オープンイノベーションとは?意味・要素・企業事例について解説

2022年12月31日

2024年9月5日

著者

Izul広報チーム

Izul広報チーム

企業が成長を続けるためには、常に新たな発想やスピード感のある事業推進が求められます。そのための施策の中でも、近年注目を集めているのが「オープンイノベーション」という手法です。オープンイノベーションの導入により、自社だけでは辿り着けなかったであろう新たな成果をあげている企業もあり、その効果は注目すべきといえます。
そこで今回は、オープンイノベーションを定義する要素や導入のメリット、事例について詳しく紹介します。

オープンイノベーションとは

オープンイノベーションとは、外部の組織や機関が持つ技術や知識を取り込み、組み合わせる手法です。自社の商品開発や組織改革・技術改革・研究開発において、取り入れられています。新たな発想により、今までにないビジネスモデルや商品、技術など革新的な成果が期待される手法です。

クローズドイノベーションとの違い

オープンイノベーションの対になるものとして、クローズドイノベーションという手法も存在しています。クローズドイノベーションとは、外部のリソースに頼らず自社の力だけで開発を行う手法です。オープンイノベーションとクローズドイノベーションそれぞれにメリット・デメリットがあるため、これから紹介する要素や事例を踏まえて最適な手法の導入を検討しましょう。

オープンイノベーションの要素

ここでは、オープンイノベーションを定義するための具体的な要素を5つ紹介します。

人材

いかなる企業や組織においても、重要な経営資源であるヒト。オープンイノベーションによってヒトが連携すると、社内では生まれなかった新たな発想や深い知識を取り入れることができます。外部の人材と共に同じ目標に向かって取り組むことは、オープンイノベーションの核心と呼べる要素といえるでしょう。

アイデア・マインド

外部の組織や人材がこれまでの経験を元に提案する新たな案や思考法は、全く異なる環境だからこそ生まれる貴重な意見です。ただし、自社の環境に当てはめた場合に同じような成果が期待できるかどうかの見極めも必要です。むやみにすべて取り入れるのではなく、自社の意見も含めた上で、最適な形を目指すべきでしょう。

知的財産

これまでの知的財産は、自社が優位に立つためにもしっかりと自社で保有すべきという考えが一般的でした。しかしオープンイノベーションにおいては、有益な知的財産を外部と共有することで、より優れた活用につながることが期待されます。自社内だけに留めておくよりも、発展のために広く共有するという発想の転換が求められます。

研究

新たな商品やサービスの開発にあたって、研究面でのオープンイノベーションは新たな気づきを得るうえでも重要です。独自で研究開発のために一から投資するよりもすでに知見のある外部機関と連携することで、プロジェクトを迅速に進められる側面もあります。

市場

オープンイノベーションによるビジネスモデルを進めるためには、開かれた市場の存在も欠かせません。外部との連携により、新たな市場の開拓やこれまでに無かったネットワークの拡大も考えられるでしょう。

オープンイノベーションのメリット

ここでは、オープンイノベーションを導入することで得られるメリットを3点紹介します。

事業を迅速に推進できる

オープンイノベーションにより、プロジェクトを迅速に進めることができます。自社の限りあるリソースだけで進める場合と比べて、外部組織の設備や人材、技術など自社にはない資源を初期段階から活用できます。スピーディーな事業成長が期待できる点は、オープンイノベーションのメリットといえるでしょう。

コストを削減できる

オープンイノベーションは迅速に事業を推進できるため、コストの削減にもつながります。研究開発にかかる期間が短縮されると、その分ランニングコストが軽減されます。それぞれが持つ経営資源を合わせることができ、無駄な初期投資の削減が可能です。人件費に関しても、ひとつのプロジェクトを遂行するために必要な人員をそれぞれの組織が出し合うため、自社だけで進めるよりも低コストで人材を確保できます。

外部の技術を習得できる

オープンイノベーションを導入することで、自社にはない技術を習得できます。オープンイノベーションによって外部の人材から現場での指導を直接受けられる環境は、自社を成長させる大きなきっかけです。連携する双方が新たな技術を習得できるような関係性であれば、まさに理想的です。

オープンイノベーションのデメリット

オープンイノベーションを導入することによるデメリットもあります。想定されるリスクも踏まえた上で導入を検討しましょう。

自社の技術やアイデアが流出する恐れがある

これまでは内部の関係者だけが働いていた環境に社外の人間が加わる場合、本来知られてはならなかった内部情報が漏洩してしまう可能性は否定できません。事前に情報を共有する範囲をお互いが取り決め、社内においてはアクセス権限の設定を改めるなどの対策が求められます。

