ビジネスシーンや日常生活において、場の空気を和ませる効果をもつアイスブレイク。初対面の相手や取引先との商談に使えるのはもちろん、研修・セミナー等に参加した人の緊張を解くこともできます。リラックスするとお互いに積極的な発言ができ、上手に使いこなすことでさまざまな効果が期待できます。この記事では、アイスブレイクの効果や必要性、ビジネスシーンで使える話題を紹介します。
アイスブレイクとは
アイスブレイクとは、対人コミュニケーションにおいて相手の緊張を緩和する会話手法のひとつです。初めて出会った人同士の会話を円滑に進めたり、出席者の積極的な発言を促す効果があります。会議や研修、セミナーの冒頭で5~10分程度行われるほかにも、途中の気分転換や取引先営業などの商談にも有効です。
アイスブレイクが使われる場面
この記事ではビジネスシーンでのアイスブレイクに焦点を当てていますが、アイスブレイクが使われる場面はビジネスシーン以外にも数多くあります。例えば、教育現場での新入生オリエンテーションやホームルーム、歓送迎会、趣味サークルの集会、日常会話など、さまざまな場面で活用されています。
アイスブレイクの必要性
アイスブレイクには、「場の雰囲気を和ませる」「緊張をほぐす」といった効果があり、特に初対面の人が集まる場面で多く使われます。お互いを知らない状態や初めて行くような場所では、どうしても緊張したり、ストレスを感じたりしてしまうのが普通です。そのような状況を少しでも軽減させるために、アイスブレイクが必要とされているのです。
アイスブレイクを行うメリット
ここでは、アイスブレイクを行うメリットを3つのポイントで解説します。
雰囲気を和ませる
アイスブレイクを最初の会話に盛り込むことで、場の雰囲気を和ませる効果が期待できます。参加人数が多くても会話が弾みやすくなるため、会議やミーティングの生産性も向上するでしょう。
緊張をほぐせる
アイスブレイクには緊張をほぐす効果もあります。「大勢の前で話をするとき」「初対面の人に会うとき」「新しい職場で仕事をするとき」など、人は知らず知らずのうちに緊張や不安を感じてしまうものです。アイスブレイクで緊張が解ければ、参加者がパフォーマンスを発揮しやすくなります。
話しやすい雰囲気を作る
話しやすい雰囲気を作りたいときにもアイスブレイクが有効です。最初から本題に入ってしまうと発言者が萎縮してしまい、気まずい状態のまま会話が進むことになります。最初に誰でも自由に発言しやすい空気を作ることで、積極的な発言や意見提案を促せるでしょう。
アイスブレイクの注意点
アイスブレイクは使い方を間違えると、参加者を不快な気持ちにさせてしまうことがあります。ここからは、アイスブレイクを行う際の注意点を4つのポイントで解説します。
プライベートな話題は極力避ける
プライベートな話題は、人によっては不快に感じてしまう場合があるので注意が必要です。例えば、家族構成・年齢・生活・家庭環境などは、企業の採用面接でも聞いてはいけない質問項目に該当している話題です。いくらアイスブレイクとはいえ、プライベートな話題に踏み込みすぎる行為は避けましょう。
時間配分を意識する
アイスブレイクはさまざまなメリットを得られる会話手法ですが、不要な人がいるのも事実です。アイスブレイクの時間を多く取りすぎてしまうと、本題にかける時間が少なくなり、本来の目的から外れる危険性があります。限られた時間を有効に使うためにも、アイスブレイクを行う際は、時間配分に注意しましょう。
本題を忘れない
時間配分の話にも関連しますが、アイスブレイクを行う際は本題を忘れないように注意しましょう。本題から逸れてアイスブレイクに割く時間が長くなったり、アイスブレイクの話題に集中しすぎてしまうと、場の目的から大きく外れてしまいます。アイスブレイクはあくまでも会議や場の雰囲気、緊張感を和らげるサポートツールのようなものです。常に本題を忘れないようにしましょう。
