近年、終身雇用型のワークスタイルから自分自身でキャリアを築いていく実力主義のスタイルに移行する会社も増え、キャリアアップの選択肢も幅広くなりました。転職を考えている方の中には、時期やタイミングで迷っている方も多いのではないでしょうか。転職に適したタイミングは人によって異なるため、行動できずに時期を逃してしまうケースもあります。そこでこの記事では、転職コンサルタントの視点で転職にベストなタイミングの見極め方や注意点について解説します。転職を検討している方はぜひ参考にしてください。
【結論】ベストな転職のタイミングは人それぞれ
転職するタイミングを決める要素は、仕事の状況やそれまでのキャリア、持っているスキル、希望する企業の採用状況、転職市場など多種多様です。そのため、どの人にも当てはまるベストなタイミングというのは存在しません。しかし、入社して1年未満での転職は「忍耐力の欠如」を疑われる可能性が高くなります。新卒の場合、一般的にビジネスマナーを身につけた入社3年前後がベストなタイミングとされています。同じ業種や職種でキャリアアップを目的で転職するなら、即戦力として期待される5年前後がベストといえるでしょう。
転職にベストなタイミングとは
転職にベストなタイミングは人それぞれですが、転職エージェントが持つ過去のデータを見ると、転職を決意する人の多い時期には傾向があります。ここでは、転職を決意する人が多いおすすめのタイミング8選を紹介します。転職を考えている方は、自分が置かれている状況と照らし合わせてみましょう。
社会人5〜6年目
転職を検討する時期の目安として、ある程度経験を積んだ社会人5〜6年目をおすすめします。新卒で入社した会社にも慣れ、一定のスキルも身についている場合がほとんどです。現在の能力を活かしてキャリアアップしやすく、今後のキャリアプランを考えるのにぴったりなタイミングといえるでしょう。
20代前半・第二新卒
入社した会社がブラック企業と呼ばれるような過酷な環境であったり、明らかに自分とは合わないことがはっきりしている場合は、第二新卒に当てはまるうちに転職するのもおすすめです。第二新卒としての入社なら、新卒と同じような研修を受けられる場合もあります。企業によっては「第二新卒枠」を設けているため、ぜひチェックしてみてください。
ボーナスを受け取ったあと
近いうちに転職を検討している場合は、ボーナスを受け取ったあとに退職することをおすすめします。転職先の入社日や締め日によっては、1ヶ月近くまとまったお金が手に入らないケースも少なくありません。転職によって引っ越しが必要になる場合でも、ボーナス分のお金があると安心です。
同業種に転職してキャリアアップしたい
現在勤めている会社でキャリアアップの行き詰まりを感じ、同業種に転職して成長したいと思うタイミングも転職に適したタイミングです。社内でのスキルアップが望めなかったり、やりがいを感じられなくなると意欲が湧かなくなり、仕事の質が落ちる可能性もあります。その場合、即戦力として活躍できる同業種なら、成長スピードをあげられる環境作りができるでしょう。
より条件の良い引き抜きの誘いがあったとき
転職のタイミングとして多いのが、引き抜きや知人からの誘いなど「声がかかったとき」です。このような引き抜きは、ある程度のスキルと経験を積んだ中堅社員に多く、企業側からスカウトされるケースもあります。引き抜きでの転職は役職や年収など条件面が優遇されますが、求められるスキルが高かったり、環境が合わない可能性もあるため慎重に検討しましょう。
今後の昇給が期待できないと感じたとき
今の会社ではこれ以上給料が上がらないと感じたときも、転職を検討すべきタイミングの一つです。勤務年数や自分の能力に見合わない給料では、仕事に対するモチベーションも下がってしまいます。将来のことを考えた上で、昇給が期待できる会社へ早めに転職するとよいでしょう。
会社の将来性に不安を感じたとき
会社の将来性に不安を感じたときも、多くの人が転職を検討します。とくに業績が悪化し続けている場合、人員整理によってリストラされる前に自ら離職するケースも少なくありません。また、会社の方針転換によって本来自分がやりたかったことができなくなった場合も、別の会社へ目を向ける良いきっかけになるでしょう。
私生活の環境が変わる場合
結婚や引っ越しなど私生活の環境が大きく変わる場合も、転職を考えるきっかけになりやすいでしょう。環境の変化によって今まで通りの勤務時間では働きづらくなった・もっと安定した収入が必要、といった理由で、条件の合う会社に移るケースも多く存在しています。
転職するタイミングで求められる経験・スキルを年齢別で解説
転職を決意したタイミングや年齢によって、企業から求められる能力は変化していきます。ここでは、各年齢幅で必要なスキルと転職時に押さえておきたいポイントを解説します。
社会人経験が3年未満（第二新卒）
社会人経験が3年未満の転職は第二新卒として言われ、ほとんど新卒と同等に扱われるのが一般的です。しかし企業によっては新卒よりもビジネスマナーを身につけていることを見越し、積極的に採用する場合もあります。また、競争が激しい新卒時に不採用になった企業でも、時期が変わることで転職できるチャンスもあるため、希望する企業で働ける可能性があります。そのため、前職でビジネスマナーや基本的なビジネススキル、コミュニケーションスキルを身につけていることや、仕事内容への理解度が高いことをアピールしましょう。
20代後半（25〜29歳）
