自分らしく働くうえで、職場の良好な人間関係を構築することは非常に重要です。しかし、良好な人間関係を思うように構築できない場合もあるでしょう。今回は職場の人間関係で悩む人の割合を見ながら、職場の人間関係の悩みが発生する原因・対策について解説します。人間関係が良い職場の特徴や見極め方、人間関係が良いことによるメリットにも触れているので、参考にしてください。
職場の人間関係で悩む人の割合
厚生労働省が実施した令和3年度の「労働安全衛生調査」によると、職場の人間関係で悩んでいる人の割合は、全体の25.7%でした。同調査における「職場で強いストレスを感じている」人の割合が53%だったことを踏まえると、職場で感じるストレスの半分が人間関係によるものということです。人間関係に悩む人の割合を男女別で見てみると、男性が22.6%、女性が29.1%でした。
良好な人間関係は、ストレスなく仕事をするうえでの必須条件です。しかし多くの人が職場での人間関係に悩み、転職を検討する原因になっています。ここでは、職場の人間関係に悩む人の割合について、転職を検討するきっかけになる詳細も含めて解説します。
参考:厚生労働省|労働安全衛生調査(令和3年)
人間関係の悩みが原因で転職する人もいる
人間関係の悩みが解決できないことで、転職を検討する人もいます。厚生労働省が令和3年に実施した「雇用動向調査」では、職場の人間関係を理由に転職している人の割合が、男性が8.1%で女性が9.6%でした。決して高い数値ではないものの、少なからず現職を退かざるを得ないと考える理由になっていることは事実です。
参考:厚生労働省|雇用動向調査(令和3年)
職場における人間関係の悩み
職場における人間関係の悩みは、主に上司や同僚、従業員間の関係性が原因となる場合がほとんどです。また、「自分の意見をうまく伝えられない」「嫌がらせやパワハラを受ける」といったケースも人間関係の悩みに直結する原因です。ここからは、職場の人間関係に悩む原因として代表的な事例を紹介します。
苦手な上司・同僚がいる
苦手な上司や同僚がいると、思うようにコミュニケーションが取れず良好な人間関係を構築できません。同じ職場に苦手と感じる上司・同僚がいるだけで、ストレスを感じる場合もあります。仕事の関係上苦手な上司や同僚と密に関わらなければならない場合、より強いストレスを感じやすくなります。
自分の意見を優先できない
相手の意見を優先し、自分の意見を思うように伝えられないことでストレスが溜まることもあります。上司や同僚に頼まれごとをして、うまく断れず自分の仕事を後回しにした経験がある方もいるでしょう。自己主張がうまくできない性格の場合、そのジレンマに苦しむ悪循環に陥りやすいため注意が必要です。
従業員同士の競争意識に馴染めない
従業員同士の競争意識が高いと、職場内が常に緊張感のある空間になります。競争意識の高い環境にいると自然とストレスが溜まり、気持ちと業務の両面に悪影響を及ぼします。成果を上げなければいけないプレッシャーと、気が休まらない環境にストレスを感じ、競争自体に疲れてしまうこともあるでしょう。
嫌がらせ・パワハラを受けている
職場内での嫌がらせやパワハラは、転職・休職・退職に直結しやすい悩みのひとつです。自分だけでは解決できないことも多いため、企業内に設置されたホットラインや、外部の悩み相談窓口に相談することが有効です。
人間関係の良い職場の特徴
人間関係の悩みを事前に回避する場合は、どのような職場が良いのかを見極める必要があります。ここでは、人間関係の良い職場に共通する点を7つ紹介します。人間関係の良い職場で働ければ、ストレスも少なく長期的に働くことが可能です。
従業員の仲が良い
従業員同士の仲が良い職場は、人間関係の悩みが発生しにくい環境です。張り詰めた空気感もなく、同僚や上司に対する緊張や苦手意識によるストレスを感じにくい傾向にあります。従業員同士の仲の良さはモチベーションや成果にもつながりやすいため、順調にキャリアを重ねるうえでも重要な要素です。
悩みを相談しやすい環境が整っている
人間関係の良い職場には、仕事が原因の悩みを相談しやすい環境が配備されています。代表的な取り組みが、定期的な面談やアンケートです。従業員の悩みをリアルタイムで把握するシステムを取り入れた職場は、人間関係をはじめとした問題点を即時に把握・解決してくれます。