砕けた口調・表現は使わない
アイスブレイクを行って雰囲気や緊張感が和らぐのは、参加者だけではなくファシリテーター(進行役)も同じです。全体の緊張が和らぐのは良いことですが、緊張感がなくなりすぎて砕けた口調や表現になってしまえば、参加者の不信感に繋がる恐れがあります。自身が進行役である場合は、緊張と緩和のバランスに気をつけながら会話を進めるのがよいでしょう。
ビジネスで使える!アイスブレイクのネタを紹介
ここからは、ビジネスシーンで使えるアイスブレイクの定番ネタ12選を紹介します。 会話のネタがあまり思いつかない方は、ぜひ参考に活用してみてください。
地域
オフィスの場所や居住地域、相手が興味のある場所など、地域に関する話題はアイスブレイクに最適です。地域の特色や話題の場所などを自分から話しても良いですし、相手から話してもらえるように「おすすめのお店」などのテーマで絞って聞いてみるのもよいですね。
季節
季節に関する話題はアイスブレイクの鉄板ネタです。例えば、夏が近ければ夏の思い出やエピソード、夏に関連するイベントの話題などを話してみるのがよいでしょう。さらにシンプルな導入にするなら、その日の気温や天候などに触れつつ会話を進めることもおすすめです。
趣味
趣味の話をするときは、単なる自慢話にならないように注意をしましょう。また、アイスブレイクをする際に共通するテクニックが、相手の興味を引く切り口や話し方にすることです。例えば音楽が趣味なら、相手の世代で流行った音楽の話題を振ってみるなど、自然と会話が続くように工夫してみましょう。
ニュース
ニュースは日々の時事ネタに関する話題なので、尽きることがありません。気を付けなくてはいけない点が、日頃から情報収集が欠かせないことと、相手のほうが深い知見があり話についていけなくなるパターンがあることです。日々のニュースからマニアックな話題に発展することは稀ですが、浅すぎる話題しか提供できない場合はほかのアイスブレイクで対応しましょう。
旅
地域ネタと同様に、これまでに訪れたことのある地域や注目されているスポットなど、旅行に関する話をするのも盛り上がりやすいでしょう。
旅先のエピソードでも良いのですが、少し視点を変えて、移動方法や旅の楽しみ方などに焦点を当てることもおすすめです。例えば、「新幹線や飛行機を使って行くような距離を鈍行列車で行った」「初めて寝台列車に乗った」「自転車で一人旅に行ってみた」など、貴重な経験を活かす方向で話をすることも可能です。
家族
家族ネタは少し注意が必要な話題ですが、多くの人の共感を得たり、相手との共通点を見つけることができる可能性があるので、検討したい話題のひとつです。家族ネタをアイスブレイクに使う場合、まずは自分のことを話すようにしましょう。
例えば、子どもに関する話題を急に振ったとしても、相手に子どもがいなければ理解されにくいですし、人によっては不快に感じる場合もあります。自分から家族の話題を出してみて、相手の顔色や反応を伺いながら話を広げていくスタンスがおすすめです。
健康
健康は年齢を重ねていくほど関心が高くなる話題なので、会話相手によって内容を使い分けると良いでしょう。また、近年ではコロナ禍によって多くの人が心身の健康に対する関心・意識を高めており、若い世代にも通用しやすくなっています。健康ネタのアイスブレイクを使う場合も、ただの自慢にならないように注意をしましょう。
仕事
ビジネスシーンにおいて仕事に関する話題は鉄板ネタです。新たなビジネスチャンスを創出する機会に繋がることもあるため、冒頭や途中のタイミングなどに積極的に取り入れたい話題です。ただし本題に近すぎる領域だとアイスブレイクにならないので、方向性を微妙にずらすなどの工夫を挟みましょう。
ファッション
