仕事をしていると、少なからずストレスを感じてしまいます。職場で感じるストレスを「当たり前のこと」と認識し、対策を怠っている人も多いでしょう。しかし、職場のストレスは早急に対策を取らないと、心身を追い込んでしまうことがあります。
今回は、職場で感じるストレスの対策を、ストレスの原因や関連する症状とあわせて紹介します。自分らしく働ける日々を送るために、本記事の内容を参考にしてください。
職場に対してストレスを感じている人の現状
令和2年に厚生労働省が実施した「労働安全衛生調査(実態調査)」では、仕事・職場に対してストレスを感じている人は全体の54.2%というデータが出ています。およそ半数以上が現状に満足しておらず、ストレスを抱えながら働いていることがわかります。
参考:令和2年 労働安全衛生調査(実態調査) 結果の概況
一方、平成30年に実施された同調査では、「ストレスを相談できる」と回答した人の割合は92.8%でした。このデータから、ほとんどの人が周囲に相談できる環境下にいることもわかりました。しかし「相談できるからいい」と思い、ストレスの原因を「改善」することまでは意識できていない人が多い可能性があります。
また昨今ではコロナ禍により、働き方が大きく変化した人も多いでしょう。結果、これまでにはなかったストレスを感じるようになった人も増えています。
職場で感じるストレス対策が重要な理由
職場のストレス対策は、従業員・企業それぞれの目線で重要なことです。職場にあるストレスの要因や自身のストレスを放置していると、心身に悪影響が出ます。パフォーマンスに影響するのはもちろん、最悪の場合離職しなくてはならないこともあるでしょう。
また企業としても、従業員の定着率が上がらない、ブラック企業のイメージがつくなど、良い結果にはつながりません。スキルやノウハウが継承されず、企業経営にも悪影響を及ぼします。
このことから、職場を通じたストレスは、要因を把握したうえで十分な対策をとることが大切と判断できるでしょう。
職場のストレス対策
職場で感じるストレスは、以下の方法で対策を取ることが可能です。
- 信頼できる人に相談する
- 休養を申し出る
- 社外での生きがいを作る
- 同僚・上司とコミュニケーションをとる
- 働き方・生活を見直す
ストレス対策をとっていないと自覚している人はもちろん、普段からストレス対策を行っていると自負している人も、改めて参考にしてください。
信頼できる人に相談する
家族や友人など、気負いすることなく話せる人に相談するのが、もっとも実施しやすいストレス対策です。仮に根本的な解決にならなくとも、現状のストレスを言葉にして吐き出すだけで、楽になることがあります。誰にも相談せず抱え込んでいると、思考がネガティブになる一方です。ストレスを放置することの危険性も加味しつつ、必要があればいつでも相談することを心がけてください。
休養を申し出る
ストレスが解消されない、職場環境が改善されない場合は、思い切って休養を申し出ることも大切です。一度職場から離れることで、職場に望むことや自身の不足している部分と向き合えるため、新たなスタートを切りやすくなります。とはいえ、根本的な要因が解消されなければ同じことの繰り返しとなるため、休養時に職場環境の改善を再度提案することも忘れてはいけません。
社外での生きがいを作る
社内で感じるストレスを「仕方のないこと」と受け入れ、社外での楽しみに気持ちを注ぐ方法です。「これがあるから、そのために仕事を頑張れる」と感じられれば、ストレスを感じにくくなる可能性があります。しかし、職場環境の視点でいえばまったく改善されていないということも認識しておくべきです。社内のストレスも軽減できる環境構築も視野に入れつつ、メリハリのついた生活を送りましょう。
同僚・上司とコミュニケーションをとる
職場で感じるストレスの代表例に、人間関係が挙げられます。「同僚とうまく関われない」「上司に気軽に相談できない」などは、仕事のパフォーマンスにも影響の出る要因です。積極的に同僚や上司とコミュニケーションをとり、現状の課題や今後の展望などをしっかり話し合い、擦り合わせておくことで解決の糸口になるかもしれません。
働き方・生活を見直す
残業時間や通勤時間など、働き方を見直すことでストレスを回避できる要素もあります。また、生活リズムを整えたり、先ほども触れた「生きがい」を生活に取り入れたりして、生活そのものを見直せば気持ちが前向きになります。場合によっては、異動や転職を選択することでストレスを軽減できる可能性もあるでしょう。
職場に多いストレスの要因
職場でのストレス対策を考案・実行するうえでは、職場にどのようなストレス要因があるのか知ることも大切です。
人間関係
同僚や上司とうまくいかないことで、人間関係によるストレスを感じやすい人は多くいます。コミュニケーションがうまく取れず孤立したり、過剰な業務を依頼されて不信感を抱くことでもストレスを感じてしまいます。人間関係のストレスを解消しないままでいると、休職・離職を余儀なくされる場合があるため早急に対策を取らなければなりません。
仕事量・質
仕事量が多く、就業時間内に終えられないこともストレスの要因になります。過度な業務量を「こなす」だけになってしまい、質が保てていないことにストレスを感じる人もいるでしょう。同僚や上司が意図的に過度な業務を押し付けてくる場合もあるため、人間関係にもつながる要因といえます。
プレッシャー
成果を上げなければならないプレッシャーにストレスを感じると、心身に悪影響を及ぼす場合もあります。求められる成果や周囲の期待に対して、自分の能力が見合っていないと感じた時により強いストレスを感じる傾向があります。ただし、成功体験を積み重ねてプレッシャーをある程度克服できれば、自身の能力を高めながら大きな成果を上げることも可能です。
職場のストレスが原因となる症状
職場で感じるストレスを放置してしまうと、精神・肉体・行動にさまざまな症状が表れます。ここで紹介する症状を把握し、上述した対策や要因と関連付けて覚えておくことが大切です。
精神的症状
ストレスが原因で、感情が不安定になることがあります。常に落ち込んでいたり、イライラしていたりと、周囲に心配をかける症状が見られます。また、無気力になり、注意力も散漫になりやすいため、業務遂行にも悪影響が出てしまうでしょう。
肉体的症状
「疲れやすい」「食欲が出ない」など、職場のストレスは肉体面にも影響を及ぼします。体の各箇所が痛くなったり、動悸や息切れを起こす場合もあります。視力や睡眠の質にも症状が出ることもあるため、精神的症状同様に仕事はもちろん日常生活にもデメリットがあります。
行動的症状
業務上のミスや遅刻・早退など、働くうえでの「行動」に症状が出ることもあります。笑う頻度が減り、消極的になるといった症状が見られる場合もあります。行動的症状は自分で気づきにくいものもあるため、周囲のサポートも重要です。自分はもちろん、周囲にこれらの症状に当てはまる人がいないかも意識してあげてください。
まとめ
職場では、さまざまなストレス要因が潜んでいます。ストレス要因を理解し、しかるべき対策をとらなければ、自身はもちろん周囲の人も働きやすい環境から遠ざかってしまいます。肉体・精神・行動に症状が出ることもあるため、今回紹介した内容を参考に原因となるストレスを知り、しっかりと対策をとりましょう。