リカレント教育とは?注目される背景や制度のメリット・デメリットを解説

2022年9月18日

2024年3月1日

著者

Izul広報チーム

Izul広報チーム

近年、終身雇用の崩壊や少子高齢化を背景に「リカレント教育」という教育制度が注目を集めています。欧米ではすでに定着している教育制度ですが、日本ではまだ馴染みがなく、詳しく知らないという方が多いのではないでしょうか。この記事では、リカレント教育の概要と注目される背景、制度のメリット・デメリットについて解説します。

リカレント教育とは

リカレント教育とは、教育と就労のサイクルを一生涯繰り返す教育制度です。日本語では「循環教育」や「回帰教育」などと表現されます。社会に出て仕事に就いてからも、必要に応じて教育機関や社会人講座などで学び直すため、社会人の学び直しや学び直し教育ともいわれています。
リカレント教育では、主に自分の仕事に関する知識を学ぶことが一般的です。新しいスキルを身に付けることで、キャリアアップや転職時にも役立つでしょう。

リカレント教育の対象者

リカレント教育の対象者は主に社会人です。定職に就いている人のほかに、現在定職に就いていないものの働いた経験のある人も対象となります。年齢制限もなく、家族や勤務先の理解を得られればいつでも学び直すことが可能です。結婚や出産などで離職した人や、定年退職した人が、リカレント教育を受けて再就職を目指すケースもあります。

リカレント教育で利用できる補助金

リカレント教育で利用可能な補助金は、主に国や自治体が主体としている労働者・求職者向け教育関連の給付金や助成金、融資事業全般です。代表的な補助金としては、次のようなものが挙げられます。

  • 一般教育訓練給付金
  • 教育訓練支援給付金
  • 人材開発支援助成金
  • 専門実践教育訓練給付金
  • 母子家庭自立支援給付金および父子家庭自立支援給付金事業

各制度によって対象者や利用条件は異なりますが、幅広い教育支援制度が展開されているのでぜひ確認してみてください。

リカレント教育と生涯学習の違い

リカレント教育と生涯学習の大きな違いは「教育の目的」にあります。
リカレント教育の目的は、学習したことを業務に活用することです。キャリアアップやキャリアチェンジなど具体的な目標を持って取り組み、学習内容も仕事や資格取得に関することに限られます。
一方、生涯学習の目的は日々の暮らしを豊かにすることです。仕事に活かせるような学習だけでなく、趣味やスポーツ、ボランティアなども生涯学習に含まれます。リカレント教育は、生涯学習の一部といえるでしょう。

リカレント教育に注目が集まる3つの背景

リカレント教育に注目が集まる背景には、日本全体が抱えている大きな課題が潜んでいます。ここでは、それぞれの詳しい内容について解説します。

雇用の流動化

リカレント教育が注目されるようになった背景として、雇用の流動化が進んでいることが挙げられます。ひとつの企業に定年まで勤め続ける「終身雇用制度」が当たり前だった時代は終わり、現在は転職活動を行う人が増加しています。しかし、1社あたりの勤続年数が短くなることで、従来の社内教育や実務だけでは必要な知識・スキルを習得しづらくなったという課題が生じました。
そのため、企業に頼ることなく、従業員が自分のキャリアパスに合わせて自ら学習する手段として、リカレント教育が注目されるようになりました。

市場と技術の急激な変化

近年、SNS・インターネットの普及やAI・IoTの登場といった技術革新が進み、さまざまな市場に急激な変化を引き起こしました。また、社会情勢が変化するスピードも年々加速しています。
このような状況下で企業や従業員が持続的に成長していくためには、現在の知識をアップデートし、新しい技術やスキルを習得しなければなりません。そのための方法として、教育と就労のサイクルを繰り返すリカレント教育が注目されています。

少子高齢化時代の到来

現代の日本は「人生100年時代」とも呼ばれ、年齢や性別を問わず活躍する時代に突入しました。また、少子高齢化が進んだことで労働人口の不足が課題となっています。そのため、定年退職後の高齢者も働くことを求められるようになりました。ブランクを乗り超えてキャリアアップを目指すためには、常に新しい知識やスキルを磨き続けることが必要となります。長期にわたって活躍するために、有効な手段のひとつがリカレント教育です。

