内部統制はなぜ必要?目的や構成要素、内部統制の質を見極める方法を解説

2024年2月23日

2024年2月18日

著者

Izul広報チーム

Izul広報チーム

企業における内部統制は、効率的かつ健全に会社を運営するための仕組みでもあり、立場に関わらずすべての社員に関係することです。本記事では、そもそもどうして内部統制が必要なのか、内部統制の目的についてわかりやすく解説します。また内部統制がどの程度できているのか、質を見極める方法も解説するので、あわせて覚えておきましょう。

内部統制とは

内部統制とは、会社が不祥事を起こすことなく健全に事業を行うための仕組みです。社内の取締役はもちろん、役員や従業員といった各組織を正常に機能させる目的があります。

上場企業の場合は、金融商品取引法によって内部統制報告書の提出が義務付けられています。上場したあとに企業が発展し、その価値を最大化するためにも取り組むべき対策です。

内部統制の必要性

内部統制が求められるようになったのは、社会的背景が関係しています。企業による不祥事が年々増加したため、管理体制の整備が急務となったのです。

企業のリコール隠しなどの問題も起きており、表示偽造など社員の責任を追及されるような問題も少なくありません。

会社は、多くの人が協力してこそ業績を上げることができます。一度不祥事が起きてしまえば、会社の信用度が下がり、回復しないこともあるのです。利害環境に与える影響が大きいからこそ、いかに不祥事を防ぐべきなのかを考える必要性があります。

内部監査との違い

なかには、内部統制と内部監査との違いがわからない人もいるのではないでしょうか。内部監査は、内部統制のなかの一つの項目に過ぎません。

内部統制が正常に機能しているかを確認することで、これから起こる可能性のある問題を早期に発見できます。業務中に起こる不正を未然に防ぐことこそが、内部監査の目的です。

コンプライアンス・ガバナンスとの関連性

コンプライアンスやガバナンスと内部統制の違いも、よく混同されやすい部分です。そもそもコンプライアンスは「法令遵守」の意味を持ち、会社を円滑に回すためにも就業規則や企業倫理などを守る目的があります。

ガバナンスは、会社の運営の仕組みそのものを指しています。内部統制と似ているようにみえますが、コンプライアンスやガバナンスを達成するための一つの手法が内部統制です。

内部統制における4つの目的

内部統制において、金融庁で定められた以下の4つの目的があります。

  • 業務の有効性・効率性の向上
  • 財務報告の信頼性確保
  • 事業活動に関連する法令遵守
  • 会社資産の保全

それぞれ詳しく説明します。

1:業務の有効性・効率性の向上

日々の業務のなかで組織内の資源(人員や時間、コスト)などを合理的に使い、事業活動の目的を達成することを指します。内部統制を行うと事業の透明性が増し、安全性の確保にもつながります。日々の業務をより効率的に進めることもできます。

2:財務報告の信頼性確保

財務報告は財務諸表など、金融商品取引法上に記載されている企業に影響を及ぼす可能性のある情報が対象です。内部統制だけでなく、企業の経営状況を正確に判断するうえでも重要です。

虚無の記載があると銀行からの融資にも影響するだけでなく、投資家からの信頼を失うことにもなります。財務情報は企業にとっても、管理をしっかりと行う必要があるものです。監査法人を通して、不正や虚偽の記載はないかを証明してもらうことが、信頼性の確保につながります。

事業活動に関連する法令遵守

事業活動を行ううえでは、守らなければいけないさまざまな法令があります。社会的にも企業の法令順守への関心が高まっていることから、内部統制の重要性が高まっているのです。

もし統制が正常に機能していないと、企業の社会的信用を失いかねない法令違反が起きてしまうリスクもあります。最悪の場合、事業の継続が難しくなってしまうでしょう。

4:会社資産の保全

会社の事業を継続していくためには、さまざまな資産が必要です。建物などの固定資産(有形資産)はもちろん、会社で働いている社員も資産として守る必要があります。

会社の資産には他に、知的財産やクライアント、顧客情報などの無形資産も含まれています。資産を取得するのはもちろん、使用する及び処分を行うときは正当な手続きにて行われる必要があるのです。

