「クールビズ」という言葉は、誰もが1度は聞いたことがあるでしょう。夏になると多くの場所で耳にする言葉ですが、クールビズとは何か正しく理解している人はそれほど多くありません。この記事では、クールビズの概要や職場で気を付けたいマナー、クールビズ効果を高めるポイントについて解説します。
クールビズとは
クールビズ(COOL BIZ)とは、地球温暖化対策の一環として2005年から始まったライフスタイルのことです。冷房に頼らず、夏を快適に過ごすことを目指しており、企業や自治体などで積極的に取り組まれています。
また、地球温暖化対策の国民運動「COOL CHOICE(賢い選択)」のひとつでもあり、クールビズ以外のアクションとしては次の取り組みが挙げられます。
- 移動をエコにする(スマートムーブ)
- 低燃費で安全に運転する(エコドライブ)
- 過度な暖房に頼らず冬を暖かく過ごす(ウォームビズ)
クールビズがもたらす効果
クールビズがもたらす効果としては、次の3つのポイントが挙げられます。
- 地球温暖化対策
- 節約
- 健康維持
過度な冷房を控えることでエネルギー節約につながり、地球温暖化対策への効果が期待できます。加えて冷房を控えることで電気代も抑えられるため節約効果も期待できます。
また、外気温と室温の差が大きいと、自律神経やホルモンバランスが乱れやすくなりますが、クールビズによって移動時の体温変化が少なくなるので、健康維持にも一定の効果があります。適温状態を維持できれば汗腺が本来の機能を取り戻すので、体温の調節機能も正常に働きやすくなります。
クールビズの具体的な取り組み事例
クールビズの代表的な取り組み事例としては、冷房温度の適正化が挙げられます。目安となっている冷房時の室温は28度となっており、多くの企業において施行ルールに設定されています。
また、西日除けのブラインドや涼しげなカラーのカーテンを設置するなど、温度に合わせたオフィスの設備対策を行う取り組みも多く見られます。服装に関する事例も豊富で、半袖シャツや薄手の素材など、温度に合わせた服装を採用する取り組みも有名です。
環境省が推奨するクールビズの服装
環境省が推奨しているクールビズの服装可否は、以下の通りです。ちなみに「スーパークールビズ」とは、クールビズの取り組みをさらに強化したスタイルのことで、よりカジュアルな格好でオフィスに出社することが許されています。
項目 | クールビズ | スーパークールビズ |
---|---|---|
ノーネクタイ | 可 | 可 |
ノージャケット | 可だが徹底はされていない | 可 |
半袖シャツ | 可 | 可 |
かりゆしシャツ | 可だが徹底はされていない | 可 |
ポロシャツ | 不可 | 可 |
アロハシャツ | 不可 | 可 |
Tシャツ | 不可 | シーンに応じて着用可 |
ランニングシャツ | 不可 | 不可 |
チノパン | 可だが徹底はされていない | 可 |
ジーパン | 不可 | シーンに応じて着用可 |
ハーフパンツ | 不可 | 不可 |
スニーカー | 不可 | 可 |
サンダル | 不可 | シーンに応じて着用可 |
上記はあくまでも目安であり、実施可否や細かいルールは企業によって異なります。服装については、自社の規定をよく確認しておきましょう。
2021年以降は実施期間の設定が廃止に
クールビズの実施時期は例年5月1日から9月30日と定められていましたが、環境省は2021年4月1日以降、実施期間設定を廃止すると2020年3月31日に発表しました。啓発事業の効率化を目的に、各自が気温に合わせた服装をするように呼びかけています。ただし、これまでの呼びかけによってクールビズの必要性はある程度定着していることから、クールビズの普及は今後も進んでいくことが予想できます。
クールビズの効果を高める2つのポイント
冷房によるエネルギー消費を効率的に削減できるクールビズですが、効果を高めるためには何をすれば良いのでしょうか。ここからは、クールビズの効果を高めるポイントについて解説します。
快適に過ごせる生地を選ぶ
快適に過ごせる生地を選ぶと、クールビズの効果をより高めることができます。クールビズ効果を高めてくれるおすすめ生地は、次の4種類です。
- 接触冷感タイプの生地
- リネン
- ビズポロ(ニット)生地
- クールマックス
上記の中でも「クールマックス」は通気性や吸水速乾性などの機能が備わり、スポーツウェアにも採用される機能系素材です。着用中の機能性はもちろん、洗濯やお手入れも簡単なので、クールビズに適した素材といえます。
涼しげなカラーを選ぶ
クールビズの効果を高めるには、涼しげなカラーのシャツを選ぶとよいでしょう。寒色を選べば気持ちだけでも涼しくなりますし、自分のみならず周囲にも涼しげな印象を与えやすくなります。ビジネスシーンでは清涼感のあるブルー系がおすすめです。
ただし、外回りなどで動く方は汗染みが目立つ点には注意しなければなりません。場合によっては、もう少し濃いネイビーを選んでもよいでしょう。
クールビズで気を付けたい3つのマナー
猛暑日の熱中症などを回避するためにも、クールビズ効果を高めることが大切です。しかし、効果を高めようとするあまり、マナーのない人だと思われてしまう恐れもあります。ここでは、クールビズで気を付けるべきマナーについて詳しくみていきましょう。
相手を気遣った服装を心がける
クールビズによって半袖シャツの着用が推奨されていても、ビジネスシーンでは長袖が基本と考える方もいます。また、企業や業種によって許容レベルには差があるため、クールビズを実施していない取引先へ半袖シャツで訪問してしまうと印象が悪くなる恐れがあります。
クールビズに欠かせないのは、相手を気遣った服装であるかどうかです。そのため、初回の打ち合わせはフォーマルな格好で臨み、クールビズへの意識を確認したうえで服装を切り替えるなどの工夫も必要です。
だらしなく見えないように注意する
クールビズの基本は「ノーネクタイ」「ノージャケット」「半袖シャツ」です。
ただし、ノージャケットの場合はシルエットが強調されるため、大きめのサイズを選ぶと子どもっぽく見えます。また、ノーネクタイで第一ボタンを外すと首元からインナーが見えてしまう場合もあり、これも避けるべきです。さらに、半袖シャツの袖からインナーの袖が見えている場合もだらしない印象を与えかねません。
透け感の強い素材は避ける
涼しげなカラーのクールビズタイプの素材は生地が薄い傾向にあり、透け感が強まる可能性があります。インナーや肌が透けてしまうような素材は、ビジネスシーンでは着用を避けたほうがよいでしょう。
まとめ
2005年からスタートし、環境省が主体となって進めてきたクールビズ。2020年をもって実施期間の設定が廃止されましたが、今後も企業や自治体は独自にクールビズを継続する可能性が高いです。クールビズを実践する場合はメリットや注意点を正しく理解し、適切な服装を心がけてみてください。