ケーススタディとは?進め方や効果、活用される場面、代表的な例題を解説

2023年7月2日

2024年4月26日

著者

Izul広報チーム

Izul広報チーム

実践レベルのビジネススキルを磨く手法として、ケーススタディが注目されています。ケーススタディという言葉を耳にしたことはあっても、その詳細まで理解しきれていない方も多いのではないでしょうか。

今回は、ケーススタディの概要や目的、活用される場面について紹介します。ケーススタディの進め方や効果など、実践に近い目線での疑問も解消しているので、ぜひ最後までご覧ください。

ケーススタディとは

ケーススタディとは、実際に発生した事例を基に分析を行い、その背景にある法則・傾向を明らかにしていく研究手法のことです。日本語では「事例研究」と訳されます。また、事例を基にした教育手法をケーススタディと指す場合もあります。

実際の事例を疑似体験し、問題の発見や最適な解決策の考案を行うのが教育でのケーススタディです。ケーススタディを行うことで、リスクヘッジやアイデア創出など、さまざまな効果が期待できます。また、理論だけでは得られない、実践的なスキルを身につけられるのもケーススタディの特徴です。

ビジネスシーンで活用される目的

ビジネスシーンにおけるケーススタディは、問題解決力・意思決定力を鍛える目的で実践されます。困難なシチュエーションに直面することの多いビジネスシーンでは、課題を解決し、的確に意思決定することが必要不可欠です。

しかし、個人の経験だけでは、能力の向上には限りがあります。事例を基にしたケーススタディを行うことで、個人では身につけられない経験・感覚をノウハウとして得られます。そのため、多くの企業が育成の観点から、ケーススタディを研修などに取り入れています。

医療・教育の現場でも実践される

ケーススタディは、医療や教育の現場でも実践されます。医療現場では、実際の症例などを基に、座学だけでは学べない体験ベースの対処法を身につける目的でケーススタディが取り入れられます。教育においては、実際の事例に基づいて「自分ならどうするのか」という視点で、ディスカッションすることでケーススタディに触れていきます。

ケースメソッドとの違い

ケーススタディと混同しやすい「ケースメソッド」は、大まかな意味はほとんど同じです。ケースメソッドとは、具体的な事例研究を重視する教育方法を指します。実際の出来事をベースに「受動的」に学ぶケーススタディに対し、ケースメソッドは「実際に起こりうる課題」を題材にします。「能動的」な視点であるため、意味は同じでも、ケーススタディとはスタート地点が異なるといえます。

ケーススタディが活用される場面

ケーススタディは主に、再発防止・アイスブレイク・階層別教育の場面で活用されます。ここでは、それぞれの場面でケーススタディがどう活用されるのか解説します。

再発防止

直近に発生した問題を「事例」としてケーススタディで取り上げることで、リアルタイムでの課題抽出を基にした再発防止策を考えることができます。問題が発生した段階で議論し、社内で共有することで、ケーススタディで取り上げる事例として役立ちます。

アイスブレイク

会議など、緊張しやすい場面において、アイスブレイクの目的でケーススタディを実践することもあります。ケーススタディを用いてディスカッションすれば、会議独特の緊張感を緩和しつつ、課題解決の手法を導き出すことが可能です。普段会議で発言しないような人材が、積極的に参加するきっかけにもなります。

階層別教育

企業内での教育は、新人・リーダー・管理者など、ポジションによって最適なものが異なります。ポジションごとに適した​​ケーススタディに取り組むことで、自身の役割を再認識したうえで課題解決能力を身につけることが可能です。

ケーススタディの進め方

ケーススタディは、以下の手順で進めるのが一般的です。

  1. 取り上げる事例を設定
  2. 事例の読み込み
  3. 問題の明確化
  4. 解決策の洗い出し
  5. 結論・解答の共有

実際にケーススタディに取り組む際の参考にしてください。

1:取り上げる事例を設定

ケーススタディの題材となる事例を取り上げ、設定します。自社で発生した事例から設定する場合もあれば、他社が公開している事例を取り上げる場合などさまざまです。そのうえで、取り上げた事例に適したテーマを設定してください。

