面接では、就業に関する質問以外にも、求職者自身のパーソナルな部分に触れる質問をされることがあります。代表的なものに長所と短所がありますが、なぜ長所だけでなく短所まで聞かれるのか疑問に感じる方もいるでしょう。
今回は、面接で短所を聞かれる理由や、好印象を与える答え方について解説します。短所を答える際に避けるべきことや、短所を長所のように言い換えるコツも紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
なぜ面接で短所を聞かれるのか
面接官は短所を聞くことで、求職者の対応力や自己分析能力を判断します。例えば短所を聞かれた際、はぐらかしたり嘘をついたりしては、不誠実な印象を与えます。面接官は、短所を聞かれても冷静に対応できるかどうか・自身と向き合えているかどうかを、判断しています。
短所を理解しているだけでなく、短所を受け入れて改善する意欲のある人間かどうかも見られています。「短所だから」と受け入れるだけでなく、今後成長していくために短所とどう向き合うべきか考えていることを伝えると好印象につながるでしょう。
また企業は、求職者の短所が自社に不適合なものでないかという点も見ています。例えば、チーム単位で仕事をする企業の場合「コミュニケーションをとることが苦手である」ことが短所では、そもそも適性がないと判断されるでしょう。たとえ短所に向き合っていても、根本的に自社と合わない短所がある人材は、採用される可能性も低くなります。
面接で短所を聞かれる理由は上記で触れたように、求職者の短所に対する向き合い方を判断するためです。同時に、企業にとって不利益のない短所かどうかを判断するためともいえます。
短所を答える際のコツ
実際に面接で短所を答える際は、以下に挙げる3つのコツを意識しておくと良いでしょう。
主観的な伝え方は避ける
面接官に共感してもらえるように、できるだけ主観的な表現は避けてください。主観的な内容ばかりでは、自分を客観視できない人間だと判断される恐れがあります。自分のエピソードを話すうえで主観的になりすぎないコツは、第三者からの自分に対する意見をベースに話すことです。
短所と向き合い、前向きに捉えていることを伝える
短所を伝える際は「できない」や「苦手」など、どうしてもネガティブなイメージの言葉が使用されがちです。短所を伝えるだけだと面接官にマイナスの印象を与えやすいので、短所を前向きな言葉に直して伝えることも心がけましょう。例えば「コミュニケーションをとるのが苦手」と伝えたのであれば、直後に「一人で黙々と仕事に集中することは得意」など、短所を前向きに捉えた言葉もセットで伝えます。そのうえで「今後チームで活動することも想定し、コミュニケーション力をあげることを意識したい」と、自身の短所と向き合った言葉を付け加えましょう。
意識することでカバーできる短所を伝える
性格面など、変えることの難しい短所も存在します。面接では、あえて変えられない短所を伝える必要はないでしょう。先ほども触れたような、前向きな表現に言い換えられるものや、努力することでカバーできる短所をピックアップするよう心がけましょう。
短所を答える際に気を付けるべきこと
短所を答える際は、以下に挙げる観点に付随したものを答えないように注意しましょう。
- 直接仕事と関係ない短所について触れる
- 適性がないと判断される短所を答える
- 身体的特徴を短所として伝える
上記はたとえ正確に答えられたとしても、決して良い印象を与えません。
直接仕事と関係ない短所について触れる
「掃除や料理が不得意」「読書が苦手」など、働くうえで関係のない短所を答えることは避けましょう。仕事に関連しない短所は、企業が知りたい情報ではありません。短所を聞かれる意図を理解し、仕事に関係する短所を答える必要があります。
適性がないと判断される短所を答える
例えば営業の仕事をするのに「人と関わるのが不得意」と答えてしまうとどうでしょうか。確かに正直に短所を答えてはいるものの、自社の業務には向いていないと判断されやすくなるでしょう。志望する企業で行う業務をある程度把握したうえで、ネガティブな印象にならない短所を選択してください。
身体的特徴を短所として伝える
「昔から体が弱い」「背が低い」など、変えようのない身体的な特徴を短所として答えることも避けましょう。身体的特徴は、努力しても変えることの難しいものです。あくまで「改善策を立てられる」「向き合うことで自身・企業への利益となる」ことを意識したうえでの短所を答えましょう。
言いにくい短所は長所に言い換えるのが得策
短所は長所として言い換えることで、企業に前向きな印象を与えられます。ここまで、短所の効果的な伝え方などに触れてきました。しかし、できれば長所として言い換えられるほうが、自身の「強み」が増えるでしょう。したがって、面接を成功させるためには短所と向き合うだけでなく、短所をいかに長所へ言い換えられるかが重要です。短所から逆算して長所に置き換えることで、一貫性も生まれるでしょう。
「このような短所があったが、こういう形で長所として捉えている」
上記でももちろん問題はありません。しかし、あえて短所として伝えず、いっそ短所があったからこそ長所になっていると言い換えることでより好印象を与えられるかもしれません。
短所を長所に言い換えるメリット
ここでは、短所を長所に言い換えるメリットをもう少し詳しく紹介します。
ポジティブな印象を与えられる
いかに言葉をうまく使っても、短所である以上は多少なりともネガティブな印象を与えてしまいます。短所を長所に言い換えることで、面接官にポジティブな印象を与えられるでしょう。しかし、すべての短所を長所として言い換えてしまうと「短所に向き合っていない」と捉えられるリスクもあります。この記事でも触れた短所を伝える際のコツも踏まえたうえで、長所と短所のバランスを考えることも大切です。
幅広い視点で物事を捉えられる
短所を長所に置き換えようとすることは、これまでとは異なる視点で自分と向き合うことと同義です。既存の枠組みから異なる見方で物事を考える「リフレーミング」の観点でも、多角的な視点は重要視されています。自身の概念を打ち崩すことで、これまで解決できなかった課題に向き合える可能性もあるでしょう。短所を長所に言い換える意識は、ビジネスパーソンとしての視野を広げる意味でも重要です。
よくある短所と言い換えパターン一覧
ここでは、よくある短所と長所への言い換えパターンをいくつか紹介します。自分の短所はわかっていても、どう長所に言い換えるべきかわからない方は、ぜひ参考にしてください。
短所 | 長所 |
---|---|
流されやすい | 協調性 |
自我が強い | リーダーシップ |
世話を焼いてしまう | コミュニケーション能力 |
楽観的 | ポジティブ |
理屈っぽい | 論理的 |
神経質 | 几帳面 |
要領が悪い | 目の前のことに集中できる |
プライドが高い | 負けず嫌い |
自己主張が強い | 積極性 |
心配性 | 計画性 |
まとめ
誰にでも短所はあるため、短所を伝えること自体は悪いことではありません。いかに短所と向き合い、改善しようと考えているか伝えることが大切です。自身の短所に向き合っている人材は、企業にとっても魅力的です。
どうしても自身の短所を受け入れられず、不安に感じる場合は今回紹介した「長所への言い換え」を実施しましょう。変えられない短所に苦しむのではなく、むしろ「強み」として受け入れることで、これまで見えてこなかった新たな自分に出会えるかもしれません。