近年、個人の発信力が企業にプラスになる時代となり、ますます個々の自立したキャリア形成が重要視されています。時代の変化という背景からさまざまな業界で転職を検討している人も多いでしょう。そこで重要性が増したのが「キャリアの棚卸し」です。
今回は、キャリアの棚卸しの重要性や目的、実施するうえでのポイントを解説します。自身のキャリアを振り返り今後のキャリア形成を考えたい方は、是非参考にしてみてください。
キャリアの棚卸しとは
ここでは、キャリアの棚卸しについて3つの項目に分けて紹介します。
- キャリアの棚卸しの目的
- キャリアの棚卸しの重要性
- キャリアの棚卸しはいつ実施すべき?
キャリアの棚卸しの目的
キャリアの棚卸しとは、これまでのキャリアで何をやってきたかを整理し、全て洗い流すことと定義づけられています。転職に必要な職務経歴書を書く際や、今後のキャリア形成を考える上でキャリアの棚卸しが大いに役立つことでしょう。
キャリアの棚卸しの重要性
キャリアの棚卸しで必要なのは、これまでのキャリアで残してきた「結果」の振り返りではなく、行って来た業務の「過程」です。日常的に行っている過程を振り返ることで、あなたの人間性やより深い部分の強みがみえてきます。
キャリアの棚卸しはいつ実施すべき?
キャリアの棚卸しは転職活動の最初に行いましょう。自身の強みを知り、自身の求めるものに合った企業を選択する、まさに転職の基本軸になるためです。そもそも本当に転職すべきか否かも判断できます。
キャリアの棚卸しの方法
キャリアの棚卸しの基本的な流れは、以下の通りです。
- 業務を書き出す
- 実績を書き出す
- 業務・実績の書き出しを繰り返す
- 書き出した内容をまとめる
- 強みと根拠をピックアップする
ここからは順を追って紹介します。
1.業務を書き出す
直近の1日のワークスケジュールを時系列で振り返ることから始めましょう。
<経理業務の例>
9:00 | 出勤・メールチェック・朝礼 |
9:30 | 売上の入金・支払い状況の確認、銀行での通帳記帳 |
11:00 | 取引伝票の起票・整理・昼食 |
13:00 | 経費精算処理、現金小口確認 |
15:00 | 書類のファイリング |
18:00 | 翌日の予定確認や準備をして、退勤 |
2.実績を書き出す
仕事の実績を具体的に書き出せば、仕事に対する姿勢を言語化することに繋がります。例えば、経理部門における資金繰りの担当者に任命された、自身が考案した経理システムの導入により自社の成果につながったなど、具体的な実績を正確に書き出すことが大切です。また業務をこなす上で工夫したことや実際のデータを数字に表すことができるとよいでしょう。
3.業務・実績の書き出しを繰り返す
先述した1と2の工程を最初の職歴から繰り返します。転職のタイミングだけでなく、部署移動などの環境の変化で区切って洗い流すと分かりやすいでしょう。
4.書き出した内容をまとめる
書き出した内容をエクセルなどでまとめていきましょう。横軸を「洗い出した項目」、縦軸を「時系列」にまとめます。
以下の表を参考にご覧ください。
所属部署 | 在籍期間 | 仕事内容 | 実績 | 失敗から学んだこと | |
1年目 | ○○部 | ○年〜○年 | 営業 | 〜日間でのノルマ達成 | 事前準備の大切さ |
2年目 | ○○部 | ○年〜○年 | 事務 | 既存業務形態の刷新 | スケジュール管理ツールの活用方法 |
3年目 | ○○部 | ○年〜○年 | 人材管理 | 離職率〜%減少 | 定期面談の実施回数の少なさ |
5.強みと根拠をピックアップする
全体を書き出していくと、よく出てくる言葉や成果が出た際に共通することなど、あなたの強みが浮き彫りになってきます。そうしたあなたを物語る特徴的な部分をピックアップしてください。
企業によって求めている人材は異なるため、3つほど自身の強みを準備しておくとよいでしょう。
キャリアの棚卸し時に活用できる項目
ここでは、キャリアの棚卸しを実践する上で活用できる項目を以下にまとめました。
- 勤務先・職種(会社名・所属部署を正確に)
- ポジション・役職名(異動・昇進なども)
- 得られたスキル・経験(レベル感を問わずに思いついたものから)
- 実現した実績(目標達成率、売上実績、通過企画などを数字で)
- 失敗や教訓(その後に影響を及ぼした出来事をピックアップ)
キャリアの棚卸し実施後にすべきこと
キャリアの棚卸しで自分の強みを理解することができたら、次は自身がもっとも輝ける、強みを活かせる転職先を探していきましょう。例えば、自分の強みを検索キーワードとして入力すれば、その経験やスキルを必要としている、思いがけない企業がヒットするかもしれません。
キャリアの棚卸し実施におけるポイント
キャリアの棚卸しを実施する際、気をつけるべきポイントは以下の通りです。
- 定量的なデータを活用する
- ライフプランと合わせて考える
- 客観的なアドバイスを取り入れる
定量的なデータを活用する
キャリアの棚卸しを行う際は、定量的なデータを活用することを意識してください。目標設定に対する達成率や販売数など、具体的かつ正確なデータをもとにすることで、よりスムーズな自己分析が可能になります。
志望動機を書く際にも、具体的な数字をもとにアピールされると説得力が増し、好印象になります。
ライフプランと合わせて考える
キャリア選択の機会を有効活用するには、自身のライフプランと合わせてキャリアプランを考えることも重要です。ライフプランに沿った理想のキャリア像を描くことでお金に関する不安を軽減でき、貯金や節約のモチベーションも高く維持できます。
客観的なアドバイスを取り入れる
自分が目指すキャリアに近づけるよう、第三者に相談することが大切です。初めてキャリアプランを考える際には、何から考えるべきかわからないという方は非常に多いです。そのため、第三者の意見を参考にするのもひとつの手と言えるでしょう。相談したいと思える人が身近にいない場合、キャリアコンサルタントとの面談や、キャリアコーチングを受けるといいでしょう。
まとめ
今回は、転職において重要なキャリアの棚卸しについて解説しました。キャリアの棚卸しをすることで転職やキャリアアップにつながる自己分析ができます。また、職務経歴書をスムーズに書けることや面接の自己PRの際に大いに役立つというメリットもあります。キャリアプランを考える上で、キャリアの棚卸しを実践してみてください。