退職する場合は、必ず会社にその旨を伝えなければなりません。しかしどのタイミングで、誰に何をどう伝えるべきか分からない方も多いでしょう。適切な伝え方をしなければ会社とトラブルになり、円満退社とは程遠い事態に陥りかねません。今回は失敗しない退職の切り出し方を、伝えるべき内容やタイミング、相手などを含めて紹介します。
退職を切り出す際に伝える内容
本章では実際に退職を切り出す際に伝えるべき内容を、4つの要素に分けて紹介します。スムーズに退職できるように、必ず伝えることを前提としましょう。
一言目はお詫びと退職の意思を伝える
退職を切り出す際は、まずお詫びから伝えましょう。「お忙しいところ大変恐縮なのですが」「突然で大変申し訳ないのですが」などとクッション言葉を加えることで角が立ちにくくなります。
お詫びを終えた後は「今回は退職についてお話させていただきたく、お時間をいただきました」と退職の意思をはっきり伝えます。「退職を考えているのですが」や「退職しようか迷っています」などと濁すと引き止められる他、意図が伝わりづらく上司を混乱させてしまうこともあるため退職の意思は明確に伝えましょう。
会社側が引き留めにくい退職理由
ほとんどの場合、退職を切り出すとその理由を尋ねられます。退職理由がポジティブであれば、引き止められにくいでしょう。具体的には以下の通りです。
- これまでの経験を活かして、次は〇〇の分野で活躍したい
- 全く新しい〇〇の分野に興味が出てきたので、挑戦したい
- 起業したい
- 個人で開業したい
また結婚や転居、体調不良などの個人的な都合も退職理由としては有効です。しかし嘘をついてしまうとバレた時にトラブルになる可能性もあるため、あくまで事実の場合のみ伝えるようにしましょう。
希望の退職時期
退職理由を伝えた後は、希望の退職時期も早めに伝えておきましょう。現在進行している業務の引き継ぎや会社の都合もあるため、あくまで退職時期は相談ベースで話を持ちかけます。「◯月までの退職を考えています」と日程調整の余地は残していることを含みながら伝えると、スムーズに話が進むでしょう。
感謝の言葉
最後は、上司の忙しい時間を自分の都合のために確保してもらったことに対して、感謝の言葉を添えましょう。その際「お時間いただきありがとうございました。退職まで責任を持って従事・引き継ぎいたします」と、退職まで誠意を持って仕事をこなすことを伝えると好印象を与えられるでしょう。
数ヵ月後には疎遠になるからといって、関係性を悪くする必要は一切ありません。最後まで良好な関係を築けるように、基本的なマナーは弁えましょう。
退職を切り出すべき相手は?
退職を切り出すべき相手は、自分の直属の上司です。普段指示を仰ぐことが多く、スケジュールや業務を管理している人が直属の上司にあたります。
社員が十数人程度の会社であれば、社長が直属の上司であるケースも考えられます。その場合は社長に退職を切り出しましょう。
また同僚に退職を伝えるのは、上司にその旨を伝え正式な退社日が決定した段階がベストです。信頼のおける数人の同僚に相談することはやむを得ません。しかし、多数の同僚に伝えてしまうと不確定な情報が流出する恐れもあるため注意が必要です。
退職を切り出すタイミングは?
