転職先の候補をいくつか決めるうえで、従業員数を指標にする人も多いのではないでしょうか。企業や媒体によって「職員」「社員」などと異なる呼び方をするケースや、単なる呼称として使用されるケースもあり、従業員の意味を正しく理解することが難しい側面もあります。
今回は、従業員数の定義やほかの呼称との違いも含め、転職活動を進めるうえで重要な従業員数の知識をまとめて紹介します。従業員数の多い・少ないが転職活動にどう影響するかも解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。
従業員数とは
そもそも従業員数はどのような定義なのか、把握できていない方も多いでしょう。ここでは、従業員数の定義について詳しく解説します。
従業員数の定義
企業と雇用契約を結び、業務を遂行する人を総括して「従業員」といいます。そのため従業員数は、雇用契約を結んでいる人が企業内に何人いるのかを示す指標です。企業は一般的に、雇用契約書や労働条件通知書などに、以下の項目を記載します。
- 労働契約期間
- 就業場所
- 業務内容
- 始業時刻
- 終業時刻
- 所定労働時間外の労働の有無(残業)
- 休憩時間
- 休日
- 休暇
- 交代勤務の有無(「有」の場合は交代勤務のルールも記載)
- 昇給
- 賃金(計算方法・締日・支払日・支払方法)
- 退職規定
- 解雇規定
上記の項目を承諾して入社した人材を「従業員」とし、トータルの人数を示すのが「従業員数」ということになります。
パートやアルバイトの扱いは?
一般的に、雇用契約さえ結んでいれば従業員と見なされるため、パートもアルバイトも正社員などと変わりはありません。
認識として、正社員でないと従業員数には加算されないと思っている人もいるでしょう。しかし、正しい手順を踏んで正式に入社が認められているのであれば、雇用形態を問わず従業員数にカウントされることを覚えておいてください。
雇用期間や就業時間など、いわゆる「労働条件の違い」も関係ありません。アルバイト・パートを含む「従業員」の種類は以下を参考にしてください。
- 正社員
- 契約社員
- アルバイト
- パート
- 派遣社員
- 業務委託
- 出向(在籍・転籍)
従業員・職員・社員の違いとは
従業員と混在しやすい呼称に、職員や社員があります。ここでは、それぞれが従業員とどのような違いがあるのか解説します。
従業員と職員の違い
従業員は、雇用契約を結んで企業に在籍している人を指します。対して職員とは、学校や官公庁、行政法人などで働く人のことです。国・地方の公共団体や社会福祉法人、宗教法人なども職員に該当します。会社組織ではない法人に在籍して働いている人の総称であることを覚えておきましょう。
従業員と社員の違い
非正規雇用を含めず、正規雇用者のみを指すのが社員の定義です。従業員に含まれるアルバイトやパートなどは、社員には該当しません。ただし、従業員と社員の定義を使い分けなければならない場面は多くないので、あくまで「認識のひとつである」と覚えておく程度で良いかもしれません。
転職活動を進めるうえで押さえたい従業員数に関する知識
転職活動を進めるうえで従業員数を評価項目に入れる場合は、以下に挙げる内容を知識として頭に入れておきましょう。
- 役員は除いて考える
- 正社員以外も含める
- 単体・連結の違いも覚えておく
役員は除いて考える
ほとんどの雇用形態が含まれる「従業員」ですが、役員が含まれない点には注意が必要です。役員は会社に所属こそしているものの、労働者ではなく会社の「使用者」として扱われるためです。ただし、ベンチャー企業やスタートアップ企業などは、役員が業務を行うこともあります。
役員数の多さを企業の安定性に結びつけて考える場合は、従業員数は目安になりにくいことを覚えておきましょう。事前に役員数を把握したい場合は、応募先に直接問い合わせるか、面接時の質問として用意しておくとよいでしょう。
正社員以外も含める
ここまで何度も触れているように、アルバイトやパートといった非正規雇用の人も従業員数に含まれます。従業員数を指標として転職活動を進める際は、正社員以外が含まれることも把握しておかなければなりません。
なぜなら、正社員と比べてアルバイトやパートは短期間で離職する可能性が高く、従業員数が変動しやすくなるためです。業界によっては、調査段階の人数と面接時・入社時で従業員数が大きく変動する場合もあります。非正規雇用の従業員が多い企業にアプローチする場合は覚えておくとよいでしょう。
単体・連結の違いも覚えておく
単体の従業員数とは、転職希望先の会社のみを見る場合の単位です。対して連結の従業員数は、子会社や関連会社などで働く人も合わせた数が当てはまります。連結の従業員数を掲載している企業であれば、従業員数に比例して企業規模が大きいと判断できます。転職活動と同時に企業研究も行う場合は、単体・連結の従業員数推移と比較して成長性を見定めてみましょう。
従業員数の多い企業・少ない企業を比較
従業員数の多さ・少なさが、転職先を選ぶうえでどう影響するのでしょうか。ここでは、従業員数の多い企業と少ない企業のメリット・デメリットをまとめています。
従業員の多い企業のメリット・デメリット
従業員数の多い企業で働くメリットとデメリットは、以下の通りです。
メリット | デメリット |
誰もが知っている企業であることが多い給与などの条件面が優遇されている福利厚生が備わっている教育・研修制度が充実している募集枠を多く設けている場合がある最先端の技術に触れられる機会が多い | 個人の裁量権が少ないルーチンワークになりやすい転勤の可能性が高い経営者と関わる機会がほとんどない競争相手が多い部署外での人間関係を構築しにくい望まない仕事・部署を担当する可能性が高い |
従業員の少ない企業のメリット・デメリット
一方で従業員が少ない企業には、以下のメリットとデメリットがあります。
メリット | デメリット |
自分に与えられる裁量が多いのでやりがいがある業務の幅が広いのでさまざまな経験を身につけられる成果が給与・待遇に反映されやすい社内での連携が取りやすい外部との折衝に集中しやすい個人同士の関わりが多くなるので人間関係を構築しやすい経営層のマインドを身近で勉強できる | 大手と比べて経営の安定性における不安がある一人ひとりにかかる業務負荷が大きいバックオフィスの業務が多い教育・研修制度が不十分と感じることがある人間関係が悪化した場合のリスクが大きい |
まとめ
この記事では、転職活動を進めるうえで押さえたい従業員数の定義について紹介しました。
従業員数の多さ・少なさがそのまま企業の良し悪しにつながるわけではありません。しかし、経営の安定性や個人の裁量などを、予測ベースで判断するうえでは重要な数値です。
自身の望む働き方やキャリアがある程度明確なのであれば、転職希望先の従業員数を情報として把握することが推奨されます。今回紹介した内容を参考に、従業員数を把握したうえで転職活動を進めましょう。