飲みニケーションとは、仕事で関わりを持てない人と、お酒の席を通じてコミュニケーションをとることです。しかし金銭面や時間の負担から、敬遠する風潮があるのも事実です。
今回は飲みニケーションの概要や懸念点、代用となるコミュニケーション手段について解説します。コロナ禍で変化したコミュニケーションについても解説しているので、社内でのコミュニケーション手段を変えたいと考えている企業はぜひ参考にしてください。
飲みニケーションとは
1980年代ごろから使われている「飲みニケーション」とは、仕事で話す機会のない同僚や上司と、より円滑な人間関係を構築するための飲食を伴うコミュニケーションの機会のことです。仕事では見られない相手の一面を知る機会にもなるので、積極的に取り入れている企業もあります。
飲みニケーションにはデメリットが多い?
昨今では、飲みニケーションにマイナスイメージを持っている人が多いようです。そもそもお酒を飲まない人もいるため、飲みニケーション自体に必要性を感じていない人もいるでしょう。
ここでは、飲みニケーションの主なデメリットを4つ紹介します。
飲みニケーションの主なデメリットは、以下です。
- 金銭的に負担がかかる
- 時間が取られる
- 仕事のパフォーマンスに影響する
- 心身への負担が大きい
金銭的に負担がかかる
会社員の飲み代の平均は1回あたり男性が6,159円、女性が5,357円というデータがあります。決して安い金額ではないため、この出費がもし毎週発生するとなれば、多くの人が痛手に感じるでしょう。特に家庭を持っている人にとっては、家族に対して申し訳ないと感じることもあるのではないでしょうか。また、お酒を飲まない人にとっては金額にかかわらず、飲みニケーションの出費自体が無駄と感じる傾向にあります。
参考:新生銀行「2021年サラリーマンのお小遣い調査」
時間を取られる
趣味を楽しむ時間や恋人、家族と過ごすプライベートな時間は、飲み会が長引くほど減ってしまいます。二次会に誘われて終電まで参加するとなれば、より多くの時間を消費するでしょう。また飲み会の時間に合わせて、本業の仕事の時間が圧迫されてしまうケースがあることも、飲みニケーションが疎遠される理由のひとつです。
仕事のパフォーマンスに影響する
飲み会の次の日が必ず休みとは限りません。仕事後の疲れた体で遅くまでお酒を飲んでしまうと、寝不足や二日酔いを避けられないこともあるでしょう。翌日の体調に響いて仕事の生産性が落ちてしまい、自身の成果や評価にも悪影響が出るため、マイナスイメージを持つ人もいます。
心身への負担が大きい
酔った上司に自慢話を長々と聞かされ、お説教を食らうこともあれば、自分が余計なことを発言してしまう可能性もあります。飲み会に行きたくない人からすると、毎回誘いを断ること自体がストレスに感じるでしょう。
飲みニケーションには良い側面も
飲みニケーションは、悪い側面ばかりではありません。ここでは、飲みニケーションに期待できる例をいくつか紹介します。
例えば相手の人となりを知り、今後の人間関係を円滑に進めるきっかけにできるのは、飲みニケーションの最大のメリットです。同僚や上司から業務をスムーズに進めるための情報を共有してもらいやすいメリットもあります。
飲みニケーションはビジネスパーソンとしての気遣いや、会食の席での正しいマナーを実践的に学べる機会でもあります。仕事の関わりを通じて、自身のコミュニケーション能力を向上させるきっかけになるのも、飲みニケーションのメリットではないでしょうか。
飲みニケーションを活用せずに交流する方法
飲みニケーションにはいくつかメリットがあるとはいえ、どちらかというとデメリットが注目されがちです。新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、そもそも飲みニケーションの機会自体が減少する中で、そのほかのコミュニケーション手段を探している人もいるのではないでしょうか。
飲みニケーションを活用せず交流するには、相手と自分の共通点を探してコミュニケーションの機会を増やす方法があります。コミュニケーションをとるために、ランチミーティングやフィーカを開催してもいいでしょう。それぞれの方法について、以下で詳しく解説します。
共通点を探す
普段話さない相手でも共通点が見つかると、ぐっと心理的な距離が縮まります。好きなスポーツや出身地、血液型など、共通点に結びつきやすい質問を投げかけてみましょう。お酒の力を借りず共通点を探すことで、よりビジネスパーソンとしての深い関係性が生まれる可能性もあります。仮に相手から共通点を聞かれた場合は、会話が弾むような受け答えを意識してください。
ランチミーティング
会議よりもフランクな雰囲気で発言できるランチミーティングは、お酒の飲めない人や子育て世代の人でも開催しやすいコミュニケーションの場です。ランチミーティングに、いつもより豪華な昼食を用意する企業もあり、仕事をするうえでのモチベーション維持にもつながります。
フィーカ
フィーカとは午前10時頃と午後15時頃の2回、甘いお菓子とコーヒーで一息つくスウェーデンの習慣です。しっかり休憩を取り、仕事にメリハリをつけることで作業効率も上がります。飲みニケーションともランチミーティングとも異なるコミュニケーションとして、注目されています。
新しい働き方で変化した飲みニケーション
新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、多くのイベントが自粛・中止になったと同時に、仕事や飲みニケーションの在り方も変化しました。テレワークを導入する企業が増え、社内のコミュニケーション不足が課題となる企業も増えている中で、新しい社内交流の方法を探している企業もあるのではないでしょうか。ここでは、コロナ禍により注目され始めたコミュニケーションの手法をいくつか紹介します。
オンライン飲み会
パソコンやスマートフォン越しに談笑し、お酒を酌み交わすのがオンライン飲み会です。感染リスクがないため、多くの企業が取り入れています。自分好みの飲食物を用意して楽しめるだけでなく、終電を気にしなくていいこともオンライン飲み会の利点といえます。
マスク飲食
マスク飲食を心がければ実際に顔を合わせての会食も、少ないリスクで楽しめるでしょう。2023年時点で、感染症への対策が緩和されている店舗はあるものの、完全にコロナ禍が収束するまでは、マスク飲食を心がけてください。
小規模での開催
感染リスクを緩和するために、これまで社内全体もしくは部署全体で開催していた飲み会の規模を縮小する動きも注目されています。小規模開催にすることで感染リスクを減らせるのはもちろん、人数が少ないことで、参加しているメンバーとより多く会話する機会を作りやすくなります。
まとめ
今回は1980年代ごろから親しまれている「飲みニケーション」について解説しました。マイナスのイメージが強い飲みニケーションですが、良い側面もあります。新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、飲みニケーション以外のコミュニケーション手段が増えました。新しい働き方で変化した飲みニケーションについても把握したうえで、自社にマッチするコミュニケーション手段を選択してみてはいかがでしょうか。