選考の際に提出する職務経歴書には、職務要約の項目が設けられています。職務要約を含め、適切な書き方ができているかも選考に影響を及ぼすため、正しい記入方法について理解することが大切です。この記事では、職務要約の役割や書き方のポイント、職種別の例文パターンなどについて詳しく解説します。
職務要約とは
職務要約は、職務経歴全体を要約し、採用担当者が速やかに理解できる形にまとめた文章です。面接を行うかどうかを判断する際は、職務経歴を確認する必要があります。しかし、多くの応募がある場合は全ての職務経歴書に目を通すことが難しいため、職務要約で大体の内容を把握できるようにすることが次のステップへ進むためのポイントです。
職務要約の役割
職務要約は、自身の経歴やスキル、実績などをアピールし、興味を持ってもらうためのものです。過去の職場ごとに経歴や実績を記載するよりも、要約した方が大きなインパクトを与えることができます。職務経歴書は、職場ごとに経歴や実績を記載するため、採用担当者はすべて読むのに時間がかかります。
また、最初に魅力的な実績が目に入っても、読み終わる頃には印象が薄れている場合もあります。職務要約を適切に作成すれば、強調したい経験や実績などをより魅力的に伝えることができるでしょう。
職務要約する際に守るべきポイント
職務要約は、採用担当者の目に留まるものでなければなりません。職務要約の書き方のポイントについて詳しく見ていきましょう。
3~4行にまとめて記載する
職務要約は、3~4行程度にまとめることが大切です。それ以上の長さだと全部読むのに時間がかかるため、要約のメリットを活かすことができません。要約する能力が低いとも捉えられかねないため、情報を取捨選択して3~4行にまとめましょう。
最初から短くまとめようとするのではなく、伝えたい情報を全て書き出してからコンパクトに要約することがポイントです。
応募先と関連性が高い経歴を厚く記載する
職務要約には、応募先と関連性が高い経歴を中心に記載する必要があります。関連性が低い経験を記載しても、採用担当者は面接に進むべきかどうか判断できません。相手の立場に立った説明やアピールができるかが問われるため、応募先企業を分析したうえで関連性が高い経歴を絞り込みましょう。
例えば、応募職種が営業職の場合は、営業職で成功した経験や取り組みの姿勢などを記載します。営業職に応募する場合に事務職の経験をアピールしても、営業職で活躍できる根拠を示すことができません。営業経験がない場合は、近い職種である販売職やサービス業などの経験があれば、それをアピールするようにしましょう。
実績は数値で記載する
実績を数値で記載することで、インパクトを与えやすい職務要約になります。「年間新規獲得件数○件(2022年度)」、「全国営業成績No.1(2022年度)」のように、対象となる期間とともに記載しましょう。数値を記載する際は、それが応募する企業にとって魅力的かどうかを考える必要があります。
例えば、「月10件の新規営業で5件の受注に成功」という実績は、素晴らしい実績なのかどうかが判断できません。取り扱い商品・サービスの知名度や特徴によっては、10件の営業で5件の受注が特別にすごいことではない場合があります。そのため、業界や企業における平均的な数値もあわせて記載することが大切です。
職務要約の作り方
職務要約を作成する際は、まず自身のスキルや経験、実績を整理しましょう。業績向上、コスト削減、リーダーシップの発揮、クライアント対応など、アピールすべき項目を洗い出します。そのうえで、数値を使用して魅力的で読みやすく、インパクトを与えられる職務要約を作成してください。また、応募するポジションに応じて記載内容を変える必要があるため、企業研究も必要です。応募職種で求められていることを、企業のサイトに掲載されている先輩社員のインタビューや企業の特色などから想定しましょう。
最後に、職務要約の校正を行います。誤字脱字はないか、主語と述語は正しく対応しているか、話し言葉を使用していないかなどを確認しましょう。転職エージェントのサポートを受けている場合は、職務要約のチェックを依頼してみてください。応募先企業の特徴、職種などを踏まえ、より魅力的な職務要約になるようにブラッシュアップしてくれます。
職務要約の例文を職種別で解説
職務要約の書き方は、全職種に共通しています。しかし、どのようにアピールすればよいのかイメージできず悩む方は多いでしょう。そこで、職務要約の例文を職種別に紹介します。
営業職向け
私は20XX年に〇〇株式会社に入社し、営業部門で新規顧客の獲得、既存顧客のフォローアップ、企画の立案、提案活動、プレゼンテーションなどを5年間行ってまいりました。2022年度は売上前年比150%アップを達成し、社内表彰をたまわりました。現在はチームリーダーとして、10名の部下の指導と育成を行っております。
販売職向け
株式会社〇〇に入社後、X年間にわたり△△店で携帯電話の販売や機種変更の対応、不明点への回答などに従事しております。お客様へのサービス向上と新規契約数の増加を図るため、よりわかりやすい説明やイラストの作成、ご来店から窓口へのご案内までの速やかな対応などに取り組んだ結果、新規契約数において□□エリアで1位を獲得できました。
事務職向け
株式会社〇〇にて、X年間にわたり総務部で書類の作成や各種研修会の運営サポートなどの事務職に従事しました。業務効率化を目的に信頼性が高いツールを導入し、業務プロセスの効率化に成功したことを理由に、事務職では異例の社内表彰を賜りました。
コンサルタント向け
株式会社〇〇にて、X年間にわたりコンサルタントとして、DX化を中心とした業務改善に取り組んでまいりました。DX化の先駆け的存在として国の公的資料にも事例が掲載されるほどに高い成果を挙げることに成功し、社内でもMVP賞を受賞しました。
企画・管理職向け
〇〇株式会社にて、X年間にわたり商品企画部で管理職としてチームの成功に向けてマネジメントを行ってまいりました。長年の業務経験から獲得したマーケティングリサーチ力や新商品企画の専門知識を部下に伝達し、チーム力アップに努めた結果、販売目標の150%達成を実現しました。
エンジニア向け
〇〇株式会社にて、X年間にわたりフィンテック関連システムの開発に従事しました。新規案件のプロジェクトマネジメント業務も手掛け、30名規模のアプリ開発プロジェクトのリーダーを務めています。優れた品質とクライアントの要望を反映するスキルが評価され、同社の他プロジェクトの受注にも成功しました。
まとめ
職務要約は、職務経歴書において最初に注目する部分のため、書類選考に通過できるかどうかに大きく影響しています。長すぎる、具体性がない、応募先企業と関連性がないといった職務要約は、マイナスの印象を与えます。今回、解説した内容を参考に、面接を行いたいと思ってもらえる職務要約を作成しましょう。