相手のファッションに関する話題は、気軽に使えるアイスブレイクのひとつです。ジャケットやシャツ、カバンなどをはじめ、腕時計や眼鏡などの小物について話題を振ってみるのも良いでしょう。相手がファッション好きであれば、その日の格好から話が弾む可能性が高いです。ただし、小馬鹿にしているようなニュアンスにとられると逆効果なので、褒め表現にはくれぐれも気を付けましょう。
食事
食事ネタも多くの人に共通する部分が多いので、積極的に取り入れたい話題です。地域の話からおすすめのお店やお土産の話に繋げてみたり、料理好きな人には好きな食べ物やよく作る料理、食材について聞いてみたりと、話を広げやすい特徴があります。
出身地
出身地に関する話題も鉄板のネタです。「御社は本社が関西にあるようですが、〇〇さんも関西出身なのですか?」など、場所に絡めて話題を振りやすい点が特徴です。出身地のほか、出身大学なども話しやすい話題のひとつです。
自己開示
ここまではアイスブレイクに使える定番ネタを紹介してきましたが、すべてに共通するのは自己開示です。自己開示こそアイスブレイクの大元になる部分で、自己開示をしなければ適切なコミュニケーションを図ることは難しいです。
自己開示とは、自分の強み・弱み・考え方・趣味嗜好などを思惑なく相手に伝えることです。アイスブレイクを行う際は相手のことを思いやり、相手に話してもらう姿勢ではなく、自分から話題を提供する姿勢を忘れないようにしましょう。
オンライン研修等で使えるアイスブレイクゲーム
コロナ禍によって従来の生活様式は大きく変わりました。その中のひとつに、Webサービスを利用した面談やセミナーなどがあります。法人・個人を問わず多くの人がオンラインによるコミュニケーションを利用しており、オンライン上の会話の重要性が以前と比べて増しています。
ここからは、オンライン研修や面談などで使いやすいアイスブレイクネタを3つ紹介します。
ミュート機能でしりとりを行う
オンラインツールのミュート機能を使って行うしりとりは、下準備不要ですぐに取り入れられるアイスブレイクネタです。固い雰囲気では行えませんが、教育研修やチームミーティングなどで緊張をほぐしたいときにゲーム感覚で活用できます。実施する場合は、下記の手順通りに行いましょう。
【1】まずは順番を決める
【2】「あ」から始まる言葉など、最初のワードを決める
【3】最初の人の音声をミュートにする
【4】最初の人は2番目の人に「あ」から始まる言葉をジェスチャーや口の動きなどで伝える
【5】答えが分かったら2番目の人の音声をミュートにする
【6】2番目の人は3番目の人へ【4】の手順と同様に言葉を伝える
【7】全員の順番が終わったら答え合わせをする
ミュートにする時間を30秒などにあらかじめ決めておくと、時間管理も行えるため便利です。
英語禁止でコミュニケーション
英語を禁止したコミュニケーションのルールはシンプルで、日常で使いがちな「OK」「NG」「メール」などの英語を禁止するだけです。意識をしないと難しく、頻繁に英語を指摘する場面が出てくる面白いアイスブレイクネタです。自分だけでなく、周りの人が英語を使っていないか、常に気を配る必要があります。
ストレッチやヨガで身体を動かす
ストレッチやヨガで身体を動かすのは、会議やセミナーの途中に取り入れると効果的なアイスブレイクネタです。長時間集中して話を聞いたり、ワークショップをしたりすると、身体が疲れて集中力が落ちてしまうケースがあります。タイムテーブルを設定して内容を区切り、身体を動かす機会を設けましょう。
まとめ
アイスブレイクの意味や効果、必要性、ビジネスシーンで使える話題を紹介しました。コミュニケーションを円滑にするだけではなく、新しいビジネスチャンスの創出にも繋がる可能性があるアイスブレイクは、会議やセミナーなど初対面の人が集まる場所で有効な会話手法です。アイスブレイクを行う際は自己開示の精神を忘れず、相手の立場に立ったアイスブレイクになるように心掛けましょう。