海外営業とは、海外の取引先に向けて、自社の商品やサービスを売り込む営業職です。外国語を流暢に話し、海外を飛び回るといった華やかなイメージを持たれがちですが、活躍するには高いスキルが求められます。この記事では、海外営業の仕事内容や年収、やりがいについて解説します。
海外営業とは
海外営業とは、その名の通り海外の企業や個人を対象に営業活動を行う職種です。海外営業には2種類の勤務形態があり、取引先がある現地に駐在して勤務するケースと、日本から外国へ出張したりオンラインで連絡を取ったりして勤務するケースに分かれています。なお、入社直後から海外営業を担当させてもらえる企業は少なく、国内向けの営業職で実績と経験を積んでから異動となる場合が一般的です。
海外営業の仕事内容
海外営業の主な仕事内容は、海外市場での販路拡大や販売促進を目指してクライアントに自社商品・サービスのセールスを行うことです。また、同じ海外営業でも、現地で勤務する場合と日本で勤務する場合とでは担当する業務が異なります。ここでは、それぞれの業務内容について紹介します。
海外に駐在する場合
海外に駐在して働く場合、通常の営業活動に加えて、現地の市場調査やマーケティング、顧客の新規開拓・フォロー、現地企業とのスケジュール調整などを担当するのが一般的です。その他にも、既存顧客に直接会いに行ったり、日本から出張してくる社員をコーディネートしたりと、オンラインだけではカバーできない役割を担います。
日本国内で勤務する場合
日本国内で勤務する海外営業は、現地の担当者と協力しながら販売計画の立案・調整を行ったり、市場拡大のための戦略を立案することが主な役割です。また、輸出入を行う場合、海外企業と納期の調整が必要になります。国ごとの風習・事情や国際情勢によっては物流に大きな影響が出ることがあるので、現地の担当者との密な連携が求められます。
海外営業に求められるスキル
海外営業職で活躍するためには、さまざまなスキルを身につけることが必要です。ここでは、特に重視されるスキルを3つ紹介します。
語学力
海外営業として働くには、語学力が必要不可欠です。企業によってはTOEIC700点以上を採用条件としているなど、ビジネスレベルの英語力が求められる場合もあります。英語以外にも、中国語やスペイン語などをマスターしているとより企業から重宝されるでしょう。
適応能力
海外に駐在して働く場合は、適応能力が高いかどうかも重要なポイントになります。日本と外国では言語や文化が異なるだけでなく、ビジネスの進め方にも大きな違いがあります。そのような違いに適応できないと営業活動をスムーズに行えないだけでなく、メンタルにも支障をきたす恐れがあるため注意が必要です。
営業スキル
海外営業では取引先が外国であるという点に意識が向きやすいですが、活躍するためにはまず高い営業スキルが必要です。たとえ語学力が高くても、コミュニケーション能力や折衝力が低いと、成約に至るのは難しくなる場合があります。海外営業を目指す人は、営業スキルを磨くことから始めることをおすすめします。
海外営業に必要な資格は？
海外営業として働くうえで、必ず持っていなければいけない資格は特にありません。しかし、TOEICや中国語検定のような語学力を証明できる資格を持っていると、就職・転職で有利に働く可能性が高くなります。企業によっては資格取得を採用条件としている場合もあるため、事前に求人情報を確認しておくとよいでしょう。
海外営業のやりがい
海外営業は難易度の高い職業ですが、その分多くのやりがいを感じられる仕事です。ここでは、代表的なものを3つ紹介します。
多様な文化や価値観に触れられる
海外営業の仕事ではさまざまな国や地域の人と関わるため、多様な文化や価値観に触れる機会が多くなります。カルチャーショックを受けることもありますが、今まで経験したことがない異文化や価値観を持つ人と出会うことで、視野が広がり社会人としての成長につながるでしょう。
語学力が向上する
海外営業では外国語でやりとりする機会が多いため、自分で勉強するよりも語学力が向上しやすくなります。また、現地の人と会話することで、語学教室では習わないような言い回しやフレーズを自然に習得できる点もメリットです。グローバル化が進む現代において、語学力は仕事だけでなくさまざまなシーンで役に立つでしょう。
より大きな達成感を得られやすい
海外営業では通常の営業活動に加えて、言語や文化が異なる人たちとのコミュニケーションや慣れない異国での生活など、さまざまなハードルが待ち構えています。しかし、そのような状況で顧客から契約を勝ち取った際には、他の営業職よりもさらに大きな達成感を得られるでしょう。また、自社の商品が海外で流通し、ニュースなどで紹介されるのを見かけたときも、強いやりがいを感じるでしょう。
海外営業の難しさ
海外営業として活躍するためには、仕事のやりがいだけでなく厳しさもしっかり理解しておくことが大切です。ここでは、代表的な要素を3つ紹介します。
コミュニケーションが難しい
海外営業で苦労するポイントの1つが、外国語でのコミュニケーションです。母国語以外の言語で会話するのは容易ではありませんが、言葉が正しく伝わらないと、認識の齟齬が生じて企業同士のトラブルに発展する恐れもあります。また、日本では当たり前の言い回しやジェスチャーでも、国や地域によっては失礼に当たるケースもあるため注意が必要です。
時差の影響を受ける
日本国内から海外とやりとりする場合、時差の影響を考慮しながら働かなければいけません。例えばアメリカと日本では14時間程度の時差があるため、深夜に取引先から重要な連絡やミーティングが入ったり、反対に必要なときにすぐ連絡が取れないことがあります。そのため生活が不規則になりやすく、心身の健康に支障をきたすケースも多く見られます。
現地でトラブルに遭うリスクがある
国や地域によっては、日本と比べて治安が悪いケースも珍しくありません。日本と同じ感覚で過ごしていると、詐欺や盗難などのトラブルに遭うリスクが高くなるため、十分に注意して行動する必要があります。外国に駐在する場合も出張で向かう場合も、現地の情報を事前にリサーチしておくことが大切です。
海外営業の平均年収
海外営業の平均年収は約471万円です。取り扱う業種・分野によっては、700万円前後まで昇給する場合もあります。さらに契約を多く獲得できれば、インセンティブによる収入アップも期待できるでしょう。日本の平均年収と比較すると高い傾向にあるため、高収入を目指したい方にはおすすめです。
海外営業として働くには？
海外営業として働くには、海外拠点がある企業や海外企業と取り引きのある企業に入社する必要があります。最初から海外営業を任されるケースは少ないものの、他社で営業の実績を積んでいる場合や、高い語学力を認められた場合は即戦力としての採用も期待できるでしょう。また、TOEICのスコアが採用条件になっている場合もあるため、あらかじめ対策しておくことが大切です。
まとめ
この記事では、海外営業について解説しました。海外営業には現地に駐在する場合と国内で勤務する場合の2つの働き方がありますが、どちらも高い語学力が必要不可欠です。また、日本とは異なる文化や価値観を受け入れる柔軟さや、不規則な生活に対応できる方は向いているでしょう。ハードな仕事もある反面、大きなやりがいを得られるため、より幅広いフィールドで活躍したい方はぜひ挑戦してみてください。
