1986年4月に施行された男女雇用機会均等法によって、少しずつ女性が働きやすい時代へと進化してきました。施行から37年を過ぎた今では「バリキャリ」や「ゆるキャリ」といった言葉が広がり、多くの女性が多様な働き方で活躍しています。
今回は、働く女性を指す「バリキャリ」と「ゆるキャリ」の概念と、傾向、職種について紹介します。それぞれの違いについて理解を深め、働き方のひとつとして参考にしてください。
バリキャリとは
バリキャリとは「バリバリ働くキャリアウーマン」のことです。仕事をこなしながらキャリアアップを望む意識の高い女性を表しますが、メディアによってその概念は異なり「仕事ができる女性」や「社会的地位の高い女性」なども含まれます。
特に定義がないことから、なかには「年収500万円以上の女性」、「恋愛よりも仕事に重きを置く女性」などとする場合もあります。
バリキャリはもう古い?
多様な働き方がより浸透した近年では、「バリキャリという考え方は古い」と言われています。その理由は、男女雇用機会均等法が施行されてから37年が経過し、今では”働く女性=当たり前の社会”に進化したことで、ひとつの言葉で表す時代ではないと考えられているからです。
時代に合わせてバリキャリが死語になりつつある現在では、バリキャリやゆるキャリのどちらにも該当しない女性が増加しています。
バリキャリの目指し方
「バリキャリでもゆるキャリでもない」といった考えが主流な現在では、バリキャリを目指さない女性がほとんどです。言葉自体に明確な定義がないため、毎日頑張って働いていればそれは立派なバリキャリといえます。
バリキャリを目指そうと、自分に負荷をかける女性がいます。バリキャリという働く女性を表す言葉があるといった認識に留め、無理に目指すのはやめましょう。
ただしバリキャリの概念を働き方の指標とするのは、将来のキャリアの可能性を広げるかもしれません。もしこれからバリキャリを目指すのであれば、”将来どのような女性になっていたいか”を軸に考えると良いでしょう。
ゆるキャリとの違い
「バリバリ働くキャリアウーマン」といった意味を持つバリキャリがある一方で、「ゆるキャリ」といった言葉も広まりを見せています。ゆるキャリとは、バリキャリとは対照的に「仕事はほどほどでプライベートを充実させたい女性」のことです。
バリキャリと同様にゆるキャリも明確な定義がないことから、仕事よりも自分の好きなことを優先したいなど、仕事の優先順位が2位以下の人と理解すると良いでしょう。
バリキャリの人に多い傾向
一般的には「仕事ができる女性」「キャリアアップを目指しながら働く女性」であることが分かります。では、バリキャリにはどのような傾向が見られるのでしょうか。大きく分けると以下の3つの傾向があると考えられます。それぞれ詳しく解説します。
- 専門性のある仕事をしている
- 社会貢献への意欲が高い
- 社会的地位を高めることを重視している
専門性のある仕事をしている
保有スキルや経験などを活かし、その上で専門性の高い仕事をする女性は企業にとって優れた人材です。専門性が高く自分にしかできない仕事を任される女性は、バリキャリに当てはまります。
社会貢献への意欲が高い
どのような仕事であっても、必ず社会につながっています。例えば食器用洗剤を開発する場合です。速乾性の高い製品が売れれば、それだけ片付ける時間が早くなり、ほかのことができる時間が増えます。リモートで働く主婦(主夫)にとっては魅力的な商品だと考えられます。
どのような仕事であっても、必ず社会貢献につながることをバリキャリは広い視野で見て、感じています。バリキャリを目指すのなら、どれだけ小さな仕事でも社会に貢献していると考えられる視点の切り替えを取り入れましょう。
社会的地位を高めることを重視している
バリキャリはいつでも、自身のスキルアップやキャリアアップを目指しています。その理由は、より良い役職に就きたいと考えるからです。
社会的地位を高めたいという考え方は、仕事をする上で大切であり、モチベーションの維持にもつながります。結果を残せば自己肯定感の上昇につながり、より充実した生活が送れます。バリキャリを目指すのなら、現職、または転職先での目標を定めると良いでしょう。
バリキャリに当てはまる主な職業
第一線で活躍する人の多いバリキャリですが、主な職業は以下の6つです。
- 医師
- 弁護士
- 公認会計士
- IT職
- 技術職
- コンサルタント
具体的になぜこれらの職種がバリキャリに当てはまるのか、その理由について解説します。
医師
医師の仕事は患者の命を助けることを中心とし、やりがいが多く収入も高いメリットがある一方で、精神面、体力面でハードといったデメリットもあります。これらの理由から、医療現場で活躍する女性医師はバリキャリに該当すると考えられます。
弁護士
弁護士も高収入な一方で、残業が多い傾向にあるなど、精神面や体力面がハードな職業です。個人事務所設立後だと特に仕事が集中し、残業が増える場合があります。
残業の増加は、プライベートな時間が減ることを意味するため、弁護士として活躍する女性もバリキャリに該当すると考えられます。
公認会計士
会計や税務、マネジメント業務を主とした公認会計士として働く女性も、バリキャリに該当します。国家資格のひとつであり難易度が高いことから、公認会計士として働くだけでもキャリアウーマンと言えるからです。
個人事務所設立後は仕事が立て込むこともあり、またそのような生活にやりがいを感じることから、仕事に重きを置く女性が多いのも公認会計士の特徴です。
