早期退職制度とは?利用するメリット・デメリットや確認すべきポイントを解説

2023年4月20日

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Izul広報チーム

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転職活動を考えるきっかけとして「早期退職制度」を利用する方もいるのではないでしょうか。あまり知る機会のない早期退職という選択肢。いざ自分の事になると、どのような決断をすべきか迷ってしまうかもしれません。この記事では、早期退職制度の内容やメリット・デメリット、退職前に確認すべきポイントについて詳しく解説します。

早期退職制度とは

早期退職制度とは、企業が退職を希望する社員を募り、応じた社員は定年よりも早く退職できる制度です。ここでは、早期退職制度の仕組みや現状について紹介します。

定年よりも早い自発的な退職

日本企業では、長年にわたって年功序列での評価や定年まで長く働き続けることが当たり前という文化が根づいていました。早期退職制度はこのような考え方に縛られることなく、自らの意思で定年よりも早い退職を促すものです。早期退職制度が無い企業での自己都合退職との違いは、退職金の割増や再就職支援といったメリットを享受できる点にあります。企業にとっては、従業員の選択肢を広げ、組織メンバーの循環を促す効果的な制度です。

早期退職制度の実情

企業にとって、早期退職制度には経営状況の悪化に伴う人員削減という側面もあります。そのため、早期退職者を募る企業数は景気状況に合わせて変動します。東京商工リサーチの調査によると、リーマンショック後の2009年に早期・希望退職募集を開示した上場企業は191社で、その後は減少傾向にありました。しかし2019年は35社、2020年は93社、2021年には84社と、新型コロナウイルスの感染拡大による景気悪化の影響を受け近年は再び増加の傾向が見られます。

選択定年制との違い

早期退職制度のように、退職時期を自分で決められる制度として「選択定年制」があります。主に60歳から65歳までの間で定年退職する年齢を決められるという点が、選択定年制と早期退職制度との違いです。また、早期退職制度は会社都合での退職になるケースが多いものの、選択定年制の場合は自己都合での退職として扱われる点も大きな違いとなっています。

早期退職制度の種類

ここでは、早期退職制度の種類として挙げられる「希望退職制度」と「早期退職優遇制度」について紹介します。

希望退職制度

希望退職制度は、早期退職制度の中でも業績悪化による人員削減などを理由とするため、リストラに近い状況で行われます。しかし、一方的に解雇を言い渡されるリストラとは異なり、従業員の意思を尊重して募集を行います。希望者には、退職金が割り増して支払われるなどの優遇措置があります。

早期退職優遇制度

早期退職優遇制度とは、企業による福利厚生の一環として従業員が使える制度です。従業員のキャリアプランにおける選択肢が広がり、企業としても組織人員の固定化を防げるという効果があります。会社で経験を積んだ後に独立したいと考えている方にとっても、早期退職優遇制度を取り入れている企業は魅力的な転職先といえるでしょう。

早期退職するメリット

実際に早期退職することで従業員にはどのようなメリットがあるのでしょうか?3つに分けて具体的に解説します。

退職金が割り増しされる場合がある

早期退職制度を利用した退職者には、退職金が割り増しで支払われることが一般的です。早期退職制度が無い企業と比べると、大きなメリットといえるでしょう。割り増しされる退職金をもとに、腰を据えて次の転職先を探せるのではないでしょうか。上乗せされる退職金は企業によって差があるので、福利厚生として早期退職優遇制度を取り入れている場合は事前に条件を確認しましょう。

会社都合の場合は失業保険の受給が優遇される

早期退職制度を利用して退職すると、一般的には会社都合での退職という扱いになります。会社都合退職は、失業保険を受給する際に有利に働きます。自己都合による退職の場合、7日間の待機期間のほかに2ヶ月間の給付制限期間を終えてからようやく失業手当を受給できるようになります。しかし会社都合の場合、最短1週間で受給できるのです。また、給付期間も会社都合では90〜330日間と、自己都合の90〜150日間よりも大幅に上限が増加します。