2:事例の読み込み

設定した事例を読み込み、背景や問題点を抽出・把握します。ケーススタディの情報が不足しているのであれば、ディスカッションの場を設ける担当者・責任者に確認してください。また、ケーススタディ参加者に事例を共有しておくことで、当日の進行がよりスムーズになります。

3:問題の明確化

事例の読み込みまで完了したら、実際に「何が問題なのか」を明確にします。ケーススタディは、ひとつの事例に対して複数の問題が含まれている場合がほとんどです。そのため問題を明確にしていくことで、事例に内在する問題点を複数抽出する能力を鍛えることにもつながります。

4:解決策の洗い出し

問題の明確化が進んだら、いよいよ具体的な解決策を考案します。個人で出したアイデアを持ち寄りながら、チーム単位で自信を持てる結論を導き出しましょう。

5:結論・解答の共有

導き出した結論を、チーム単位で共有します。チーム間での意見交換や、複数の意見を基にした「ひとつの正解」を導き出す形で進めるのがケーススタディの最後のステップです。

ケーススタディの効果

ここでは、ケーススタディを実践することで期待できる主な効果を紹介します。

リスクヘッジ

ケーススタディは、失敗例を基に対策を練ることがほとんどです。そのため、今後発生しうるであろうリスクの回避や、再発防止につながります。また、他社の事例を自社に置き換えることで、同じようなリスクの発生を防止できます。

アイデア創出

ケーススタディで事例に対する解決策を考案する中で、自社にマッチした新たな施策が生まれる場合もあります。失敗を糧に、リスク回避と同時に今後に役立つアイデアを創出し、更なる発展につなげられるのもケーススタディのメリットです。

時間短縮

ケーススタディは、実感しきれていない自社の課題を早急に明確化できるのもメリットです。経営層が会議を重ねてようやく生み出されるような施策が、従業員同士のディスカッションであっさり生まれる可能性があります。

メンタル強化

ケーススタディの実践を重ねることで、実際に困難な場面に直面した際も容易に乗り越えられるようになっていきます。困難に直面した際、慌てることなく対応できるメンタル強化につながるのも、ケーススタディのメリットです。

ケーススタディの例題

最後に、ケーススタディの例題と、ディスカッションする内容の例を紹介します。ここで紹介する例題に自社の事例などを当てはめて、効果的に活用してください。

<例題>

以下に当てはまる店舗の月間売上を推定し、売上を20%向上させる方法を述べよ。
ファミリー向け飲食店10〜20時まで営業座席数50月間営業日数30日

<ディスカッションする内容>

推定の月間売上高(過去最高をベースに)売上を20%アップさせるための方法(単価・座席数・営業時間・客数など)実際に使えるデータ(人口・市の数・世帯別年収など)

店舗の月間売上予測を20%向上させるためにどうすべきか、推定の月間売上と人口などのデータを用意したうえでディスカッションしてください。目標達成に何が必要か、実際の数字やデータを用いて正解を導き出すのがケーススタディの取り組み方です。

まとめ

今回は、よりリアルな目線で課題解決策を考案できる手法、ケーススタディについて紹介しました。自社の課題を明確にするだけでなく、他社の事例を参考にリスク回避できるのがケーススタディの特徴です。新たな企業戦略立案につながる手法でもあるため、本記事を参考にケーススタディを実践してみてはいかがでしょうか。

監修者・仁科 裕美

仁科 裕美

大学卒業後、新卒で株式会社リクルートに入社。ライフスタイル領域にてメディア営業を大阪、福岡、東京にて経験。23歳でリーダー任用を受け、25歳で第一子を出産後、産休育休を取得し復職。仕事と家庭の両立を目指しフレックス制を活用しながら16時半退社を行うワーママロールモデルとして活動の場を広げる。また、キャリアアップのため子連れで東京転勤を受け、最大120名の営業組織のマネジメントを経験。マネージャーとして業績拡大をベースとした組織運営、採用育成、研修設計、講師などに従事。個人、組織共に事業表彰を多数獲得。現在は三児の母となり、プライベートの拠点を福岡に移す。副業は農業。株式会社Izulで両面型コンサルタントとしてフルリモート勤務。

著者プロフィール

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株式会社Izulの広報チームが運用。20代〜30代の若手ハイクラス層から、圧倒的支持を獲得中。働き方や転職のコツなど、キャリアに役立つ情報を発信していきます。

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