外資系や海外の企業へ応募する際、英語の職務経歴書の提出が必要となります。応募者と企業との、いわばファーストコンタクトになることも多い重要な位置づけの書類です。しかし英語の職務経歴書は、日本語の職務経歴書とは様式が大きく異なることをご存じでしょうか。今回は英語の職務経歴書の書き方やポイント、日本語版との違いなどを解説していきます。
英語の職務経歴書が必要なのはどんな企業?
そもそもどのような企業の場合、職務経歴書を英語で書く必要があるのでしょうか。まずは英語の職務経歴書を提出するよう求められる企業を知っておきましょう。
外資系企業
外資系企業とは日本へ進出した海外企業の子会社や、日系企業が海外に買収された企業のことです。大手ならGoogleやマイクロソフトがこの代表に挙げられます。外資系企業への転職を目指す際は、英語力が必要である可能性が高く、英語できちんと職務経歴書が書けているかが書類選考の判断材料となります。
英語を日常的に扱う企業
日本を拠点とする日系企業であっても、英語を日常的に使用している企業の場合、英語の職務経歴書が必要になることがあります。海外支社を構えているような企業であれば、必然的に英語を使用する機会もあるため、英語の職務経歴書を提出するよう求められることがあると考えてください。
日本語の職務経歴書との違い
英語と日本語の職務経歴書では、記載する内容にも違いがあり、様式も異なります。そこで英語の職務経歴書の特徴や、日本語版との違いを4つ紹介します。
- 履歴書と職務経歴書の区別がない
- フォーマットに決まりがない
- 直接仕事に関係のある事柄のみ記載
- 職歴や学歴は新しい順番で
この中でも注目すべき点が、英語の職務経歴書にはフォーマットが存在しないことです。自由度が高い一方、読みやすいレイアウトを意識しなければなりません。また、日本語版の職務経歴書は、過去の職務経歴を省略せずにすべて記載することが基本です。しかし英語の職務経歴書であれば、応募する企業の業務に関連するもののみを記載するようにします。
英文履歴書との違いを覚えておくことも大切
外資系や海外の企業では、履歴書と職務経歴書をまとめたものを総じてCV・Resume(レジュメ)と呼びます。いわゆる英文履歴書としてCV・Resume共におおよその内容は同じですが、CVではさらに深く掘り下げた経歴や研究の成果などの記載を求められます。主にCVの提出は学術的なポジションの応募時に必要で、教育機関の教授や研究者などがこれに該当します。
【項目別】職務経歴書を英語で書く方法
ここからは英語の職務経歴書の書き方を、項目別に細かく解説していきます。日本語版との違いも併せて紹介しているので、作成時の参考にしてください。
氏名・連絡先
職務経歴書で一番目を引くトップ中央には、応募者の個人情報(PERSONAL INFORMATION)が入ります。ここでは氏名と連絡先(住所・電話番号・メールアドレス)を正しく掲載しましょう。ただし日本語版で記載することが多い生年月日や性別、顔写真の貼り付けといった細かな情報は必要ありません。
希望職種
冒頭でまず希望職種(OBJECTIVE)について記載してください。また職種だけでなく、希望するポジションや入社後どうしていきたいかといった大まかなビジョンを2行程度の簡潔な文章でまとめておくことで、採用担当者に希望や熱意が伝わりやすくなります。
経歴
採用担当者に最初にプレゼンテーションできる場が、経歴(SUMMARY)です。まずこれまでの自分の仕事の概要を要約して、アピールポイントを3~4行の箇条書きにします。すべてを書く必要はなく、応募企業の条件に見合うと思われる経験に具体性を持たせて記載してください。
職歴
職歴(WORK EXPERIENCE)欄は、採用担当者が特に確認する項目です。これまでに勤めた会社名・所在地・勤務期間・職務内容・ポジションなどを直近のものから記載していきます。そのほか特にアピールできる実績があれば加えておきましょう。ただし日本語版のようにすべての職歴を記載せず、応募に関係性を持たせたものに絞ってください。
学歴
学歴(EDUCATION)には学校名・所在地・卒業年度・学科などを、職歴と同様に新しいものから記載しましょう。もしも成績優秀による奨学金獲得や、なんらかの受賞の経験がある場合は付け加えます。最終学歴が大学以上であれば高校までの学歴は書きません。
スキル・資格
応募する求人内容にマッチするスキル・資格(QUALIFICATIONS/SPECIAL SKILLS)がある場合、ここでアピールします。資格の正式な名称と取得年を書くことは、日本語版と変わりありません。しかし記載するのは語学力や応募に関係のある資格、また特筆すべきものに限定し、それ以外は省略します。
職務経歴書を英語で書く際のポイント
英語で職務経歴書を書く際、単に日本語版を英訳すればよいとの考えは大きな間違いです。英語版と日本語版の認識の差を押さえ、応募企業が求める職務経歴書を作成するためのポイントを紹介します。
職歴・学歴は新しい順から書く
あくまでも企業側が知りたいのは応募者の直近の情報です。英語の職務経歴書は、時系列が新しい順であることを知っておきましょう。我々日本人になじみの深い、学歴・職歴共に古い方から記載する職務経歴書とは考えが全く異なるため、間違えないよう注意してください。
フォーマットは自由に選べる
英語の職務経歴書は日本語の職務経歴書と違い、決まった形式がないためフォーマットを自由に選ぶことができます。読みやすく、アピールしたい事柄を目立たせるなど工夫が必要です。
箇条書きを用いてわかりやすく書く
応募者の多い企業では、採用担当者は膨大な職務経歴書に目を通さなければなりません。その中でつらつらと長文を書いていたり、複雑な表現がされているとしっかりと見てもらえない可能性があり、マイナスにしかなりません。英語の職務経歴書はわかりやすさが求められています。ざっくりと目を通すだけでも伝わりやすいように、要点を箇条書きでまとめていきます。
空白期間がないようにする
仕事に就いていない期間があると、経歴の間に空白期間(ギャップ)が生じ、企業側はこの期間に何をしていたのかと疑問に感じてしまいます。職務経歴書内に違和感を持たせないために、もしもギャップがあれば子育てや介護、学業などといった明確な理由を記述して空白を埋めておきましょう。
まとめ
英語の職務経歴書が必要なケースは、主に外資系企業へ応募の際が大半です。英語の職務経歴書は、日本語版とは異なった書き方が求められるため、全く別物として考えた方が適切です。一番大切なのは「簡潔に分かりやすくアピールする」ことです。採用担当者の目を引き「この人と会いたい」と思わせ、次の審査ステップに繋げられるよう、あなたの魅力を最大限に伝えられる職務経歴書の作成に挑戦してみてください。