再就職支援を受けられる場合がある

企業から再就職支援を受けられる点も、早期退職制度のメリットです。特に福利厚生として早期退職優遇制度を用意している企業の場合、退職後のキャリアまで積極的に支援するケースが見られます。グループ会社への再就職や人材紹介会社を通じた活動支援など、さまざまな方法でサポートが受けられるでしょう。

早期退職するデメリット

反対に、早期退職制度を使うことによるデメリットも存在しています。失敗を防ぐためにも、以下に挙げるデメリットをしっかりと把握しておきましょう。

継続的な収入が得られなくなる

仕事を辞める以上は、翌月から継続的な収入を得られなくなります。今まで天引きされていてあまり意識をしていなかった年金や健康保険料、税金などの支払いの多さに驚くかもしれません。退職金や失業保険があるためすぐに困ることはないとしても、再就職先がなかなか見つからない場合のリスクも考えておく必要があります。

思い通りに再就職できるとは限らない

新たなキャリアプランを思い描いて早期退職の道を選ぶ方もいるでしょう。しかし、思った通りに再就職できるとは限りません。転職活動が上手くいかず焦ってしまい、理想からかけ離れた条件の会社に就職してしまうような事態も考えられます。「前の会社に戻りたい」と後悔してからでは遅いので、十分に検討しておくべきです。

将来受け取る年金が減る場合がある

退職をしてから次の転職先で働くまで期間が空く場合、将来の年金受給額が減る可能性もあります。退職に伴い厚生年金から国民年金に切り替わるため、それによって受け取れる金額も変化するでしょう。具体的な金額は一人ひとりの条件によって異なるため、詳細を把握したい場合は年金事務所で相談してみることがおすすめです。

早期退職して転職する前に確認すべきポイント

早期退職制度には、メリットだけでなくデメリットも存在しています。ここでは、早期退職を決めてしまう前に確認すべきポイントについて解説しているので、要点を確認して後悔のない転職を実現させましょう。

社内評価だけでなく市場評価を考える

社内で高く評価されていたとしても、転職を決意して応募した企業から同じように評価されるとは限りません。例えば現職で「あなたがいないと仕事が回らない」といわれるほど重要な存在だったとしても、応募先の企業にとって価値を感じられないスキルだと判断されることもあるでしょう。自分の経験やスキルがどのくらいの市場価値なのか、客観的な目線で判断する冷静さが求められます。

退職後のプランを普段から考えておく

早期退職制度の中でも経営悪化による希望退職制度など、退職する機会がいきなり訪れることもあります。急な出来事に対応できずタイミングを逃してしまうと、後悔が残る結果になるかもしれません。「もし急に退職することになったらどうするか」というシミュレーションを、普段から実施しておくことが大切です。

退職金だけで判断しない

割り増しされる退職金に魅力を感じて、早期退職を決意する場合も考えられます。しかし先述のとおり、退職に伴い継続的な収入が得られなくなったり、将来受け取る年金額が減少したりと、長期的に考えると不安要素も残ってしまいます。目先のお金だけにとらわれず、全ての条件を元に判断できるよう知識をつけましょう。

まとめ

早期退職制度には、若いうちにキャリアを再選択できるというメリットや、転職が成功するとは限らないというデメリットがあります。早期退職優遇制度を活用するタイミングや、急な希望退職制度の案内について自信を持って決断するためには、何よりも事前の準備が大切です。良い面も悪い面も見比べて、理想通りのキャリアプランを実現させましょう。

監修者・竹節 正輝

竹節 正輝

日本郵便 本社IT新規事業→パーソルキャリアにて個人表彰、新規事業創出プログラムDrit大賞→パーソルイノベーション株式会社 地方副業Loino PdM 霞ヶ関でキャリアをスタートしたのち、転職サイトdoda、事業立ち上げも経験。キャリアアドバイザーとイントレプレナーの2つの顔を持つ。

著者プロフィール

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株式会社Izulの広報チームが運用。20代〜30代の若手ハイクラス層から、圧倒的支持を獲得中。働き方や転職のコツなど、キャリアに役立つ情報を発信していきます。

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