IT職
IT職とは、簡単に説明すると下記のような職業に分類されます。
- プログラマー
- 情報処理サービス
- ITデザイナーなど
経験や実績を積めばフリーランスとしても活躍できる可能性を秘めていることから、バリキャリも増加傾向にある職業です。
年収は保有スキルや経験、企業によってそれぞれ違う特徴がある一方で、結婚、出産を経ても独立して働きやすい魅力があります。
技術職
バリキャリが多く活躍する職業には、ほかにも以下の5つのような技術職があります。
- Webライター
- エステティシャン
- イラストレーター
- 建築・解体・土木
- バス運転手など
働き方が多様化したことで今では多くの女性がさまざまな職業に就き、あらゆるスキルや経験を活かして活躍しています。趣味や好きなことを活かして働くことも可能な時代だからこそ、これらの職業に該当する女性もバリキャリに該当します。
コンサルタント
コンサルタントとは、主にクライアントである企業の経営議題をあぶり出し、解決への戦略を提案しながら業績改善をサポートする仕事のことです。
企業全体をコンサルタントならではの視点で見つめながら改善点を抽出することから、多くの企業にとって心強い職業でもあります。
多くの職業に求められることが多くやりがいを感じやすい職業のため、コンサルタントとして活躍する女性もバリキャリに該当します。
バリキャリに関連するさまざまな要素
バリキャリに関連する要素には、以下の4つの項目があります。
- 働き方
- 年収
- ファッション
- 恋愛の価値観
バリキャリを目指す方や、これまでとは違った視野で働きたい方は、それぞれの項目をチェックし、働き方の指標にしましょう。
働き方
バリキャリは、仕事ができる人でなくてはなりません。バリキャリは「バリバリ働くキャリアウーマン」といった意味があるため、仕事に熱い気持ちが持てない方には向いていません。
またキャリアウーマンを含む言葉であることから、社会的地位にも前向きな姿勢でなければなりません。例えば管理職を目指すのなら、これまでの経験や知識を自信に変え、日々学び、取り組んできた仕事を多くの若手へとつなげることが主な仕事です。
バリキャリとして活躍したいと考える方は、仕事ができる人を目指したうえで、仕事を通じてどのような人材になりたいかを決めることが大切です。
年収
バリキャリの概念には「仕事ができる人」「社会的地位を目指す女性」のほかに、「年収500万円以上の女性」と分けられるケースがあります。
しかし一般的な正社員女性の平均年収は令和3年でも約390万円であり、年収500万円以上のハードルが極めて高いことがうかがえます。
年収だけに焦点を当てるのではなく、自分の働きが社会貢献につながるといった視点や、働く先にある未来像を定めることが大切です。
参考:民間給与実態統計調査
ファッション
バリキャリとして働く女性は、その多くが流行を取り入れたファッションです。とはいえ、流行ばかりにとらわれず、ビジネスシーンでも好印象を与えるものをピックアップする傾向にあります。
パンツスタイルが多く、メイクはしっかり目で、企業の一社員としての意識が高いため、丁寧なヘアケアも心がけています。
恋愛の価値観
プライベートや恋愛に比べて仕事への比重が大きいバリキャリは、恋愛に疎く婚期が遅れることもあります。
恋愛そのものに興味はあっても、現在はやりがいを感じられる仕事中心のライフスタイルであるため、なかなか踏み切れない人もいるようです。
バリキャリのメリット・デメリット
バリキャリとして働く上では、メリット・デメリットについて押さえておくことも大切です。それぞれの項目をチェックしながら、自分らしさを保ったバリキャリを目指しましょう。
メリット
バリキャリのメリットは大きく分けて以下の2つがあります。
- 社会的地位を目指せば高収入につながる
- やりがいがあり生活が充実する
バリキャリとして働くなら、将来の自分を見据えた働き方を意識しましょう。そうすることで努力が企業に認められ、社会的地位の獲得や高収入につながります。
ただし社会的地位だけに焦点を当てると、プライドの高い女性と受け取られる可能性があります。バリキャリを目指すなら、日々の仕事を丁寧にクリアし、その上で企業貢献につながる働き方を意識しましょう。
デメリット
バリキャリとして働く場合は、以下の2つのデメリットも視野に入れましょう。
- 婚期や出産が遅れる場合がある
- プライベートの時間を確保しにくい
仕事中心の生活に陥りやすいことから、婚期や出産が遅れる可能性があります。
しかし、たとえ恋愛に興味がないとしても「女性としての幸せor仕事」のどちらかを選ぶ考え方は避けましょう。
バリキャリの概念に固執するのではなく、自分らしい働き方とはなにかをベースにした自分なりの生き方を大切にしてください。
まとめ
バリキャリやゆるキャリには具体的な定義がなく、取り扱うメディアや媒体によってニュアンスが異なります。一般的にバリキャリは「仕事ができる女性」「仕事を優先する女性」「社会的地位を目指す女性」などが挙げられますが、その部分に固執すれば自分らしい働き方があやふやになり、ストレスを感じる場合もあります。
たとえ地味な仕事であっても、一つひとつが社会貢献につながっています。まずは仕事に対する向き合い方を見直し、将来の自分像をイメージした上でバリキャリとしての働き方を参考にしましょう。