教員から異業種への転職は難しいと言われています。ただし年齢やスキル、職種によっては比較的容易に転職できるケースもあるため、難易度が高いとは一概には言えません。そこで今回は、教員から異業種への転職が難しいと言われている理由や教員が転職しやすい職種、教員の転職における注意点について詳しく解説します。
教員から異業種への転職が難しいと言われる理由
教員から異業種への転職が難しいとされる理由からは、志望動機や自己PRの内容や転職先候補などのヒントを得られます。次の5つのポイントを確認しておきましょう。
- チームワーク力に欠けると思われる
- ビジネスマナーの欠如を懸念される
- ビジネス経験不足が懸念される
- 転職可能時期が限られる
- 転職活動に十分な時間を割けない
チームワーク力に欠けると思われる
教員は基本的に個人プレーであり、チームワークではありません。1人で1つのクラスや、1つの教科を受け持ちます。1人で授業をして生徒の成績をつけます。そのため教員は、チームワークで仕事をする能力が欠けていると思われる場合があります。
普段からチームワークを行っていないとしても、チームワーク力が低いとは限りません。「教員同士で生徒への対応を検討し、お互いにフォローし合ってきた」などと実体験を交えて伝え、チームワーク力をアピールすることも1つの方法です。
ビジネスマナーの欠如を懸念される
教員は主なコミュニケーションの相手が他の教員や生徒のため、ビジネス用語や名刺の渡し方、相手を立てる話し方などのビジネスマナーに関する知識が乏しい傾向にあります。「ビジネスの場では知っていて当然」とされる知識が不足していることを懸念する企業もあるようです。
ただしビジネスマナーの欠如への懸念だけで、不採用が決まることはありません。そのためビジネスマナーの習得をはじめ、基礎的な知識やスキルの習得に向けて努力したい旨を伝えることで、好印象を与えられる可能性があります。
ビジネス経験不足が懸念される
人や会社に商品・サービスを売り込む、売れる商品・サービスを企画するといったビジネス経験がない場合、結果を出すために必要な行動をイメージすることが難しいでしょう。ビジネス経験がないことが成果に大きく影響すると考える企業は、教員の採用を敬遠する可能性があります。
ただし教員として培ってきたコミュニケーション能力や相手が知らないことを教える能力などを活用できることを示せば、転職活動を有利に進められるでしょう。
転職可能時期が限られる
求人が多い時期に転職活動を始めた方が、より多くの候補の中から転職先を選ぶことができます。教員は年度途中の退職が難しいため、条件を満たす転職先が見つかりにくいかもしれません。また年度はじめに転職したい人も多く、競争率も高くなる傾向があります。
転職活動に十分な時間を割けない
教員は生徒が下校した後も翌日の授業の準備やクラブ活動の顧問業務などがあるため、転職活動に十分な時間を割くことが難しい場合があります。また土日に採用面接を受けられない企業も多いため、転職先候補が限られてしまいます。
教員が転職しやすい転職先候補
転職活動を成功させるには、転職しやすい職種に絞り込むことが重要です。ここからは教員の転職事情を踏まえ、どのような職種であれば転職しやすいのか詳しく紹介します。
学習塾・予備校などの講師
学習塾や予備校の講師は生徒に対して授業を行う点で、学校の教員と共通しています。そのため講師の経験がなくとも、教員経験があれば優遇されるでしょう。特に進学校として有名な学校の教員であれば、進学向けの学習塾や予備校に採用されやすいと考えられます。
家庭教師
家庭教師は生徒に知識を伝える点で、教員と共通しています。そのため学習塾や予備校の場合と同じく、経験者として優遇されるでしょう。有名な進学校、難関校として有名な大学出身であれば、特に採用されやすいと考えられます。
学童の保育員
小学校の教員であれば、学童の保育員に採用されやすいでしょう。中学校以上の教員でも、子どもとコミュニケーションを取る仕事という点では共通しているため、未経験者よりは採用されやすいと考えられます。ただしこれまで関わってきた子どもと年齢が大きく異なる場合は、仕事に慣れるのに時間がかかるかもしれません。
教育系企業の開発・営業
教育系企業の開発や営業であれば、教育現場での経験が見込まれて採用に有利になると考えられます。多くの子どもとのコミュニケーションを取ってきた経験があるだけではなく、実際の教育現場の事情を把握している人物は、教育系企業にとっては貴重な人材です。
教員から異業種へ転職する際の注意点
教員から異業種へ転職して、後悔するケースは現実にあります。現職とのギャップをなるべく埋めたうえで、慎重に検討することが大切です。教員から異業種への転職を検討する際は、次の3つの注意点を押さえましょう。
- 年収が下がる可能性がある
- 退職金や福利厚生が少なくなる可能性がある
- ギャップに悩み後悔するリスクが高い
年収が下がる可能性がある
教員の給与の決まり方は民間の場合は勤務先で異なりますが、公務員の場合は年功序列です。ある程度の年齢になり給与が高くなったとしても、成果主義の企業に転職すると年収が低下する可能性があります。年功序列から成果主義への移行が進んでいる企業がほとんどのため、年功序列で働いてきた人は転職後に現職との大きなギャップを感じるかもしれません。
ただし年功序列と成果主義を組み合わせている企業もあるため、年収の決まり方や水準は企業によって異なります。異業種へ転職すれば必ず年収が低下するとは限らないため、まずはどの程度の年収であれば許容範囲か考えることが大切です。
退職金や福利厚生が少なくなる可能性がある
教員は退職金や福利厚生が充実しています。一方で一般企業の退職金や福利厚生はピンキリです。転職先企業によっては教員であった頃と比べて退職金が減り、福利厚生の数や内容に不満を感じることもあるでしょう。
ギャップに悩み後悔するリスクが高い
教員と異業種では年収や退職金、福利厚生などに大きな違いがあります。そのため現職と転職先企業とのギャップに悩み、転職を後悔することがあるかもしれません。いったん教育現場から離れると、ブランクによって復帰までに時間がかかる可能性もあります。
年収や退職金、福利厚生はもちろん、企業の方針やノルマの有無、職場の雰囲気など、なるべく多くの情報を入手して、異業種への転職が自身に向いているかどうかを判断しましょう。
まとめ
教員の転職先には、学習塾、予備校の講師や家庭教師、学童の保育員などが挙げられます。異業種への転職も可能ですが、転職時期が限られることや年収・退職金・福利厚生などにギャップを感じる恐れがあることに注意が必要です。教員は子どもとのコミュニケーション能力や教育現場の事情を把握していることなどが評価されるため、これらを活かせる企業を転職先の候補としましょう。