ワーケーションとは?費用・導入事例・おすすめの自治体を紹介

2022年8月24日

2024年4月26日

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Izul広報チーム

Izul広報チーム

近年日本で流行し始めているワーケーションは、テレワーク勤務の増加によって生まれた新しい働き方です。「ワーケーションとはどういう意味?」「テレワークやリモートワークと何が違うの?」などの疑問を抱えている方も多いでしょう。この記事では、 ワーケーションの概要や費用、実際の導入事例、ワーケーションに積極的な自治体などを紹介します。企業として導入を検討している場合に役立つ情報をまとめたので、ぜひ参考にしてみてください。

ワーケーションとは

ワーケーションとは、「ワーク」と「バケーション」を組み合わせた造語です。主にリゾートエリアや観光地で仕事をしながら休暇を取る働き方を指します。休暇と仕事を組み合わせた働き方は、環境変化による社員のストレス解消や、企業の有給休暇消化率の改善など、多くのメリットが期待できます。「遠方に出張し、商談が終わればそのままワーケーションに入る」など、柔軟な働き方ができることが魅力です。

ワーケーションが注目される背景

ワーケーションは2000年代のアメリカで誕生した働き方ですが、日本で注目されるようになったきっかけは、2020年に開催予定だった東京オリンピックです。オリンピック期間中は都市部の交通規制や通勤の制限が企業に通達されていたため、「どのみち通勤が難しいのであれば、東京を出て自然の中でリモートワークがしたい」と、多くのビジネスパーソンに働き方が浸透していきました。
近年はコロナウイルス感染拡大の影響により、観光・宿泊業界へのダメージが深刻なものになりました。そのため、従来の「仕事と休暇を組み合わせる」という考え方に加えて、ワーケーションで観光促進や地域活性化を推進する意味合いも含まれています。いずれにせよ、観光業・労働者・企業のそれぞれにメリットがあるワーケーションは、現代の新しい働き方として再び注目を集めています。

テレワークとの違い

「オフィスに出社せずに遠方で働くのであれば、テレワークと変わらないのでは?」と思う方がいるかもしれません。テレワークとの違いは、「休暇」の要素が含まれるかどうかです。ワーケーションは働きながら休暇を取る働き方であり、オフィス通勤をしないこと以外は通常通りの業務を行うテレワークとは大きな違いがあります。
また、テレワークのほかにリモートワークという言葉をよく聞きますが、これらは一般的に同じ意味合いで使われています。政府・自治体・新聞などでは「テレワーク」と呼ばれ、IT・Web企業やフリーランスからは「リモートワーク」と呼ばれる傾向があります。

ワーケーションは2種類ある

ワーケーションの種類や導入方法はさまざまですが、主に「休暇型」と「業務型」の2つに分類できます。
休暇型」の場合は、休暇の合間に作業環境を整えて、勤務日・勤務時間のスケジュールを組む方法です。「業務型」は、出張・商談などの前後に休暇日を設定し、出張先でそのまま勤務できるようにする仕組みです。それぞれ「休暇をメイン」と考えるか「業務をメイン」と考えるかに違いがあるので、ワーケーション制度を導入するときの参考にしてみてください。

ワーケーションのメリット

ワーケーションのメリットは、長期休暇を取りやすくなることです。
例えば、「5連休を取得して旅行しようと思っていたが、週半ばの水曜日に外せない商談が入ってしまった」という場合、従来の働き方であれば水曜日に出勤しなくてはならず、連休取得が困難になってしまいます。ワーケーションであれば、休暇地でオンライン商談を行い、商談が終わればそのまま休暇に入ることができます。
平日にワーケーションができれば休暇中の混雑を避け、宿泊費を安く抑えられるメリットもあります。 普段とは違う場所にいることで新しいアイデア・発想が浮かぶ可能性も高く、従業員のリフレッシュに繋がる効果も期待できます。

