ファブレスとは?企業にとってのメリット・デメリットや具体的な事例を解説

2022年12月20日

2022年12月1日

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Izul広報チーム

Izul広報チーム

製造用におけるビジネスモデルのひとつとして、近年注目を集めているのが「ファブレス企業」「ファブレス経営」です。ファブレスは、従来の製造業と何が異なるのでしょうか。この記事では、ファブレス経営のメリット・デメリットや、代表的なファブレス企業について詳しく解説します。

ファブレスの意味とは

ファブレスの「ファブ」とは「fabrication facility」を指しており、「工場を持たない」ことを意味します。

ファブレス経営とは

これまでの製造業といえば、自社工場で商品の企画・製造・販売までを一貫するのが一般的でした。しかしファブレス経営は自社で工場を持たず、製造工程に関しては他社に委託します。

現在、さまざまな業界でファブレス経営が取り入れられています。中にはすでにファブレスが主流となっている業界もあり、製造業を語る上では欠かせないキーワードになっています。

ファブレス化によるメリット

企業が自社工場を持たずにファブレス経営を取り入れるメリットには、どのようなものが挙げられるのでしょうか。

初期投資を最小限に抑えることができる

ファブレス経営においてもっとも大きなメリットは、初期投資を大幅に抑えることができるという点です。自社で工場を建てる場合は、当然ながら建築費用を負担することになります。ほかにも、原材料の調達や人件費などを含めると、膨大な初期投資が必要になるでしょう。

一方ファブレス化で製造を外部へ委託できれば、発注ごとのマージンを委託先に支払うことになります。そのため、初期費用の負担を大幅に軽減できます。設備機器の交換やメンテナンスにかかる負担もないため、市場へも参入しやすくなるでしょう。

製造コストを下げることができる

工場の建設にかかるコストは、製造にかかるコストとしてみなされます。また、何らかの原因により大量生産ができなくなった場合、商品ひとつあたりにかかるコストの割合が大きくなるというリスクも潜んでいます。

ファブレス経営は自社で工場を持たないことで製造コストが下がるため、会社のリスクを軽減することができます。

市場の変化に対応できる

市場の変化に合わせて商品の仕様を変更する場合、自社工場だと設備の交換がネックになります。いくら新しい商品を開発しても、設備が対応していない場合は新たに費用を掛けて入れ替えなければなりません。逆に設備の入れ替えがいらない範囲の変化に収めようとすると、市場のニーズに対応できず中途半端な商品になってしまうでしょう。

ファブレス経営であれば、それぞれの商品に応じた設備を有する工場へ委託することができます。そのため、設備にとらわれない柔軟な商品開発が実現可能です。

経営資源を得意分野に集中できる

初期投資や人員の負担が抑えられるファブレス経営は、経営資源を自社の得意な分野に集中させることができるようになります。

会社の資源はこれから伸ばしていきたい分野へ投下しながら、外部委託による製造で売上を確保できます。そのため、成長と利益追求の両立が実現可能です。

ファブレス化によるデメリット

ファブレス化はメリットだけでなく、いくつかのデメリットも存在します。ファブレス化のメリット・デメリットの両方を把握したうえで、導入を検討しましょう。

生産管理・品質管理がしにくい

ファブレス経営は自社で商品を製造しないため、製造工程における生産管理や品質管理が難しくなります。製造の現場に目が届かなくなるため、生産体制や品質を管理・チェックする仕組みの導入が欠かせません。

企業によっては、海外の工場へ製造を委託するケースもあります。ただし、仕事を任せられるような会社かどうか事前に見極めておく必要があるでしょう。パートナーと会社との信頼関係構築と、チェック体制の確立が重要です。

情報漏洩のリスクがある

生産という大事な工程を外部に依頼することで、情報が漏洩してしまうというリスクが発生します。製品や製造技術に関する企業秘密が外部に漏れると、権利の侵害や類似した商品が作られるというトラブルにまで発展してしまいます。

ファブレス経営を取り入れる際には、信頼できる会社とだけ取引をするよう心がける必要があります。また、責任の所在や情報管理に関する事前の取り決めも交わしておくべきでしょう。

製造工程のノウハウを自社で共有できない

ファブレス化によって製造工程を他社に任せることで、製造技術やノウハウが自社に蓄積されないデメリットがあります。製造工程における気づきや技術が共有されないため、新商品開発につながるヒントにも気づけない可能性があります。また、自社製造であれば改善できる観点を見逃してしまうのもデメリットです。

