収入の安定性や社会への貢献を実感できる公務員から、民間企業への転職を検討する方は少ないかもしれません。しかし、試験に合格して働き始めたものの、理想とのギャップなどが原因で転職を希望する公務員の方もいるでしょう。
公務員から民間企業への転職は可能なのでしょうか。今回は、公務員から民間企業へ転職するためのコツや、おすすめの職種・業種を紹介します。公務員から民間企業へ転職するメリットやデメリット、公務員から公務員へ転職するための方法についても解説しているのでぜひ参考にしてください。
目次
- 公務員から民間企業へ転職するのは現実的?
- 公務員からの転職におすすめの職種4選
- 公務員の転職におすすめの業界
- 公務員から民間企業に転職するメリット・デメリット
- 公務員が転職活動を成功させるためのコツ
- 公務員からの転職に役立つQ&A
- まとめ
公務員から民間企業へ転職するのは現実的?
結論から言うと、公務員から民間企業へ転職することは可能です。公務員であることに疑問を感じたり、新たなステージを視野に入れ、転職する方は少なくありません。しかし、公務員から民間企業への転職は未経験職種の転職になるため、民間企業間の転職に比べて難しい場合があります。特に国家公務員など特殊な環境からの転職は、難易度が高くなるでしょう。そこでここでは、公務員から民間企業へ転職するための方法や、転職を成功しやすい人の特徴について解説します。
公務員からの転職が厳しい・難しいと言われる理由は?
公務員からの転職が厳しい・難しいと言われる理由は3つ考えられます。
- 必要なスキルが民間企業と異なる
- チャレンジ精神が少ない
- 売上や利益を追求した経験がない
公務員の仕事は公共性の高いものが多く、売上や利益をもたらす人材を求める民間企業では即戦力にならないと判断されやすいでしょう。また、年功序列の文化が残る公務員では、向上心やチャレンジ精神よりも堅実性や正確性を求められ、マイペースに取り組む人材が多いといった印象を持たれます。そのため、民間企業の採用担当者から高く評価してもらうことが難しいのです。
公務員から民間企業へ転職する手順
公務員から民間企業へ転職する際は、以下の手順で進めましょう。
- 自己分析・仕事の棚卸しをする
- スキルや特性を明確にする
- 転職理由を整理する
転職活動をする際には、必ず徹底的に自己分析・仕事の棚卸しを行いましょう。公務員は特定の部門に特化した業務に従事することが多く、民間企業にアピールできるスキルや経験を探します。体を動かして取り組むような仕事や専門的な知見が必要な仕事など、転職に有利なスキルがないかを徹底的に明確にします。民間企業でも通用する能力をアピールすることで、即戦力として採用してもらえる可能性を高めましょう。
また、公務員からの転職の場合、面接で転職理由を詳しく聞かれる可能性があります。そのため、転職理由を整理します。その際、公務員を下げる発言は避けましょう。
公務員からの転職を成功させやすい人の特徴
公務員から民間企業への転職を成功させやすい人には、以下の特徴があります。
- 民間企業にアピールできるスキルや特性を持っている
- 公務員に対してネガティブな印象を持っていない
- チャレンジ精神がある
民間企業は利益の追及が大きな目標であり、即戦力となる人材を求める傾向にあります。そのため、職種や業務内容に準じたスキルを持っていることが大切です。また、公務員に対しての不満を口に出してしまうような人も、良い評価を得られないでしょう。
公務員から民間企業に転職することは簡単ではありません。そのため、難しいことに挑戦しても挫けない精神を持っていることも大切です。
公務員からの転職におすすめの職種4選
公務員としての経験やスキルを活かせる仕事を選べば、転職活動や転職後の仕事もスムーズにできる可能性が広がります。ここでは、公務員時代のスキルを応用させやすいおすすめの職種について、転職エージェントの視点から紹介します。
営業
公務員からの転職で、おすすめの職種の一つ目は、営業職です。消防士や警察官など、体力と対応力の両方を求められるような公務員の経験がある方は採用されやすいでしょう。ただし、専門的な知見を有していることが必要な商材の場合は、事前にしっかり勉強しておくことが大切です。
また営業職は、仕事への熱意や将来のビジョンを評価する傾向があり、採用枠も多いため転職しやすい点が特徴です。未経験からの採用も比較的多いため、公務員から転職しやすいでしょう。