ワーケーションのデメリット

一方でワーケーションは、「勤怠管理が難しい」「セキュリティ面で不安がある」などのデメリットも生じます。テレワーク勤務にも共通する課題ですが、オフィスとは別の場所で行う仕事は会社や監督者による管理が難しく、従業員各自の裁量に任せる必要があります。
ワーケーション先で行う業務にネット環境が必要な場合、宿泊先のフリーWi-Fiではセキュリティ面でリスクがあるという指摘もあります。そのほか、データ紛失時の対応や事故が起こったときの労災扱いなど、会社として考えなくてはならない課題がたくさんあります。

ワーケーションにかかる費用

ワーケーションにかかる費用は、交通費・宿泊費・観光費・食費などがあります。一人当たりにかかる費用に関しては、個人旅行などと比較しても大きく変わりません。ただし、企業で大規模な研修施設やバケーションハウスの貸切を行う場合は話が別です。それぞれの費用の詳細や内訳についても確認しておきましょう。

宿泊先のサービス利用料金

ホテル・旅館を拠点にする場合は、宿泊施設のグレードによって価格帯が大きく変動します。そこまで費用をかけないなら、5千円~1万円ほどで利用可能です。
滞在期間によっては、マンスリーマンションの契約などを視野に入れても良いでしょう。費用は概ね7万円~15万円前後。契約をする際は、初期費用・退去費用の確認を怠らないようにしましょう。
シェアアパート・シェアハウスは、休暇地でほかの人と交流してみたい方におすすめです。費用は月間5万円~7万円ほどが相場になるケースが多いです。

経費に計上できる費用

ワーケーションにかかった費用は経費として計上できる場合があります。 「場合」というのは、会社の指示で業務を行った費用なのかどうかで変わるためです。例えば、会社の指示で業務上必要な会食に参加した場合は経費になりますが、個人的な休暇での食事代は経費にはなりません。経費に計上できる勘定項目は、旅費交通費・交際費・通信費・図書新聞費・消耗品費などがあります。

補助金制度を上手に活用する

ワーケーションの導入を検討している方は、各自治体が提供している補助金制度の活用がおすすめです。補助金制度は、ワーケーションにかかった費用を支払ったのち、所定の手続きを行うことで経費部分に補助率を掛けた額の支給を受けられる制度のことです。補助金の種類は地域によって異なり、補助金対象も変動します。ワーケーション予定地となる自治体の詳細を事前に調べ、休暇プランに合った補助金制度を探すと良いでしょう。

ワーケーションの導入事例

ワーケーションの導入は企業だけではなく、個人で取り入れている方も多くいます。 さまざまな土地を巡り、普段出会えない人と交流できるのは、まさにワーケーションの魅力のひとつです。ここからは、個人・企業それぞれのワーケーション導入事例を紹介します。

個人で導入したケース

個人でワーケーションを導入する場合、フリーランス・リモートワーカー・週末副業といった働き方をしている人が多い印象です。
フリーランスのワーケーションは、エンジニア・プログラマー・ライター・動画編集者など、パソコンと通信環境さえあれば、場所と時間を選ばずに仕事できる人が導入しています。
リモートワーカーは企業に属している人も含まれますが、会社からフルリモート勤務を認められている方が、部分的にワーケーションを導入しているケースがあります。
週末副業型は、「平日は会社に出社し、週末だけ副業の作業と休暇を組み合わせる」といった導入方法が主流です。例えば、副業として個人でECサイトを運営していたり、Webライティングの仕事を請け負っていたりする場合は、週末だけワーケーションを取り入れることは十分可能です。

法人で導入したケース

ワーケーションを導入している企業は、従業員のストレス解消によるパフォーマンス向上や、多様な働き方の推奨を目的にしているケースが多いです。多様な働き方への関心は日を追うごとに増しており、実際に優秀な人材を確保するためにテレワーク・リモートワーク・ワーケーションを導入する企業が多くあります。
終身雇用制度が崩壊し、従来の日本企業に多く見られた「メンバーシップ型雇用」から「ジョブ型雇用」へのシフトが進む中、ワーケーションに代表される働き方の見直しがより重要視されています。