退職を切り出すべきタイミングは、会社の就業規則によります。遅くとも退社の1ヵ月前までにはその旨を伝えましょう。
しかし、繁忙期は退職を切り出すタイミングとして相応しくありません。ただでさえ通常業務で忙しい中、退職を切り出されても忙しいことを理由に引き延ばされる場合があります。退職を伝えるのであれば、繁忙期以外がおすすめです。
退職を切り出す際の注意点
退職を切り出す際、注意すべき点が3つあります。退職するといってもこれまでお世話になった会社です。最後にトラブルを起こさないように以下の3点に十分気をつけましょう。
LINEやメールで一方的に退職を告げない
言いづらいからといって、LINEやメールで一方的に退職を告げるのはマナー違反です。話しづらかったとしても、退職という大きな決断は対面で切り出しましょう。
ただ退職の旨を直接伝えるために、メールやLINEでアポイントをとるのは問題ありません。この際「相談したいことがありますので、お時間いただいてもよろしいでしょうか。」とこの場では退職を匂わせず、あくまで「相談」という形で話を持ちかけましょう。
退社日を勝手に決めない
「この日までに退職させていただきます」と一方的に退社日を決めると、最後に悪い印象を残したまま会社を去ることになります。実際に退社日を決める際は「現在行っている業務の引継ぎを完了させた上で、◯月をもって退社したいと考えております。」と多少日程を調整できることを含めた上で持ちかけると、角が立たずにスムーズに話を進められるでしょう。
会社への不満は口にしない
人間関係や給料の不遇など、退職要因が会社への不満からくるものであったとしても、それを伝えることはNGです。不満をストレートに伝えると、円満退職とは程遠くなってしまいます。また不満を退職理由にすると「その不満を改善するから会社に残って欲しい」と引き止められ、交渉が進みづらくなる可能性もあります。
不満を伝えるのではなく「これまでの経験を生かして、今後は〇〇の分野で活躍したい」「ずっと夢であった〇〇に挑戦します」などポジティブな理由で話を持ちかけましょう。
【状況別】退職の切り出し方を解説
新入社員が退職する場合や同僚や家族に退職の旨を伝える際など、退職を切り出すシーンはさまざまで、それぞれ切り出し方に違いがあります。本章では、退職の切り出し方を状況別に紹介します。
新入社員が退職する際の切り出し方
新入社員はまだ就職してから時間が経っていないこともあるため、引き止められることも大いに考えられます。そのため「業務を進める上で本当にやりたい仕事が見つかった」など、ポジティブな退職理由を伝えましょう。また親の体調不良で辞めざるを得なくなった場合などは、その旨を正直に伝えて問題ありません。
まだ入社して間もない時期に退職するとなると、申し訳なさを感じる方もいるかもしれません。しかし、早めに伝えたほうが会社側も教育リソースを無駄に投下せずに済みます。また、スムーズに新しい人材を採用できるため、あまり気負う必要はありません。
病気が原因で退職する際の切り出し方
病気が原因で退職する際は、その旨を正直に伝えましょう。その際診断書を提示しながら体調不良の内容を具体的に話すと、納得してもらいやすくなります。
また場合によっては「治療に専念しながらでも仕事は続けられないか?」と、退職を引き止められる可能性もあります。当然治療しながら働くことに肯定的であればそのまま仕事を続けて構いませんが、退職したい場合は仕事を辞めて治療に専念する旨をはっきりと伝えましょう。
同僚や家族に対する退職の切り出し方
同僚や家族にも退職を切り出す必要があります。上司との相談前に同僚に退職の旨を伝えてしまうと、トラブルになりかねません。無闇に退職に関して口にするのは避けましょう。
また家族には転職活動前に退職の旨を伝えておくと良いでしょう。退職決定後に伝えてしまうと、勤務地や年収などで揉めることもあります。特に生活を共にしている配偶者には詳しい内容を伝えて、納得してもらったうえで転職活動を始めましょう。
まとめ
退職を切り出す際は、以下4点の内容を盛り込みましょう。
- お詫びと退職の意思
- 引き留められにくい退職理由
- 希望の退職時期
- 感謝の言葉
特に注意すべき点は退職理由です。この際、会社に不満をストレートに伝えてしまうと後味の悪い退職になる他、引き止められる場合もあります。ポジティブな理由や個人都合でスムーズに退職できるように、調整することをおすすめします。
これまでお世話になった会社に余計な負担を掛けぬように、本記事で紹介した適切な伝え方で退職を切り出しましょう。