お金そのものを扱い、社会経済を支える金融業界。業界の中でも銀行や証券会社、保険会社などさまざまな種類があるため、実態を掴めていない方も多いでしょう。今回は金融業界について、3つの種類や転職のメリット、向いている人の特徴を含めて解説します。なお本記事後半では、転職を成功させるための3つのポイントも紹介しています。
金融業界とは
金融業界は金融商品の販売や貸付業務、為替業務などを通してお金に関わり、社会経済を支える業界のことです。金融業界では営業や労務・人事といったバックオフィスの他に、証券アナリストやトレーダー、ファイナンシャルプランナーなどが活躍しています。
金融業の種類
金融業界には銀行や証券会社の他にも、保険会社やクレジットカード会社、リース会社などさまざまな業種・業界が含まれます。中でも主要とされているのが、銀行・証券会社・保険会社の3つです。本章ではこの3業界の詳細を解説します。
銀行
銀行は、顧客から預かったお金を個人や企業などに貸し出して、貸出金利と預金金利の差額や手数料から主に収益を得ています。銀行は金額やターゲットによっても名称が異なる点が特徴的です。具体的には以下の通りです。
- メガバンク:莫大な収益規模を持つ銀行・銀行グループ
- 地方銀行:地方都市に本店を置き、本店のある都道府県を中心に展開する銀行
- 信用金庫:中小企業や個人の会員からお金を集めて、その資金を元に顧客へ融資する金融機関
- 信託銀行:銀行業務だけでなく、信託業務(お金や株式の管理)や伴営業務(遺言の保管や執行など)なども行う銀行
メガバンクは三菱UFJフィナンシャル・グループや三井住友フィナンシャルグループが、信託銀行は三井住友信託銀行やみずほ信託銀行が該当します。
銀行業界の主な職種には、営業や事務職、資産運用アドバイザーなどが挙げられます。また新規事業や顧客に貢献できる他、金融リテラシーを取得できる点も大きな魅力です。
証券会社
証券会社は、株式の投資信託業務で発生する利益の一部や、投資家が株式や証券を購入する際に発生する仲介手数料を主な収益源としています。野村證券やSMBC日興証券、みずほ証券などが証券会社に該当します。株の注文を証券取引所に取り次ぐブローカー業務や、自社の資金を使って有価証券を売買するディーリング業務などが証券会社の主要業務です。
また証券会社には営業や事務職だけでなく、オペレーターや金融商品開発、経営企画などの職種があります。
保険会社
保険会社は顧客が支払う保険料と保険運用費用の差額が主な収益源です。
保険会社はヒトの死に備える生命保険会社と、モノや財産の損害リスクに備える損害保険会社の2種類に大きく分けられます。生命保険会社は日本生命や明治安田生命が、損害保険会社は東京海上日動火災保険や三井住友海上が該当します。保険会社には営業や商品開発、保険販売後のアフターサービスを行うサービス支援などの職種があります。
海外でも活躍できる可能性を持っている点や、ユーザーの不安に寄り添って感謝される喜びが魅力といえるでしょう。
金融業界に転職するメリット
金融業界は平均年収が比較的高く、自身の生活でも役立つ知識が身につきます。以降では、それぞれの詳細について解説します。
平均年収が高い
厚生労働省が発表している令和3年賃金構造基本統計調査によると、金融業・保険業の年齢・男女計の賃金は約383万円と業界の中で3位にランクインしています。野村ホールディングスや東京海上ホールディングスなどの規模の大きい企業は平均年収が1,000万を超えているため、企業によって年収は大きく異なります。転職する際の譲れない条件として年収の高さを挙げている方にとっては、魅力的といえるでしょう。
副業や私生活で役立つ金融知識が身に付く
金融業界に転職すれば仕事で日々お金に触れるため、他業界に比べて金融リテラシーが習得しやすくなります。金融リテラシーを身につけることで、資産形成や家計管理といった日常生活の側面で大きく役立ちます。