内部統制を構成する6つの要素

内部統制の目的を達成するための基本的要素は、以下の6つです。

  1. 統制環境
  2. リスク評価・対応
  3. 統制活動
  4. 情報・伝達
  5. モニタリング
  6. IT化

内部統制の目的を達成するには、これらのプロセスを適切に運用する必要があるのです。それぞれ、詳しく説明します。

1:統制環境

会社の姿勢であり機能そのものをいいます。企業の組織風土はもちろん、統制に対する意識づけを決定づけるうえでも機能します。特に6つのプロセスのなかで最も重要なものとして覚えておきましょう。

どんなに内部統制に力を入れていても、社員の意識が低いと思うような結果にはつながりません。内部統制における重要性を企業全体で共有し、全従業員が当事者意識を持てるようにすることが大切です。

2:リスク評価・対応

企業にどのようなリスクがあるのかを識別します。その後、どうしたらリスクを回避できるか、軽減できるのか、どの程度のリスクなら受容するのかを分析・評価し対策を決めます。企業ごとに異なるリスクの発生頻度や可能性を見極め、分析していきます。

リスクの発生確率が高いときは、事前に対策を行うことで、リスクを最小限に抑えられます。

3:統制活動

経営者の指示が適切に実行されるように行うものです。不正などのリスクを減らすためにも、それぞれの担当者の権限や職責を明確にしなくてはいけません。

これらの範囲のなかで、いかに業務を遂行する体制が整えられるかどうかが、統制活動において重要になります。職務の分掌やマニュアル、社内規定を整備して統制活動を遂行しましょう。

4:情報・伝達

企業にとって必要な情報が、適切に識別され把握し正しく伝達するための一連のプロセスです。社員が誤解することなく理解できる形で伝達するのはもちろん、適切な方法とタイミングで共有されなくてはいけません。

メールやチャットツールなどの環境を徐々に整えていきます。社外への伝達も適切なタイミングで行いましょう。

5:モニタリング

内部統制が正常に機能しているのかどうかを、継続的に確認するプロセスです。内部統制の実態を常に監視下に置く事はもちろん、折に触れて見直しができるようにしていきます。

日常的なモニタリングと、経営者や監査役など定期的に行われる独立的評価があります。モニタリングで発覚した問題は、後回しにせずに早期に解決しましょう。

6:IT化

内部統制のIT化は欠かせません。業務を円滑に進めるためにも、IT技術を活用しつつ企業の新たな方向性として成り立たせていけるかが大きなポイントになります。システムが正常に作動せずトラブルが起これば、企業としての社会的な信用に影響するため、万が一にもトラブルが起こらないような対策が必要です。

内部統制が取れている企業の見極め方

内部統制が取れている企業かどうかは、正しいワークフローシステムが導入されているかどうかによっても変わります。ワークフローシステムは、業務のなかで決裁や稟議書などの申請や承認を行うためのツールです。

紙を使うよりも業務の効率化につながり、可視化しやすいのもポイントです。申請を行うためには正しい手順でないと承認されないことから、不正のリスクを減らすことにもつながります。

内部統制が取れていない企業の特徴

ここからは、内部統制がとれていない企業の特徴を説明します。内部統制が取れていない企業の主な特徴は以下の7つです。

  1. トラブルメーカー・エース社員が在籍している
  2. イエスマンが多い
  3. マニュアルに依存しがち
  4. 情報伝達・指揮系統が乱れている
  5. 企業内での対立・不信感の蔓延が目立つ
  6. 離職率が高い
  7. 残業が多い

それぞれ詳しく説明します。

トラブルメーカー・エース社員が在籍している

内部統一が取れていない会社には、トラブルメーカーが登場しがちです。トラブルメーカーの言動によって、他の社員のモチベーションが低下してしまうことがあります。

また飛びぬけて優秀なエース社員の存在は、他の社員のやる気を阻害してしまうことがあります。いったんは高い影響力から周囲のパフォーマンスが高まりますが、エース社員と同じような結果をだせないと、思うように評価されず嫉妬してしまう人もいるのです。

イエスマンが多い

イエスマンとは、上司など目上の人に対して自分の意見を主張せずに、なんでも従う人のことをいいます。イエスマンを作ってしまう会社は、組織状態が危うく崩壊間近だといわれています。

