多くの面接で尋ねられる自分の強み。長所と混同しやすいなど、回答が何かと難しい質問です。
今回は自分の強みに関して、効果的な回答方法や長所との違いを例文も交えて紹介します。記事の後半では強みを見つけるポイントも解説しているので、強みが浮かばず悩んでいる方は参考にしてみてください。
面接でよく聞かれる「自分の強み」とは
面接で聞かれる強みとは、これまでの仕事を通して習得した経験やスキル、今後の仕事に活かせるスキルのことを指します。
ただ前職で結果が出たからといって、必ずしも強みになるわけではありません。例えば、前職で計100人が関わるプロジェクトで指揮をとり、成果を挙げたためマネジメント能力を強みに設定したとします。しかしそのプロジェクトがうまくいった原因が、優秀なメンバーが揃っていたから、という可能性もあります。こういった場合、自身の強みが「マネジメント能力」とは断言しづらいでしょう。
自分が積極的にとった行動でなければ自分の強みにつながりません。そのため、前職で成功したからといって全てを強みにすると、聞き手は「それは本当に候補者の強みなのか」と疑問を抱く可能性があります。
自分の強みを面接で聞かれる理由
面接官が自分の強みへの回答を求める理由には、以下の3つが挙げられます。
- 入社後に活かせる経験やスキルがあるか知りたいから
- 強みを活用して入社後に何を成し遂げたいのか把握したいから
- 候補者の人間性が自社の雰囲気とマッチしているか確認したいから
特に企業側が把握したいのは、入社後に活かせるであろう経験やスキルの有無でしょう。そのため強みは、応募先企業と相関性がなければ面接官には刺さりません。
例えばマネジメント能力は立派なスキルですが、営業職における転職面接でアピールしたとしても、面接官には「それをうちの会社でどう活かすの?」と疑問に思われてしまうでしょう。
自分の強みの例を紹介
強みは、多くの業種で活かせるポータブルスキルと、特定の分野で役立つ専門的なスキルの2種類に分けられます。
具体的にポータブルスキルには、以下の能力が例として挙げられます。
- マネジメント能力
- 論理的思考力
- コミュニケーション能力
- 問題解決能力
対して専門スキルには、以下の能力が例として挙げられます。
- 会計・財務
- IT・オペレーションズ
- マーケティング
- 経営企画・事業企画
強みと長所の違いとは
強みと混同される言葉のひとつに「長所」があります。そもそも長所とは、その人が元々持っている人柄や素質のことです。
対して強みは、これまでの仕事を通して習得した経験やスキルを指します。それぞれの定義を確認してみると、長所と強みには大きな違いがあることがわかります。
自分の強みの見つけ方
誰にでも強みはあるものの正しい探し方を把握しておかなければ、どれほど時間をかけても強みが見つけられない場合もあります。ここでは、自分の強みの見つけ方を3つ紹介します。
正しい方法で、面接官に刺さる自分の強みを見つけましょう。
自分の弱みを言い換える
強みが見つからないのであれば、まずは自分の弱みを探ってみるとよいでしょう。強みと弱みは表裏一体の関係にあります。
「弱み→強み」を言い換える場合の具体例は以下の通りです。
- 業務スピードが遅い→丁寧にミスなく仕事をこなせる
- 会議で相手の意見に流されることがよくある→他人を尊重できる/柔軟性がある
- 前職では何かと失敗することが多かった→チャレンジ精神がある
自分の弱みは、状況によっては強みに変わります。自分の前職での失敗体験から、自分の弱みを探ってみるとよいでしょう。
多くの人は苦手だが自分は苦ではないことを探す
多くの人は苦手にもかかわらず、自分は特に苦痛を感じることなくこなせる、といったエピソードを思い出してみましょう。具体的には以下の通りです。
- ユーザーニーズを探るためにインタビューを実施するなど、細部まで突き止められる
- 初対面の人であっても緊張せずに会話できる
- 目標があれば、どんなに辛いことでも乗り越えられる
自分が常日頃無意識にこなしていることは、強みになる場合もあります。
他人から褒められたエピソードを思い出す
他人から褒められるポイントは、間違いなく自身の強みです。家族や友人から褒められた点でも、仕事で活かせる強みに変換することは可能です。
しかし前職の業務内で褒められた経験があれば、それがそのまま仕事での強みになるため、面接の場で話す強みとして活用しやすいでしょう。
「具体的に顧客の潜在ニーズを探ることが得意」など、専門的な部分で褒められたエピソードが理想です。「返信が速い」「話がわかりやすい」など、些細なことでも構いません。前職での業務を振り返って、褒められたエピソードを思い出してみましょう。
自分の強みを回答する際のポイント
本章では、自分の強みを面接の場で回答する際のポイントを6つ紹介します。
仕事に関連する強みを伝える
本記事前半で述べたように、面接で聞かれる自分の強みとは、これまでの仕事を通して習得した経験やスキルのことです。もしくは、今後の仕事で成果を出す際に活かせるスキルのことを指します。
なお、企業側も入社後に活躍できそうかを判断するために強みを質問します。それゆえ、仕事に関連した強みでなければ、求められる回答にはなりません。
仕事に関連しているかの判断は「その強みを仕事でどう活かすのか?」と自分に問いかけて回答が思い浮かぶかどうかです。
応募企業やポジションに関連づけて述べる
仕事だけでなく応募企業やポジションと関連させることができれば、より面接官を唸らせる強みとなります。応募先企業やポジションと関連させるためには、企業や職種の特徴を深く理解しておかなければなりません。
自分の長所を並べただけのアピールをしない
強みを聞かれているにもかかわらず、ただ長所をアピールしてしまう候補者は多くいます。例えば「真面目」「忍耐力がある」「素直」は立派な長所ですが、強みとはいえません。
面接官があえて長所ではなく、強みと指定しているのであれば、前職で吸収したスキルや経験を回答しましょう。
まずは結論(自分の強み)を述べる
実際に面接で強みを答える際は、結論から述べましょう。強みがはっきりしないまま、話を進めると面接官は「結局強みは何?」と探りながら聞くことになるため、ストレスを感じさせてしまいます。
具体的に「私の強みは〜です。」とストレートに伝えると、面接官も理解しやすいでしょう。
強みを裏付けるエピソードを話す
ただ強みをアピールしても、説得力が生まれません。強みを話す際は、強みを裏付けるエピソードも必ず添えましょう。
例えば提案力を強みに設定する場合は、実際に前職でどういった意図でどう提案したのか、強みがプログラミングスキルであればそのスキルが活かされた場面を説明するなどして、説得力を持たせましょう。
強みの活かし方も伝える
企業は入社後に貢献してもらうために、候補者を採用します。そのため強みを通して、入社後に活躍している姿を想像させる必要があります。
例えばユーザーニーズを突き詰めてコンテンツを作成できる点を、強みに設定したとします。こういった場合は、入社後の広告運用でもニーズを深掘りして顧客に刺さるクリエイティブを作成することを伝えれば、入社後に活躍している姿も想像させやすいでしょう。
まとめ
今までの仕事を通して習得した経験やスキル、もしくは入社後の仕事で成果を出す際に活かせるスキルを指す、自分の強み。質問に答える際はエピソードやその強みの活かし方も述べると、より面接官を納得させる回答になるでしょう。
なお、強みが見つからずに悩んでいる方は、自分の弱みを転換してみましょう。また、多くの人は苦手としていることでも、自分は苦ではないことを探すと強みが明らかになるかもしれません。