また副業が許可されている会社では、副業を行う社員もいるでしょう。金融リテラシーといった専門知識を持っていれば、比較的高単価の仕事を請け負うことも可能です。例えばWebライターの人口は年々増えていますが、金融に関する記事を執筆できるライターは多くありません。金融系ライターは貴重であるといわれているため、比較的高い報酬で仕事を請け負うことが可能です。
金融業界に向いている人の特徴
金融業界に向いている人の特徴は以下の3つです。
- 数字に強い
- 論理的に考えられる
- 学ぶ意欲がある
金融業界では、ほとんどの職種で数字を扱います。数字に苦手意識がある方は、日々の仕事に苦痛を感じる場面も多いでしょう。
また金融業界では制度の改正がある他、新しい商品がリリースされるなど、日々情報がアップデートされます。この情報のキャッチアップを大変だと思うのではなく、新しいことを吸収できて楽しいと感じられる方は金融業界がマッチしているといえるでしょう。
金融業界に転職する際のポイント
平均年収が高いため、比較的転職を希望する方の多い金融業界。こういった人気の金融業界に転職するためには、本章で紹介する3つのポイントを意識する必要があります。
志望動機を明確にしておく
どの転職にも共通することですが、志望動機を明確にしておくことは重要です。面接や履歴書など、さまざまな場面で尋ねられる志望動機。志望動機に答えられないとなると、転職成功からは大きく離れてしまいます。志望動機を決める際のポイントは以下の通りです。
- お金を取り扱う金融業界でなければ実現できないことを述べる
- その企業でないといけない理由を明確にする
- 給料や福利厚生の良さを志望動機にするのはNG
志望動機の具体例は以下の通りです。もちろん志望のきっかけは人によって異なります。あくまで参考程度に確認してください。
銀行の場合
日本の産業を金融面から支えて、国内経済の発展に寄与する一員になりたいと考え志望しました。
証券会社の場合
無形商材を扱う点と、自分の成長が顧客の利益に直結する点に魅力を感じ志望した次第です。
保険会社の場合
私が保険会社を志望するきっかけになったのが、3年前の交通事故です。
金融に関する情報にアンテナを張る
金融に関する情報を日々吸収しておくことも、転職を成功させるためには重要です。面接では最近自分が興味を持った金融に関するニュースについて、問われることもあります。この質問に対して、自分の意見を述べられないとなると、面接官から金融業界に対する意欲を疑われてしまいます。
また金融に関する情報に触れる際は、ただキャッチアップするのではなく「自分はこのニュースに対してどう思うのか?」を問いかけ、自分の意見を持つ癖をつけておくことも重要です。
転職エージェントを利用する
転職エージェントの利用も、金融業界への転職を成功させる有効な手段のひとつです。そもそも転職エージェントとは、自分に合った企業の紹介から面接指導、履歴書添削など転職活動のさまざまな面をサポートしてくれるサービスを指します。金融業界への転職を希望している旨を伝え、その分野に強い担当者にサポートしてもらうことをおすすめします。
未経験から金融業界に転職できる?
実際の求人を見ると「未経験歓迎」と募集している企業もあるため、未経験からでも金融業界に転職することは可能です。
しかし未経験を歓迎する求人がある一方、経験者を優遇する求人も当然多いため簡単に希望企業に転職できるわけではありません。未経験から転職を成功させるには、前章で紹介した3つのポイントを押さえるとともに、前職での経験から自分が転職後に活かせる経験やスキルをアピールする必要があるでしょう。
まとめ
平均年収が高いだけでなく、私生活や副業の際にも役立つ金融リテラシーが身に付く金融業界。特に学ぶ意欲があり、論理的に考えられる方は金融業界に向いているといえるでしょう。転職を成功させるためには、金融に関する情報を日々アップデートしながら、志望動機を明確にすることが重要です。なお転職に不安のある方は、転職エージェントを利用することをおすすめします。