Izulでは業界・業種未経験からの転職サポート実績が豊富にあります。公務員時代のスキルや強みを活かして転職したい方は、ぜひご相談ください。
経理・財務
公務員時代に税務関係の職についていた公務員であれば、経理・財務関係の職種もおすすめです。過去の経験が活かせるだけでなく、ミスや期限に対して敏感になれるという特性が、企業側のニーズにマッチする可能性があります。また、経理や財務の仕事は部署間や取引先とのコミュニケーションが必要なこともあるため、提出書類の正確性やスピード、さまざまな状況への対応力があると重宝されるでしょう。
事務職
公務員からの転職先として、事務職もおすすめです。市役所勤務など、事務職関連の公務員として活動していた経験があれば、事務職に転職できる可能性が高まります。公務員の事務職として短時間で大量の事務作業を正確に処理する経験は確実に役に立つでしょう。未経験でも就業できる可能性があり、心機一転チャレンジしやすい職種ともいえます。
販売
公務員時代に人と接することの多い仕事をしていた場合であれば、販売職もおすすめです。窓口業務に携わっていた方は、さまざまなタイプの人と関わってきたスキルを活かせます。そのため、コミュニケーション能力が求められる販売職で評価されやすいでしょう。
公務員の転職におすすめの業界
公務員の転職には、職種だけでなくおすすめの業界について理解しておくことも大切です。ここでは、公務員の転職先におすすめしたい業種を紹介します。
教育
公務員の中でも教員の方や教員免許を持っている方に、教育関連がおすすめです。教育教材を扱っているサービスの営業や民間で運営している教育関連企業の講師など、教育に対する想いと経験があれば、親和性がかなり高いと言えます。他にもオンライン指導の需要も高まっているため、リモートでできる塾講師も人気があります。
建設・不動産
公務員時代に建設や不動産会社とやり取りした経験がある場合、建設・不動産関連の企業も、転職しやすい業種といえます。地方公務員として働いていた経験があれば、役所の手続きや流れを理解しているため経験が活かせるでしょう。転職後、営業職に必要な「宅地建物取引士」などの資格取得制度を使えるため、未経験からでも挑戦できます。また、地域に根ざした考えや知見が不動産営業に役立つこともアピールできます。
コンサルティング
国家公務員の経験があれば、専門性の高い知識や適性が求められるコンサルティングの仕事に向いています。なぜなら、複雑で多様な課題を解決する能力があると評価されやすいからです。また、責任感や論理的思考など、あらゆる面において高い能力が求められます。そのため、、コンサルタントになることを目標にIT業界や不動産業界などに身を置き、専門性を身につけてから再度転職活動を進める方法もおすすめです。
公務員から民間企業に転職するメリット・デメリット
公務員から民間企業への転職は、メリットとデメリットがそれぞれ存在します。以下では、公務員から民間企業に転職するメリットとデメリットをまとめています。
公務員から民間企業に転職するメリット
民間企業に転職することで、以下のメリットが期待できます。
- 新たなスキルを習得できる
- 仕事の幅が広がる
- 公務員としての経験が給与や配置に好影響を与える
- 働き方次第で新たなキャリアや報酬アップが期待できる
年功序列の文化が残る公務員とはまったく異なる民間企業に転職することで、仕事内容だけでなく、働き方も改善される可能性があります。民間企業では、自身の努力が経験や結果、給与にまで影響するため、公務員時代とは違ったやりがいを感じられるでしょう。また、IT環境やネットリテラシーなど再転職に有利な知見を得られるため、将来の選択肢も広がります。
民間企業への転職で、キャリアアップに必要なスキルを養えます。
公務員から民間企業に転職するデメリット
公務員が民間企業に転職することには、以下のデメリットがあることも覚えておかなければなりません。
- 公務員と比べて雇用の安定性がなくなる
- 業務量が大幅に増える可能性がある
- 公務員と比べて収入が少なくなる可能性が高い
- 家族に反対される可能性が高い
