M&Aとは?買収の仕組みや業界の現状、転職にまつわる疑問を解説

2023年6月28日

2023年6月27日

著者

Izul広報チーム

Izul広報チーム

企業の合併や買収を示す「M&A」を成長戦略として取り入れる企業が増えていることに伴い、転職市場におけるニーズも高まっています。
今回は、M&Aの概要や流れ、メリット・デメリットに触れながら、M&A業界への転職に関する知識を紹介します。M&A業界の転職に関する疑問や、転職を成功させるコツも紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。

M&Aとは

M&Aとは、企業の「合併」と「買収」を示す言葉です。2つ以上の企業がひとつの企業になったり、特定の企業に買収されることを指します。ここでは、M&Aが求められる理由や基本的な流れ、主なメリット・デメリットを紹介します。

M&Aが求められる理由

経営者の高齢化や後継者不足を理由に、M&Aを求める企業が増えています。親族継承が当たり前だった時代と比べ、昨今は親族が事業を継承しないケースもあります。事業を継続するための手段として、M&Aを選択する企業は増加傾向にあります。
また従来はM&Aがもつイメージは、身売りや乗っ取りなどマイナスなものでした。しかし昨今では、M&Aを経営手段の一種として捉える企業も増えています。大手資本の企業による合併・買収を選択し、事業を継続しようと考える企業も増えていることが現状です。

M&Aの流れ

M&Aは、準備・交渉・最終契約のフェーズに分類されます。それぞれのフェーズで実施する対応は以下を参考にしてください。

フェーズ対応
準備・M&Aに関する相談・検討
・経営状況・純資産・負債に関する状況把握
・M&A仲介業者の選定
・アドバイザリー契約
交渉・ノンスキームシート・企業概要書の作成
・M&Aスキーム選択
・トップ面談の実施
・M&A基本合意
・デューデリジェンス
最終契約・最終契約の締結
・クロージング
・事後処理

M&Aによるメリット・デメリット

M&Aの最大のメリットは、優秀な後継者を選択しやすくなることです。企業内だけで優秀な後継者を探さなければならないプレッシャーから、解放されることもメリットのひとつです。大手資本企業の恩恵を受けられるため、より安定した企業継続も期待できます。
一方、デメリットはM&Aを依頼することに費用がかかることです。また依頼後、引き継ぎ期間に数ヶ月〜数年の時間を要する可能性もあります。時間がかかることに関しては、事業継承にタイムリミットがある企業の場合、ネックになります。

M&Aで社員が得られるメリットとは

M&Aのメリットは、経営者のみに与えられるものではありません。企業の合併・買収を選択することで、大手資本企業の傘化に入れば、雇用が安定しやすくなります。
多くの企業が、自社を支えている従業員の雇用に関する悩みを抱えています。新型コロナウイルスで経営に陰りが見えている中で、自社のみで事業を続けることに不安を感じる企業も多くあります。事業を継続できなければ当然雇用も安定せず、従業員数を削らざるをえない場面も考えられます。
M&Aにより信頼できる優良企業と提携し、従業員の雇用を安定させられることは、社員にとってもメリットになります。転職するうえでも、M&Aにより合併・買収された企業を選択することで、ある程度の安定が保証されることもあります。

M&A業界への転職に関する基礎知識

近年では、企業の合併・買収の仲介者として、M&A業界の人材が活躍する場面も増えています。ここでは、M&A業界へ転職するうえで覚えておきたい基礎知識を紹介します。

業務内容

M&A業界では、アドバイザーとして「ソーシング」と「エグゼキューション」を行います。
ソーシングは、希望条件の明確化や企業の情報収集・絞り込み、選定と交渉までの部分を指します。 エグゼキューションとは、事務手続きの実行・管理といったM&Aの後半部分のことです。それぞれの業務内容は以下の通りです。

ソーシング

  • 新規顧客開拓
  • ロングリスト作成・アプローチ
  • 売却・買収方針決定
  • アドバイザリー契約締結

エグゼキューション

  • 基本合意
  • デューデリジェンスのサポート(弁護士・会計士・税理士を雇い実施)
  • 最終契約における締結サポート
  • 譲渡実行(クロージング)

給与水準

M&A業界は、トッププレイヤーともなると非常に高い給与を得られます。「株式会社」という大きな商材を取り扱い、収益インパクトの大きい仕事であることが理由です。転職から2〜3年で数千万円まで年収が上がった事例もあり、給与水準は高い業界といえます。
ただし、M&A仲介企業の中でも報酬制度の内容は、会社によって大きく異なります。固定給が安くてもインセンティブが高い企業もあれば、反対のパターンもあります。とはいえ、いずれのパターンでも給与や年収のベース自体が高い業界であることは事実です。