利益率が低下する

オープンイノベーションはひとつのプロジェクトに対して複数の組織が連携するため、利益が配分された結果、自社の利益率は低下します。自社だけでプロジェクトを進めるクローズドイノベーションの場合、得られた利益はすべて自社のものになります。オープンイノベーションにおいては、利益率が低くなっても余りあるほどに連携によるメリットを得られるかどうか、事前に見極める必要があるでしょう。

自社の開発力が低下する

オープンイノベーションは、外部と組むことで研究開発を最大限に有効化できる点が強みです。しかし、このような体制が続いてしまうと、外部に頼る分、自社の開発能力が低下してしまう問題が生じます。オープンイノベーションで進めるプロジェクトだけに目を向けるのではなく、その後の体制づくりも念頭に置いておくことをおすすめします。

オープンイノベーションの事例を紹介

最後に、実際にオープンイノベーションを取り入れている日本企業の事例を一部紹介します。ここまで紹介したオープンイノベーションのメリット・デメリットなどを参考に、それぞれがどのような狙いや効果を想定して導入したのかを考えながら確認しましょう。

日立製作所

日立製作所は、独自の顧客協創方法論「NEXPERIENCE」を掲げ、発展させています。オープンイノベーションの拠点である「協創の森」は2019年4月から運用が始まり、分野の垣根を超えた交流や連携がされています。そのほか日本各地やアメリカ、中国、ヨーロッパにもオープンイノベーションのための拠点を設け、社内外の連携を強化しています。

KDDI

KDDIでは、さまざまなスタートアップ企業とパートナーシップを組み事業の創出を目指す「KDDI Open Innovation Program」という取り組みを行っています。事業共創プラットフォーム「KDDI ∞ Labo(ムゲンラボ)」というプログラムを立ち上げ、KDDIのみならず趣旨に賛同する70社もの大企業がスタートアップの事業を支援します。他にも、コーポレートベンチャーキャピタルとしてベンチャー企業への出資も積極的に実施しています。

トヨタ自動車

トヨタ自動車は「TOYOTA NEXT」というオープンイノベーションプログラムに取り組んでいます。社会課題を解決するアイデアを持ち、事業性が認められる5社と連携してサービスを共同開発している点が特徴です。このプログラムは社会環境の変化や顧客からの要望の多様化といったさまざまな変化に対して幅広く俊敏に対応することを目的として、中小・ベンチャー企業が持つ新しい発送や技術を活かしたサービスの共同開発を掲げています。

富士ゼロックス

富士ゼロックスは、オープンイノベーションの拠点となる「Future Edge」を神奈川県海老名市に開設しました。顧客とともに印刷業務の変革に取り組むことを掲げており、国内外に所有する連携拠点のハブ的な役割を担っています。ショールームのように製品を体験できる環境が整っているものの、そこで取り扱う商品はパートナー企業の技術力も体験できるような仕組みがなされています。技術検証のための大型設備も備わっており、連携する企業にとっては検証のための場にもなっているのです。オープンイノベーションによる技術開発に日頃から力を入れているからこそ、必要とされる拠点だといえるでしょう。

まとめ

オープンイノベーションは、自社だけでは辿り着けなかったような成果を上げられる手法ということがわかりました。従業員からすると、オープンイノベーションを取り入れている企業は外部から新たな刺激を受けられる環境ではないでしょうか。リスクもあるとはいえ、オープンイノベーションでなければ得られないような成果もすでに生まれており、今後も注目され続ける手法ではないでしょうか。

監修者・中田 潤一

中田 潤一

株式会社キーエンス株入社後、サントリー株式会社→アリババ株式会社→株式会社リクルート住まいカンパニー リクルート在籍時に株式会社Izulを立ち上げ、現在に至る。株式会社Izulを含め4社の代表取締役を勤める。スキルシェアサービス「タイムチケット」では就職・転職カテゴリーで46ヶ月連続1位獲得、年間アワードを3年連続受賞。

著者プロフィール

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株式会社Izulの広報チームが運用。20代〜30代の若手ハイクラス層から、圧倒的支持を獲得中。働き方や転職のコツなど、キャリアに役立つ情報を発信していきます。

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