20代後半は次のキャリアアップやキャリア構築を考える時期のため、転職者の多いタイミングです。専門知識がひと通り身についていると評価されるため、より高いポジションや年収を求めることも可能です。さらに長期的な活躍も期待できるため、転職市場でも引き合いの多い時期といえます。そのため、他の応募者と差をつけられるような具体的な実績や専門スキル、マネジメント経験などをアピールすると評価されるでしょう。また、20代後半の場合は大きな実績だけでなく、仕事への向き合い方や熱意も評価されるため、これまでの経験を細かく分析しておきましょう。
30代前半（30〜34歳）
30代の転職では、業務に関する専門スキルや部下を指導するマネジメントスキルが求められます。企業側は30代の転職希望者に対して「即戦力として活躍してくれるかどうか」「主体的に業務を行えるか」というポイントで評価します。そのため、前職でのキャリアを分析して、転職時に具体的な経験を伝えられるようにしましょう。また、未経験の職種に転職したい場合も、コミュニケーションスキルや交渉力、営業力、マネジメントスキルは高く評価されます。入社後にこれまで培った能力をどのように活かせるかをアピールしましょう。
30代後半（35〜39歳以上）
30代後半の転職は一昔前と異なり、30代前半と同様に「まだまだ長く活躍できる人材」として評価されます。ただし、企業側の求めるビジネススキルの基準が高くなり、採用にも慎重になる傾向はあります。そのため、豊富なビジネス経験や実績、部下の育成やクライアントとの信頼構築などの知識は、キャリアを積んだ30代後半のアピールポイントとして有効です。若手よりも経験豊富で、さまざまな困難を克服してきたことを伝えられると、企業からの評価が高まるでしょう。
転職にベストなタイミングを見極められる人の特徴
ここでは、転職に適している人の特徴について解説しています。以下の項目に当てはまる場合は、転職を実行しても成功しやすいといえるでしょう。
今後のキャリアプランが明確になっている人
転職に適している人の特徴として、今後のキャリアプランが明確になっていることが挙げられます。「今の会社ではできない〇〇の分野に挑戦したい」といったように転職後のビジョンが鮮明に描けているならば、早めに行動することがおすすめです。このような場合、転職理由や志望動機を応募先にはっきりと伝えることができるため、採用につながる可能性も高くなります。
現職の不満点と改善のポイントを的確に洗い出せる人
転職のベストなタイミングを見極められるのは、現状の分析が明確にできており、不満点と改善のポイントを的確に洗い出せる人です。現職の労働環境や事業方針、評価や給与への不満、育児による働き方の変化などを正確に把握し、転職すべきかを冷静に見極められるからです。この能力は志望動機や自己PRにも活かされるため、先を見据える力がある有益な人材として判断されるでしょう。
パワハラやいじめなどを受けている
今の職場でパワハラやいじめなどを受けている場合、いち早く転職して環境を変えることをおすすめします。周囲の目や収入面が気になることもあるかもしれませんが、ストレスにより体調を崩してしまっては元も子もありません。ただし、転職先の面接で転職理由を伝える際は、前の会社の愚痴になってしまわないよう注意してください。
今転職すべきではない人の特徴
上記の内容とは反対に、いったん転職を見直した方がいい人も存在します。ここでは、今転職すべきではない人の特徴を解説します。
転職する目的がはっきりしていない
転職する目的がはっきりしていない人は、自分の中で動機がはっきりするまで転職活動をストップすることをおすすめします。「周りが転職しているから」「何となく違う仕事に挑戦したいから」といったあいまいな理由で転職しても、新しい会社に対して満足できないことがほとんどです。転職を繰り返す原因にもなるため、「自分はなぜ転職したいのか？」をよく考えてから行動に移しましょう。
転職して間もないタイミング
転職して間もないタイミングは「またすぐに辞めてしまうのではないか」と判断され、不利になる可能性があります。短期間での転職が続いてしまうと、社会人としての忍耐力やスキルがしっかりと育ちません。経歴の印象も悪くなるため、企業側から現状認識や目的意識が低い人材と評価されてしまいます。そのため転職活動を始める前に、現状を冷静に把握・分析し、次の転職先で改善できるかを検討しましょう。
転職理由がネガティブなものしかない
転職理由が「給料が安い」「仕事が大変」などネガティブなものしかない場合も、転職する前に今の状況を見直す必要があります。別の業界・業種の条件が良さそうに見えても、実際に働いてみるとまた違った大変さが待っていることも少なくありません。「自分が今の仕事の何が不満なのか」「反対にどの部分は妥協できるのか」を考えた上で転職活動を進めることで、自分の不満を解消できる転職につながるでしょう。
まとめ
今回は転職にベストなタイミングの見極め方や注意点について解説しました。転職するタイミングは人それぞれですが、判断を誤ると希望する転職先が見つけられないこともあるため、慎重に見極めることが大切です。
「いつがベストなタイミングなのか」と迷ったら、転職エージェントIzulに相談するのもおすすめです。Izulの転職コンサルタントは数多くの転職事例に精通しており、自己分析や面談を通じて転職にベストなタイミングに関するアドバイスも受けられます。転職のタイミングで迷いや不安のある方は、ぜひ一度Izulに相談してみましょう。
