転職する際、残った有給をすべて消化して退職したいと考える方は多いのではないでしょうか。しかし、通常の有給取得と異なり、退職前の有給消化にはさまざまな注意が必要です。そこでこの記事では、退職時に有給を消化する方法や注意点、休暇中のおすすめの過ごし方を解説します。転職予定がある方はぜひ参考にしてください。
転職休暇とは
転職休暇とは、一般的に退職時の有給消化によるまとまった休暇期間を指します。有給は入社日から6ヶ月経過した時点で10日間付与され、その後1年経つごとに1日ずつ追加して付与されるため、勤続年数が長くなるほど有給休暇が増えていきます。在職中の有給休暇の取得状況によっては、退職前に1ヶ月以上の休暇を取得できる場合もあるでしょう。
退職前に有給を消化するメリット
退職前に有給を消化することで、通常の休暇にはないさまざまなメリットを享受できます。ここでは、主なメリットを3つ紹介します。
リフレッシュができる
退職前の有給消化によってまとまった休みが手に入るため、転職前にリフレッシュができます。在職中は毎日出勤していた人も、有給休暇中は自分のペースで気楽に過ごしやすいでしょう。仕事のストレスなどで疲弊していた場合は、心身の体調を回復する時間に充てられます。
就業中にできないことができる
まとまった休みが取れることにより、在職中には難しいことに挑戦できるのも大きなメリットです。たとえば1週間海外へ旅行してみたり、遠方の実家へゆっくり帰省するのもいいでしょう。実際、この期間に新しいことに挑戦する人も多くいます。
新しい仕事の準備ができる
転職前に長期的な休暇を取れば、新しい仕事への準備も可能です。とくに未経験の業界・職種に挑戦する場合、事前に勉強の時間を設けることで転職後の適応が容易になります。また、前職から転職先への気持ちの切り替えにもつながります。
退職前に有給を消化する方法
通常の有給休暇とは異なり、退職前の有給消化にはさまざまなステップを踏む必要があります。ここでは、有給消化の方法を具体的に解説します。
就業規則を確認する
残っている有給消化の申請前に、有給休暇に関する就業規則を必ず確認しておきましょう。企業によっては、申請の期日や有給の買い取り制度などの規則が定められている場合があります。円満に退職して有給消化に入れるよう、制度を正しく理解することが大切です。
有給休暇の残日数を把握する
有給消化の申請前に、有給休暇の残日数を把握しておきましょう。自分では認識していなくても、転職活動などで思ったより有給が減っている場合もあります。社員の有給休暇の残日数は基本的に総務部や人事部などで管理しているため、直接問い合わせるのもおすすめです。また、有給消化期間を把握することで、転職までのスケジュールを立てやすくなります。
退職までのスケジュールを立てる
退職が確定し、有給の残日数を把握できたら、現職の上司と相談して退職までの具体的なスケジュールを立てましょう。退職日や最終出勤日を決める際は、有給消化の旨をあらかじめ伝えることが大切です。また、過不足なく引き継ぎが行えるよう、スケジュールにはなるべくゆとりをもたせるようにしてください。
業務の引き継ぎを行う
退職までのスケジュールが確定したら、後任へ業務の引き継ぎを行います。退職後に社内や取引先の関係者に迷惑をかけないよう、マニュアルなどを作成して丁寧に進めることが大切です。また、自分のデスクやロッカーに私物を置いている場合は、最終出勤までに少しずつ整理しましょう。
退職前に有給を消化する際の注意点
ここでは、退職前に有給を消化する際の注意点を5つ紹介します。退職時にトラブルにならないよう、事前に確認しておきましょう。
退職日は早めに伝える
有給消化後に退職したいなら、退職の意思や希望日はできるだけ早めに伝えましょう。民法上では「退職の2週間前までに伝えればよい」とされているものの、多くの企業では就業規則によって「1ヶ月〜2ヶ月前まで」と定められています。引き継ぎのスケジュールにも影響するため、ゆとりをもった申請が大切です。
有給の取得期限を確認する
有給消化の申請前に、有給の取得期限が切れていないか確認しましょう。未取得の有給は次年度以降に繰り越されていくものの、労働基準法では「付与日から2年経つと消滅する」と定められています。退職までのスケジュールにも影響するため、就業規則とあわせての把握が大切です。
退職日・入社日を調整しておく
現職の退職日と転職先の入社日は、有給の残日数に合わせて調整しましょう。退職日と入社日が近すぎると有給を消化しきれませんが、入社日を先延ばしにしすぎると今度は有給が不足します。また、引き継ぎのスケジュールも十分考慮したうえで決定することが大切です。
専門家への相談も視野に入れておく
有給休暇の取得は労働者の権利ですが、企業によっては退職前の有給消化を拒否されることがあります。事前にこのようなトラブルが予想される場合は、専門家への相談も視野に入れておくと安心です。もし社内の総務・法務担当者に相談しても状況が改善しないときは、労働基準監督署を頼るのも効果的です。
昼夜逆転の生活を過ごさない
有給消化期間中は時間に縛られずに過ごせますが、夜更かしをして昼夜逆転の生活にならないように注意してください。生活リズムが乱れると体調を崩しやすくなるだけでなく、転職後の勤務に支障をきたすおそれがあります。出勤時のように厳格にスケジュールを守る必要はないものの、ある程度節度をもった生活を心がけましょう。
転職休暇中のおすすめの過ごし方
転職前の有給消化中は自由な時間をとれるため、働いているとなかなかできないことにも挑戦できます。ここでは、転職休暇中のおすすめの過ごし方を4つ紹介します。
旅行
転職休暇中はまとまった休みをとれるため、ゆっくり旅行へ出かけるのに最適です。とくに、普段なかなか行けない遠方地や海外旅行を計画するのがおすすめです。また、これまで行けなかったあこがれの場所があるなら、この機会に挑戦してみるとよいでしょう。
新しい仕事に関する学習
転職先の新しい仕事に備えて、休暇中に資格などの勉強に挑戦するのもおすすめです。通常、働きながらの勉強は仕事との両立が大変ですが、まとまった休みが取れる期間であれば集中して取り組めます。また、業務に関する知識やスキルを積極的に身につける姿勢は、転職先でも高く評価されるでしょう。
帰省
実家が遠方にある場合は、転職休暇を活用して帰省するのもよいでしょう。親孝行の機会になるだけでなく、普段なかなか会えない旧友やお世話になった人たちともゆとりをもって交流できます。また、公共交通機関が比較的空いている平日に移動できるのも魅力的です。
トレーニング
日々の仕事で運動不足になってしまった人は、転職休暇期間を活用してトレーニングに挑戦するのもおすすめです。1日のスケジュールを自分で調整できるため、生活習慣の改善やダイエットにも適しています。体を引き締め、体力をつけておくことで、転職後も精力的に業務に取り組みやすくなるでしょう。
まとめ
この記事では、転職前に有給を消化して休暇をとる具体的な方法や、主なメリットについて解説しました。転職休暇でまとまった休みを取ることで、長期の旅行なども実現しやすくなります。ただし、退職日や入社日を慎重に調整する必要があるため、自己管理が大変な方は転職エージェントに代行してもらうのがおすすめです。
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