実際に制度導入した企業の事例

実際にワーケーションを導入した企業の実例として、セールスフォース・ドットコムの事例を紹介します。セールスフォース・ドットコムは米国に本社を置くIT企業で、世界No.1の顧客管理(CRM)のプラットフォーム「Salesforce」を運営しています。
セールスフォース・ドットコムは2015年に総務省の地域実証事業に参画し、南紀白浜にサテライトオフィスを設立しました。サテライトオフィスの仕事内容は内勤営業職が中心で、どこで仕事をしても同じパフォーマンスを発揮できる状況でした。そのため、白浜サテライトオフィスを立ち上げた際も、インフラ整備の必要がほとんどなく、パソコンとインターネットがあれば仕事ができる環境だったそうです。
セールスフォース・ドットコムの吉野 隆生さんのインタビューによると、白浜サテライトオフィスは東京オフィスと比べて、生産性が20%高いという結果が出ているのだとか。ワーケーションの勤務環境は通勤ストレスの解消にも効果が大きく、通勤の削減時間は月間で64時間にものぼります。浮いた時間を自由な時間に充てることができ、モチベーションの向上によって仕事に還元される好循環が生まれる、ワーケーション導入の良い成功事例だといえるでしょう。

ワーケーションに積極的な自治体

ここからは、ワーケーション希望者の誘致に積極的な地域・自治体を紹介します。個人・法人を問わず、ワーケーションの導入を検討している方は参考にしてみてください。

北海道

北海道は地元の自治体と連携し、道内の自然や独自の文化、アクティビティなどを体験できるバケーションメニューを提案しています。参加する個人・企業のニーズに合わせたプランを提供する「北海道型のワーケーション」を推奨しており、ワーケーションに積極的な自治体のひとつです。

長野県

長野県はコロナ禍の以前より「信州リゾートテレワーク」というワーケーション誘致の取り組みを行っています。リゾートエリアとしても人気がある長野県は、訪れた人に質の高い時間を過ごしてもらうべく、リモートワーカー向けの設備投資や勉強会の実施などを積極的に行っています。

沖縄県

沖縄県は、内閣府が「沖縄テレワーク推進事業費補助金」の取り組みや、ワーケーションモニターツアーを実施しており、ワーケーションに対してとても積極的です。1年を通して過ごしやすい気候が続く沖縄県は、旅行会社が提案するワーケーションプランも豊富。長期のワーケーションを検討するなら候補に入れたい場所のひとつです。

長崎県

長崎県は観光資源が豊富なリゾートエリアで、海・山の美しい自然風景や、異国情緒溢れるグルメを楽しめる場所です。「リモートワークin長崎プロジェクト」を県主導で推進しており、市町村でも独自のワーケーション応援プランを実施するなど、ワーケーション誘致にとても積極的です。

三重県

三重県もワーケーション誘致に力を入れており、「とこワク」というワーケーションポータルサイトを開設しています。ワーケーションの実施先に選ばれるように、企業向けのメニューの作成や、地域全体で行う受け入れ態勢の構築、国内外へのプロモーション活動、地域事情に通じたコーディネーターの育成など、ワーケーション誘致に非常に積極的な姿勢を見せています。

まとめ

今回はワーケーションの特徴やメリット・デメリット、実際の導入事例などを紹介しました。ワーケーションという新しい働き方を推進することで、さらなる業務の効率化や個人パフォーマンスの向上が期待できるでしょう。
一方で制度としてまだ整っていない部分も多いため、運用ルールを明確化しつつ慎重に導入を進めていく必要があります。ワーケーションの導入を検討している方は、ぜひ記事の内容を参考に仕組みを作ってみてください。

監修者・押目 隆之介

押目 隆之介

日本郵船グループにて3年間国際物流業務に従事。
リクルートに転職し、約5年間住宅・不動産領域のメディア営業およびマネジメントを経験後、前職のAbemaTV(サイバーエージェントより出向)にてコンテンツ戦略プロデューサーとして約4年間勤務しておりました。

現在は、自身の事業の経営も行いながら、リクルート時代の同僚であった中田の立ち上げたIzulにて、20~30代の方々を中心としたキャリア支援のお手伝いもさせていただいております。

著者プロフィール

Izul広報チーム

Izul広報チーム

株式会社Izulの広報チームが運用。20代〜30代の若手ハイクラス層から、圧倒的支持を獲得中。働き方や転職のコツなど、キャリアに役立つ情報を発信していきます。

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