やる気のない社員が多いうえ、業務改善を提案できない環境にいる場合もあるでしょう。何をいっても無駄だと諦めてしまっているからこそ、イエスマンが生まれてしまうのです。

マニュアルに依存しがち

企業にとってマニュアルは、効率を高めるために必要なものです。ただしマニュアルに依存している状況は決して良いとはいえません。マニュアルを中心に業務が回っていると、社員の自発的な行動に制限をかけてしまいます。成長できる優秀な社員を育てられない環境にしてしまっているのです。

情報伝達・指揮系統が乱れている

組織が大きくなると、想定外のリスクが生じます。指示が思い通りに伝わらなくなる状況や、指揮系統の乱れを起こす場合もあります。上司など上に立つ人によって指示が変わるようなことがあれば、部下のモチベーションを下げる原因になってしまいます。指揮系統の乱れは職場の秩序の乱れにもつながるため、組織が崩壊する危険性もあるのです。

企業内での対立・不信感の蔓延が目立つ

社内で対立や不信感の蔓延が見られたら、企業崩壊が目前に迫っています。社員のモチベーションが低下し、優秀な社員は辞めていくでしょう。新しく人を雇ったとしても状況が改善されない限り、対立や不信感が消えることはありません。

離職率が高い

離職率の上昇は、組織が崩壊しかかっているサインです。組織に何かしらの問題が起きており、今まで何も対策をしてこなかったからこそ、退職を選択する社員が増えているということです。優秀な人材ほど早期に辞めてしまうため、業務が円滑に回らなくなってしまうことも考えられます。

残業が多い

一人あたりのタスクの量が増え、残業時間がどんどん長くなることは、組織崩壊の原因になります。タスクが多すぎると残業が当たり前になるため、業務効率も下がります。職場全体の雰囲気も悪くなってしまいます。

まとめ

内部統制は、企業の成長にとっても非常に重要な部分です。企業においての内部統制は、効率的・健全な企業運営に必要な仕組みであり、従業員全員が当事者意識を持って理解すべきことといえます。また内部統制は不正を防止し、業務の効率化を図ることにもつながります。内部統制の実現・浸透・日々の積み重ねが大切であるため、従業員が一丸となって進めましょう。

監修者・太田 新作

太田 新作

新卒にて東急不動産グループ会社である、東急リゾートへ入社。
沖縄、軽井沢といったリゾート地の新築リゾートマンションの販売計画の立案・販促物の作成に携わった後に、株式会社ATGSへ。
ITエンジニアの紹介営業(SES)にて、以下の会社記録を更新。
1クライアントでの売上・粗利・技術者参画人数が会社新記録を達成。MVP獲得。

2015年よりアデコ株式会社へジョイン。
主に大手WEB企業、スタートアップを中心に経営企画・経理・法務といった管理系職種の採用支援を行う。
社内でも2年連続で上位6%に入る成績を出していたが、成長を求め創業2年目のIT業界に特化した人材系スタートアップでのマネージャー職を経て、2020年よりJAC Recruitmentへ。
金融機関や大手決済サービス、FinTech系スタートアップといったFinTech領域の採用支援を担う。

900名を越えるコンサルタントがいる中で求職者様が選ぶ顧客満足度東日本2位を獲得(2021年下期)。ビズリーチのベッドハンターランクは5,000人を超えるヘッドハンターがいる中で上位2%に与えられるSランクをキープ(2021年7月~2023年2月)。

コンサルタントを行いながら、大手通信キャリアの採用戦略の立案と13名のコンサルタントをリードし採用成功を目指すアカウントマネジメントを経験。

2023年2月に自身の理想とするキャリア支援をしたく、株式会社Izulへ。
Izulの圧倒的な求職者伴走力を活かしつつ、クライアントへの介在価値最大化をミッションとする新組織RDチームの責任者へ就任。
個人でもキャリアコーチングを提供中。

著者プロフィール

Izul広報チーム

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株式会社Izulの広報チームが運用。20代〜30代の若手ハイクラス層から、圧倒的支持を獲得中。働き方や転職のコツなど、キャリアに役立つ情報を発信していきます。

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