキルを持つ多能工が重要な役割を果たします。例えば建設現場では、基礎工事から建物の骨組み、内装、配管、電気工事など、多様な作業が同時に進行します。これらの作業は単一のスキルだけではカバーしきれません。

建設業界は人手不足の問題が深刻化しているため、今後はますます多能工の必要性が高まるでしょう。

製造業

近年の競争激化と市場の変動により、多能工化の必要性が高まりつつあります。製造業の競争力を左右する要因は「品質(Quality)」、「コスト(Cost)」、「納期(Delivery)」の3つです。

多能工は異なる作業を効率的にこなせるため、生産プロセスのスムーズな遂行に寄与します。また、複数の業務を担当できる人材がいれば、単能工をより適した業務に配置できるのです。

流通業

流通業のうちスーパーマーケットにおいては、惣菜、鮮魚、精肉、品出し、レジなど複数の部門に分かれており、各部門の業務の特性により、忙しい時間帯と余裕のある時間帯が異なります。多能工は、朝が忙しい品出しを担当しつつ、午後は忙しくなるレジを担当することも可能です。

多能工化によって業務のバランスを調整し、人員の配置を最適化することで、コストを抑制しつつ全体の生産性を向上させることができます。

多能工のメリット

多能工の複数業務を担当できる特性により、企業はコストを抑えつつ大きな利益を得られます。ここからは、多能工を活用するメリットについて詳しく見ていきましょう。

業務量が偏らないように割り振りが可能になる

多能工は複数の異なる業務をこなすことができるため、他の従業員の業務量が偏らないように人員の割り振りが可能になります。

繁忙期や特定の業務が急に増加する場合でも、他の業務からスムーズに人材を転換し、業務の偏りを軽減できるでしょう。

業務のリスク管理がしやすくなる

特定の業務の担当者が病気や家庭の事情で休暇を取った場合でも、多能工がその業務をフォローできるため、プロジェクトのスケジュールが遅れるリスクが軽減します。ただし業務によっては、日頃からある程度担当しておかなければ、スムーズな業務の進行は難しいでしょう。

多角的な視点を持てる

複数の業務を遂行することで、多角的な視点を持てます。多能工は自身の専門分野だけでなく、他の業務にも関与するため、組織内の異なる業務のつながりや重要性を理解し、組織全体の関係性を踏まえた視点を持つことができます。その結果、他のチームや部門とのコミュニケーションがスムーズになり、チーム力が向上するでしょう。

多能工のデメリット

多能工が多いからといって、必ずしも企業のコスト削減やリスクの低減を実現できるとは限りません。次のデメリットを理解したうえで、多能工化を検討することが大切です。

現場の統制に手間がかかる

多能工が自身の判断で複数の業務を行う場合、誰がどの業務を担当しているのかが不明確になることがあります。これにより、同じ業務を重複して行ったり、業務の責任が曖昧になることもあるでしょう。結果としてチーム内で混乱が起き、ミスが増える可能性があります。

多能工の判断に任せるのではなく、それぞれの業務の品質や進捗状況を確認し、適切な指導やフィードバックを行うことが重要です。そのためには、多能工がいる現場に適した方法で統制する必要があります。多能工がいなかった組織が統制の方法を急に変更することは難しいため、最初はトラブルが続出するでしょう。

育成に時間がかかる

多能工の育成には時間とコストがかかります。本業務と並行して新たなスキルを習得するための時間の確保が必要です。また、育成プログラムの実施や外部トレーニングの費用も考慮する必要があります。さらに、育成の成果を適切に評価し、従業員にフィードバックを提供することも重要です。

適正な人事評価制度の構築が難しい

多能工が持つスキルの多様性をどのように評価するかは難しい課題です。特定の業務だけではなく、幅広いスキルを評価する人事評価精度を構築しなければ、多能工を正当に評価できません。正当に評価されていないと本人が感じれば、モチベーションが低下して業務に支障をきたす可能性があります。

多能工化を実現する方法

多能工化を実現するためには、現状の課題や業務を洗い出し、多能工の必要性について理解することが先決です。やみくもに多能工化を進めると、現場の統制が困難になりトラブルが増える可能性があります。ここからは多能工化を実現する流れについて詳しく見ていきましょう。

1:業務の洗い出し

まず、どの業務を多能工化するかを決定するために、現在の業務内容を洗い出します。以下の業務には多能工が役立つ可能性があります。

  • 属人化している業務
  • 人手が足りていない業務
  • 業務効率が低い業務

すべてに対応できる多能工ではなく、まずは本業務とは別に1つの業務をこなせる人材を育成しましょう。

2:業務の見える化

選定した業務を詳細に分析し、業務のプロセスや手順を明確にします。これによって、業務の流れや役割が理解しやすくなり、普段は担当していない人物でも業務を理解・実行できるようになります。マニュアルの作成やプロセスの可視化を行うとよいでしょう。

3:育成計画の策定・実施

業務の見える化ができたら、育成計画を策定します。育成計画には以下の要素を含める必要があります。

  • 誰が育成するか
  • 誰を育成するか
  • どの業務ができるように育成するか
  • 育成スケジュール
  • カリキュラム

4:評価・改善

育成が進む過程で、計画通りに進まないことや問題が発生することもあるでしょう。定期的に育成の進捗や成果を評価し、問題や課題を特定します。次の流れで評価・改善を繰り返しましょう。

  • 問題の特定と原因分析
  • 改善策の検討と計画の修正
  • 修正された計画の実施とモニタリング

業務コストや従業員の負担を考慮しつつ、より効率的かつ効果的な方法を見つけることが重要です。

まとめ

多能工は、複数スキルを持つことから複数の業務をカバーできる人材です。業務量が偏らないように割り振りできるようになったり、担当者不在の際のカバーが可能になったりと、さまざまなメリットがあります。本記事を参考に管理や評価方法について整備したうえで、自社に適した多能工を育成しましょう。

監修者・植草 陽光

植草 陽光

日本製鉄株式会社⇒株式会社リクルート⇒株式会社Izul

1社目では製鉄所での生産管理、本社でのグローバル購買職などバックオフィス系の業務に従事。29歳で営業未経験でリクルートに入社し、地場大手会社の深耕営業を実施し入社半年で表彰を獲得。自身が転職を通じて人生を変えた経験から、Izulのビジョンに共感し、現在は同社のキャリアアドバイザー職として従事。

著者プロフィール

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株式会社Izulの広報チームが運用。20代〜30代の若手ハイクラス層から、圧倒的支持を獲得中。働き方や転職のコツなど、キャリアに役立つ情報を発信していきます。

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