外注コストがかかる

ファブレス経営のメリットとして製造コストの低下を挙げました。しかし実際には、工場を設立するコストがかからない分、外注のための費用が発生します。初期投資が抑えられるからといって無計画にファブレス化を進めず、外注費としての製造コストがいくら必要になるかを把握しておきましょう。

製造のための外注コストを支払っても利益が出るような仕組みを作っているのであれば、大きなデメリットとして問題視する必要はないでしょう。

ファブレス経営に向いている業界・メーカー

ファブレス化はすべての業界が取り入れて成功するものではなく、業態によって向き・不向きがあります。ここでは、ファブレス化に適している業界やメーカーについて解説します。

半導体メーカー

ファブレス経営がすでに主流となっているのが、半導体メーカーです。そもそもファブレス経営は、アメリカの半導体設計に特化した企業から日本の企業へ生産が委託されたことが起源とされています。

半導体は、製品の入れ替わりが非常に激しい業界です。設備の入れ替えが多くなるほど設備投資にかかる費用は大きくなることから、ファブレスによる外注化を取り入れる企業が多いといえます。

飲料メーカー

コンビニや自販機商品は頻繁に入れ替わり、季節ごとにラインナップが変わります。そのため、ファブレス経営によって商品開発に注力し、多種多様な商品展開を実現しているのです。

インテリアメーカー

インテリアメーカーは、常にトレンドに合わせたデザインを求められます。また、色やサイズの違いといったバリエーションを用意する必要があります。ファブレス経営を取り入れることで、設備投資することなく製品のバリエーションを増やすことが可能です。

ファブレス経営をしている代表的な企業

ここでは、実際にファブレス経営を実践している代表的な企業を紹介します。それぞれがファブレス化を取り入れた理由についても解説するので、参考にしてください。

アップル

アメリカの巨大IT企業を指す「GAFA」の一翼を担うアップル社。同社は早い段階からファブレス経営を取り入れてきました。iPhoneをはじめ、MacやiPadなど多くの革新的な製品を販売してきましたが、製造に関しては社外の工場へ委託する体制を続けてきました。

一方でデザインや独自の技術などのアップルに欠かせない要素は、自社で集中的に投資しています。注力すべきポイントをしっかりと見極めることで成長を続けてきた企業だといえるでしょう。

任天堂

任天堂のメイン商材であるゲームやおもちゃは、技術の進歩と一時のブームによって常にトレンドが入れ替わるような製品です。

任天堂では自社で大量の在庫を抱えるリスクを避けるために、製造を積極的に委託してきました。委託により生産調整が容易になり、経営資源を新たな企画・開発へ投下できる好循環を実現しています。

伊藤園

大手飲料メーカーである伊藤園は、パートナー企業との関係性を重視した結果、ファブレス化を取り入れています。同社では、創業以来一貫して製造を外注しているのが特徴です。パートナー企業との契約を切って自社工場を造るという道を選ばず、パートナー企業と力を合わせて成長していくというこだわりが理由です。

現在では全国約30ヵ所の工場と提携しており、ファブレス経営によってWin-Winの関係を築いています。

無印良品

衣服や生活雑貨を取り扱うファブレスメーカーとして、無印良品も有名です。一般的な生活雑貨店は小売業に分類されますが、無印良品は自社でデザインした商品のみを取り扱っています。そのため、自社商品の製造を委託するファブレス企業に該当します。

実店舗やオンラインストアなどの販売網を独自に所有しているため、小売店よりも自動車メーカーやアップル社に近いビジネスモデルといえるでしょう。

まとめ

ファブレス経営は、設備投資の負担を減らしてリソースを有効活用できる点が強みです。近年ではファブレス経営が「製造業における成功の条件」と称されることもあり、今回挙げた事例以外にも多くのメーカーが取り入れています。

ただし、ファブレス経営にはデメリットやリスクも潜んでいます。自社製造と外注それぞれの条件を細かく比較したうえで、ファブレス経営の導入を判断しましょう。

監修者・片柳 時政

片柳 時政

株式会社リクルート→株式会社Wondershake→株式会社Izul
広告メディアの法人営業(年間表彰1回、月間・Q表彰12回)を経て、3年目にマネジメント職に昇進。その後、ベンチャー企業でWEBマーケティング・メディア運営を経験した後、Izulへ入社。両面コンサルタントとして、IT領域・広告領域・人材領域の企業を主に担当しながら、キャリアアドバイザーに従事。

著者プロフィール

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株式会社Izulの広報チームが運用。20代〜30代の若手ハイクラス層から、圧倒的支持を獲得中。働き方や転職のコツなど、キャリアに役立つ情報を発信していきます。

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