不動産は衣食住の「住」に関わるものであり、不動産営業は人生の大きな買い物を支える仕事です。そのため、転職市場でも常に一定のニーズが存在しています。この記事では、不動産営業の業務内容や仕事のやりがいなどについて解説しています。
不動産営業とは
不動産営業とは、不動産の販売や賃貸住宅の仲介を行う仕事です。営業形態や、戸建・分譲マンション・オフィスビルといった物件の種類によって、業務内容が大きく異なるといった特徴があります。不動産は生活する上で欠かせないため、不動産営業はどの時代でも必要とされる職種です。
不動産業界の動向
不動産業界は常に一定の需要が存在するため、コロナ禍においても求人動向に大きな影響はありません。ただし、同じ不動産業界の中でも、不動産売買仲介会社や戸建住宅販売会社は求人数を伸ばしているのに対し、マンション販売会社は求人数が減少している傾向にあります。一方、不動産賃貸会社の求人数はコロナ禍前後で大きな変化は見られません。
不動産営業の種類
不動産営業は、企業の営業形態によっていくつかの種類に分けられます。ここでは、不動産営業の主な種類を5つ紹介します。
賃貸仲介
賃貸仲介とは、住宅や店舗などの不動産を借りたい人に適切な物件を提案し、賃貸契約を仲介する仕事です。同じ賃貸仲介会社の中でも、自社所有の物件を取り扱う企業と他社所有の物件を代理店として取り扱う企業があります。営業担当者は顧客へのヒアリング・内見・契約手続きまで一貫して担当し、個人単位ではなく店舗ごとに売上目標を設定するケースが一般的です。
売買仲介
売買仲介とは、不動産を売りたい人を買いたい人を繋げて売買を成立させる仕事です。営業担当者は売却希望者と相談して物件の売値を決定し、物件情報サイトなどに広告を掲載します。一方、買主に対しては物件の提案や問い合わせへの回答、内見などを行い、両者の間に立って商談をまとめます。不動産売買仲介の場合、売上目標は個人ごとに設定するケースが一般的です。
住宅販売
住宅販売とは「マイホームを買いたい」と希望する顧客に対して、自社またはグループ会社所有の戸建てや分譲マンションを販売する仕事です。見込み顧客が多いとはいえない業種のため、SNSやDMなどの広告やテレアポといったさまざまな営業手法を活用します。また、住宅展示場やモデルルームでの顧客対応も業務のひとつです。個人ごとに売上目標が設定されているケースが多く、達成により多額のインセンティブを得られることがあります。
投資用不動産
投資用不動産の営業とは、投資家に対して投資用のマンションやビルといった不動産を販売する仕事です。あくまで「投資」を目的とした売買が行われるため、営業担当者はローンや利回りといった金銭面や税制面に精通している必要があります。また、他の業態と比べて取引金額が大きく、不動産会社や担当者への信頼が重視される特徴があります。
不動産仕入れ
不動産仕入れの営業とは、土地・建物を地主や不動産会社から仕入れる仕事です。仕入れた不動産は新たな建物の建築やリフォームなどに活用します。人気の高い不動産はすぐに売却されてしまうため、最新情報をいち早く手に入れることが重要です。また、仕入れた不動産の適切な活用方法や、法律・税務の知識が求められます。
不動産営業の平均年収は?
不動産営業の平均年収は約410万円で、日本全体の平均年収とおよそ同程度といわれています。しかし、不動産営業の仕事は成績によってインセンティブが発生するケースが一般的です。そのため、不動産営業の中には年収が3000万円を超える方も存在しています。
不動産営業のやりがい
ここでは、不動産営業のやりがいについて解説します。不動産営業に興味がある方はぜひ確認してみてください。
取引額の大きい案件を担当できる
不動産営業の醍醐味といえば、取引額の大きい案件を担当できることといっても過言ではありません。不動産販売仲介や住宅販売の場合、取引額は安くても数千万、物件によっては億単位に到達します。受注する難易度は高いものの、その分大きなやりがいや達成感を味わえます。
成果次第で収入が増える
不動産営業では、自分の営業成績次第で収入が増える点もやりがいのひとつです。多くの企業では営業担当者にインセンティブが設けられていますが、不動産は一つひとつの取引額が大きいため、受け取れる金額も自然に高くなります。契約実績をあげることができれば、入社してすぐに高年収を得ることも不可能ではありません。
不動産売買の専門知識が身に付く
不動産営業の仕事には、業務を通じて不動産売買の専門知識が身に付くといったやりがいもあります。不動産業界はいつの時代も需要があるため、専門知識がある人材は市場価値が高くなります。また、自分がマイホームを購入する場合など、実生活でも活用できる点も嬉しいポイントです。
不動産営業の厳しさ
不動産営業の仕事には、やりがいだけでなく厳しい面も存在しています。ここでは、不動産営業で想起される厳しさについて解説します。
営業ノルマに追われやすい
不動産営業に限らず、営業は常にノルマに追われる仕事です。しかし、他の業種と比べて不動産営業は目標金額が高めに設定されているため、達成するには相当の努力が必要です。また、取引金額が大きい分、顧客も慎重になることから契約が思うように進まないケースも存在します。
残業や休日出勤が増えやすい
残業や休日出勤が増えやすい点も、不動産営業の厳しい面のひとつです。不動産営業では顧客の休日や都合の良い時間に合わせて動くケースが多く、自分の業務時間外に対応を求められることも少なくありません。必然的に仕事中心の生活になりやすく、プライベートとの両立が難しい場合もあります。
研修制度が整っていない場合がある
不動産営業では、研修制度があまり整っていない場合があるため注意が必要です。不動産業界の風潮として、「仕事は取り組みながら覚える」という文化が根づいている職場が多く存在しています。新入社員がろくに指導を受けないまま業務に取り組むケースも多く、仕事に慣れるまでは大きなストレスを感じやすくなります。
不動産営業に向いている人の特徴
不動産営業に向いている人は、精神的にタフで向上心が高いという共通点があります。不動産営業で成功するには、顧客からのクレームや営業ノルマのプレッシャーに負けず、数字を追い続けることが必要です。また、エリア内での出張や時間外労働も多いため、肉体的に体力があることも大切です。
不動産営業に役立つ資格
不動産営業の仕事に必要な資格はありませんが、不動産業界では「宅地建物取引士」が重宝されています。職場ごとに必要な宅地建物取引士の人数は定められているため、転職活動において市場価値が高くなるでしょう。また、不動産鑑定士やマンション管理士といった不動産業界に関する資格の取得もおすすめです。
未経験から不動産営業になることは可能?
不動産営業の仕事は、未経験でも就くことが可能です。ただし、何かしらの営業経験や接客経験があった方が有利になるでしょう。また、宅地建物取引士の資格を持っている場合、経験の有無にかかわらず採用される可能性が高くなります。しかし、完全に未経験の状態でも、心身の体力や向上心をアピールできれば十分にチャンスがあります。
不動産営業のキャリアパス
不動産営業のキャリアパスは、経験を積んで企業での昇進・昇給を目指すか、業界内での転職が一般的です。また、業務で身に付けたスキルを活かして、フリーランスの営業として独立するケースや新たに起業するケースも多く見られます。その他にも、不動産営業の経験を生かして別業界の営業担当に転身する場合があります。
まとめ
この記事では、不動産営業について解説しました。不動産営業は決して楽ではない仕事ですが、その分大きな達成感や結果を出した分だけのインセンティブが手に入ります。成果重視で評価してもらいたい方や、何より仕事で稼ぎたい方には特におすすめです。