営業活動を成功させるためには、より提案内容が伝わりやすい「営業資料」を作成することが大切です。商材の情報を細かく記載した営業資料を作成することで、営業の品質を向上させる、あるいは維持できる効果が期待できます。
今回は、営業資料に記載しておくべき主な項目や営業資料の重要性や、作成するうえでの心構えについて解説します。営業資料の電子化にも触れているので、今後の営業活動にお役立てください。
営業資料に記載すべき項目
ここでは営業資料に記載すべき以下の6つの項目について解説します。それぞれの項目を記載するうえで何が必要なのか、あわせて覚えておきましょう。
- 表紙
- ターゲットやシチュエーション
- サービス内容
- よくある課題と解決策
- 事例
- 料金・実績
表紙
表紙は営業資料の第一印象を決める重要な部分です。概要のわかるタイトルをつけ、具体的かつわかりやすい言葉や数字を意識して作成してください。また、よりわかりやすくするために、専門性を省いたうえで自社商材についてイメージしやすいデザインを使用することも大切です。
ターゲットやシチュエーション
項目というよりは、営業資料の「軸」となる部分です。顧客属性・特徴・ニーズを明確にしたうえで、ターゲットを設定してください。そのうえで営業資料を配るシチュエーションを想定し、ターゲットごとの目的に合わせた資料を作成しましょう。
サービス内容
営業資料内には、自社商材の内容をできるだけわかりやすく記載することが大切です。商材のターゲットや顧客の課題解決につながるプロセスを、商品画像なども交えながら記載してください。資料の内容と実際のサービスに違いが出ないよう、できるだけ具体的に書くことも必要です。
よくある課題と解決策
顧客の属性に合わせて、よくある課題を資料内に記載します。また、その課題を自社商材でどう解決するのか、具体的な解決策もあわせて記載してください。自社商材によりどのような結果につながるか、具体的に記載しないと成約には結びつきません。
事例
アプローチする顧客の属性に近い過去の取引情報を、事例として資料内に記載するのもおすすめです。過去の事例を記載することで、顧客は商材購入後のイメージをしやすくなります。資料内に事例を記載する際はよりイメージがわきやすいように、文字だけでなく画像やグラフなども適宜利用するのがおすすめです。
料金・実績
商材を購入する際にかかる料金を、できるだけ細かく記載してください。単体の料金はもちろん、ランニングコストや費用対効果なども合わせて記載するとより具体的な資料となるでしょう。また資料の最後には企業の実績も記載すべきです。受賞歴や登壇歴など、企業としての「これまで」がわかる内容を記載しておけば、営業資料にも説得力が出ます。
営業資料が重要な理由
営業資料は、以下に挙げる3つの理由から重要視されています。ここでは、それぞれの理由について深堀りして解説します。
- 属人化の解消
- オンライン商談の増加
- 営業のサポート
属人化の解消
営業の成果は個人の適性やスキルにより左右されるものです。適性のある人間のみに重要な営業を任せ、属人化している企業もあるでしょう。しかし営業資料を作成することで、スキルに左右されにくい営業活動を実現できます。質の高い営業資料を作成し社内で共有できれば、営業の属人化を防止しつつ、社内全体で営業力を向上させることが可能です。
オンライン商談の増加
新型コロナウイルス感染症の影響により、オンラインでの商談が増加しています。リモート会議ツールを活用して商談を行う中で、自社についてより詳しくアピールするために活用できるのが営業資料です。資料をデータ化し画面で共有すれば、訪問営業と変わらない内容で商談を進められます。営業資料がなければ、オンライン商談の内容もわかりにくいものとなるため、成約率のアップに繋がりません。
営業のサポート
営業資料には新規顧客獲得につなげる「自社紹介資料」と、既存顧客を対象とした「提案資料」の2種類があります。顧客種別に対応した資料をあらかじめ揃えておくことで、自身の営業を円滑に進めることが可能です。営業資料を活用することで自身のプレゼンが引き立つ効果や、営業スキルの不足を補う効果が得られるでしょう。また営業担当の引き継ぎや新人の育成といった場面で、教材として使用できるのも営業資料のメリットです。