公務員と民間企業の最も大きな違いは、安定性です。民間企業では、将来的な給与やボーナスの増額は必ずしも期待できず、景気や業績に左右されます。さらにライフワークバランスへの考え方も異なるため、仕事優先の生活になる可能性があります。そのため、自己分析や業界分析を行い、自身の希望に適した転職先を見つけることが大切です。
転職に反対する家族にも納得してもらえる材料を集めましょう。
公務員が転職活動を成功させるためのコツ
ここでは、公務員が転職活動を進めるうえで押さえておきたいコツを紹介します。
自己分析で将来の展望を明確にする
自分がこれまで何をやってきたか客観視したうえで、自分のスキルを活かせる将来について考えましょう。自己分析ができていないと、適性のない企業に転職してしまったり、そもそも転職できなかったりする可能性が高まります。
年齢別の転職ノウハウを理解しておく
年齢によって、転職に与える影響が異なることを把握しておきましょう。例えば20代であれば若さがプラス要因になって、特別なスキルがなくても採用されやすいといえます。一方30代や40代の場合は、これまでの経験や企業に対する貢献度などを重視されることを覚えておきましょう。
転職後のビジョンを具体的に伝える
なぜ公務員から転職するのか、転職後にどうなっていたいかを明確にしましょう。ただ公務員の仕事に対して不満があるだけでは、転職先の企業に十分なアピールができません。
転職エージェントに相談する
公務員の仕事は特定の分野に特化していることも多いため、経験やスキルをアピールできない可能性があります。転職エージェントに依頼すれば、経験やスキルの少なさを理解してもらいつつ、適切な転職活動をサポートしてくれるでしょう。
公務員からの転職に役立つQ&A
公務員から民間企業へ転職される人の割合はそれほど多くありませんが、転職エージェントで専任のコンサルタントに相談すれば、異業種転職の豊富な実績から適切なアドバイスが受けられます。ここでは、転職コンサルタントの視点で公務員からの転職に役立つ情報を紹介します。
公務員から転職するのに資格は必要?
公務員から民間企業の法人営業など資格を必要としない職種もありますが、不動産業界やコンサルタントなどでは資格があると有利です。また、未経験の職種を希望する場合、資格を取得することで熱意の証明となり、採用担当者に良い印象を与える可能性は高いでしょう。
公務員からの転職で後悔しやすいケースは?
公務員からの転職で後悔しやすいのは、雇用や給料が不安定になり、仕事へのプレッシャーによってストレスをためてしまうケースです。民間企業は景気や業績によって経営状況が左右されるため、余裕を持って仕事ができない場合もあります。キャリアアップややりがいを求めて転職しても、望んでいた結果が出ないと後悔しやすいでしょう。
30代・40代の公務員でも民間企業への転職は可能?
30代・40代で公務員から未経験の職種への転職は、難易度が高いでしょう。一般的に30代・40代の転職者には即戦力が求められますが、公務員の転職者は利益を追求するスキルがないと判断されてしまうためです。30代・40代で転職する場合は、専門的なスキルや資格が活かせる職種や業種を選ぶことで、採用される確率をあげましょう。
公務員から公務員に転職する方法はあるの?
年齢制限の範囲であれば、公務員から公務員に転職することは可能です。公務員への転職では、通常の採用枠と経験者採用枠の2つのパターンがあります。
通常採用枠 | 一般的な公務員試験を再受験する採用枠。受験資格である年齢制限を満たしていれば受験できる。 |
経験者採用枠 | 公務員として一定の経験を積んだ人材に特化した採用枠。求められる経験・勤務年数は希望する採用枠によって異なる。民間企業などで社会人経験を積んだ年数も職歴の加算対象となる。 |
公務員から公務員への転職の場合、経験者であることが有利になる可能性もあります。ただし「また転職されるかも」という疑念をもたれやすいため、面接でポジティブな転職理由を伝えられるように準備しましょう。
まとめ
公務員から民間企業へ転職することは、決して簡単ではありません。とはいえ、不可能ではないため自己分析を実施し、コツを理解しておくことで現実的になるでしょう。また、公務員から公務員へ転職するパターンもあります。民間企業への転職と比べても難易度が高いため、より高いレベルでの自己分析や事前準備が必要です。今回紹介したおすすめの職種や業種とあわせて、公務員からの転職に本記事の内容をお役立てください。