今後の展望

昨今、大手・中小企業を問わず、M&Aの成約件数は増加傾向にあります。コロナ禍で経営に陰りが見えた企業からのニーズが高まっているため、今後も成長が期待できる業界です。収入が高い分、転職難易度が高いものの、その分将来性が期待できる業界といえます。

市場状況

将来性があるとはいえ、成約しやすい案件はアプローチし尽くされている現状があり、簡単に成約できない市場になりつつあります。M&A業界で活躍するためには、成約につながる確かなスキルやコミュニケーション能力、論理的に物事を分析できる地頭のよさが求められます。とはいえ、コロナ禍により再度注目されている業界であるため、新たな案件の可能性が転がっている市場ともいえます。

M&A業界への転職に関する疑問

ここでは、M&A業界へ転職するうえで感じやすい疑問に回答しています。

M&A業界に向いている人は?

以下の特徴を持つ人は、M&A業界の適性があります。

  • 組織の力を利用して個人の力を試したい
  • 規模の大きい仕事がしたい
  • 達成感を重視したい
  • キャリアアップへの意欲が高い
  • 形に残る仕事がしたい

自身を客観視し、M&A業界に向いているか判断したうえで転職を検討してください。

M&A業界は未経験でも転職できる?

結論から言うと、未経験でM&Aへ転職するのは非常に難しいです。M&A業界は、専門知識や実績、ビジネスセンスが重視される業界です。経営者が思いを注ぎ込んできた企業を預かる重要なポジションであるため、信頼に値する技術・知識・経験がなければ転職は難しいといえます。

転職活動ではどのような点に注意すべき?

未経験での転職が困難なことから、事前に知識を身につけることが大切です。営業力や、財務・法務・税務に関する専門知識を身につける必要があります。士業や金融の専門知識や実績も、M&A業界への転職に有利です。
また、M&A業界は年収が高い一方、多忙になりやすいことも覚えておきましょう。出張も頻繁にあり、多くのアポイントや案件を抱えることもあるため、プライベートの時間は作りにくいかもしれません。

M&A業界への転職を成功させるコツ

ここでは、M&A業界へ転職するうえで覚えておきたい成功のコツを紹介します。

M&A業界に関連する業務経験・知識を身に付ける

未経験の人材が採用されにくい業界であるため、M&Aに関連する業務経験や知識は事前に身につけておくべきです。先ほど触れた財務・法務・税務の知識を身につけるだけでなく、コンサルティングファームや商社、監査法人などの業務経験を事前に積んでおくと転職しやすくなります。

営業力をアピールする

企業の合併・買収という重大なステップを担う役職であるため、ハイレベルな営業力が求められます。単に営業トークのレベルを上げるだけでなく、経営者との折衝能力や業界に関する知識を活用することが求められます。

英語力や金融に関する知識を習得しておく

外資系企業の合併・買収を担当することもあるため、英語力があると転職に有利です。また、財務の知識がないと成約しない場面も多いことから、日商簿記検定2級など金融に関連する資格取得が求められます。公認会計士や税理士の資格や知識を取得しておくことも、M&A業界への転職を有利に進めるための対策です。

まとめ

今回は、M&Aの概要や現状に触れながら、M&A業界への転職に関する知識を紹介しました。企業の合併・買収という非常に重要な機会に立ち会う仕事であるため、ハイレベルな知識・経験が求められます。転職ハードルが高い一方、収入面での充実が期待できる業界です。
M&A業界に興味がある、M&A業界に身を置いて専門知識を活かしたいと考えている方は、ぜひ本記事の内容を参考にしてください。

監修者・西本 威昭

西本 威昭

・国内大手SIerに新卒入社
 SEやPMとして多くのプロジェクトを経験

・KPMGコンサルティング株式会社に転職
 シニアコンサルタントとしてジョイン
 製造業を中心に複数のSCM案件に参画

・アビームコンサルティング株式会社に転職
 マネージャーとしてジョイン
 製造業を中心にSAP関連プロジェクトに参画

・株式会社Izulに転職
 副業のフリーコンサルタントとして活動する傍ら、
 同社キャリアアドバイザーとして従事

著者プロフィール

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株式会社Izulの広報チームが運用。20代〜30代の若手ハイクラス層から、圧倒的支持を獲得中。働き方や転職のコツなど、キャリアに役立つ情報を発信していきます。

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