ストレスは、仕事や私生活において少なからず影響を受けるものです。過度なストレスは心身の健康を損ねるだけでなく、仕事のモチベーションを著しく低下させてしまいます。一切のストレスをなくしたいところですが現実的には難しいため、ストレスマネジメントで心身への影響を抑えることが大切です。本記事では、ストレスマネジメントの方法や必要性、効果などについて詳しく解説します。
ストレスマネジメントとは
ストレスマネジメントとは、ストレスと上手く付き合って適切に対処することです。仕事や私生活では、業務内容や人間関係、育児や介護など、さまざまな原因でストレスを受けます。ストレスが過剰になると、憂うつな気分や身体のだるさなどの影響が表れるため、正しい対処法を習得することが大切です。
ストレスマネジメントの必要性
ストレスマネジメントを行わなくとも、仕事や生活に大きな影響を感じない方もいます。「無意識のうちにストレスマネジメントができている」「そもそもストレスが少ない環境にいる」といったケースが代表的ですが、一般的な職場や生活環境であれば、日々のストレスへの対処は必須になります。この章では、ストレスマネジメントがなぜ必要なのかについて解説します。
ストレスは生産性に影響を及ぼす
過度なストレスによって心身に不調を抱えると、仕事の効率やパフォーマンスに悪影響が及びます。例えば「これまで1時間でできていた仕事に2時間かかるようになる」などです。生産性が下がると、残業時間も増えてストレスがさらに大きくなるでしょう。また、人件費も増えるため、企業としてもストレスをなるべく受けない職場づくりやメンタルヘルスケア対策を行う必要があります。
ストレスは心の病気に関係している
ストレスは、なかなか眠れない「不眠症」や、身体の機能を調整する自律神経が乱れる「自律神経失調症」など、心の病気に関係しています。ただし、複数の要因が重なることで発症するといわれているため、ストレスが強いからといって、必ずしも心の病気になるとは限りません。
現代はストレス社会と呼ばれている
上司や同僚との人間関係や長時間労働、育児や介護など、日常のさまざまなシーンでストレスを受けるため、現代はストレス社会と呼ばれています。ストレスをなるべく受けないようにするとともに、効率よく解消させることが重要といわれています。
ストレスマネジメントの効果
ストレスマネジメントによってストレスに対処すれば、ストレスが要因の問題が解消する可能性があります。ストレスマネジメントの効果について詳しくみていきましょう。
モチベーションの維持
ストレスに上手く対処すれば、ストレスに起因する心身の不調を予防できます。結果、仕事のモチベーションを維持できるようになるでしょう。モチベーションは仕事の成果に影響を及ぼす要素のため、ストレスマネジメントの重要性は高いといえます。
病欠リスクの低下
ストレスによる心身の不調を予防できれば、病欠のリスクが低下します。ストレスに起因する病気のほかにも、感染症のように防ぐことが難しい病気によって病欠することがあります。少しでも病欠リスクを抑えて、会社からの評価が下がらないようにしたいところです。
ストレスマネジメントの方法
ストレスマネジメントの方法には、セルフモニタリングとストレスコーピングがあります。それぞれの方法について詳しくみていきましょう。
セルフモニタリング
セルフモニタリングとは、心身の調子の変化を継続的に記録することです。ストレスを感じるタイミングや原因がわかるため、対処法を発見しやすくなります。また、心身の調子の変化を客観的に分析する行為そのものに、ストレスの軽減効果が期待できます。
ストレスコーピング
ストレスコーピングとは、ストレスの原因やストレスによる症状を減らす方法のことです。次の3つに分類されます。
問題焦点型 | 情動焦点型 | ストレス解消(発散)型 | |
方法 | 直面している問題に立ち向かい、解決に向けた対策を計画・実行する | 考え方や感じ方などを変えることでストレスを和らげる | ストレスによる症状にアプローチして心身のトラブルを解消する |
例 | 転職、環境改善のために上司に提案する、仕事量の最適化など | 問題点だけではなくメリットにも注目する、人に話して感情表現するなど | 睡眠、ストレッチ、趣味を楽しむ、適度な運動など |
ストレスマネジメントで知っておきたい基礎知識
ストレスマネジメントを習得したい場合は、ストレッサーとストレス反応についての理解が必要です。これらに対処することで、ストレスが少ない状態を維持できます。それぞれの意味について詳しくみていきましょう。
ストレッサー
ストレッサーとは、ストレスの原因のことで、次の5つに分類されます。
- 身体的ストレッサー:睡眠不足や過度な疲労など
- 心理・社会的ストレッサー:人間関係の問題や仕事のプレッシャー、多忙など
- 物理的ストレッサー:気温や湿度、明るさ、騒音など
- 科学的ストレッサー:有害物質、排気ガス、大気汚染など
- 生物学的ストレッサー:花粉、カビ、細菌やウイルスなど
上記のストレッサーを理解し、それぞれ対策することが大切です。
ストレス反応
ストレス反応とは、ストレスを受けたときに起きる心身の変化のことです。次の3つに分類されます。
- 身体的反応:身体のだるさ、疲労感、肩こり、食欲不振、頭痛、肩こり、不眠など
- 心理的反応:憂うつな気分、不安、いらいら、気分の落ち込みなど
- 行動的反応:過食、暴言、遅刻・欠勤、集中力の低下、性欲減退など
このような反応が継続的に起きると心身の病気を引き起こす恐れがあります。
ストレスマネジメントの注意点
ストレスマネジメントの方法は個々で異なるため、自分に合った方法を見つけるしかありません。ストレスマネジメントを模索する際は、次の注意点を押さえましょう。
ストレスをゼロにしようとしない
ストレスを完全にゼロにしようとすると、その意識の高さに対してストレスを感じてしまう恐れがあります。また、実際にストレスがゼロになると、「仕事のモチベーションが下がる」「やる気が起こらず無気力になる」といったケースも発生しやすいため、多少のストレスを受けている状況が健全といえます。
ストレスマネジメントがストレスにならないようにする
ストレスマネジメントそのものがストレスにならないように注意が必要です。例えば、ストレスを緩和する運動を続けるために無理に早起きすると、睡眠不足によるストレスが発生します。無理のないストレス発散法を見つけて、その日の気分に応じて強度や方法を選ぶことが大切です。
まとめ
ストレスマネジメントは、ストレスに起因する心身の不調やモチベーションの低下などを防ぐための方法です。ストレスとの付き合い方は人それぞれであり、そのときの状況に応じて最適な方法が異なります。ストレスマネジメントを始めたい方は、本記事の内容を参考に、自身のストレスの原因を知ることから始めましょう。