国内で知名度の高い英語試験のひとつに英検があります。1級〜5級まであり、どの級で合格していれば転職で有利になるのか、履歴書に記載すべきなのか疑問を抱えている方も多いでしょう。本記事では履歴書への正しい記載方法や英検以外で転職に役立つ試験について解説します。
英検は何級から履歴書に記載できる?
日本英語検定協会によれば、履歴書への記載が推奨されるのは2級以上とされています。2級以上を獲得している場合は、履歴書に記載しましょう。2級以下の級も履歴書に記載できないわけではありませんが、3級以下は中学校レベルの英語力を証明するものであるため、記載しない方がよいでしょう。
また、必要な英語力は企業によって異なります。そのため高度な英語力が必要な企業では、2級を獲得していても特に評価されない可能性もあります。加えて英検は海外ではそれほど知名度が高くありません。海外の企業に転職する際は英検を記載しても、アピール材料になりにくいといえるでしょう。海外の企業への転職を目指すのであれば、本記事後半で解説するTOEFLやTOEICの点数でアピールしましょう。
英検の有効期限
英検は一度合格すれば、その資格は半永久的であり、就職・転職活動で利用できます。更新の必要もありません。ただし、取得から長い年数が経っている場合、有効なスキルとして評価しない企業もあるため注意が必要です。履歴書には取得年月を記載する必要があるため、企業は取得からの年数を把握できます。
履歴書における英検の書き方
英検で2級以上を獲得している人は、履歴書に記載しましょう。英検やTOEICなどの資格は履歴書の「資格・免許」の欄に記載します。履歴書に記載する際は以下の2点に注意してください。
正式名称(実用英語技能検定)で記載する
履歴書上では正式名称である「実用英語技能検定」と記載する必要があります。正式名称の後の書き方は定められていないため「実用英語技能検定○級合格」と記載すれば問題ありません。また応募先から認定書の提出を求められることもあるため、実際に獲得した級を記入する必要があります。
取得年月を記載する
履歴書に英検を記入する際は、取得年月も正しく記載してください。取得年月は英検に合格した際に送付される合格証明書で確認できます。
取得年月を忘れた場合の対処法
英検の受験から時間が経っている人の中には、合格証明書を紛失してしまった人もいるかもしれません。合格証明書は1通1,100円(各級とも、税・送料込み)で再発行できるため、申し込んでおくことをおすすめします。
英検以外で英語力をアピールできる試験
英語力をアピールできるのは、英検のみではありません。TOEIC・IELTS・TOEFL・Linguaskill Businessも、英語力を保有していることをアピールする材料になります。
TOEIC
TOEIC(トーイック)とは、リスニング力とリーディング力が評価対象となる990点満点の試験です。英検とは異なり、級ではなくスコアで評価されます。英検は海外では知名度が低いため、海外の企業ではアピール材料になりにくいといえるでしょう。一方TOEICは世界的に知名度が高いため、英検と比べると海外の企業でも評価されやすいと考えられています。
企業によって基準が異なるため、どの程度のスコアを取れば転職で有利になるかは断言できません。しかし、一般的に700点以上のスコアを獲得していれば十分なアピール材料にできるでしょう。ただし企業によっては英語力を必要としないため、直接のアピールポイントになり得ない可能性もあります。しかし、700点以上のスコアを獲得しているのであれば、英語力を求めていない企業に対してもアピール材料になるため、念のため履歴書に記載しておきましょう。
IELTS
IELTS(アイエルツ)とは海外留学や研修のために英語力を証明する必要のある人、およびイギリス、オーストラリア、カナダなどへの海外移住申請に最適なテストです。1.0〜9.0のバンドスコアで評価が与えられ、リスニングやリーディングのみならず、ライティングやスピーキングの4技能を測定できるという特徴があります。海外に進出している日本企業や、日本に拠点を置く外資系企業などでは、特にIELTSのスコアが重視されるといわれています。
履歴書に記載するためには、6.0以上のスコアを獲得していることが望ましいでしょう。もちろん企業や職種によって求められる英語力は異なるため、あくまで参考程度として認識してください。また、IELTSのスコアの有効期限は2年間なので、注意が必要です。
TOEFL iBT
TOEFL iBT’(トーフル)はIELTS同様、リスニング・リーディング・ライティング・スピーキングの4技能で測定される国際基準の英語能力測定試験です。各能力30点の点数配分で、トータル120点です。企業が求める英語力によって獲得すべきスコアは異なりますが、一般的に70点以上獲得できればアピール材料になるといわれています。ただし外資系企業を狙う場合や海外で就職する場合は、少なくとも80点以上は獲得する必要があるでしょう。
Linguaskill Business
Linguaskill Business(リンガスキル ビジネス)とは、ビジネスで求められるコミュニケーションスキルを測るための試験です。日本における認知度は低いものの欧米では知名度が高く、スコアを就業条件に採用している企業も存在しています。
また最短3営業日で試験結果が通知されるため、効率的に現時点でのスキルを測定できます。TOEICやTOEFL iBTの方が日本での知名度は高いため、国内の企業でどれだけ選考が有利になるかどうかは不確定です。しかし、スコアはすぐに把握できるため、力試しとして重宝されるでしょう。また自宅で受験したとしても公式なスコアとして認定されるため、効率的に受験したい人には魅力的です。
英検の評価は会社によって大きく異なる
企業によっては試験で測定できる英語力よりも仕事ができるかどうかや、ビジネスで使える英語力を保有しているかどうかにフォーカスしていることから、英検の点数をそれほど重要視していない企業もあります。そのため、これから転職のためだけに英検の受験を考えている方は、本当にその企業の選考で有利に働くかを調べておく必要があります。
また、英検に限ったことではありませんが、ただスコアや級をアピールするだけでは面接官の心には響きづらいといえます。スコアや級を獲得するまでにどういった課題があり、どう工夫したのかをアピールしてみましょう。
まとめ
英検が評価されるのは2級以上であるため、2級以上を取得している場合は履歴書に記載することを推奨します。履歴書では正式名称(実用英語技能検定)で記入するほか、取得年月も正しく記載しましょう。またTOEICやIELTS、TOEFL、Linguaskill Businessも、企業によっては英語力のアピール材料になります。そのため、これらの試験で一定のスコアを超えている場合は履歴書に記載することをおすすめします。