営業資料を作成するうえでの心構え
営業資料を作成する際は、以下の3つの心構えを認識しておくことが大切です。より顧客の心に響く営業資料を作成するうえで重要な視点であるため、ぜひ参考にしてください。
- 事前準備が大切
- 利用シーン別に使い分ける
- 営業資料不足のデメリットを把握しておく
事前準備が大切
営業資料を作成する前には、いくつかの準備が必要です。
まずは誰が使用する資料なのかを、具体的にイメージする必要があります。自身が使用するのはもちろん、取引先の誰が見るものなのか明確にしたうえで作成しなければなりません。
その後、実際に使用されるシチュエーションを想像しつつ、提案前・提案後の顧客心理をイメージしてください。例えば提案前の状態を「自社に興味があるけど他社とも比較したい」と仮定するのであれば、提案後は「自社ならではの魅力を理解し、商材のメリットも把握できる」とイメージします。
実際にどのような場面で営業資料を使用するのか考えたうえで準備を進め、冒頭で紹介した営業資料に記載すべき6つの項目をもとに作成してください。
利用シーン別に使い分ける
営業資料を作成する際は、実際にどのような場面で利用されるのかを考える必要があります。以下5つの購買プロセスから構築される「AIDMAモデル」で、利用シーンを考える方法がおすすめです。
購買プロセス | 利用シーン |
Attention:注目・認知 | 自社の名前を知ってもらうための場(名刺・メールアドレスなどの情報を集める場も) |
Interest:興味・関心 | 短時間で自社の魅力をポイントに絞って説明する場(展示会・初対面) |
Desire:欲求 | 初回訪問時(商材がどのようなものか理解してもらう) |
Memory:記憶 | 2度目以降の訪問時(担当者・関係者向けの質疑応答など) |
Action:行動 | 成約間際の商談時(実際に導入までを検討してもらう段階) |
営業資料を作成する際は、AIDMAモデルに沿うことでターゲットを明確にした資料を作成できます。
営業資料不足のデメリットを把握しておく
営業資料が不足していると、顧客に自社商材の情報を伝えきれません。オンライン商談の場合は特に、営業資料がないと顧客が自社商材についてイメージしにくくなります。
また顧客の質問に対し、明確な答えを出しにくくなるのも営業資料不足のデメリットです。営業資料は顧客だけでなく、自身が自社商材について詳しく把握するものであることを認識しておきましょう。
営業資料の電子化について
DX化の推進とともに営業資料の電子化が注目されています。ここでは営業資料を電子化する前に必要なことや、電子化の問題点について解説します。
電子化前に必要なこと
まずは営業資料作成に関して、自社が抱えている問題を明確にします。営業資料の作成や管理に、どのような問題があるか把握していないと、そもそも作成・管理の方法を定められません。電子化した資料をどう管理するのか、またルール化することも大切です。ファイルのアクセス権やファイル名など、社内で「共有」することを前提としたルールを設定してください。
電子化の問題点
営業資料の電子化には、以下の2つの問題点があります。
- どこで管理されているのか把握しづらい
- 複数の資料が混在していて最新の資料を見つけられない
営業資料の電子化には、印刷費用や保管に必要なコストを削減できるメリットがあります。しかし、電子化前に必要な準備を怠ると、上記の問題が発生してしまいます。営業資料を電子化する際に、準備不足による問題点を把握したうえで、自社内で活用しやすくするルールを設定してください。
まとめ
営業資料は顧客だけでなく、営業担当者の仕事を円滑にする役割も果たします。記載する項目ごとの概要や重要性、作成における心構えを意識することが大切です。営業資料を電子化する際は、今回紹介した作成のポイントと合わせて把握することをおすすめします。