挨拶を重視する文化がある
挨拶を通じたコミュニケーションを重視し、良好な人間関係を構築している企業も多いです。従業員同士が自然にコミュニケーションを取れるだけでなく、感謝や労いの気持ちを伝えやすくなるのもそのメリットです。挨拶をされて嫌な気持ちになる人はほとんどいませんので、自然な形で挨拶を取り入れている職場は、人間関係が良好と判断できます。
ミスを共有し合える
仕事のミスを責めることなく、あくまで「共有」するといったスタンスを取っている職場は、良好な人間関係の特徴と言えます。日々忙しく業務に取り組む中で、情報の伝達が漏れてしまう場合があったり、計画が誤ってしまい業務が遅れることもあります。ただし、ミスを責めるのではなく失敗から学ぶスタンスの職場であれば、同じミスを繰り返すことが少なく、ストレスも溜まりにくい傾向にあります。
お互いを認め合おうとする風土ができている
従業員同士がお互いを尊重し、認める風土が形成されている職場は、人間関係が良好と評価できます。そうした職場では、同僚の実績を羨ましく思うのではなく、それを将来の進歩につなげることを意識する人が多く見られます。相互尊重と認知の風土が存在する職場では、同僚の成果を基にして、会社全体を改善する新たな方針を考案する傾向があります。
ハラスメントが横行していない
セクハラやパワハラなど、各種ハラスメントが横行していない職場も人間関係は良好といえます。各種ハラスメントは加害者側に罪の意識がないことも多く、被害者側も言い出せない場合があるため厄介な問題です。職場の人間関係が良ければハラスメント自体が横行しにくく、仮に発生しても被害者側が意見できるため、横行することは少ないでしょう。
離職率が低い
離職率が低いことは、良好な人間関係が構築できていることの証明になります。職場の人間関係が悪いと、仕事に行きたくなくなり、最終的には転職や退職を考える要因になり得ます。また、嫌がらせやハラスメントを受けていると心の余裕がなくなり、退職することすら考えられなくなることもあるのです。一方で人間関係が良好な職場は安心して働けるため、定着率が自然と向上します。長期間在籍し続けることで愛社精神も沸き、企業全体の発展につながる側面もあります。
人間関係の良い職場を見極める方法
人間関係の良い職場に転職する際は、実際にどのような職場なのか見極めることが大切です。転職エージェントや口コミサイトを活用しつつ、求人広告の出稿頻度などをチェックしておきましょう。
転職エージェントを利用する
転職エージェントの担当者は、転職者や応募者から得られる情報で職場の雰囲気を把握しています。企業側の担当者ともやりとりしているため、どのような人間関係が構築されているか把握しているのも特徴です。転職エージェントは転職における「プロ」であるため、人間関係にまつわる不安も理解し、解消したうえで転職先を紹介してくれます。
口コミサイトの情報を参考にする
企業の評判が投稿されている口コミサイトの情報も、職場の人間関係を把握するうえで有益な情報です。現在働いている人や過去に在籍していた人のリアルな意見が閲覧できるため、求人情報だけで判断できない環境を知ることが可能です。ただし意図的にネガティブな意見を投稿していることもあるため、あくまで判断材料のひとつと捉えてください。
求人広告を頻繁に出している企業は注意
頻繁に求人広告を出している企業は、人間関係を含めた環境が不十分である可能性が高いでしょう。求人広告を頻繁に出しているということは離職率が高く、常に人材不足であると予想できます。離職率の高さは「良好な人間関係を構築できていない」という判断材料になるため、転職先の候補に加えるのは考え直したほうがいいかもしれません。
まとめ
職場の人間関係が悪く、悩んでしまう人は多くいます。人間関係が原因で心身に不調をきたし、望まない転職・退職を選択せざるを得ない場面もあります。職場の人間関係は、ストレスなく働くための重要な要素です。ストレスの少ない環境であればモチベーションを保ちやすく、業績も上げやすいでしょう。今回紹介した「人間関係の良い職場」の特徴も参考にしつつ、自分らしく働ける環境を見つけ出してください。