リカレント教育制度を利用するメリット

ここでは、リカレント教育制度を利用するメリットを紹介します。従業員向けに導入するための検討材料として、ぜひ参考にしてください。

新しいスキルが身につく

リカレント教育制度を利用する大きなメリットは、従業員に新しいスキルが身につくことです。従業員のスキルアップによって業務効率化や生産性向上が可能になり、企業のさらなる発展にもつながるでしょう。そのため、福利厚生の一環としてリカレント教育を導入する企業も増えています。

キャリアアップに活かせる

リカレント教育で新しい知識やスキルを学ぶことで、現在の仕事だけでなくキャリアアップにも活かすことができます。知識を常にアップデートすることで時代のニーズに対応しやすくなり、自分の市場価値を高めることが可能です。高い能力と学習意欲を持った人は、さまざまな企業で活躍できる貴重な人材として重宝されるでしょう。

世界で活躍できる人材を目指せる

世界で活躍できる人材になるためには、英語力が欠かせません。英語力は海外や外資系企業で働く際だけでなく、輸出入を行う企業や外国人と接する機会のある接客業にも役立ちます。世界で活躍している優秀な人材と同じ土俵で戦うためにも、リカレント教育による学び直しによって必要なスキルを習得しましょう。

リカレント教育制度を利用するデメリット

リカレント教育制度はメリットばかりではなく、デメリットも存在しています。ここでは、デメリットに関する詳しい内容について解説します。

受講したい講座が見つからない可能性がある

リカレント教育の講座数は増加傾向にありますが、自分が受講したい講座が用意されていない可能性もゼロではありません。今後、講座が拡充していくことが予想されているものの、リカレント教育は日本ではまだ一般的ではないため、思うように学習が進められない場合があります。

学び直しの費用が膨大になるケースがある

大学や大学院などの教育機関で学び直しを行う場合、莫大な費用がかかる可能性があります。リカレント教育に対して国・自治体や企業の福利厚生から補助金が出るケースもありますが、必ずしも全額負担してもらえるわけではありません。リカレント教育を検討する際は、かかる費用や支給される補助金などを事前に確認しておきましょう。

対象者が限定される場合がある

リカレント教育の普及を受けて、リカレント教育の講座を準備する大学も増えてきています。しかし、「大学の卒業生のみ」というように対象者が限定されているケースも少なくありません。また、受講するにあたって年齢や経験等が制限されている講座も存在しています。自分が受けたい講座の条件を確認し、該当しない場合はリカレント教育以外での学び直しを検討する必要があります。

まとめ

リカレント教育はすべての社会人を対象とした、教育と就労のサイクルを一生涯繰り返す教育制度のことです。転職活動の活発化による雇用の流動化や市場と技術の急激な変化などを背景に、近年大きな注目を集めています。
リカレント教育にはコストがかかるものの、補助金を受ければ費用を抑えることが可能です。また、福利厚生としてリカレント教育を導入している企業も存在しています。ただし、日本のリカレント教育制度はまだ発展途上です。受講したい講座が見つからなかったり、受講するために条件が設けられていたりする場合もあるため、事前の確認が欠かせません。
「人生100年時代」に突入しても長く一線で活躍できる人材であり続けられるように、リカレント教育を上手く活用してみてください。

監修者・植草 陽光

植草 陽光

日本製鉄株式会社⇒株式会社リクルート⇒株式会社Izul

1社目では製鉄所での生産管理、本社でのグローバル購買職などバックオフィス系の業務に従事。29歳で営業未経験でリクルートに入社し、地場大手会社の深耕営業を実施し入社半年で表彰を獲得。自身が転職を通じて人生を変えた経験から、Izulのビジョンに共感し、現在は同社のキャリアアドバイザー職として従事。

著者プロフィール

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株式会社Izulの広報チームが運用。20代〜30代の若手ハイクラス層から、圧倒的支持を獲得中。働き方や転職のコツなど、キャリアに役立つ情報を発信していきます。

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